終戦そして2006年へ                       6月18日

 試合終了と共にガックリと肩を落とすイレブン。優勝でもしない限りは勝負事に付きものの光景ではあるが、それが自分や身の回りの出来事であると正直辛い。

 予選リーグを120%の力で闘ってきた日本代表。予選突破の達成感もあり、次なる具体的な目標を定め奮い立たせるには中3日ではあまりにも短すぎた。
 雨で重くなったピッチはフィジカル的に弱い日本からスピードとパスの正確性を奪い、一つのミスが結局は大きな壁となってイレブンの前に立ちはだかってしまった。今日の日本代表にはその壁をうち破って前に進むだけのモチベーションが不足していたのかも知れない。あっけない幕切れだった。

 「経験不足」と言われれば、監督を含め代表選手たちの経験不足は否めないし、「闘うスピリットが足りない」と言われれば、確かにW杯で48年間苦汁を舐め続けて来て今大会に賭ける意気込みが日本とは比べものにならない程大きなものであろう韓国に対して反論する余地はない。
 しかし、いずれにしても日本サッカーが今大会で「世界レベルの」栄光と挫折を味わった事は次のステップのための大きな財産となることは間違いないだろう。

 スタジアムで、路上で、テレビで応援していたサポーター達は優勝するチームがいかにして7試合を戦うか見守る必要がある。そして2006年に向けて新たな歴史を刻みはじめた日本代表を応援し続けて欲しいと思う。





予選リーグ最終戦                         6月15日

 フランス、アルゼンチン、ポルトガル、優勝候補が次々と脱落。勝ち残っているチームにあるのはスピード、フィジカル、そして野望。高温多湿の地で勝ち抜くには個人技など大して意味がない。必要なのは『パワーと精神力』。

 ホームの日本はサポーターに貰ったパワーと強い精神力でグループリーグを完全に掌握した。もう、このリーグで負けは万に一つも考えられないのだ。

 試合は始めから日本の手の中にあった。勝たなければならないチュニジアが攻めてこない。いや、攻められないのだ。前に出ようとする意志は12人のパワーによって押し戻されてしまう。
 後半、明らかに疲れの見えていた稲本と柳沢を市川・森島に替えると、あたかもシナリオに沿った様に、絶妙なポジション取りをしていた森島の豪快なシュートで先制。そして、市川らしいサイドの上がりからヒデへピンポイントのセンタリングで追加点となるヘディングシュート。
 こうしてグループHは日本の1位通過(2勝1分、勝ち点7)で終了した。

 世界が驚愕した日本の実力は特にこの一年、コンフェデレーションズカップに始まり、キリンカップ、世界列強国と数々のAマッチをこなして来たことによって飛躍的にUPしたと言えるだろう。
 奇しくもちょうど一年前、同じ時期、同じ条件の中で準優勝したコンフェデレーションズカップがフロックでない事を証明した日本。今、どこよりも勢いがある。どこまで行けるか分からないけれども、息の続く限りひたすら突き進もうじゃないか。

 ◆チームの評価・・・9.5(ゲームは完璧、一部のサポーターにイエローカード)





予選リーグH ロシア戦                    6月10日 

 初戦で「勝ち点1」を取った日本は気持ち的に随分楽になり、それに対してグループH最強と言われるロシアは「勝ち点3」を取ったことで余裕から油断が生まれたかも知れない。

 自分たちのサッカーをすれば負けない日本代表に育った自信は一つハードルを越えたことで更に大きなものになり、ロシア戦ではかなり高レベルの戦い方が出来るようになった。
 ロシアはパスを繋いで組み立てて来るチームだが、スピードと高さが無い分日本にとっては怖さがなくやりやすい相手と言える。主に攻撃の起点になる右サイドのカルピンを押さえることによって攻撃が機能しなくなる。

 稲本の2試合連続ゴールの他に何本か惜しいシュートがあって完全に日本ペースで進んだ試合の結果は1−0(試合内容からするとあと1〜2点は欲しかった)。久しぶりに安心して観戦できたゲームであり、日本が「勝ち点4」を取ってずいぶん有利になったという感想でしかなかった。
 目標はただ一つ「グループリーグ突破⇒決勝T進出」。そのためには次のチュニジア戦に負けは絶対に許されない。負けたら4年間やって来たことが台無しになってしまう。対外的にも「ホスト国の予選リーグ敗退」とW杯の歴史に汚点を残すことになってしまう。最終戦まで分からないので、マスコミ各社はそんなに煽らないでもう少し冷静になった方が良いと思う。

 それに残念なのは、「W杯初勝利!」で大いに盛り上がるのは良いことだけど、エスカレートし過ぎて地域住民に迷惑を掛けるほど騒ぐのは違うと思う。“フーリガン、フーリガン”と恐れているけど自分たちがフーリガンになることだってあり得る。本物のサポーターだったらわきまえていると思うけど、気を付けて欲しい。

 ◆チームの評価・・・7.5(ほぼ完璧なゲームで勝ち点3をあげたが1点しか取れなかったので)






予選リーグH ベルギー戦               6月5日

 日本の初戦、ベルギー戦。
ベルギーはW杯予選プレーオフでチェコに勝ち本大会に出場してきた古豪だが、前評判は決して高くなく日本としては容易に初「勝ち点」を取れる相手と読んでいたところ、直前のフランス戦勝利でいきなり評価が上がってしまい「引き分けに出来れば良」とトーンダウンしてしまう。
 更にマスコミが追い立てるように「前回のW杯で初戦に負けたチームは決勝T進出ナシ。」といたずらに危機感をあおるような報道をするものだから、日本国民全体がナーバスになってしまい日本代表にもフランス大会の成績がトラウマとなってちらつくようになってしまった。
 しかも一番の課題である「裏を突かれて失点!」が続いていたフラットスリーの修正は出来ているのかどうか半信半疑のまま試合は始まる。

 勝利どころかまだ勝点もあげたことがない緊張と不安で重ったるい空気の中、後半も早々に先制点を入れられ「ああ、やっぱり」と日本国全体が落胆の溜息をついた直後、幸運にもFW鈴木の同点ゴールが決まった。この鈴木のゴールこそが、我々に望みを与えてくれた正に値千金のゴール。日本代表にもそれまでの不安や緊張を一掃して「W杯といえども簡単にゴールできるんだ。」というゆとりが生まれたのである。

 その後はふっきれたように日本ペースで試合が進み、稲本のゴールでリードするとスタジアムは完全に日本のホームと化した。
 しかし、このイケイケムードに水を差したのはDF森岡の負傷退場でドタバタしている時に喫した同点に追いつかれるゴール。フラットスリーの裏を突かれる欠点を露呈してしまったこのゴールで再びナーバスになってしまった日本代表は、攻め上がることが出来なくなり何度かFWの柳沢が相手ペナルティーエリア付近で倒されるシーンもファウルをもらえず、そのままタイムアップになってしまった。

 何とか史上初の「勝ち点1」は取ったものの試合巧者のベルギーに引き分けに持ち込まれ、掴みかけていた初勝利をみすみす逃してしまった。
 この「勝ち点」で2の差は大きい。最後に響いてこなければ良いのだが。負けなかった事より勝てなかった事に悔しさが残る試合だった。

 ◆チームの評価・・・6(勝ち点を取ったので)





2002FIFAワールドカップ開幕!           6月4日
 
 2002年5月31日、ついにW杯が開幕しました。
 連日各リーグのカードがTV中継され、またメディアで取り上げられているので、サッカーを知らなかった地方のお年寄りにも「ワールドカップ」という言葉だけでも浸透して来たことは、今後根付くかどうかのサッカー文化に少なからず貢献しているようです。

 ところでW杯初戦というものはこうも難しいものなのかと改めて自覚させられるわけですが。
 最近の親善試合で明らかに結果が出ていない王者フランスはセネガルに完封負け。(セネガルが強いのかも知れませんが。そう言えば昨年、日本が唯一完敗した相手でした。)イングランド、カメルーンはらしくない展開で何とか「勝ち点1」を手に入れましたが。

 慣れない土地で緊張と不安の中とにかく1点を入れて落ち着きたいということで全神経を集中させます。先制すると守りを固め、追い付かれてもリスクを冒してまで追加点を取りに行こうとはしません。
 初戦は負けなければ良いんです。「スペインがW杯で好成績をあげられないのは初戦で勝てないというジンクスが半世紀以上生きていたから」と言われますが、それ程初戦は大切なのです。見る方にとってははっきり言ってつまらない試合。2戦、3戦目も勝ち点を意識した試合になるでしょう。でもそれがW杯予選リーグの戦い方。

 ところが新興国、初出場国はそんな駆け引きは通用しません。なぜならば彼らは決勝まで「段取り」する必要がないからです。予選リーグ突破・決勝トーナメント進出を最終目的とし、初戦からフルモードで勝利にこだわった戦いをしなければなりません。

  日本の初戦ベルギー戦。ホームでできる幸運が初勝利につながるよう全員120%の力を出し切れば結果は自ずとついてくる。

 ガンバレ!日本イレブン。






蒼きイレブンに捧ぐ                      5月17日

 蒼きイレブン 若き精鋭たちよ
 決しておごらず
 決してひるまず
 平常心で臨もうじゃないか
 最前線で戦う者たちよ
 我々1億2千万 
 共に戦おう

23人の代表決定には賛否両論あると思いますが。
議論をしても良いが批判すべきではないでしょう。
チケットを手に入れた者、テレビ観戦する者、キャンプ地で働く者、
「W杯」を口にした者は皆すでに戦う準備をしているのです。

選ばれた23人は一番先頭で身を犠牲にしなければなりません。
我々1億2千万の民が望む目標を達成するために
彼らがベストのコンディションで臨めるよう静かに見守る必要があります。





欧州遠征で得たもの                        5月15日

 欧州遠征の2戦で悪いウミが出た。                 

 試合の結果だけ見てみると2戦2敗、無得点、4失点。
(何のために慣れないヨーロッパでこの時期に10日間もキャンプを張ったのか理解できないが)
特にノルウェー戦は全く攻撃の形が作れず、フラットスリーの弱点を突かれての完敗だった。

 そんな悪い結果にも関わらず選手本人たちは結構、冷静に反省点を挙げ敗因の分析さえしている。
『やろうとしても出来なかった。』『通用しなかった。』ではW杯での勝利を期待することなんて出来ないが、しかし、彼らは悲観していないのだ。
 これは救いである。彼らは彼らなりの手応えをつかんだということだ。
 
 そう、本番までまだ3週間ある。
約束事・連携の確認を徹底してメンタル的なもののピークを大会に合わせてくればいい。
多くを望んではいけない。
今の力を本番で100%出せるように訓練することだ。
ホームの利とサポーターの後押しがあれば少しくらい高い山も越えられる。






キリンカップーホンジュラス戦               5月2日

 両チーム合計6点も入ったゲームは見ていて面白いんですが…
イヤー、見事にフラット3を破られました。DFは1対1でも勝負しなければならないことを学び、後半はきちんと修正できたことは収穫です。W杯の対戦相手はここの所を研究してくるでしょうから良いサンプルになったでしょう。
 
 それにしてもフリーキックだけで3点とは…俊輔のケガが軽傷であることを‥。
相手があんなに退いて守ってたら流れの中の得点は難しいでしょう。「ゴール欠乏症」などと言われてますが確実に得点できるFWを抱えているチームなど無いでしょうね。相手が有ることだし、11人全員で点を取りに行くものだから。
 
 今回も久保は思うような働きが出来なかったし、山下は結局一度もピッチに立たなかった。この後はやりやすい相手など1チームもありません。厳しい現実です。
 3日に発表される欧州遠征メンバーでおおよその代表メンバーが決まるでしょうが、本人たちは17日まで眠れない日々が続くのでしょうね。





キリンカップ−スロバキア戦                  4月29日

 柳沢が右サイドに入る変則的?な布陣。
 相手は五輪代表を揃えた1.5軍。当然、日本の方が格上。

〔試合開始早々〕
柳沢が下がりすぎて機能していない。トップ下に入った俊輔は水を得た魚のよう、左サイドのサントスやFW西澤への好パスが目立つ。スロバキアは上背が有りハイボールや長いリーチを生かしたパスカットに長けている。それが日本にとっては壁となり、なかなかパスが通らない。 

〔前半30分過ぎ〕 
相手がかなり自陣に退いていたことにより、スロバキア陣内でボールが停滞していたが、再三、良い動きをしていた西澤がゴールゲットすると徐々にスロバキアは防戦一方になっていった。

 前半を通して俊輔の絶妙なスルーパスが有効で、トップ下にはヒデの代わりになるオプションが一つ増えました。それから西澤の動きが特に良かったという印象でした。

 後半は入れ替えのメンバーがそれぞれ無難にこなしましたが、FWは得点してこそ成功と言える辛い立場で、久保も動きは良かったが結果を残せなかったことで不完全燃焼だったでしょう。こういう試合は前半に大量点を取って、後半の頭から久保や山下を投入するべきではなかったかと思いますが。いや、そのために超攻撃的な布陣で臨んだはずなんですが1点しか取れませんでした。

 DFも中盤の組み立ても良いでしょう。でも、この程度のレベルの相手に1点しか取れないFWを今後どうしていくんでしょう。彼らに自信を付けさせるにはどうしたら良いんでしょうか。次のホンジュラス戦、思い切って久保と山下を頭から使ってみては?最後の入試だから。





コスタリカ戦                             4月17日

 結果、引き分けに終わった試合も内容的には完敗でした。
 日本はポーランド戦勝利の油断とリーグ戦の疲れで立ち上がり本来の調子が出ないうちに、本気モードのコスタリカに出端をくじかれた格好になりました。コスタリカは南米スタイルの高い身体能力で個人技に優れ、意外にスピードがありました(それも誤算だったのでしょうが)。早いプレスからボールを奪われ、中盤を完全に支配されてしまいました。つまり、やりたかった形を先に作られてしまったことにより日本の特徴である押し上げ・サイド攻撃が出来ず自陣に退いてただボールを回す(回される)ことで前半の殆どが費やされました。

 無駄な45分だったと言えます。今まで積み上げてきた実績や自信を否定されるような、まるでアウェーで戦っているような重苦しい前半でした。
 
 後半は福西がボランチに入ったことにより中盤にタメができ、個人技の高いサントスが何度か攻撃参加するようになったが、どうしても“ヒデと伸二が居れば”ということになってしまう。この試合、個人技に優れ1対1に強い2人が居たらずいぶん展開が変わっていたと思います。それから高原が居たらもっとシュート数が増えて得点の確率も上がっていたのではないか。鈴木や西澤も悪くはなかったがFWはシュートを打たなければ。という思いがします。

 神懸かりな楢崎と明神のプレーで幸運にも引き分けに持ち込めましたが、大きな課題を残してしまいました。ベストのメンバーが組めてからテストマッチが3回あるか無いか、それまでに今のメンバーでどこまで克服できるか。見守るしかありません。再来週対戦するホンジュラスはコスタリカが苦戦した相手、それまでにどこまで修正できるか。トルシエの言い訳は聞きたくありませんから。



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