思い付くまま・・・・・アナログディスク・プレーヤー

 昔は、ただレコードプレーヤーで済んだのですが、ディジタルが出てきたおかげで呼称が面倒になりましたね。

 CDでの再生を主流にしてしまったので、システムをすっきりさせるべく、ターンテーブル、アーム、カートリッジ、レコードなどを殆ど処分してしまいました。 残ったのは、最も音が良いと感じた上に希少でもある EMPIRE 990 というアームと、SONY 2500 というターンテーブルを組み合わせたプレーヤーのみ。
 
 最も安いターンテーブルが残ったのは、自作の磁気浮上式のボードを捨て難かったためです。  カートリッジで手元に残ったのは、色々と思い出があって手放せなかった FR1 MkU ただ一つ。 トランスは、FRTV をはじめ、三台とも何となく残りました。 

写真は、かなり昔に撮影したものですが、磁気浮上の様子がお判りいただけると思います。


アンプ類も整理してしまい、プリアンプ機能があるのは SONY TA-DA9000ES だけです。 トランスを使って普通に聴けるはず・・・と思ったのですが、フォノアンプのゲインが低く、全く使い物になりませんでした。 そんな訳で、カートリッジだけは、乾燥剤と脱酸素剤を入れた密閉容器に仕舞い、かなりの年月が過ぎてしまいました。

 2020年になり、ある方が「QUAD ESL-63 研究」という記事の載った Stereo Sound No.61 1982 Winter 号を下さいました。 この記事はQUAD 理解を深めるのに大いに役立つ興味深いものだったのですが、別の記事で、EMPIRE 598 New Troubador を見てしまいました。 このプレーヤーには、アームレストの形状は違いますが、アームは 990 が使われています。 これを見て、折角いいアームを持っているのだから、使ってあげないと可哀想だよな、と思ってしまったのです。

 トランスを買い足すのは無駄。 ヘッドアンプを買おうかと思いましたが、納得のいくものはそれなりに高価。 とりあえずレコードが聴ければいいや、と、ヘッドアンプを自作することにしました。 オペアンプは根拠なく好きではないので、まずは一石で組み、ゲインが足りなければ二段にすればいいや、という適当な考え。 電源は、ノイズ対策にもなり、楽に用意できる電池式にすることにしました。 通販で部品を調達したのですが、石が何と200円。 安くなったなーーと、よく見ると 10個で200円。 一個20円 ! ! とんでもない時代だと思うと同時に、時代に取り残されたような気分になりました。  最も高価だったのがケースでした。 コンデンサーと抵抗は、一応音によさそうなものを選択。 このヘッドアンプとアンプとを繋ぐ線は、何故かこだわって、BELDEN 88760 を採用しましたが、内部配線の線材には無頓着。 何ともチグハグ、かついい加減な造りです。 

 さて、ヘッドアンプは完成したものの、長年放置したターンテーブルが回りません。 サーヴォ機構だったらお手上げと思いつつ、色々とチェックするのも面倒なので、替えられる部品を交換してみたら復活。 アーム関係の接触不良などを心配しつつレコードをかけると・・・・何といい音です。 CDと比較すると、全体に骨太な音です。 FR1 MKU は高域の癖があまり好きではなかったのですが、気になりません。

 ここで一気にやる気になってしまいました。
 ヤフオクでターンテーブルを物色しました。 当然のことですが、上を見るとキリがありません。 音は兎も角、見た目の美しいターンテーブルを探しました。 レコードから離れていた人間としては、知らないメーカーが多いのに驚きました。 そうこうするうちに、PRO-JECT RPM-9 というのが、無垢のアクリルのターンテーブルが美しく、目に留まりました。 回転が変ということでジャンクで安く出ていました。 外付けのシンクロナスモーターですので、何とかなるだろうと思い落札。

 次はアーム。 昔使っていて気に入っていた FR-64s を勢いで落札。 再ポリッシュされていて程度はいいのですが、記憶している購入価格の三倍以上で驚きです。 カートリッジも昔のお気に入りの DL-303 DL-305 を落札。  ORTOFON は、現行モデルも含めて、じっくり勉強してからということに。 ヘッドシェルも適当に三個落札。

こんなことになるなら、処分するんじゃなかった、と後悔。

 ターンテーブルが来て、モーターをオーバーホルして、アームの内部配線を直すと問題は解消。 付属のアームは、好きではないスタティックバランスで、しかも、重くして良くするのではなく、軽くして良くするという思想のようなカーボン製。 動かしてみるとは軽々しくていささか頼りない感じ。 しかし、FR1 MKU を付けて聴いてみると、全く問題なし。 

 問題は、EMPIRE 990 と FR-64s をどうするか。 SONY 2500 と PRO-JECT の二台持ちをする気にはなれません。PRO-JECT のインテグレイテッド・アームを外すのも忍びない。 ということで出した結論が三本付け。 取り付ける板も、音のいいものを、と考えるとキリがないので、適当な棚板を購入。

 と、ここで暫時休憩、というか、レストアが忙しいのと、当初の勢いが落ちてきたのとで放置状態に。

 しばらくして、時間が作れたのとやる気が復活したので、まずは、板の加工です。 結構大変な作業と覚悟はしていたのですが、予想どおり。 アームを外してきちんと罫書くなり、角度を測るなりすればいいのですが、適当にやり、どうにかターンテーブルのパネル形状に近い形に裁断できました。 パネルのツラを合わせるため、追加するパネルは60mmほどかさ上げする必要があったので、建築用のアジャスタブルの束を四個、下に貼り付けました。 RPM-9 と 追加したパネルとは結合していないので、押せばずれてしまい、誠によろしくありませんが、触るのは私だけですので無視することに。 将来は、全てを磁気浮上に、と思うのですが、多分思うだけで実現しないでしょう。

 完成したプレーヤーです。写真は正面から撮ったもので、FR-64s がメインの位置です。

 RPM-9 付属のアームのヘッドシェルは外せません。 そして、EMPIRE 990 は、専用のプレートにカートリッジを取り付けて、外せないヘッドシェルの下から装填するタイプです。 つまり、三本のアームで、色々なカートリッジをとっかえひっかえして使うのは非常に面倒だ、ということです。 カートリッジ交換は FR-64s を中心にすればいいのですが、それほどの気にはならない、というのが今の予想です。
 RPM-9 にはFR1 MKU をつけっぱなし、EMPIRE には DL-303 を、FR-64s にはFR のシェルとDL-305を付けました。

奥に写っているのが電池ケースを乗せたヘッドアンプ。 その右に改造したFRTVが写っています。

 出来上がって暫く聴いてみたのですが、若い頃のような感激がないのが悲しいですね。 作っているときもそうです。 昔は、徹夜してでも一気にやったのですが、今は、すぐにやる気が失せてしまいます。
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