QUAD レストア方法
保護回路

保護回路は二種類あります。

一つは圧縮回路とも言うべきもので、信号電圧に応じてユニットへの入力を抑制するものです。 抑制といっても勿論ニリアに減衰させるものではなく、一定の電圧を超えたところから圧縮が始まり、次第に圧縮率が上がるようになっています。 ですので、悪く言いますと、直線性 = リニアリティを損なうものです。 この回路は、付いているモデルとないものがあり、正確ではありませんが、後期の63と初期のPRO-63には無いように思います。 この保護回路は写真のとおり、多くのダイオードで構成されています。


もう一種類は放電防止回路で、回路方式は二種類ありますが、いずれのモデルにも付いています。 QUADの説明によると、放電しそうになるとイオン(電磁波)が発生するので、その電磁波をアンテナで検知してユニットへの入力を遮断するか、あるいは小さくして音を歪ませ、ユーザーに気付かせる、というものです。 そして、ディレイ回路によって一定時間後に復帰させるというものです。

写真の中央を上下に貫通している白い線がアンテナです。 上は検出回路の基板に繋がっていますが、下はご覧のとおりケースですのでどこにも繋がっていません。 主に、左右に走る紅白の信号線から電磁波を検出しているようです。


これまでレストアを手掛けたうち数台でこの放電防止回路が故障しており、過敏に働いてしまっていました。 どちらのタイプにしても修理には非常に手間とコストがかかります。 保護回路は、車で言えばアンティロックブレーキシステムとかトラクションコントロールシステムのようなもので、通常の使用状況であれば無くても問題ないと言えます。 また、最近ではアンプの方に保護回路があるので、スピーカーの方には不要とも言えると思います。 普通のダイナミック型のスピーカーであっても過大入力には気を付けるべきですし、普通の音量でしたら保護回路は不要です。

そこで、将来の故障リスクを軽減するためもあり、また、信号系に余分な回路を入れたくないので、これらの保護回路を外す、という選択肢があります。 回路の外し方は、配線を切断する方法を採っていますので、必要であれば元に戻すことは容易です。

圧縮回路は気分が悪い ・ ・ ・  ということで、こちらだけ外すということでもいいですし、全て外すのもいいでしょう。 また、できる限りオリジナルを保ちたい、という方は全て残せばいいと思います。


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