川合研M1 伊戸川 暁
「電子文書の長期的保管のための基礎をつくる」という目的のため、
1月までに、文書モデル及び階層的アーキテクチャから成るモデル
(Pertistent On-line Text)を作り、提示した。
文書モデル: 全てのリソースを文書という単位で表し、
管理情報には元となる文書からリンクが張られる。
管理文書には仕様書・制御文書・認証文書を設ける。
特徴と利点:
- 或る文書に付随する情報を文書本体から独立した別文書とする
→あらゆるリソースが同一の方法で管理できるようになる
- リンクに種別が存在する
→管理情報の種別ごとに管理情報を置き換えることを容易にする
アーキテクチャ: システムの機能を5階層に分割し、階層間のinterfaceを定義。
階層化することのメリット:
- システムの構造を分かり易くする
- 要素技術の進歩に対応しやすくする
また、この階層的なアーキテクチャの実現可能性について考察。
現在、このモデルの見本となるべき実装を計画しているが、
今回は、実装のためにもう少し詰めるべき仕様の詳細や
実装のために行ったサーベイなどについて、
全然まとまりがないが、発表しようと思う。
POTには分散DBとしての側面もあるので、
文書の更新があった場合、
いかにして分散DBの整合性を保証するかという問題は無視できないが、
- 活性の低い文書を対象として想定しているので、即時性がさほど要求されない。
文書の更新が行われるのは、せいぜい数ヶ月〜数年に一度だろう。
- いずれにせよ、文書に行った操作について逐一時刻を明記する必要がある。
という対象の性質上、厳密に全ての写しを同じにするという方策は取らず、
「文書の写しごとに更新時刻を明示して、
必要ならば複数箇所に当たって最新の情報を入手してもらう」
という方式で充分と考える
2。
要求:
- 親文書を介さずに認証文書などが特定できなければならない
- 管理者や管理組織の変更によって名前が変わってはならない
方針:
- 現在制定が進められているURN[6]の記法に従う。
- 「作成時の組織名:下位組織名:……:文書単位名:文書名」みたいな感じにし、
作成時とは異なる組織が文書を引き継いでも、元の文書名を
そのまま使うようにする。
- 特殊目的で用いる文書については 独自のサブドメインを設ける。
例:
普通文書: urn:pot:jp:ac:u-tokyo:ktyy:firewall1999:………
制御文書: urn:pot:jp:ac:u-tokyo:ktyy:……
仕様書: urn:pot:format:org:w3c:html-4.0
認証文書: urn:pot:user:jp:ac:u-tokyo:ktyy:……
文書自体に署名などの認証情報を付与しないと、
認証層が破られると直ちに文書が無防備になってしまうので、
安全のためにも、文書及びファイルの適当な箇所に
署名を付することを検討しなければならない。
以下のことについては、POTシステムが勝手に手配してくれる訳ではないので、
管理者が責任を持って行わなければならない。
- 新しい媒体の供給
- 後継者の手配
- 管理計画の制定
- XML[5]
- SGMLを簡略化した構造化文書記述言語。
Plain textの形をしている、リンク機能が充実している
(リンク元/先の文書とは別にリンクを作ることもできる)、
自在にタグを定義できるなどの利点がある。
- DOM[4]
- XMLをobjectとして表現するための作法を定めたもの。
object言語からは独立している。
現在、様々なAPIがJava上で構築されているので、これを利用しない手はない。
Java2[1]
自体に備わっているもの:
- 直列化
- オブジェクトをファイルに保存したり読み出したりする機能
(JDK1.1より存在)。
- 暗号化・署名・認証
- Java2にて追加。
暗号に関しては、RSAのAPIが存在。
認証については、X.509[3]に関するAPIが加わった。
サードパーティーが開発したもの:
- XML Parser for Java[2]
- IBM基礎研究所開発。
その名の通りJavaによるXMLパーサ。まだちゃんといじっていないが。
- 1
-
: JDKTM 1.2 Beta4ドキュメント,
http://ai-www.aist-nara.ac.jp/doc/people/ryuuta-t/docs/jdk12-ja-doc/docs/ja/index.htmlなど.
- 2
-
: XML Parser for Java, http://www.alphaworks.ibm.com/formula/xml/.
- 3
-
: InformationTechnology - Open System Interconnection - The Directory:
Authentication Framework (1997).
ITU-T Recommendation X.509 (1997) | ISO/IEC 9594-8:1997.
- 4
-
Group, W. D. O. M. W.: Document Object Model (DOM), http://www.w3.org/DOM/
(1998).
- 5
-
Group, W. X. W.: Extensible Markup Language (XML), http://www.w3.org/XML/.
- 6
-
Moats, R.: URN Syntax (1997).
RFC2141.
- 7
-
Wool, A.: Quorum Systems in Replicated Databases: Science or Fiction?, IEEE Bulletin of the Technical Committee on Data Engineering, Vol. 22,
No. 4, pp. 3-11 (1998).
図:
POTアーキテクチャの層関係
|
- ...近況1
- KTYYゼミ発表資料
- ...
という方式で充分と考える2
- こういう方式をquorum方式[7]というらしい。
ITOGAWA Akira
1999年11月10日