初老の男によって銃のウデを仕込まれたことで、アリサはソロンの追
っ手と対等に戦えるようになった。第7話は前回からの続きで、追っ
手との1対1の銃撃戦で始まる。しかし、追っ手との戦いはここまで
で、この7話から9話は、新たに迷い込んだワールドでアリサが行く
先々で出会う人たちとの交流が描かれている。この展開は本作の重要
な要素のひとつである。
アリサは第7話と8話では大介という少年と、第9話では名前が明か
されない青年と出会うわけだが、この2人のゲストキャラクターには
共通の目的がある。それは親と再び会うことだ。大介は悪徳代議士に
捕らわれた父を救うため、穴を掘って代議士の別荘へ潜入した。一方、
青年は敵対するヤクザの組長を射殺したが、母に堂々と会うために警
察に自首をしようとする。アリサはこの2人を手助けするわけだが、
2人の姿に自分の境遇を重ね合わせたのはいうまでもない。
ソロンに追われるアリサの唯一の支えは、いつの日か自分のいたワー
ルドに戻り、(育ての)両親に再び会うことだ。一方、大介が危険を
冒してまで代議士の別荘に侵入しようとしたのは父を助けるため、青
年がアリサと同じように殺し屋に追われながらも(無意識ではあるが)
故郷に戻ったのは母親に再び会うためだ。だからこそ、アリサはほっ
とくことができなかったのだ。特に第9話では無視しようと思えば無
視できたが、あえて青年を助けたのは、何としてでも母親に会わせた
いと思ったことに、それが表れている。
そして、アリサが出会った大介少年と青年は対照的な結末を迎えた。
大介は父と再会できたが、青年は母と会うことはできずに、息を引き
取ってしまう。共通しているのは、それぞれの結末を見届けたアリサ
の孤独感を強くしたことだ。さまざまな人との出会いと別れを繰り返
しながら、パラレルワールドを彷徨うアリサの旅は続く‥‥。 |