最近呑んだ吟醸酒について
   
      

 

2008年7−9月分                     

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  これからの話は消費者(飲み手)という立場で書いていきます。評論家や蔵元、酒屋の立場では見ていません。また、音楽とか味覚とかいう物は大変抽象的で表現が難しいのですが、平易に書きたいと思います。
 よく、食べ物店の紹介記事で絶賛している物を食べると、首を傾げたくなる時が多々ありますし、テレビでリポーターが口に入れたとたん「うまい」と発言しているウソ等はここでは、しないように心がけています。

 

   ◆月に一度の例会とイレギラーで飲んだ吟醸酒について、ズバリ、どういう酒か皆様への判断基準を書きます。 
 A;味、B;香り、C;コストパフォーマンス、D;総合評価を、各5点評価(5;最上 4;良 3;まあまあ 2;まだまだ 1;評価外)で表します。 総合評価3−(マイナス)以下ではもう一度買うかと言えば、考えてしまうレベル。2ではタダで贈られても困ってしまうレベル。 
 私の独断と偏見なしで評価し、E;寸評も入れます。なお、会での評価も、判断基準の参考にしています。また、評価はこの日に飲んだ吟醸酒の味で、次回も酒の性格上、ロットや時間が変れば同じとは言切れませんが、傾向としては、間違ってはいないと思います。

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◇イイお酒を、イイ友と、イイ肴と、イイ会話で月1回楽しむ会です。◇


2008年次回例会は 10月25日(土)です。


 2008年9月27日(土)

1.喜多酒造滋賀県東近江市)   特別純米  「喜楽長 ひやおろし」 
原料米;
山田錦、 精米歩合;60%   【アルコール分】 18〜19度  【日本酒度】+5.0 【酸度】1.8 【酵母】金沢酵母  1.8L  \2,415
A;味4、B;香り3、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評;渋みが口中をザワザワと押し寄せ、旨味を押しのけてしまう。五味バランスせず味わい淡い。

 

2.旭菊酒造福岡県久留米市)   特別純米  「綾花」 瓶囲い
原料米;
山田錦、 精米歩合;60%   【アルコール分】 15〜16度  【日本酒度】+4.0 【酸度】1.5 【酵母】AK1  1.8L  \2,678
A;味4、B;香り3、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評;雑味を含めて味濃いが、いま一歩盃が進まない。香り少なく重く旨味淡い。

 

3.山口酒造場(福岡県久留米市)   純米吟醸  「庭のうぐいす」 生原酒
原料米;
、 精米歩合;50%   【アルコール分】 16度    1.8L  \2,993
A;味4、B;香り3、C;コストパフォーマンス3、D;総合評価4
E寸評;香り飛んで帰ってこない。アルコール臭が立つように、五味バラバラ、味わい柔らかく淡い。

 

4.墨廼江酒造宮城県石巻市)   純米吟醸  「墨廼江 中垂れ」 瓶貯蔵
原料米;
山田錦/麹米・蔵の華/掛米、 精米歩合;50%   【アルコール分】 16〜17度  【酵母】宮城酵母  1.8L  \3,150
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評;旨味や吟醸香が口中でふくらむ。

 

5.大澤酒造長野県佐久市)   純米大吟醸  「勢起」 槽(ふね)しぼり
原料米;
山田錦、 精米歩合;45%   【アルコール分】 16〜17度  【日本酒度】+3 【酸度】1.5  1.8L  \3,780
A;味5、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4+
E寸評;吟醸香の後に馥郁とした味わいが楽しめる。旨さに力がないのは夏が越せなかったのか。

 

6.瀧自慢酒造三重県名張市)   純米大吟醸  「瀧自慢」 生原酒
原料米;
山田錦、 精米歩合;45%   【アルコール分】 16〜17度  【日本酒度】+3 【酸度】1.3  1.8L  \4,095
A;味5、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4+
E寸評;吟醸香が落ち着いて、旨味だけの酒になった。旨味十分な吟醸酒。

 


 2008年8月30日(土)

1.秋田木村酒造工場(秋田県湯沢市)   特別純米  「福小町号外編」 生原酒
原料米;
秋田酒こまち、 精米歩合;55%   【アルコール分】 17.9度  【日本酒度】+4.3 【酸度】1.5 【酵母】AK1  1.8L  \2,730
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評;香り豊か、味わい深く濃厚。しかし、重くはなく安心して飲みやすい。肴に合い量が進む佳酒。

 

2.八戸酒造(青森県八戸市)   純米吟醸  「陸奥八仙」 中汲み無濾過原酒
原料米;
華吹雪、 精米歩合;55%   【アルコール分】 17〜18度  【日本酒度】 ±0 【酸度】1.8  1.8L  \3,000
A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+
E寸評;
青味のある風がながれるような、さわやかな風味。深く豊かな味わいでありながら柔らかく飲みやすい。

 

3.今田酒造(東広島市安芸津町)   純米大吟醸  「富久長」 中汲み
原料米;
山田錦、 精米歩合;50%   【アルコール分】 15〜16度   1.8L  \3,465
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評;杜氏:今田美穂氏。ヌカ臭がする。言葉を変えれば今までの日本酒の味から脱皮出来ていない。
大吟醸の肩書きを付すにはバランス悪くいま一歩の精進を。

 

4.川村酒造店(岩手県花巻市)   純米吟醸  「酉与右衛門 びん囲い」 無濾過生原酒
原料米;
阿波山田錦、 精米歩合;50%   【アルコール分】 17〜18度  【日本酒度】+ 5 【酸度】1.7 【酵母】協会7号  1.8L  \3,995
A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4+
E寸評; 夏を越えたのに炭酸ガスが生きていて新酒の味わいがそのまま残っている。片口に移し炭酸が抜けるのを待ってお付き合い願うと、力強い味わいが顔を出してくる。

 

5.来福酒造(茨城県筑西市)   大吟醸  「来福 愛山」 斗瓶囲い生原酒
原料米;
兵庫県産愛山、 精米歩合;40%   【アルコール分】 17度  【日本酒度】+ 2 【酸度】1.5 【酵母】しゃくなげ花酵母  1.8L  \4,200
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評; 着飾った花魁のごとく煌びやかで、味香り派手やかで濃厚。味わいバランスして、甘みが心を和ませる。酒の神に感謝。

 

6.三浦酒造青森県弘前市)   純米大吟醸  「豊盃 大寒仕込」 
原料米;
山田錦、 精米歩合;40%   【アルコール分】 15〜16度    1.8L  \ 5,250
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評; まず酒の神に感謝乾杯。サラリと雑味無く品性良く、お付き合いが深くなる。旨い。上記の来福のいっぱい詰まった味わいと対局の味で、余分な味わいを削り取り控えめでありながら、全ての味が整って飲み手を誘惑する。
  

 

 


 2008年7月26日(土)

 

1.酒造長生社(長野県駒ヶ根市)   特別純米  「信濃鶴」 
原料米;
、 精米歩合;55%   【アルコール分】 15〜16度   1.8L  \2,250
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評; 地元向けに造っている小さな蔵元さんで、通常は本醸造ですがこれが1000円台でメチャ旨い。今回はわずかながら造られている特別純米。ハーブのようなキリリと引き締まった香りと味わいを引き出しています。旨味十分で言う事なし、コストパフォーマンスは最高。会で人気が集中し、完売した酒はこれだけ。

 


 
2.中島屋酒造場山口県周南市)  純米  「中島屋」  無濾過生原酒酒
原料米;麹・山田
/掛・日本晴、 精米歩合;60%   【アルコール分】17〜18度  【日本酒度】+1 【酸度】1.7   1.8L  \2,730
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評; 甘く柔らかく五味バランスし、雑味無く旨味十分。高価酒に肩を並べ、見劣りしない優秀酒。

 


 

3.相原酒造広島県呉市)  純米吟醸  「雨後の月」  
原料米;
山田錦、 精米歩合;麹・50%/掛55%   【アルコール分】16度  【日本酒度】+ 2 【酸度】1.5 【酵母】協会9号  1.8L  \2,995
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評; 協会9号の華やかな香り立ちと、柔らかい味わいが優しく迎えてくれる。おいおい、深入りしそうでその旨さが困る。

 


 

4.富士高砂酒造(静岡県富士宮市)  純米吟醸  「高砂 備前雄町」  生酒
原料米;
備前雄町、 精米歩合;50%   【アルコール分】16〜1 7度  【日本酒度】+6 【酸度】1.15 1.8L  \3,360
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評;旨味香り十分。清楚で控えめな若さを見せているが、熟女になったらビックリするほどのイイ女房になるだろう。他人には教えたくない雄町の銘酒。

 

 

5.鍋店千葉県成田市)  大吟醸  「不動」   吊し無濾過生原酒
原料米;
酒こまち、 精米歩合;40%   【アルコール分】17〜18度  【日本酒度】+1〜6 【酸度】1.2〜1.4 【酵母】協会1801号  1.8L  \3,900
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評; 「平成20年全国新酒鑑評会 金賞受賞酒」 。香り高く、切れよく五味バランスし奥行きある。標準的な受賞酒の味香りを持つ。鍋店(なべだな)でこれだけの酒が出来るようになったのかと思うと感無量で、鍋店さんの進歩に拍手。

 


 
6.佐久の花酒造長野県佐久市)  大吟醸  「佐久の花」   無濾過生原酒
原料米;
山田錦、 精米歩合;39%   【アルコール分】17〜18度    1.8L  \5,000
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価5
E寸評;佐久の花は香り高いので有名ですが、香りを押さえて味を全面に出す事に成功。やっと香水ブンブンの美女から脱却。味香りバランスした銘酒ですが、半値以下の仲間と同列なんて残念!ラベルは和紙ではなく、布にシルクスクリーンされた凝ったものです。

 

■今回は銘酒揃いでした。ラベルを見えないようにした、ブラインドテストなみの飲み方をすれば、どれもこれも五十歩百歩でした。高度なところで、その差を見いだすのが難しいくらい似通った味わいです。
 五味がバランスしている、雑味が無くさわやか、味に透明感があり米の旨味がにじみ出ている、香りは味をじゃましない奥ゆかしさと華やかさがある。そして飲み手に媚びず、品性が高く豊か。全てに秀逸な酒が並んだ事で、参加者の驚きと酒販店の酒選びのご苦労とレベルの高さに感謝。


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