最近呑んだ吟醸酒について
   
      

 

2006年10−12月分                     

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  これからの話は消費者(飲み手)という立場で書いていきます。評論家や蔵元、酒屋の立場では見ていません。また、音楽とか味覚とかいう物は大変抽象的で表現が難しいのですが、平易に書きたいと思います。 よく、食べ物店の紹介記事で絶賛している物を食べると、首を傾げたくなる時が多々ありますし、テレビでリポーターが口に入れたとたん「うまい」と発言しているウソ等はここでは、しないように心がけています。
 

   ◆月に一度の例会とイレギラーで飲んだ吟醸酒について、ズバリ、どういう酒か皆様への判断基準を書きます。 
 A;味、B;香り、C;コストパフォーマンス、D;総合評価を、各5点評価(5;最上 4;良 3;まあまあ 2;まだまだ 1;評価外)で表します。 総合評価3−(マイナス)以下ではもう一度買うかと言えば、考えてしまうレベル。2ではタダで贈られても困ってしまうレベル。 
 私の独断と偏見なしで評価し、E;寸評も入れます。なお、会での評価も、判断基準の参考にしています。また、評価はこの日に飲んだ吟醸酒の味で、次回も酒の性格上、ロットや時間が変れば同じとは言切れませんが、傾向としては、間違ってはいないと思います。

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◇イイお酒を、イイ友と、イイ肴と、イイ会話で月1回楽しむ会です。◇

 


 2006年12月23日(土)

1.英君酒造(静岡県由比町)  純米新酒  「英君 槽口詰め手汲
原料米;−、 精米歩合;55%   【アルコール分】16〜17度  【日本酒度】+4.0  1.8L  \2,680 (税込)
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4
E寸評; 蔵元のご主人が手で詰めたという、手間の掛かった酒。
さらりとして、新酒の酸味が口中をころがります。料理に合わせる酒で、肴と酒のバランスで楽しむ酒です。燗をしましたが、大きな味の変化は見られません。

 

2.八百新酒造(山口県岩国市)  純米  「雁木  二十四」  無濾過生原酒 おりがらみ
原料米;山田錦、 精米歩合;60%   【アルコール分】17.3度  【日本酒度】+1 【酸度】2.0    1.8L  \2,780 (税込)
A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+

E寸評; 酒屋さん24名が力を合わせて造った感動のお酒!八百新酒造http://www.yaoshin.co.jp/
幸せのゆうちゃんブログ http://esakaya.blog44.fc2.com/blog-entry-11.html で、紹介。
甘く柔らかく優しく、二十四人衆に乾杯! 香りも十分立ち、旨味が熟成している。

 

3.竹鶴酒造(広島県竹原市)  純米  「小笹屋竹鶴」   無濾過生原酒17BY 
原料米;大和雄町、 精米歩合;60%   【アルコール分】18〜19度  【使用酵母】協会701号   1.8L  \3,150 (税込)
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4

E寸評;1年物。色濃く、味濃く芳醇。酸味濃く勢い強いが、味わいピークを迎えているので飲むなら今! 雄町の味わい少なく、エグ味が残る。

 

4.旭酒造(山口県岩国市)  純米吟醸  「獺祭 遠心分離50」  生 酒 おりがらみ
原料米;山田錦、 精米歩合;50%   【アルコール分】15〜16度  【日本酒度】+4 【酸度】1.5 1.8L  \3,150 (税込)
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5

E寸評;白濁したにごり酒。白濁したもろみ成分は口中でその違和感が全くない。旨味が酒の中にたっぷり溶け込み五味充分。

 

5.三和酒造(静岡県静岡市)  純米吟醸  「臥龍梅 袋吊り」   生原酒
原料米;備前雄町、 精米歩合;55%   【アルコール分】16〜17度  【日本酒度】+4 【酸度】1.5  1.8L  \3,360 (税込)
A;味4+、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+
E寸評;上品な香りの中に旨さが伝わってくる。味わい雄町の重厚さはないが、飲み応えのある爽やかさがある。

 

6.國香酒造(静岡県袋井市)  純米吟醸  「國香」  無濾過生原酒 斗瓶囲い
原料米;山田錦、 精米歩合;50%   【アルコール分】16〜17度  【日本酒度】+8 【酸度】1.3    1.8L  \4,500 (税込)
A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4+

E寸評;極わずか白濁した液体の中から、柔らかい香りとサラリとした味が伝わってくる。しかし、飲み手に感動が伝わらないのはどうしてでしょう。

 

 

酒販店側の品選び
 私の買い求める酒はインターネットの店や実在の店舗などですが、酒屋さんが自店に並べる日本酒に嗜好の偏りがあります。これは当たり前の事で、店主みずからのポリシーと味覚の好き嫌い、また蔵元さんとの付き合い方等々が影響していますが、今回は味だけについて考えてみます。
 大部分を流行の日本酒であったり、安ければいいと言うディスカウント店やビール、焼酎を中心に昔ながらの営業形態の店は除きますが、旨い酒を並べている店は全て同じかというと皆、品揃えが違っています。仕入れ担当者、言い換えれば主人の味覚が商品に反映されています。喧嘩早いやんちゃな酒が多かったり、別の店では重厚な味わいを求めていたり、研ぎ澄まされた味覚を追い求めていたり、店主の味覚傾向が見えてきます。
 どの酒屋さんでも地元の蔵元を大事にするのは当たり前ですが、今回の日本酒は6本とも同じ店で買い求めています。
 で、今回思うのですが、どの商品も品性豊で、ビロードのようにまたは、絹のような柔らかい肌触りがあります。女性への好みが、その男性ごとに違うように日本酒に対しても、知らず知らずのうちに現れるのでしょう。その好みが飲み手と店主と合致すれば、黙って何を買ってもハズレはしないでしょう。
 そこまでになるには、多くの月謝(遍歴)が必要なのは当たり前でしょうが、早くその店を見つけたいものです。アラブの国のように一人の女性(店)に縛られるのではなく複数の素敵な女性(店)と楽しくお付き合いが出来ればそんな素敵な事はないでしょう。

 


 2006年11月25日(土)

1.新澤醸造店(宮城県大崎市)  純米吟醸  「あたごのまつ」  本生・新酒
原料米;−、 精米歩合;55%   【アルコール分】16度  【日本酒度】+4.0  1.8L  \3,045 (税込)
A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+
E寸評; 食中酒として造られた薄濁り新酒。(蔵元のことば)
白濁したオリが星くずのように酒の中で舞っている。細かい泡が一瞬ス〜っと上がり、新酒との再会に期待が高まる。新酒独特の酸味は余り感じられず、味わい豊で芳醇な大人の新酒。

 

2.天界酒造(島根県安来市)  純米吟醸  「天界」  
原料米;五百万石、 精米歩合;50%   【アルコール分】15〜16度  【日本酒度】+2.0 【酸度】1.8  1.8L  \3,150 (税込)
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評; 1年物なのに清楚でさわやか。水のごとくスイスイと入る。酒ですから、後からキクのでご注意を!
 この蔵元さんは、これを最後に廃業する事になりました。感慨深い一杯です。

 

3.九重雑賀(和歌山県岩出市)  純米吟醸  「雑賀  雄町」    生詰
原料米;雄町、 精米歩合;麹米55%・掛米60%  【アルコール分】16〜17度   1.8L  \3,150 (税込)
A;味4+、B;香り5、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+
E寸評; 雑賀が初めて雄町で仕込みましたその一品。
味わい深く豊か、まろやかで飲み手を引きつける。

■気の付いた方が居られると思いますが、蔵元さんが引っ越ししました。今までの所が手狭になって、仕込水も最良な所に新工場を設置し法人となりました。日本酒業界が縮小する中、上質な売れる酒を造れば、ドンドン藏も大きくなるのでしょう。今後に期待を込めて 見守りたいと思います。日本酒業界も栄枯盛衰です。

 

4.下村酒造店(兵庫県姫路市)  純米吟醸  「奥播磨・霜月」  17BY
原料米;−、 精米歩合;55%   【アルコール分】17〜18度   1.8L  \3,310 (税込)
A;味5、B;香り4+、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評; 芳醇でやわらか、重くなく甘く安心して飲める。夏を越した疲れもなく、味わい深くなって色気も艶も加わって、イイ女になった。

 

5.豊盃醸造元(青森県弘前市)  純米大吟醸  「豊盃・大寒仕込み」   
原料米;−、 精米歩合;40%  【アルコール分】15〜16度  1.8L  \5,250 (税込)
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評; イイ女になって実家に挨拶に来た若妻のように、雑味はなく品性よく、芳醇な色気と旨さがある。

 

 


 2006年10月28日(土)

1.酒田酒藏(山形県酒田市)  純米吟醸  「上喜元 米ラベル」 
原料米;雄山錦、 精米歩合;55%   【アルコール分】16〜17度   1.8L  \2,600 (税込)
A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+
E寸評; まずラベルがイイ。雄山錦は雄町を親に持った、血統の良いサラブレットの名門酒米です。コクがあり、バランス良く、深みある酒質、さわやかで飲みやすい。

 

2.酒田酒藏(山形県酒田市)  大吟醸  「上喜元 玉苗」  吊り下げ
原料米;玉苗、 精米歩合;40%   【アルコール分】17〜18度   1.8L  \3,800 (税込)
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評; 幻の酒米として山形県の農業高校が育種した山田錦を父に持つ山形酒四号=玉苗(たまなえ)を使って醸造した酒。
 上記の米ラベルの姉さんになる酒で、なんて上質な姉さんなのでしょう。五味バランスし雑味が無く濃厚。山田錦が逃げて帰るぐらい上品な佳酒。

 

3.有光酒造所(高知県安芸市)  純米吟醸  「赤野 安芸虎」  ひやおろし
原料米;吟の夢、 精米歩合;50%   【アルコール分】15〜16度  【日本酒度】+3.0 【酸度】1.6  1.8L  \3,000 (税込)
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評;酸味が喉の奥を刺し、スルスルとは飲みにくい。コクは出て厚みを増して、飲み手を魅了するが、飲み疲れする。

 

4.雑賀豊太郎商店(和歌山県和歌山市)  大吟醸  「雑賀」  秋あがり 
原料米;−、 精米歩合;−%  【アルコール分】16〜17度  1.8L  \3,500 (税込)
A;味4+、B;香り5、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+
E寸評; ひやおろしと言えないくらいにまだ未熟な感じ、言い換えれば誕生した時の初々しさを持ち合わせている。五味が、まだまだ暴れてまとまりがない。来年まで待つと素敵な熟女に変身して登場するでしょう。在庫があればの話ですが、楽しみです。

 

5.豊盃醸造元(青森県弘前市)  純米吟醸  「豊盃」 生酒  
原料米;山田錦、 精米歩合;55%  【アルコール分】15〜16度   1.8L  会員差入れ
A;味5、B;香り5、C;コストパーホーマンス、D;総合評価5
E寸評;今年3月に飲んでいる豊盃を個人的に寝かせ、ひやおろしにしたもの。
夏を越して今になったのに同じ味わいを示している。大きく熟成もせずに生まれた時の品性と若さを保っている。化け物のような力強さと、繊細な味わいと、さわやかなクールミントの芳香を持った芳醇な吟醸酒です。
 今、蔵元在庫もなければ、流通在庫も無い貴重品。本格的に越夏すれば、これだけの味わいになる、上質ならば・・・の佳酒。

 

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