ドーハの歓喜                        2008年11月20日

15年前!?、本当に15年も経ったのだろうか。
勝てば悲願のW杯出場の最終戦。
決戦の地、カタールはドーハ。
1点リードのロスタイム、無情にもイラクに同点に追いつかれW杯初出場を逃した。

15年の時を経、W杯3連続出場の肩書を引っ提げて再びこの決戦の地に立った日本代表は自信と誇りに満ちていた。
相手は新進気鋭のカタール。
前評判の高いこの国には勝ち点で並ばれていため、アウェーだがどうしても勝利が欲しかった。
実はこの相手、ディフェンスの裏が弱点で、そこを突かれると脆い事が過去の試合からはっきり見て取れた。
試合開始直後しばらくは一進一退の攻防が続くも、田中達也のゴールで先制すると相手のバランスが崩れ、その後は終始日本ペースでゲームが続いた。
結果的に今年のベストマッチを演出し、日本代表の危機を救ったのは皮肉にも悲劇の地ドーハであった。

最終予選は8試合。たった3試合の結果で南アフリカが近づいたとは言えないが、このドーハでの一戦はイマイチ調子の出ない日本代表のターニングポイントとなってくれる事を期待したい。






メイド・イン・ジャパンの勝利
                   2007年9月12日

セットプレーの攻め合いも、唯一流れの中で得点した日本の勝利!

日本より実力に勝るスイスは、立ち上がりから早いプレスとコンパクトなパス回しで圧倒した。
前半は立て続けの2失点で打開策が見つからないままズルズルと流されていってしまった日本だが、
ハーフタイムの意識改革か?良い意味の開き直りか?
後半開始と同時に攻めの意識が出てきたのと早めに1点を返せたのがそれ以降のゲーム支配につながった。
2点ビハインドを追いつき、追いつかれての逆転勝利は久しく見ていない、攻め合いに勝利した日本の姿。
アジアカップのモヤモヤを振り払ってくれる、久々の爽快感である。

この勝利をきっかけにオシムジャパンのやろうとしている事が自信から確信に変わるだろうし、
どこを修正すれば、もう1ランク2ランクとステップアップできるか、個々の理解が深まったのではないだろうか。
オシム監督が就任して一年が経過し、監督が示してきた「日本人の特性を生かした日本独特のサッカー」が世界の強豪国と対等に渡り合えるようになるのも、「遠い先の話」ではなくなってきたように思えてきた。





終戦〜日本サッカーの完成へ                  2006年6月23日

これが現実。日本代表の実力と限界がはっきり分かった。体力、フィジカル、メンタル、経験、スピリット、全ての点に於いて日本はグループの中で劣っていた。現代サッカーは、特に今大会はどの国を見ても技術的な差がほとんど無く、しっかり守って速攻を仕掛ける。日本はオーストラリア戦の前半以外それが出来なかった。不安定なディフェンス力、前線での思い切りの無さ、中盤でただ球を回させられる事で悪戯に体力を消耗し、やりたい事が出来ないまま空しく時間だけが過ぎて行く繰り返しだった。結局、オーストラリア戦の逆転負けが全てで、それ以後の日本は最後まで自分たちのペースを握れなかった。

しかし、今大会は過去2大会では味わえない貴重な体験をしたとも言える。日本の弱点がどこで、どこをどう直していかなければならないか課題が浮き彫りになったことから、今後はそこを強化し、その上で日本の特長を出せるようなものができれば、それこそが日本サッカーの完成となる。

失敗から学ぶ事は多い。フランス、日韓、ドイツ、と手探りでやってきた日本サッカーの方向性がやっと見えて始めてきた。監督が替わり、代表メンバーも入れ替わるだろう。しかし、方向性が分かった以上、日本サッカーは誰もが理解し、納得できるようなものに成長していってくれる気がする。果たしてどんな日本代表になってくれるのか楽しみに見守っていきたい。





23人誰一人として悔いを残すことの無いように     2006年6月19日

絶対に勝たなければならない試合、勝てる試合を落とした。これで自力での勝ち抜けは無くなり、最終戦の一握りの可能性に懸けるしかない厳しい状況に追い込まれた。

今大会は予想に反して気温30度を超える猛暑の中での消耗戦となり、結果を出しているのはテクニックよりむしろフィジカルや身体能力の高いチームであって、日本のような、パスを繋いで走り回るチームは苦戦を強いられている。また、劇的な得点シーンは足の止まった後半終了間際にフレッシュマンのゴールというパターンが多い事から分かるように、選手交代のタイミング、体調管理が試合を左右する大きな要因にもなっている。

さて、“絶対に勝たなければならない”戦いを終えた日本はこの2戦でケガ人や体調不良者が多数出ている。そして、次のブラジル戦がW杯の本当の最終戦になるかも知れない。だったら、一か八か全員体調万全でフレッシュなメンバーを組んだらどうだろうか。日本には優秀なフリーキッカーが何人もいるし、天才パサーや体ごとゴールに飛び込んで行くFWもいる。23人誰が出ても戦力ダウンにはならない筈だ。

それでもし決勝トーナメントに進めなくても、日本は優勝候補ではないし失うものは何もない。やれることをやらなくて悔いを残したくないから。





ポジティブに!!(予選リーグ豪州戦の敗戦から)   2006年6月13日

オーストラリア戦の敗因は様々に報道されている。しかしながら、ピッチに立っていた本人達が一番ショックを感じ、自覚している筈(冷静になれば)。確かに、後半35分までは(DF面に於いて)やろうとしたサッカーが出来ていたかも知れない。しかし、精神的にも肉体的にも限界に達していた終了間際、悪夢の同点劇。その時、その場に居た誰に冷静な判断力を期待できただろうか。

一生に多くても2〜3度、選ばれし者のみが立てるW杯という経験。あの「ドーハの悲劇」の経験者は誰もいない。同点にされた時はどうすればいいのか?逆転された時はどうすればいいのか?あの時の教訓を彼らは完全に自分たちの体に染み込ませていただろうか。それらの意味で日本はあまりにも経験が少ない。だからピッチ上の彼らを誰も責めることはできない。教訓は教訓として経験者が指導していかなければならない事だから。この事は今後も課題として日本代表に残るだろう。

予想していたとおり、ヒディングの術中にはまって本当に悔しい結果に終わってしまった。しかし、これで全てが終わったわけではない。幸い、クロアチア戦まで中五日ある。早く、頭を切り換えてポジティブに!次、勝てば予選突破の可能性が出てくる。





日本サッカーの師−ドイツが教えてくれたもの      2006年5月31日

2006ドイツW杯テストマッチ対ドイツ戦で日本のすべき事がハッキリと見えてきた。

【良い点】
・日本のスピードが、特にこういう上背のある相手には完璧に通用することが証明された。
・高原の調子の良さが伺えた。

【課題】
・本番ではもっとプレスがきつくなることが予想されるので、球を奪われた時の守備、または自陣ゴール前で球を奪った時の展開の仕方がハッキリしないところがある。即、修正が必要だ。
・俊輔の所でキープしたい。ワンタッチの選択もあるけれど、ドリブルでリズムを変える必要もある。事実、1点目は俊輔のさすがのキープ力から生まれたもの。
・一番失点しやすい後半30分辺りからパスミスが目立ち、明らかに集中力がなくなったのが分かる。交代要員も含め、3点目を取りに行くのか守備に重点を置くのか、前と後ろの意識も中途半端だったのではないだろうか。
・当然のことながら、いつものことで、数多くのチャンスを作っても決めるところで決めなければ「善戦した」で終わってしまう。

 近代日本サッカーの師であるドイツと対戦し、自信と課題を新たに授かった。課題を克服し、W杯本番で90分間最大のパフォーマンスが見せられれば間違いなく結果はついてくるだろう。「サッカー強国!日本」の階段を登りはじめるのか、それとも8年前に戻ってしまうのか、全ては残り2週間にかかっている。





ボスニア戦で残る課題                        2006年3月1日

 28日のボスニア戦はワールドカップ本番・ブラジル戦の会場ウ゛ェストファーレン競技場で試合が出来たこと。その上、一次リーグで相対するクロアチア、オーストラリア戦のシュミレーションが出来たこと。今回のテストマッチは本番のシュミレーションとしてはこれ以上ない好条件が揃った。

 ボスニアの戦い方、同じ様な、いやそれ以上の攻撃力のあるものがクロアチアだと思って間違いないだろう。長身と当たりの強さを生かし、サイドからどんどん放り込んでくる嫌な相手である。

 さて、満を持して臨んだはずのボスニア戦は様々な課題の残る一戦となった。4−4−2のシステムが機能した日本は前半、左サイドを起点に幾つか決定機を作る。2トップの高原は「くさび」になり、自らもシュートを放つなどコンディションの良さが伺えた。ボールキープが出来ず、ヒデの再三に渡るスルーパスも生かせない久保の調子の悪さが気になるものの、日本のバランスの良さばかりが目立った前半を一点先制という形で終えた。

 W杯欧州地区で3位と予選敗退したものの、スペインに引き分けた実力を持つ東欧の雄・旧ユーゴのボスニアには45分あれば相手の弱点を見抜くことなど容易いこと、と言わんばかりに、後半に入ると中盤でプレスをかけパスカットからの素早い攻撃を繰り返し仕掛けてくるようになった。重戦車のような3トップに対して日本の4バックでは当然のことながら対応しきれず、最後にはファウルで止めるしかなくなる。

 中澤が与えたPKも能活のキャッチミスも明らかに相手のプレッシャーによるもの。それよりもここで冒した一番大きなミスは、相手が攻勢に出て守りきれなくなった時になぜ臨機応変にシステムを変えなかったのか、ということ。1点ビハインドになってからは結局駒を替えただけの対応に終わった。このままではオーストラリアのヒディングの術中にはまることが目に見えている。

 本番では今より比較にならない程コンディションが上がっている筈。はからずも今回のテストマッチでは日本の弱点を相手にさらけ出してしまった形になったが、転じてこれを良い経験として受け止め必ずや大幅な修正を加えてくることと確信し、さらにジーコ監督には敵を欺くような鮮やかな采配を期待している。





2006ドイツW杯の対戦相手が決まりました        2005年12月11日

 来年、ドイツで開かれるW杯の予選リーグの対戦相手が決定しました。日本はF組で相手は(1)世界チャンピオンで、ジーコ監督の母国であるブラジル。(2)フランス大会の予選リーグで日本を下したクロアチア。(3)来年からアジアの枠に組み込まれるオーストラリア
 この組み合わせ結果を見ると、少なからず因縁めいた匂いを漂わせる日本丸の運命を感じます。

 Jリーグの初代王者“鹿島アントラーズ”を日本リーグの住友金属時代から支えてきたジーコ。日本サッカーの発展に尽力してきた彼が今や日本代表監督となり、代表に「ジーコイズム」を植え付けてきた。そんな彼を生み育ててきた彼の母国・世界最強のブラジルとグループリーグを戦うことになるとは。
 同じ初出場の日本にとって引き分けが最低条件だったフランス大会予選リーグで、負けてしまったために決勝トーナメント進出の夢が断たれてしまったのがクロアチア戦でした。その後、決勝トーナメントを勝ち進み堂々3位の好成績を収め、今やW杯常連国となったクロアチアに今度こそ実力を見せつける時がやってきました。
 そして、来年よりアジアサッカー連盟に加入し、次回からは同じシード枠に入るであろうオーストラリアと今回予選リーグを戦う運命のいたずら。

 さて、初得点・初勝利が漠然とした目的だったフランス大会。ホスト国として決勝トーナメント進出のノルマが課せられた日韓大会。だとすると、今回は日本の真の実力が試される大会と言えるのではないでしょうか。
 あと半年でどれだけの準備が出来るか。如何にしてベストのコンディションに持っていくことができるか。それがうまく行けば、我々にとってワクワクする様な結果が付いてくるような気がします。
 いよいよ、あと半年です。   

予選リーグF組比較表

日本 ブラジル クロアチア オーストラリア
FIFAランク 15位 1位 20位 49位
W杯出場回数 1998年から
3大会連続3度目
18大会連続
18度目
1998年から
3大会連続3度目
1974年以来
2度目
W杯成績 1998年 3敗
2002年 ベスト16
優勝  5回
準優勝 2回
3位   2回
1998年 ベスト3
2002年 予選
      リーグ敗退
1974年 予選
1次リーグ敗退
(1分2敗)
地区予選成績 アジア地区最終予選
1位 11勝1敗
南米予選1位通過
9勝7分2敗
ヨーロッパ地区予選
1位 7勝3分
オセアニア地区1位
大陸間プレーオフでウルグアイに勝利
日本との対戦 5勝2分 1勝1敗 5勝4分5敗
ここに注目! 誰もが認める世界最強のタレント集団 スウェーデンに2連勝と勝負強さが光る。
予選10試合で5失点の守備も安定。
主力の大半が欧州リーグで活躍。
監督は韓国をベスト4に導いたヒディング。

資料は2005年12月現在のもの





井の中の蛙にならないように                    2005年 6月9日

 W杯進出フィーバーに沸く日本列島。真剣勝負に一喜一憂し、結果、大きなライセンスを得た我々サポーターにとっては至福の時である。そう、日本が3大会連続でW杯出場を決めた。しかもアジアの4枠が世界に先駆けて、全て一試合を残し同時期に決まった(プレーオフの0.5枠が残っているけれど)。
 
 しかし、アジアの出場枠拡大の恩恵を受け、波乱も無く思ったよりあっさりと4強が決まってしまった事には少々拍子抜けの感も否めない。
 枠が与えられないために悔しい思いをし続けてきた日本が、やっとの思いでW杯の切符を手にしたのは1998年フランス大会。その時の予選でさえ、無条件通過にはリーグで1位に成らなければならないという厳しいものだった。それに比べ今大会は枠が増えた事により、4チーム中2位以内に入ればOKという実に恵まれたもので、組み合わせを見ても、力関係から言って、大きなミス・取りこぼしを2試合以上繰り返さない限り、上位2チームの通過は約束されていたようなものであった。ましてやアジアチャンピオンの日本にとってはそれほど高い山ではなかった筈である。

 つまり、今回の結果は枠の拡大と組み合わせのクジ運によるものであったかも知れないという事。このことは充分に認識しておかなければならないだろう。アジアでは実力を見せつけた日本。しかし、絶対的な強さを身につけた訳ではない。ましてや、世界にどれだけ通用するのかは計り知れない。

 現在の日本代表に、例えばイタリアと対戦して確実に得点できる力は備わっているだろうか?ブラジルやアルゼンチンの攻撃をはね返せるだけの組織力は有るだろうか?2002年はホームでなくてもあれだけの成績を残せただろうか?真の力を計ってみたい。今、この時期だから殊更思う。

 幸運にも、来週から始まるコンフェデ杯はある程度の実力を計れる絶好の機会。結果も求められるが、「通用する所」と「修正点」を見つける事の方が重要ではないだろうか。さらに、セリエAやプレミアなどのいわゆる「欧州組」の姿勢や言動を、実際に体感する事によって「国内組」がどこまで理解できるか。大変興味がある。

 W杯出場が決まった事により、この先一年で日本がどれだけレベルアップできるか。それを見届けられる幸福を今感じている。


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