思い付くまま・・・・・ひどい仕事
これはいけません。

先ずは写真をご覧ください。
この写真は、ユニットを二枚に離してフイルムの貼られた面を出し、フィルムを圧しながら写したものです。
指の周りにプツプツと、何か突起が見えます。 これは何でしょうか ?
このフイルムを剥がしてアップで写したのが下の写真です。
信号電極の裏からキノコのようなものが生えてフィルムの裏に繋がっていました。

これを見たとき、目が点になったというか、開いた口が塞がらなかったというか、兎に角びっくり仰天しました。

種明かしをしますと、これは、枠と電極の剥離を防ぐため、フィルムが貼られている状態のまま、枠と電極の間に補強のために接着剤を付けたことにより、その接着剤が流れてフィルムの内側にくっついてしまったものと想像されます。 想像と書きましたが、まずそれに間違いありません。 キノコの頭に付いている黒いものは、くっついてしまったフイルムです。 これでは、この部分のフイルムは信号どおりに動くことはできません。 この部分のフィルムは、キノコに囲まれたそれぞれの狭い面積が、あたかも個々の小さなスピーカーのように動作してしまう、と想像されます(最高に楽観的に考えた場合ですが・・・・)。

これが誰の仕事なのかは知りませんが、本当に酷い仕事です。 絶対にやってはいけない仕事です。
これがレストアを請ける業者の仕事だとしたら、絶対にこんな業者にレストアを頼んではいけません。
この個体はある方からレストアを依頼されたものですが、前回レストアから帰ってきて、わずか三か月で再びノイズが出たそうです。

枠と電極の剥離が起きていない場合、補強のために接着剤を追加し「裏打ち」をすることは否定しません。 ただし、それには次の二つの条件を満たす必要があると考えます。
まず、現在は剥離が起きていないとしても将来は必ず起きますから、剥離を防止するためにラグを増設すること。 次に、フィルムを剥がした状態で裏打ちし、接着剤がフィルム側にはみ出た部分があった場合はそれを完全に削り、平滑にしてからフィルムを貼ること、です。 更に言えば、使用する接着剤の種類にも留意すべきだと思います。 これは一概には言えませんが、オリジナルと同じようなゴム系のものは避けた方がいいと私は考えています。

レストアを依頼する場合は作業内容を十分確認し、保証内容も含めて納得の上で出してください。
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