最近呑んだ吟醸酒について |
2008年1−3月分
これからの話は消費者(飲み手)という立場で書いていきます。評論家や蔵元、酒屋の立場では見ていません。また、音楽とか味覚とかいう物は大変抽象的で表現が難しいのですが、平易に書きたいと思います。
よく、食べ物店の紹介記事で絶賛している物を食べると、首を傾げたくなる時が多々ありますし、テレビでリポーターが口に入れたとたん「うまい」と発言しているウソ等はここでは、しないように心がけています。
◆月に一度の例会とイレギラーで飲んだ吟醸酒について、ズバリ、どういう酒か皆様への判断基準を書きます。
A;味、B;香り、C;コストパフォーマンス、D;総合評価を、各5点評価(5;最上 4;良 3;まあまあ 2;まだまだ 1;評価外)で表します。 総合評価3−(マイナス)以下ではもう一度買うかと言えば、考えてしまうレベル。2ではタダで贈られても困ってしまうレベル。
私の独断と偏見なしで評価し、E;寸評も入れます。なお、会での評価も、判断基準の参考にしています。また、評価はこの日に飲んだ吟醸酒の味で、次回も酒の性格上、ロットや時間が変れば同じとは言切れませんが、傾向としては、間違ってはいないと思います。
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2008年次回例会は 4月26日(土)です。
2008年3月29日(土)
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1.三浦酒造(青森県弘前市) 純米吟醸 「豊盃米仕込」 生酒 原料米;豊盃米、 精米歩合;55% 【アルコール分】15〜16度 【日本酒度】+ 3 【酸度】2.6 1.8L \2,880 A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4 E寸評; 新酒の炭酸味が口中を刺し旨味が感じ取れない。カタクチに入れて炭酸を飛ばし、空気に触れる事で、甘く柔らかく、のびのびした娘さんになった。お付き合いするのが早すぎたようで、夏の頃になれば旨味も増すのでしょう。
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2.川村酒造(岩手県石鳥谷町) 直汲み純米 「酉与右衛門(よえもん)雄町70%」 無濾過生原酒 原料米;備前雄町、 精米歩合;70% 【アルコール分】17〜18度 【日本酒度】+5 【酸度】2.0 【酵母】協会7号 1.8L \2,990 A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4 E寸評; 70%の精米歩合だと、世間で出している一般酒と同じだが、これは全くの別物。70%でもこれだけの味が出るのかと思うと感嘆!新酒のため炭酸がきつく猪口の底に炭酸の泡が付きます。発砲ワインの如くさわやかに喉を抜けていく。後味よく清楚で、さらさらと口中を抜けていく。 |
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3.天法酒造(長野県千曲市) 純米吟醸 「天法 純米吟醸」 生無濾過 原料米;麹米 山田錦/掛米 美山錦、 精米歩合;麹米45% 掛米49% 【アルコール分】16〜17度 【日本酒度】+3 【酸度】1.6 【酵母】協会1401号 1.8L \3,150 A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4+ E寸評;これも新酒なのに、もう完熟の熟女。旨い。濃厚な優しさが口中で転がり、飲み干した後に満足感が伝わる。
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4.下村酒造店(兵庫県安富町) 純米吟醸 「奥播磨
芳醇超辛」
生原酒 原料米;麹米 兵庫産山田錦/掛米 兵庫産夢錦、 精米歩合;55% 【アルコール分】17〜18度 【日本酒度】+9.5 【酸度】1.7 1.8L \3,310 A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4 E寸評;新酒なのに新酒らしからぬ落ち着きと安心感がある。バランスした愛すべきおませな娘。
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5.八戸酒造(青森県八戸市) 純米大吟醸 「陸奥八仙 華想い」 無濾過生原酒 原料米;華想い、 精米歩合;50% 【アルコール分】17〜18度 【日本酒度】+−0 【酸度】1.8 【酵母】青森酵母ロ号 1.8L \3,465 A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5 E寸評;甘く柔らかく、安心していると懐に飛び込まれる。口当たり良く、香りも良く、気が付けば飲み過ぎる。旨い、うまいで飲み過ぎにご注意。
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6.新澤醸造店(宮城県大崎市) 純米大吟醸 「愛宕の松
ひより」 原料米;宮城県産ひより、 精米歩合;40% 【アルコール分】16〜17度 1.8L \5,250 A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5 E寸評; 吟醸酒とはかくありきという、大看板。品性良く味も香りもバランスし、山田錦が尻尾を巻いて逃げていく。もう一杯、もう一献、黙って呑むのみ。若き杜氏さんに感謝。
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2008年2月23日(土)
1.松井酒造店(栃木県塩谷町) 純米 「松の寿」 原料米;五百万石、 精米歩合;60% 【アルコール分】16.8度 【日本酒度】+4 【酸度】1.65 【酵母】MK−4 1.8L \2,240 A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4 E寸評;料理に合わせる手頃な新酒で、呑みやすくさわやかな純米酒です。 冬の寒い時はお燗に限ります。人肌にお燗をすると、個々の味がバランスを崩し、崩壊家庭の一歩手前。 |
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2.仙頭酒造場(高知県芸西村) 純米 「ぽっちり」 原料米;−、 精米歩合;60% 【アルコール分】15〜16度 1.8L \2,310 A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4 E寸評;”ぽっちり”より”ぽっちゃり”美人。愛想良く人の袖を引く。旨味多く呑みやすい。人肌にお燗をしました。燗酒の旨さ十分、心まで温まります。 |
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3.いそのさわ(福岡県うきは市) 吟醸 「駿 跳馬」 (
しゅん はねうま) 原料米;−、 精米歩合;55% 【アルコール分】15〜16度 1.8L \2,625 A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4 E寸評;旨味充分だが、渋味強く口中に残る。長所が多い美人なのに、この渋味一点で評価を下げた可哀相な酒。 |
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4.アリサワ(高知県香美市) 純米吟醸 「文佳人」
(ぶんかじん) 原料米;八反錦、 精米歩合;50% 【アルコール分】17〜18度 【日本酒度】+6 【酸度】1.5 1.8L \3,150 A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4 E寸評;軽快な酸味と濃厚な旨味がバランスして、旨さが口中で交錯する。 カタクチに入れて室温と空気に触れれば、味が上がるかと思ったが、化粧が取れて荒れた素肌が見えビックリ。 |
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5.澄川酒造場(山口県萩市) 純米吟醸 「東洋美人」 原料米;赤磐雄町、 精米歩合;50% 【アルコール分】15〜16度 1.8L \3,675 A;味5、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+ E寸評 ;雄町の濃厚な厚みと旨さが、誕生間もない液体の中でうごめいている。硬さが感じられるので、もう少し寝かせると深みが出てくるでしょう。カタクチに入れて呑むと線が細くなった。 |
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6.磯自慢酒造(静岡県焼津市) 大吟醸 「水響華」 (すいきょうか) 原料米;山田錦、 精米歩合;50% 【アルコール分】16〜17度 【日本酒度】+5〜7 【酸度】1.2 1.8L \5,408 A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5 E寸評;旨い! 酒の神と杜氏さんに感謝、乾杯。旨味バランスして、品性高く香り過不足無く、安心して呑める佳酒。他に何を言わんか。今この時幸せ一杯。 |
2008年1月26日(土)
1.渡會本店(山形県鶴岡市) 純米吟醸 「和田来」 (わたらい) 生原酒 原料米;美山錦、 精米歩合;55% 【アルコール分】16.8度 【日本酒度】+2 【酸度】1.5 1.8L \3,000 A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+ E寸評;新酒の炭酸味が口中でさわやかに転がり、清楚な味わいの中、サラリと喉元を抜ける。
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2.菱友醸造(長野県下諏訪町) 純米吟醸 「御湖鶴」
おりがらみ 原料米;山田錦、 精米歩合;55% 【アルコール分】16〜17度 1.8L \3,150 A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4+ E寸評; 白濁した中から甘く柔らかな味わいとオリの新酒風味があふれる。口中で炭酸味から、柔らかな米の味、吟醸味と七変化するがどれも面白い。片口に入れて落ち着かせると、別物になり、柔らかな味がゆったりと流れる。
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3.大澤酒造(長野県佐久市) 純米吟醸 「明鏡止水」 中汲み 原料米;麹米/山田錦・掛米/美山錦、 精米歩合;麹米/40%・掛米/50% 【アルコール分】16〜17度 【日本酒度】+4 【酸度】1.5 1.8L \3,150 A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+ E寸評; 旧友の君との再会で、思わずゴクリと飲み込んで味香り分からず。アトクチ、キワメテヨロシ。味も香りも媚びずに王道を行く、いつもながらの品性を感じさせる美酒。
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4.松井酒造店(栃木県塩屋町) 純米吟醸 「松の壽」 無濾過生原酒 原料米;五百万石、 精米歩合;50% 【アルコール分】16〜17度 【日本酒度】+3 【酸度】1.7 1.8L \3,150 A;味5、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+ E寸評;新酒のくせに濃厚な甘みと旨味が口中を喜ばせる。喉ごしも良く雑味がないスッピン美女。
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5.三宅彦右衛門酒造(福井県美浜町) 吟醸 「早瀬浦」 原料米;山田錦、 精米歩合;50% 【アルコール分】15〜16度 1.8L \3,570 A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+ E寸評;新酒独特の炭酸味が口中を刺激し、その嵐が静まったアトの柔らかく味わい深い素肌を楽しむ。
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■今回は新酒で揃えてみました。どれも当然、新酒独特の炭酸味が濃厚に感じられ、中には開栓すると炭酸が抜ける音がします。炭酸と素肌の味が渾然一体となって新酒の味わいを醸すのですが、ビールと同じで時間が経てば気が抜けてきて、素肌の善し悪しが見えてきます。ワインと同じようにヌーボー(新酒)としてこの時期飲むものと、熟成させて夏過ぎに飲む酒ではおのずと造りに違いがあるようです。
どの新酒達も今が一番と主張しています。第二弾、第三弾が楽しみになってきます。
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