所得控除

所得控除の種類
現在のところ全部で15種類の所得控除があります。なお、雑損控除、医療費控除、寄付金控除の適用を受けるためには確定申告が必要です。
雑損控除
災害、盗難、横領により自分や扶養親族の所有する生活用資産について損失が生じた場合には、一定の金額をその年の所得金額から控除できます。
医療費控除
その年において多額の医療費を支払った場合には、その支払った医療費のうち一定の金額をその年の所得金額から控除できます。
社会保険料控除
社会保険料を支払った場合には、その金額をその年の所得金額から控除できます。
小規模企業共済等掛金控除
小規模企業共済等掛金控除及び心身障害者扶養共済の掛金を支払った場合には、その金額をその年の所得金額から控除できます。
生命保険料控除
(1)平成23年12月31日以前に締結した保険契約等に係る控除
一般の生命保険料または個人年金保険料を支払った場合には、それぞれ次の金額をその年の所得金額から控除できます。
2万5千円以下 支払い保険料等の全額
2万5千円超〜5万円以下 2万5千円+(支払保険料−2万5千円)×1/2
5万円超〜10万円以下 3万7千500円+(支払保険料−5万円)×1/4
10万円超 5万円
*5年以下の生命保険など控除の対象とならないものがあります。
(2)平成24年1月1日以後に締結した保険契約等に係る控除
居住者が各年において一般の生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合には、それぞれ次の金額を控除できます。なお、適用限度額はそれぞれ4万円となります。
2万円以下 支払い保険料等の全額
2万円超〜4万円以下 支払保険料×1/2+1万円
4万円超〜8万円以下 支払保険料×1/4+2万円
8万円超 一律4万円
(3)新契約と旧契約がある場合
新契約と旧契約の双方がある場合には、それぞれ次に掲げる金額の合計額(適用限度額4万円)となります。
イ.旧契約の保険料等につき(1)により計算した金額
ロ.新契約の保険料等につき(2)により計算した金額
地震保険料控除
地震保険料控除の創設(所法77)
損害保険料控除を改組し、居住者が、その有する居住用家屋・生活用動産を保険等の目的とし、かつ、地震等を直接又は間接の原因とする火災等による損害により生じた損失の額をてん補する保険金等が支払われる損害保険契約等に係る地震等損害部分の保険料等を支払った場合には、その保険料等の金額の合計額(最高5万円)をその年分の総所得金額等から控除する地震保険料控除が創設されました。なお、この規定は平成19 年分の所得税から適用されます。
損害保険料控除については、経過措置として、平成18年12月31日までに締結された長期損害保険契約に限ります。
寄付金控除
特定寄付金を支払った場合には、一定の金額をその年の所得金額から控除できます。→寄付をしたとき
障害者控除
本人が障害者である場合または障害者である家族を持つ場合には、27万円(特別障害者は40万円、同居特別障害者は75万円)をその年の所得金額から控除できます。
寡婦(寡夫)控除
本人が寡婦(寡夫)である場合には、次の金額をその年の所得金額から控除できます。ただし老年者に該当する者は除かれます。
【寡婦】
夫と死別または離婚した独身者で扶養する子供がある者・・・35万円
夫と死別した独身者で所得金額が500万円以下である者・・・27万円
【寡夫】
妻と死別または離婚した独身者で扶養する子供があり、所得金額が500万円以下である者・・・27万円
勤労学生控除
働く学生で所得金額が65万円以下である場合には、27万円をその年の所得金額から控除できます。
配偶者控除
所得金額が38万円(パートなどの収入金額が103万円)以下である配偶者を控除対象配偶者とよびますが、控除対象配偶者を有する場合には、38万円をその年の所得金額から控除できます。また、控除対象配偶者の年齢が70歳以上である場合には10万円をさらに加算した金額が控除できます。なお、この控除対象配偶者には青色事業専従者及び事業専従者は含まれません。
ただ配偶者控除の適用がない方で、配偶者の合計所得金額が38万円超76万円未満である者については配偶者特別控除の適用がある場合があります。配偶者特別控除額は最高で38万円ですが、配偶者の所得金額に応じて控除額を調整するしくみになっています。
参考)控除対象配偶者の要件
 控除対象配偶者とは、その年の12月31日の現況で次の四つの要件のすべてに当てはまる人です。
(1) 民法の規定による配偶者であること。内縁関係の人は除かれています。
(2) 納税者と生計を一にしていること。
(3) 年間の合計所得金額が38万円以下であること。
(4) 原則として青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。
配偶者特別控除
控除対象配偶者及び所得金額が76万円(パートなどの収入金額が141万円)未満である配偶者を有する場合には、所得金額に応じて段階的に定められている金額(最高38万円)をその年の所得金額から控除できます。この場合にも青色事業専従者及び事業専従者は含まれません。また、本人の所得金額が1000万円を超える場合には、この適用を受けることはできません。
⇒平成16年分以後の所得税については、配偶者特別控除のうち配偶者控除に上乗せして適用されていた配偶者特別控除額が廃止されました。
参考)配偶者特別控除速算表
配偶者特別控除額は最高で38万円です。ただし、配偶者の合計所得金額が40万円以上の場合には、その合計所得金額に応じて控除額を調整するしくみになっています。配偶者の合計所得金額に応じた控除額は、次の表のようになっています
配偶者の合計所得金額
配偶者特別控除の額
38万円を超え40万円未満
38万円
40万円以上45万円未満
36万円
45万円以上50万円未満
31万円
50万円以上55万円未満
26万円
55万円以上60万円未満
21万円
60万円以上65万円未満
16万円
65万円以上70万円未満
11万円
70万円以上75万円未満
6万円
75万円以上76万円未満
3万円
76万円以上
0円
扶養控除
*この扶養控除額は平成23年分以後の所得税について適用されます。
所得金額が38万円以下の同居家族(配偶者、青色事業専従者及び事業専従者は除かれます)を扶養親族とよびます。扶養親族のうち年齢16歳以上の者を控除対象扶養親族と呼びます。居住者が控除対象扶養親族を有する場合には、次に掲げる区分に応じそれぞれの金額を控除します。
扶養控除 年齢16歳未満 廃止
年齢16歳以上19歳未満 38万円
年齢19歳以上23歳未満   63万円
年齢23歳以上70歳未満 38万円
年齢70歳以上 48万円
同居老人扶養親族の場合の加算額 10万円を加算
同居特別障害者の場合の加算額 廃止
* 年齢は、その年12月31日の現況による。
* 同居特別障害者の場合の加算額は廃止され、特別障害者の場合の障害者控除額に35万円を加算する措置に改組されました。
* この規定は平成23年分以後の所得税について適用されます。
基礎控除
一律38万円をその年の所得金額から控除できます。
配偶者のパート収入、扶養にできる?
@ 一般に配偶者のパート収入などが103万円までは扶養とできるし税金もかからないといわれますが、これは、103万円(パート収入)−65万円(給与所得控除)=38万円(所得金額が38万円以下のため扶養に該当します) 38万円(所得金額)−38万円(基礎控除)=0(所得が0のため税金はかかりません)となるためです。また、配偶者のパートなどによる収入が100万円以下の場合には、住民税(所得割)も課されません。
A 所得金額が38万円を超える場合には配偶者控除の適用はありませんが、所得金額が76万円未満であれば配偶者特別控除の適用を受けることができます。これは、所得の稼得に対する配偶者の貢献を考慮して、世帯として税負担の軽減を図るために設けられている規定です。