超入門メカトロ講座
                             2006.SEP 溶接道場開講 


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溶接道場

 ここでは機械の修理方法を記述してはいません。
モーターと圧縮空気・シーケンサについて非常に簡単に説明しました。それぞれの項目で本が出版されています。興味を持たれた方は是非勉強されることを推奨します。
 ただし、この分野の本はえらい先生が執筆されているので理解するために勉強が必要かもしれません。
小生のお奨めは、それぞれのメーカーが開催している講座を受講されることです。無料で受講できるものから、費用のかかるものまでいろいろです。
 でもいくら本を読んでも頭が受け付けなかったものが、砂に水を注ぐがごとくに理解できるから不思議です。

 サーボモーター
 サーボとはギリシャ語のServus(奴隷)が語源です。つまり忠実に動くという意味から来ています。サーボモーターが普通の交流インダクションモーターと構造で大きく違うのは、回転軸の背中にエンコーダと呼ばれる回転軸の位置を認識する装置があることです。
 エンコーダーは金属製の円盤にスリットが規則正しく入れられています。軸の回転に同調して円盤が回転します。スリットの脇にセンサーを置いて、スリットの数を勘定します。これによってモーターの回転が現在何回転と何分の1なのか解かる訳です。もちろんモーター単体では無理な話ですから、モーターにはコントローラーと呼ばれる制御装置が必ずつきます。
 実際にはコントローラからの指令でモーターが回転するわけですが、コントローラからの指示とモーターが実際回転した実績を照合してずれを補正します。その補正の方法で@オープンループAセミクローズドループBクローズドループに分けられます。
 オープンループは全くモーターからのフィードバックは無く、コントローラからの指令でモーターが回転するだけです。クローズドループはコントローラの指令に対してモーターの回転が遅ければコントローラーはモーターに供給する電流を増加させたり、目的の位置に到達するまで電流を供給し続けたりします。
 サーボモーターはインダクションモーターが一定速度で回転し続ける事を目的に使用されるのに対して、決められた回転速度と回転数(つまり何回転と何度回転して止まるという位置を示す)をモーターに守らせる必要がある場合に使用されます。サーボモーターでは、回転数の変化に対応するために回転子がインダクションモーターに比べて細長く作られています。これにより急激な回転モーメントの変化に追従できるようになっています。

 ステッピングモーター
 位置と速度を制御できるモーターという点ではサーボモーターと同じです。でもステッピングモーターにはエンコーダーはありません。モーターの回転子とその外側のコイルに特徴があります。
 回転子は平ギアを長くしたような形状(山と谷が連続する)です。外側にあるコイルの鉄芯の回転子側が回転子の平ギアにかみ合うような形状になっています。ただギアのピッチ(山と谷の間隔)がわずかに長くなっています。(角度でいうと0.72度ほど)さらにコイルがA.B.C.D.E相と5つに分かれています。回転子のギアの山がA相とぴったり合った後に、B相のコイルに電流を流します。回転子のギアの山がB相とぴったり合ったら、次にC相に電流を流します。このようにA→B→C→D→E→A・・・とすることで回転子が回転するモーターをステッピングモーターと呼びます。A.B.C.D.Eと5相のコイルで回転子を誘導しているので、この場合5相ステッピングモーターといいます。
 コントローラーからの指令で回転速度と位置を制御します。指令はパルス波形の電流です。パルスの周波数が高くなると回転数は高くなります。パルスの数が位置を制御するわけです。何パルス動いたら止まるといった具合です。

 インダクションモーター(交流誘導モーター)
 交流には単相と3相があります。単相ではモーターの回転方向が定まらないため、ふつうコンデンサを入れて相を早めた電流をつくりモーターを回します。3相ではそれぞれの相が120度ずつずれているので、これで回転子を誘導します。


 ですから西日本と東日本では回転数が変わります。交流の周波数を変えると回転数が変わるわけです。これを利用したものがインバータです。(写真上)30Hz〜120Hz程度まで可変することでモーターの回転数を変えています。ただ注意しなければならないのは、周波数が低いと電流が増大するためモーターを焼く原因になってしまいます。反対に高いと電流値が小さくなるためにトルクが不足します。

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圧縮空気のはなし
 工場で物を動かす為にはモーターを使ったり、圧縮空気や油圧を使います。それぞれ一長一短があります。ここでは圧縮空気を使う場合の注意について説明をします。
 圧縮空気はコンプレッサで作ります。
 

 写真左側はレシプロコンプレッサといい、モーターの回転でピストンを上下運動させて空気を圧縮します。写真右側はスクリューコンプレッサといい、モーターで向かい合わせの羽を回転させて空気を圧縮します。どちらも潤滑に油を使っています。
 空気を圧縮すると温度が上昇します。つまり空気の中に水分を多く含むことが出来るわけです。しかしながらこの温度上昇した空気をそのまま使える機械ばかりではありません。温度上昇した圧縮空気をそのまま使えるのは削岩機くらいでしょうか。実際には配管の中を流れていくあいだにある程度冷やされるのでそのまま使っているわけです。けれど配管中で冷却されると空気に混ざって水が出てきます。この水にコンプレッサの潤滑に使われた油も混ざります。さらに配管中の錆なども混入します。これらを総称して「ドレン」といいます。
 このドレンが色々な災いの原因を作ります。圧縮空気(工場ではエアーと呼ぶことが多い)は電磁弁で流れを止められたり、流れる流路を変更されたりします。電磁弁はその名のとおり電気の力で弁を開閉しています。その電気の部品に水が流れ込んだらどうなりますか。ショート(短絡)したり動きが正確でなくなります。ですからコンプレッサから出るエアーはドレンを含まない、さらに出来るだけ温度の低いことが求められます。
 
電気式ドライヤーと機械式ドライヤー
 ではどうやってドレンを取り除くのでしょう。その装置を「エアードライヤー」といいます。
 電気式ドライヤーは電気の力で冷凍機をまわします。冷凍機で圧縮された空気を冷却します、そうすれば空気に含まれた水分は結露して水となります。この水を取り除いてしまえば問題解決です。ドレンを分離する装置を「ドレントラップ」といいます。
 機械式ドライヤーは小さな穴から圧縮空気を出した時に瞬間的に圧力が下がるのを利用してドレンを分離します。気圧が下がる時に温度も下がります。もうひとつ、機械式ドライヤーの中に吸着式というのもあります。これは圧縮空気が樹脂繊維の中を通過する間に水の粒が生長するのを利用しています。機械式の欠点は一度に大量の圧縮空気を使う場合圧力損失が出てしまうことです。また吸着式は定期的に樹脂繊維(フィルター)交換しなければ性能を維持できません。
 電気式は能力以上のエアーの流量があった時には温度が充分下がりません。つまりドレンがきちんと取り除けない事態になります。機械式のように圧力が下がって機械のスピードが落ちるということはありません。

3点セット


 上の写真が3点セットと呼ばれているものです。左がエアーの入口、右が出口です。左からエアーフィルタ・エアーレギュレータ・ルプリケータ(オイラー)です。
 これは何をするものかといえば、装置の入口に取りつけ、装置に入るエアーのドレンを取り除き(エアーフィルタ)、さらに出口側のエアー圧力を一定に保ち(エアーレギュレータ),機械の電磁弁やエアシリンダーの駆動部分に油を供給(ルプリケータ)するための装置です。
 エアーフィルタは使用しているうちにドレンで黄色に汚れてきます。フィルターの表面に色むらが出来ているようならフィルターエレメントのみ交換します。
 レギュレータは2次側(出口側)のエアー圧力を設定します。1次側(入口側)のエアー圧力に変動があっても、2次側は常に設定圧力です。但し1次側圧力>2次側圧力が前提です。
 ルプリケータには粘度の低いタービン油をUPレベルまで入れます。エアーの流量に対しての吐出量はルプリケ−タの上部に設定つまみがあるのでそれで調整します。だいたい普通に稼動している機械なら1月でルプリケータの油を使いきるように設定します。
 最近、無給油式のエアーシリンダなどが売り出されています。これは加工の精度と組み立ての際に塗付される油がその仕様になっているというものです。ですから給油をしなくても十分その性能を発揮してくれます。でも無給油式だから給油をしてはいけないのかというとそうではありません。無給油式でも給油はOKです。ただ一度給油をしたら、定期的に給油をきらさないようにしなければいけません。
 まとめるとエアーはドレンをきちんと取り除き、作動部分に油分を供給しておく管理を忘れないこtにつきます。

 スピードコントロール
 圧縮空気で機械の動きのスピードを変えることを考えてみます。
 圧縮比は高いほど大きなエネルギーを有します。エアーシリンダーを動かす時でも3kg/cm*2のエアーより6kg/cm*2のエアーのほうがエアシリンダーは早く動きます。またエアシリンダのボア(径)は同じストローク(行程長)なら小さい方が早く動きます。ただ、問題は6kg/cm*2のエアーをコンプレッサで持続的に供給するのは当然3kg/cm*2よりも負担です。ボアが小さいと重量の大きなものは移動させることができません。
 機械(装置)は大抵5〜7kg/cm*2のエアーでストレスなく動作するように設計されています。ですからスピードが要求されるところは負荷に対応できるボアのなかで小さいものを選択されているでしょう。逆にスピードは要求されないが、負荷が大きいところはボアの大きな物が取り付けられていると考えてください。但し、コストとの兼ね合いからむやみに大きなボアのシリンダが取りつけられることはまずありません。
 ところがボアの選択肢はそれほどありません。ではバランスよく動かすためにはどのようにエアーを供給すればいいのでしょうか。それにはスピードコントローラーを使います。一般的には排気スピードを調節します。エアーシリンダーでロッドを押し出す動きをさせる時、ロッド側から出て行くエアーのスピードを変化させます。ロッドを引っ込める時はその反対側から出ていくエアーのスピードを変化させます。これをメーターアウトといいます。それに対して入るエアーの量で調整する方法をメーターインといいます。
 一般的にはメーターアウトが使われます。

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機械の制御
 小学生の頃学校の遠足で近くの工場を見学した経験は誰しもあるものだと思います。大抵が製菓工場であることが多く、帰りにお土産にとチョコレートやクッキーをいただいて帰った記憶はありませんか。
 小生はあのベルトコンベアの上を整然と流れる製品を見て感動しました。しかし経験を積んでくると、一見複雑に見える工場の機械の動きも良く観察していると単純な動きの組み合わせであることが解ります。
 例えば、6個のキャラメルを箱に詰める工程で考えましょう。ベルトコンベアの上を1個ずつキャラメルが流れています。その横にキャラメルを数えているセンサがあります。センサはキャラメルに反応しているわけです。もっと正確にいうと、センサはキャラメルによって光を遮られることでキャラメルを数えています。センサからの信号をカウンタという装置で設定数まで数えます。3個数えたら横に1個分ずらし、さらに3個数えます。3*2で6個になったら箱にシリンダで押し込みます。横に移動させる仕事はエアーシリンダで出来ますね。エアーシリンダが動いている間はベルトコンベアは停止します。ベルトコンベアの停止はエアーシリンダの押し棒(ロッドという)の位置から判断します。エアーシリンダのロッドの一部に磁石をつけておき、磁石に吸い付けられる材質を使ったスイッチ(リードスイッチ)でベルトコンベアをON/OFFするのです。
 
 シーケンサ
 先ほどのキャラメルに限らず、機械(装置)の動きをつかさどっている心臓の働きはシーケンサ(PLC)が果たしています。


 写真は左から電源部、CPU、INPUTユニット、OUTPUTユニットです。この4個のユニットが1枚のベース板に乗っています。この4点のかたまりをシーケンサといいます。またINPUTユニットとOUTPUTユニットを総称してI/O(アイオー)といいます。
 先ほどのセンサからの信号はINPUTユニットに入り、エアシリンダやコンベアの動きはOUTPUTユニットから出ます。
 CPUユニットは機種によって違いはありますが、数十個から数百個のリレー・タイマー・カウンターを内臓していて、これらをプログラムで組み合わせることで一見複雑にみえる動きを実現しています。シーケンサの内部電流は数mAから多くても十数mAです。ですからこれで直接コンベアのモーターの運転/停止はできません。

リレーとマグネットコンタクタ
 ではシーケンサからの小さな電流でどうやって機械を動作させるのかというと、リレー(継電器)やマグネットコンタクタ(電磁接触機・MC)を使うのです。


 写真左はリレーです。一度に2つから4つの接点を開閉できます。写真右はマグネットコンタクタです。リレーより大きな電流を入切出来ます。MCは大抵交流の回路に使われます。上側がR・S・T(入力)で下側がU・V・W(出力)です。横には補助接点と呼ばれるものがついており、MCの働きを表示するのに使っています。MCの右側は接点の下にサーマルリレー(THR)を接続しています。これで設定以上に電流が流れた場合に自動的に回路を遮断してMCに接続されているモーターなどを保護します。
 リレーもMCも接点の開閉に電磁石を使っています。先ほどのシーケンサからの出力信号で電磁石のコイルをON/OFFします。もうひとつ、リレーには半導体(トランジスタ)を使ったものもあります。対比させる意味から、前者を有接点リレー、後者を無接点リレーといいます。無接点リレーは一般的にSSR(Solid Steatite Relay)と呼ばれます。
 シーケンサの中にもリレーは使われていますが、こちらのリレーは一回り以上も大きな電流を開閉できます。使用上の注意は、有接点リレーは機械式なため接点が焼けて来て、電流がうまく流れなくなる欠点があり、SSRは半導体であるがゆえに漏れ電流があるということです。
 電磁クラッチなどの動作は有接点リレーでないとクラッチが切れないことがあります。ヒーターのON/OFFはSSRの方が長寿命です。

制御の基本
 シーケンサにはリレーやタイマーを組み合わせて制御回路のプログラムを入れて初めてその働きをします。中身がなければただの箱という意味ではパソコンと同じです。
 制御回路のプログラムの基本は“FAIL SAFE”です。機械に異常が生じても安全に止まらなければなりません。どういう事かといえば、停電があった場合を考えてください。家庭であれば、TVや蛍光灯が消えますね。工場でも同じです。でも停電が復旧したらどうなりますか。家庭ならTVが写り、蛍光灯は点灯します。突然であっても誰も怪我をすることはないでしょう。ところが工場ではどうでしょう。電気が来たからと突然コンプレッサが運転を開始し、エアーシリンダが動いたら危険です。コンベアが動き出しても怪我をしてしまいます。
 工場の機械の場合停電という異常が生じた場合は機械は停止します。電気が来ても勝手には動きません。改めてスイッチを入れない限り動かないように設計されているのです。

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溶接道場 
  金属の溶接にはアーク溶接がよく知られています。私の勤務先の食品工場では水を多く使う関係で金属はステンレスがほとんどです。ステンレスの溶接にはアルゴンガスを使った「アルゴン溶接」が一般的です。
 ここではアーク溶接は他の解説に譲り、アルゴン溶接に的を絞って解説します。

アルゴン溶接
 アルゴン溶接には「アルゴン溶接機」「こて(トーチ)」「アルゴンガス」とAC電源が必要です。実際に溶接する場合に直接溶接のトーチを肉眼で見ることはできませんから溶接用の面を着用します。

溶接用面
 下の写真は溶接の際に着用する保護面です。レインボーマスクという商品名で市販されています。溶接のトーチを見ないときは、ちょっと濃い目のサングラス程度の遮光性能です。溶接のトーチの明るさでガラスの遮光度合いが大きくなります。ですから溶接する前でも溶接対象物を見ることができます。溶接開始と同時に遮光されて面を通しては溶接のトーチしか見えません。目を保護する目的と顔の日焼けを防止します。
 サングラスの溶接面がありますが、これは目を保護するだけで顔の日焼け(溶接焼けといいます)は防いでくれません。遮光度合いの変化しない普通の溶接面もあります。こちらは非常に安価です。使い慣れれば十分ですが、両手がふさがってしまうような場合はレインボーマスクが便利でしょう。
 写真のレインボーマスクは表に太陽電池がついており、溶接の光で充電します。面の裏側には遮光の度合いを調節するツマミと光を感じてから遮光するまでの時間を調節するツマミがあります。

ガスレギュレータ
 アルゴンガスボンベは新しいときは15kg/cm2程度の圧力があります。そのままでは高すぎるので、レギュレータで減圧します。写真の丸いメーターはボンベの1次圧力を表しています。当然使用するに合わせて下がってきます。左の円筒は流量計です。通常4〜5L/min程度で使用していて問題はないと考えます。(あまり多く出すとガスがすぐになくなってしまうので多く出して使用した経験はありません)

レインボーマスク(表) ガスレギュレータ
レインボーマスク(裏) 溶接機操作パネル

溶接機
 右下の写真は操作パネルです。

溶接機の操作パネル
のツマミについて説明します。

@    溶接電流
 電流のつまみで設定した溶接電流設定値を表示するデジタル表示器です。溶接中は溶接電流値を表示しています。

A    電流/パルス電流(A
 溶接するステンレスの厚さ(大きさ)によって最適な電流値を設定します。一般的に薄い材料では小さい電流値、肉厚になるに従って大きな電流値を選択します。私の経験では3mm程度の材料なら3〜40Aを目安にすればいいかと考えます。この電流値から始めてトーチが弱いと感じたら徐々に大きくすればいいでしょう。なぜかというと、いきなり大きな電流値で始めると材料に穴をあけてしまう危険があるからです。5mmの肉厚なら150Aでも大丈夫なようです。あくまでもこれは経験値ですので参考程度に留めてください。 

B    パルス周波数 
 パルススイッチを「高」または「低」にした際の周波数です。パルスは溶接の際の「タレ」を防止するのに有効です。ただしパルスなしで溶接する場合に比べて同じ厚さの材料なら電流値を大きく設定しないとうまく溶けてくれません。

C    溶接法
  通常は「タッチ」もしくは「高周波」を選択してください。「タッチ」というのは電極棒を溶接材料にあてた状態で溶接を始める方法です。トーチスイッチを押した状態で電極棒を材料から放すとトーチが出て溶接が始まります。
 それ以外の電極棒を放した状態でトーチを飛ばす場合は「高周波」を選択します。「手溶接」というのはアーク溶接のようにガスを使用しないで溶接する場合です。

D    パルス
 電極棒から出るアークの強さに変化をつけるか、つけないか。つける場合はその周波数を「高め」にするのか「低め」にするのかという選択です。Aの電流値との兼ね合いで設定してください。「無」を選択した場合はトーチの強さは一定です。

Eアフタフロー
 トーチスイッチを離した後、どの程度アルゴンガスがこての先から出続けるかを設定します。「ガスチェック」にするとトーチスイッチを押さなくてもガスが出ます。「3秒」というのはトーチスイッチを離した後3秒間アルゴンガスが出るということです。電極をアルゴンガスで冷却して電極棒が磨耗するのを防止する目的です。

F初期/クレータ電流(mA) Gアップ/ダウンスロープ(秒) Hクレータ
 溶接を終える際に溶接面にクレータと呼ばれるくぼみができます。それを軽減するための設定つまみです。FGHは私はまだ使用した経験がありません。そのためここでの解説は割愛します。                           

@標準的なこて A後方に障害物があるときに重宝 B溶接面が深い時に重宝

 こて
 写真@は標準的なこてです。握りの背中のレバーを押している間だけトーチが出ます。電流値を上げれば多少溶接物から離れていてもトーチは届きます。Aは溶接対象物の背後に物があるような場合に使用します。Bは溶接対象物まで距離があってこての先が届かないような狭所の溶接に向いています。 
 こての先端の尖った棒がタングステン電極棒です。電極棒にはトリウム入りタングステン電極棒を推奨します。片側に赤色の塗装が施してあります。電極の消耗が少なく作業性がいいです。他にセリウム入りタングステン電極棒もあります。

 溶接棒
 太さで分類されています。通常1.6mm程度と2.4mm程度の太さの物を準備して置けば事足りると思います。長さは1mで5kg単位で販売されています。

 溶接手順
 まず、一番大切なのが溶接面のすり合わせです。きちんと整合していれば、きれいに仕上がります。しかし少しでも隙間があれば、トーチの火で溶けて穴が開いてしまいます。
 母材ケーブルを溶接材料にくわえさせ、アルゴンガスホースを溶接機に接続します。溶接機の電源を入れて、材料に合った溶接電流にツマミを回して調節します。アルゴンガスの流量はアフターフロースイッチを「ガスチェック」にするかこてのレバーを押してガスを流して調節します。
 溶接法のスナップスイッチを「タッチ」または「高周波」の位置にします。パルススイッチは用途に合わせて使い分けてください。
 こてを材料に近づけて、(タッチスタートなら材料にあてる)背中のレバーを押します。タッチスタートはレバーを押したらこてを材料から離します。
 レインボーマスクを通して材料が溶けていくのが解ればしめたものです。

 ワンポイント
 金属は溶けて固まると縮みます。この力は相当なものです。ですから端から溶接していくような場合は、点付けといって間隔を置いて数箇所溶接してから、全体を溶接します。そうすることで力が相殺され歪が小さくて済みます。
 また厚さの異なる材料を溶接する場合は、肉厚の材料のステンレスを溶かして、肉の薄い材料に流し込むようにこてを動かせると、材料に穴が開きません。

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