第14話
海が呼んでいる！！

ベスターの執拗な追撃をようやく振り切ったアリサは、ある海岸にいた。
しゃがみこみ、さびしげな表情で海を眺めているアリサ。その脳裏には、
空手部のキャプテンや級友たちとで楽しんだ夏のキャンプの思い出がよぎ
っていた。自分のことを忘れないで欲しいと願うアリサの前に、ある男が
近づいていた。

「キャプテン！！」

思わず叫ぶアリサだったが、男はまったくの別人だった。男＝竜也とアリ
サは一言、二言話して別れた。しかし、哀しげな表情をするアリサが気に
なった竜也は、彼女をヨットに乗らないかと誘った。

竜也の誘いでヨットに乗ったアリサの気分は晴れていた。着けていってほ
しい場所があれば向かうと言う竜也に対し、アリサは彼が向かっている神
谷島へ同行することにする。アリサが独りぼっちだと知った竜也は、自分
も独りぼっちであることを明かすと共に、死んだ父の葬儀の後に起きた出
来事を思い出していた。

父が事故死したという知らせを受け帰郷する竜也だったが、葬儀の後、黒
い背広を着た男達に何処かヘ連れて行かれようとしていた。隙を見て、男
達を振り切った竜也は父の生前の言葉を守るため、ヨットに乗って海に逃
れた。竜也の父の遺言、それは自分にもしものことがあったら、神谷島に
向かい、母の墓を開けというものだった。

「父の死はは本当に事故だったのか‥‥」

そんな疑問を抱く竜也だったが、雨雲があたり一面をたちこめると、瞬く
間にスコールが襲ってきた。メインセールをリーフィングする竜也とそれ
を手伝うアリサだったが、激しい波が船体を打ちつけ、その反動でアリサ
は海に落ちてしまった。アリサを救うべく、命綱を持って海へ飛び込む竜
也。波にのまれて溺れているアリサに追いついた竜也は、彼女をつかまえ
ざせると、綱を辿ってヨットへと戻った。

・本話より、アリサの衣服が夏向きのものに一新する。また、回想シーンで
はあるが、水着姿も登場

・アリサは自分のことを「独りぼっち」と言ったが、両親との再会は諦めた
のだろうか。それとも、両親への想いを封印するために、自分にそう言い聞
かせたのだろうか