思い付くまま・・・・・維持に金がかかる ?
静電型スピーカーは、すぐに壊れる、デリケート、修理が高額、などと言われ、購入に二の足を踏む方が多いようです。

それでは、まず、普通のコーン、ホーン、ドームのスピーカーについて考えてみましょう。
普通に使っている分には、恐らく、30ー50年経っても音は出ると思いますし、ヴォイスコイル部分が錆びてジャリジャリといったり、エッジが破れたりしない限り、普通は修理に出すことはあまりないでしょう。 しかし、エッジ、ダンパーは確実に経年劣化していますし、磁力も落ちています。 更に、ネットワークのコンデンサーも確実に経年変化を起こしています。 継続して使っていると、音の劣化に気付きにくいと思います。 どれだけの方が定期的にこれらのパーツを交換したり再着磁を行ったりしているでしょうか。 QUAD-63 と同価格帯のスピーカーでこれらのメインテナンスを定期的に行った場合、維持費はどれだけかかるでしょうか。 普通のスピーカーは、なまじ音が出てしまうがために維持費のことが考慮されていないだけのような気がします。

次に、静電型について考えてみます。
静電型は、ノイズが発生してしまうために、その時点で修理が必須となってしまいます。 しかし、それまでは、高圧回路とフィルム、あるいは導電剤の経年劣化で能率は落ちるものの、殆ど重量のないフィルムをクーロン力で駆動しているため、音の劣化は少ないと思います。

それでは、静電型がすぐに壊れる上に修理が高額と言われるのは何故なのでしょうか。 これは悪口ととられると残念ですが、これまでの経験を踏まえ、正直に書きます。
これらの評価は、主にQUADに対するもので、それが静電型全体の評価に繋がったものだと思います。 これば、QUADの市場占有率が高いので仕方ないことなのかもしれません。

レストアの項にも書きましたが、QUADのノイズの原因の殆どは枠と電極との剥離で、次に多いのが枠とフィルムとの剥離です。 何故剥離が起きるのかというと、接着剤が劣化するからです。 発売以来、50年以上、ゴム系のものが使用されています。 そして、どんな接着剤であろうと劣化するのは明白で、しかも剥離によるノイズ発生事例はいくらでもあるのに、剥離を防ぐ方策が、これまた50年以上とられていません。 あるスピーカー設計者の方に伺ったのですが、一般的なスピーカーを組み立てる際の接着剤にも、結構同じようなものが使用されるようです。 水道の蛇口のようなところから接着剤を出し、それを塗布しているようです。 確かに、エポキシ系のような二液混合型では使用時間に制限があるため、生産性・収益性が低下してしまいます。

更に、レストアを請ける側にも問題があるように感じます。 いい加減な作業では悪評に輪をかけてしまいます。 ネット上でもひどい話が見受けられます。 また、輸送事故を防ぎたいのでしょうが、法外な送料を要求するところもあるようです。 商売ですから利益を出すのはいいのですが、責任のある作業をして欲しいと思います。

代理店や修理業者を儲けさせるために、意識的に耐久性を落としているのではないかと思ってしまいます。こういうのを下衆の勘繰りと言うのですが・・・・・


台数が少ないためでしょうか。 STAXやMartin Loganの丈夫さを言われることはないようです。


閑話休題
要は、同じ質の音を継続させようとすると、普通のスピーカーでも静電型でも維持費はそれなりにかかる、ということを言いたいのです。
決してQUADの悪口を言う意図はありません。 QUADが素晴らしいスピーカーであることは自明です。
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