思い付くまま ・・・・・ 黒ユニット
63系に使われているユニットには、私の知る限り二種類のユニットがあります。

写真左が一般的な、というか、数の多い、クリーム ? 灰色 ? のものです。 そして右が私が勝手に「黒ユニット」と呼んでいるものです。 この黒ユニットは、63の初期のものに使用されていたようで、PRO-63 以降のものに使われているケースには遭っていません。

灰と黒との差ですが・・・・・まずは見た目から・・・
色は当然として、歴然と違うのが格子の数です。 灰は 20×4 で、黒は 33×6 です。
次に信号電極の表面仕上げです。 灰はプリント基板用の絶縁コーティング剤が塗布されていますが、黒は銅がむき出しです。
灰は信号線の配線時に線を埋め込むための溝がありますが黒には無いので、黒では、信号線は枠に沿ってクリップやテープで留めてあります。
信号を入力するためのラグの付け方も違っています。 灰では外側から付けていますが、黒では内側からです。


次に、外見からは判らない違いです。 両方とも中央三ヶ所がボルト・ナットで留めてありますが、黒では、前後のユニットの合わせ目にワッシャが入っています。 このワッシャは、ユニットの合わせ目の間隙を埋める、いわばスペーサーの役割をしています。 その理由は、金型の設計ミスで間隙ができてしまったためではないでしょうか。

黒ユニットは、灰に比べて剛性が高く、仕上がりの平面性も良く、灰より優れているのではないかと私は考えています。 それでは、何故この黒が灰に変更されたのかを推測してみます。
・ 枠に接着剤を塗る手間が大変だしコストもかかる。
・ 材料の樹脂の使用量が多くコストがかかる。
・ 信号線を配線するための溝が無く、線の処理に手間がかかる。
・ 配線用の溝を作るために金型を修正するには金型に出っ張りを付ける必要があり、コストがかかる。
・ いちいちワッシャを入れる手間がかかる。 これは金型を削ればいいので、修正は比較的容易。
などの理由が考えられますが、総合的に見て、オーバースペックと判断されたのかもしれません。 そして、コストとスペックの一種の「妥協策」として灰に変更されたのかもしれません。

更に、少し深読みしてみます。 ユニットの格子によって作られた四角の桝(筒? 箱?)には共振周波数があるはずです。そして、この桝は、指向性にも影響するはずです。 これらの要素が音響工学的に、灰の方が優れているので変更した ・・・・ というのは穿ち過ぎでしょうか。

以上、素人の根拠のない推測ですので、当然のことながら当否は判りません。 念のため、悪しからず。


スピーカーの外見ではどちらのものが使われているか判りませんので、現在では値段の差はないようです。 しかし、黒ユニットはレアだと思いますので、お持ちの方は大切になさってください。

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