16-1.「エコ電線」は環境によいか・・・ご意見編 2002.6.25〜
 
16.「エコ電線」は環境によいか・・・ 2002.6.19に対するご意見を掲載します。
目次
本文「エコ電線」は環境によいか・・・
    0-1.追加 6/18TM氏(塩ビ擁護派):エコちゃんとトーク掲載の件(追伸
    0-2.追加 6/18M氏(同擁護派):塩ビの特徴と魅力(抜粋)
  1.反論 6/26A氏(同反対派):非塩ビ電線採用の理由(仮題)
    1-1.追加 7/2A氏(同反対派):伊藤コメントの修正(仮題)
    1-2.再反論 6/29TM氏(同擁護派):(エコ電線)A氏への反論(抜粋)
  2.反論 7/3B氏(同反対派):塩ビフリー電線を導入する理由(仮題)
    2-1.再反論 7/5TM氏(同擁護派):B氏の意見への反論
  3.反論 7/15C電線メーカ(同反対派):TM氏の意見に対して(伊藤代筆)
    3-1.再反論 7/16某大学研究者(同中立):Mg(OH)2が反応することについて(伊藤代筆)
    3-2.再反論 7/17TM氏(同擁護派):C電線メーカーへの反論
  4.反論 7/18電線のリサイクルに関する報道記事
  5.まとめ 12/27まとめにかえて(報道記事紹介)

0-1.TM氏(擁護派):エコちゃんとトーク掲載の件(追伸)
  16.「エコ電線」は環境によいか・・・に対して)アンダーラインの部分に対して反論があると嬉しいです。それが、私自身にとって納得できるものであれば、なお有難いです。

私はエコ電線について書きました。非塩ビの電線被服材を考えるのでしたら、私は、ナイロンかウレタンを使うべきと考えます。これらの材料は高価ですが、PEよりは難燃性があります。クリープ変形の問題は架橋すれば回避できます。この様に、材料物性論的に納得できる解決であって欲しいですね。
エコ電線(=PEを難燃化したもの)は、書き忘れましたが、耐候性が悪いのです。だから、現状では、屋根裏の屋内配線の様に、直接、日光や風雨に曝されない所にしか使っていません。一部の通信ケーブルにも使われていますが、これも丈夫な保護管に包まれています。この保護管が、金属もありますが、塩ビもあります。光ファイバーケーブル(高速通信ハイウェイ)の保護管は、多くは塩ビ製です。何のために被服材をPEに変えるのでしょうかね。
塩ビは自然環境下では、最も劣化しにくい材料の一つです。ですから、外側に使われるのです。自動車の外装で、外から見て、黒いゴムの様に見える部品、ガラスの窓周り、ドアを開けた時に見える縁取り、ヘッドレストやアームレスト、シフトレバーのグリップ、皆、塩ビです。耐候性、耐磨耗性、耐手脂性が良いからです。新幹線の床、壁、天井も、電車やバスの床やドアの戸当り(ドアとドアが当たるところのゴム)も塩ビです。耐候性、耐磨耗性、防汚染性、意匠性が良いからです。電気製品のハウジングで、鉄板を使っている物、その鉄板の防食兼装飾の皮膜(塗装ではありません)は塩ビフィルムです。耐候性、防食性、意匠性、加工性が良いから使われるのです。
(中略)
IC工場にも塩ビが使われています。超純水のパイプラインは塩ビです。チップを作る自動装置全体を収納する入れ物、プラスチック製のはずですが塩ビです。耐薬品性で最も揮発性ガスが少ない素材だからです。シリコンウエハーをICチップに裁断加工して行く工程で粘着性フィルムの上に載せているはずです。それも塩ビフィルムです。完成したICチップを電子回路基盤に装着する工程で、ICチップは透明なプラスチックケースに収納して自動装置にセットしてあるはずです。その透明プラスチックケースも塩ビです。クリーンルームの床は塩ビ以外ありえませんね。帯電防止性、防塵性を付与し易いからです。病院の手術室の床も、衛生性と無菌を確保し易いため塩ビです。ついでに、重症患者が入る抗菌性クリーンテントは、他あろうことか、フタル酸エステルを可塑剤に使った軟質塩ビフィルムです。何でこんな材料がシックハウスの原因だと騒がれなきゃならないのですかね。
塩ビは、私たちの身の回りでなくてはならない物として役に立っているのです。塩ビの恩恵に浴しながら、塩ビを使わない製品を作ったから環境に配慮した商品だ、などと言うのは止めてもらいたい。
(後略)
(伊藤コメント)本文の下線部に耐候性を追加します。
0-2.TM氏(擁護派):塩ビの特徴と魅力(抜粋)
汎用プラスチックには、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンと塩ビの4種類あります。いずれも、日本では年間百万トン以上生産しています。汎用プラスチックについて、各々の主な用途を挙げると、ポリエチレンはフィルム、包装材、ポリプロピレンは自動車部品や雑貨、容器類、ポリスチレンは家電製品や包装材等、主に民生用途で使われます。
 これに対して、塩ビは、高分子材料の全ての分野、即ち、繊維、プラスチック、ゴム、塗料、接着剤として使われ、非常に用途の広い高分子材料です。具体例を挙げると、婦人健康肌着、上下水道パイプ、窓枠、雨樋、天井材、間仕切り、床材、壁紙、屋上防水シート、帆布、電線、塩ビレザー、農業用フィルム、ホース類、自動車アンダーコーティング、マーキングシート、船底塗料等で使われており、その84%は産業用途です。

塩ビの特徴:
1)燃えにくい(難燃性)
塩ビは汎用プラスチックの中では、唯一、難燃性です。塩素が酸素との反応を防ぐためです。
 建築基準法、電気用品取締法等では、使用する場所によって、材料に不燃性、難燃性、防炎性等を義務付けています。多くの産業用途で、難燃性は極めて重要な特性で、難燃材を混合すれば良いかもしれませんが、材料自体が難燃性である事は、製品品質設計、製造技術、品質保証等で有利です。
 日本では年間数百人もの方々が火災で亡くなります。その半数は一酸化炭素中毒死です。塩ビが燃えると、塩素を含むガスが出て死ぬと思っている方が多いのですが、この場合も一酸化炭素中毒で死にます。塩素を含むガスで死亡した例は一例も報告されていません
 霞ヶ関ビルを建設するとき、塩ビ床材(Pタイル)を使うか否かが問題になりました。高層階で出火したとき、床材から塩素を含むガスが出て危ないと考えたのです。ところが、実験の結果、その燃焼ガスの毒性は木質建材と同レベルで問題なく、難燃性も申し分ない事がわかり、使用する事になりました。
 以前、最新の立体倉庫が火災になった事があります。消防車が駆けつけましたが、消火できず、延焼を防ぎつつ燃え尽きるのを待つしかありませんでした。理由はポリエチレンやポリプロピレン製の包装材料が大量にあり、それらが燃えたからです。発熱量が大きいため、一旦火がつくと消せなかったのです。また、野積みされた古タイヤが自然発火し、火災に至った例もありました。化学組成が、炭素と水素のみの材料は、特別の対策をしない限り、燃えやすい事、燃え出したら消しにくいことに注意すべきです。

 2)化学的に安定で自然環境下で劣化しない
 自然環境下での安定性は、酸素と紫外線に対する抵抗力によります。鉄は、防錆処理が悪い時は直ぐに錆びます。鉄は酸化状態が安定形だからです。木材は条件が良ければ千年持ちます。木材(セルロース)は、その炭素原子全てに酸素が結合していて、酸化に強い構造を持つからです。塩ビは、その炭素原子の半分に塩素が結合していて酸素にも水にも強い分子構造です。
 最も長く使われている塩ビ製品はパイプで、戦後間もなく実用化され、約50年経っています。近い将来、50年以上経過した水道パイプを掘り起こし、物性劣化を調査する計画があります。35年経過した時点での調査報告では、全く劣化していませんでした。私達は、少なくとも百年経っても劣化はしていないと予測しています。
 
 3)機械的物性が長期に安定
 塩ビの塩素原子はマイナスに分極します。このため、汎用プラスチックの中では最も分子間凝集力が大きく、機械的強度が強いのです。それで繊維も作れます。
一般に、高分子材料は粘弾性体で、粘性(液体の性質)も持ちます。降伏点以下の力でも時間の経過と共に変形し、破壊が起こります。ポリエチレンのパイプを立てかけて置くだけで、自重で曲がり、元に戻らなくなります。この様な変形があっては困ります。塩ビは、汎用プラの中では最もこの性質が小さいのです。水道パイプの強度設計は、水道水圧の3倍の圧力をかけ続けて破壊に至る時間が、何と50年になっています。塩ビは機械的強度も長期に安定で信頼性の高い材料なのです。

4)他の物質と混ざりやすい
 塩ビの相溶性(他の材料との混ざり易さ)の良さは最も有用な性質の一つです。塩素を含む化合物は他の物と混ざりやすい性質を持ちます。今はあまり使われなくなりましたが、塩素系有機溶剤は非常に良く物を溶かします。それと同じ性質です。
 塩ビが、広範囲の用途に使える理由は、各々の用途毎に要求される物性に、様々な添加剤を配合する事で製品品質設計が可能だからです。他のプラスチックでも配合剤で多少の品質調整はできますが、相溶性が悪く、塩ビほど自由ではありません。
 原料の塩ビの品種は、たった5種類しかなく、世界中、どのメーカーも同じです。それだけで、繊維からゴム、接着剤、塗料まで作れるスーパーマンの様な使い方ができるのは、相溶性が良いからです。代表的な添加剤に可塑剤があります。可塑剤は分子の滑りを良くし、軟らかくします。可塑剤の配合量を調整する事で、硬質パイプのように硬い物から、コンニャク位の軟らかさまで連続的に変える事ができます。家周りの物で硬い物から順に例を挙げます。パイプ、窓枠、雨樋、デッキ材、外壁パネル(サイディング)、スイッチボックス、浴室天井材、壁紙、幅木、Pタイル、タイルカーペット(繊維はナイロン、裏が塩ビ)、クッションフロアー、ソファーのレザー、電線、防水シート、ファンシーケース、シャワーカーテン、ふとん袋、旅行鞄(表が布で裏が塩ビ)、ホース、窓ガラスのパッキン、車のシフトレバーブーツや窓ガラスを押さえているゴム、電車やバスの戸当り(扉同士が当たる所のクッションゴム)、消しゴム、ビーチボール、サンダル、きりがないのでこれくらいで止めます。
 相溶性は、使用済み製品をリサイクルする場合にも重要な性質です。塩ビは既に述べた様に、長年使っても物性劣化がありません。使用済み製品から塩ビを再生する場合、多少の異物が有っても、相溶性が良いから、異物のために物性劣化する事が少ないのです。更に、再生原料でも新原料と同じ様に、配合剤を用いて好みの物性に再調整できます。従って、パイプ→パイプ、窓枠→窓枠と同じ物へのリサイクルは勿論、雨樋→パイプ、スイッチボックス、農業用フィルム→電線や床材、電線→カーマット、サンダルと言う風に違う物へのリサイクルもできます。即ち、塩ビの再生原料は新原料と同じ感覚で、様々な用途に再設計して使えると言うことなのです。
 しかも、塩ビは繰り返し成形に対しても、耐久性があり、何回成形加工を繰り返しても機械的性質が変化する事がありません。何回リサイクルしたかを気にしなくて良いのです。この耐繰り返し加工性は、相溶性ではなく、分子の長さに関係した性質です。(塩ビは、汎用プラスチックの中では比較的分子鎖が短いため、混練による分子切断が起こらない。塩素による極性のため分子鎖が短くても充分な材料物性が実現できる。塩ビは、PE、PPに比べ約1/10程度の長さ)
 正に、塩ビはリサイクルに最適なプラスチック材料なのです。

 5)高精度、高速成形ができる
 例えば、塩ビ窓枠は非常に複雑な断面をしています。しかも、寸法精度が良くないと使えません。この様な高精度の成形は結晶性のプラスチックではできません。結晶化する時に体積変化が起こるからです。塩ビには、窓枠以外に、非常に多くの異形押し出し成形品があります。
塩素原子の分極する性質は、成形加工する時の溶融粘度を適度な大きさで、広い温度域で安定させる働きもします。このため、塩ビは加工温度幅が広く、キャレンダー加工と言う高速フィルム成形ができます。キャレンダー加工は、塩ビと共に発展した加工法です。
また、完全球形の微粒子を可塑剤に分散すると液状のゾルが出来ますが、これを単に加熱するだけで均質化(ゲル化)して軟質製品が得られます。この性質を応用して、スラッシュモールディング、スクリーン印刷、コーティング、キャスティング(ペースト加工と言います)が出来ます。多彩な意匠をこらした壁紙やクッションフロアーは、この加工法で作ります。自動車のボディーのアンダーコーティングやシーラントもペースト加工です。これも、塩ビにしかできない加工法です。

 6)意匠性に優れ自由なデザインができる
  塩ビは印刷と表面加工や接着加工のしやすいプラスチックです。これも塩素原子による性質です。印刷性や接着性の良さは、勿論、塩素の極性に因るものですが、一度付けた細かい表面加工が長期に安定しているのも、3)で説明した機械的性質の長期安定性と同じ理由に因るのです。塩ビの印刷性の良さは、ホテルやデパートの壁面、オフィスビルの地下階通路の床を見れば分かります。大理石調、木目調、メタリック調、花柄模様などありますが、塩ビフィルムに印刷したものです。冷蔵庫は最近大型になりましたが、ドアの多彩な模様は塩ビフィルムに印刷したものです。バスのボディーの広告なども塩ビフィルムに印刷したものです。塩ビは本物より本物らしく加工できます。食堂のウインドウのメニューサンプルも塩ビです。
 表面の微細加工(エンボス加工)で、エナメルタッチの超艶出しからスエード調の完全艶消しまで連続的に変えた加工ができます。だから一流ブランドのハンドバッグは塩ビレザーで作られるのです。

 7)最も省資源・省エネルギーです
 塩ビが最も製造総エネルギーが少ないのは、原料の半分が無尽蔵にある食塩だからです。また、炭酸ガスの排出量も最も少ないグループに属します。材料の製造総エネルギーが小さい事や環境への排出物が少ない事は、環境に配慮した製品を作るためには大切な要素です。
 塩素は食塩電解で生産される苛性ソーダの副産物ではありません。塩素は非常に有用な素原料です。塩ビのみならず、半導体や医薬品、工業薬品の原料として欠くことのできないものです。

 8)実用物性の総合バランスが良い
 これまでの説明を総合した話ですが、塩ビは実用物性の総合バランスが良い材料です。
 図は割愛しますが、農業用フィルムの保温性、保湿性、防曇性、防霧性、省農薬効果等も塩ビで付与し易い実用物性です。
また、塩ビレザーの意匠性、手脂に対する耐久性、耐磨耗性、防汚染性等も、床材での静電防止性、衛生性、防塵性等も、塩ビだから付与できる実用物性です。ポリオレフィン系の材料では、単独ではどうしても不足する物性があります。不足する物性は、他の素材を組み合わせ複合材にして補うしかありません。このため、複合化したポリオレフィン系の成形材料は、資源、エネルギーの面、リサイクル性の面、コスト面でも、塩ビより劣るものになってしまいます。

5、おわりに
 日本で塩ビが最初に生産されたのは、第二次大戦以前の事でした。戦後の復興期に、食糧増産のための肥料(石灰窒素)生産、或いは、繊維衣料(ヴィスコース・レーヨン)生産に必要なカセイソーダの製造の基礎となるカーバイド工業と食塩電解の育成が促進されました。これに伴ってアセチレン工業が復活しました。塩ビは、アセチレン工業の中心的な製品としてスタートいたしました。
 当時、石と塩と炭から作れるプラスチックとして、天然資源の乏しい日本の化学工業の発展を支え、石油化学工業以前のプラスチック工業の発展を促す先駆的な役割を担ったのが塩ビでした。実際、塩ビは電力、上下水道、建築、輸送機械、農漁業等々、あらゆる産業分野において基礎産業資材として使われました。
 昨年は、塩ビ製品メーカーの業界団体の一つである日本ビニル工業会設立の50周年に当たる年でした。この様に長く輝かしい歴史に支えられた塩ビ製品の地位は、現在も将来も変わることなく継続するものと信じ、筆を置きます。
(伊藤コメント)塩ビの利点と思われる部分に下線を引いてみました。塩ビの優れた性能は「塩素」が含まれているからということがよくわかります。同一要素が毒にも薬にもなるというのは面白い、と言ったら不謹慎でしょうか。
1.A氏(反対派):非塩ビ電線採用の理由(仮題)
化学物質の削減や全廃については、企業や諸外国の政策に疑問のあるものがあると思います。しかしながら、すべての活動が疑問であるわけではありません。化学物質に対する取り組みは、進めるべきものは進めなければ、将来取り返しのつかない状況を生むことになります。
PVC等の塩素を含む材料は焼却時に塩素ガスを発生します。そのため焼却や溶融炉に入れるには脱塩処理が必要となり、廃棄時に環境およびコストに影響します。また、PVCは多くの場合に、安定剤として鉛を含みます。そのため、製品のリサイクルにおいて埋め立て処分をせざるをえない状況にあります。
LCAも実施はしていますが、完全にしたわけではありません。そんなに大きな差にはなっていません。特に鉛フリーのPVC電線との比較であれば差はでないでしょう。

当社のPVC全廃の決定はLCAによる決定ではなく、電線のPVCは埋め立てるしかない(塩ビ業界の塩素に戻すマテリアルリサイクルは電子機器の電線については現実性がない)。それに対してポリオレフィン系樹脂は、高炉還元材や銅線を含んだままでの非鉄再資源化の活用が選択できます。いずれもMgは問題にならないでしょう。このことから取り組みを決定しました。
将来にわたって、電線→電線の活用は困難(主流としての活用はできない)であり、結果としてPVCは埋め立てせざるをえない。(燃やすわけにはいかない)このまま、環境に放置せざるをえない電子機器のPVC電線を放出し続けるわけにはいかないと判断しました。

LCA上の問題は、埋め立てのインパクトをどうするか、埋め立て時の鉛とフタル酸エステルをどう取り扱うかも影響するでしょう。フタル酸エステルについては生物的影響が明らかとは言うものの、どれだけリスクがあるかは簡単には結論は出ないでしょう。大きなリスクはないかもしれません。
塩ビの業界は、電線もリサイクルできると主張されていますが、現実に埋め立て処理以外の引き取りを、塩ビフリー電線に比べて経済的に合理的な価格では実現できていない。将来性についても正しく示されていない。

上記の判断は、あくまで情報機器に使用されるPVC電線に関するものです。水道管や農業用塩ビについては、代替できるものもなく、なにより回収量が確保できリサイクルのメリットもあるのでしょうから状況は異なります。ひとつの利用形態がだめだからといって、すべてだめとする風潮は避けなければなりません。
(伊藤コメント)A氏の会社はある電気機器を製造してます。使用済み電気機器は細かく砕いて金属を取り出していますが、それ以外の残渣(シュレッダーダスト)は大部分を埋め立てているのが現状です。なぜなら、残渣にはガラスや取り出せなかった金属、さまざまな種類のプラスチックが混在していて、再利用が難しいためです。(注:下にコメント訂正あり
1-1.A氏(反対派):伊藤コメントの修正(仮題)
当社の処理は伊藤さんのコメントと異なり次のようになっています。
地域によって処理は異なりますが、もっとも進んでいる地域(関東など)は、電線はシュレッダーにかける前に分別し、被覆材を剥いて銅線を取り出しています。塩ビ被覆材は埋め立てられます。銅線は売れるため、このような処理をしています。また、大きなプラスック部品(ABS、PPE、PC-ABSのみ)は、分離し樹脂業者に渡し、リペレットにしたものを再納入して頂き使用しています。シュレッダーダストは、非常にコスト増になっていますが、粉砕を通常よりも細かくし、比重等で分別し再資源化しています。塩ビ以外のプラスチックは、鉄鋼メーカーに高炉還元剤として利用して頂いています。残念ながらPVC電線は脱塩処理をしなければ高炉メーカーには引き取って頂けません。
地域によっては、ここまで徹底できていないところもありますが、進めれば進めるほど塩ビの問題が見えてきます。
(伊藤コメント)上記コメントは、電気機器メーカに関する一般論で書きましたが、A氏の会社ではかなり進んだ環境配慮を実施しているため不適切でした。お詫びして訂正いたします。
1-2.TM氏(擁護派)::(エコ電線)A氏への反論(抜粋)
ご存知かもしれないのですが、幾つかのことを確認したいと思います。
1、鉛について、
電線について、塩ビ側の非鉛は完成しています。塩ビ製品全体の話ですが、脱カドミウムについても日本が一番早かったですね。EUは、今でも一部でカドミウムを使ってますし、鉛主流の地域です。
(中略)
日本で電線が非鉛に切り替わらないのは塩ビの安定剤の部分に理由があるのではありません。顔料の部分に問題があるのです。鉛、カドミウムを使わない顔料は極めて高価です。その事を承知の上で、非鉛にしなければなりません。機器用配線向けは、ユーザーの要求が強いので、顔料のコストアップを電線メーカー、絶縁材メーカーが泣きながら飲んでいるのです。また、エコにすれば価格アップを飲んでくれるので、そこへ逃げ込んだだけです。
この問題は絶縁材が塩ビであれ非塩ビ(=エコ)であれ共通です。ですから、電線の主用途は動力ケーブルですから、この主用途も非鉛にするなら、その時こそは、メーカー/ユーザー間でしっかりした価格交渉をした上で、切り替えるべきです。更に、エコを続けるか塩ビに戻るかも再検討してください。
(中略)
多分、実施段階で気が付くと思いますが、作業性が悪く、電気製品の生産性がダウンすると思います。突破できない程の困難ではありませんが。
一般ゴミ中の重金属の汚染源として印刷物もある事をご承知でしたか。

2、塩ビをリサイクルする時に塩素があるため困るとの意見について
 2-1、焼却(サーマルリサイクル)する時に設備を腐食するとの事ですが、(中略)焼却炉が痛む原因は熱で、塩素ではありません。ボイラーチューブの腐食は塩素による腐食よりナトリュウムイオンによる腐食の方が低温側にあり、これを優先して設計してあり、塩素のために殊更設備が高価になる要素はありません。
塩素があると中和剤が余分に要るだろうとおっしゃるかもしれません。しかし、この分は、塩ビ起因の酸性ガスについてのみ計算していただければ僅かなものです。他にも酸性ガスを発生するものがありますから。
塩ビが20%まで含まれても、通常の感覚で燃焼、サーマルリサイクルできます。これほど高い濃度にする必要はありませんが、敢えて、大丈夫であることを立証するために、某産廃処理業者が化学工学会で発表した実績です。

 2-2、高炉原料については、N社に叱られるのを覚悟で申し上げますが、少々の塩素はあっても良いはずです。高炉は加圧状態で運転されていて、少々の塩素の増加があっても、殆どはスラグ側に排出されるはずで高炉ガス側の分配率はそれ程高くないはずですし、ガス側に出たとしても塩化カルシュウムダストの形です。
とは言え、高炉は永久運転の設備で、状態を激変さす訳にはゆきませんから、少しづつ経験を積んでいただいて、塩素の許容濃度をアップしてもらうしかないですね。
ドイツは少し先に行っていて、塩素2、3%まで許容してます。

 2-3、コークス炉原料について、新日鉄ですが、高炉原料より問題が少ないですね。石炭には元々酸性ガスを発生さすものが含まれていますから、最初からそれに対応できる様にプロセス設計されています。塩素の制限をはずして欲しいと思ってます。
コークス炉原料には大きな制約があります。コークスの品質上の制約から廃プラ自体の混入率を大きくできません。それでも、コークスの需要は巨大ですから100万トンオーダーの処理が可能と推定してます。

 2-4、高温ガス化について、荏原、新日鉄、川鉄、住金が有望ですね。詳細は説明出来ませんが、ある理由で、これこそ、塩素があった方が好都合なのです。廃塩ビで足りない所は食塩を投入してカバーしたい位に塩素があった方が良いですね。いずれそうなるでしょう。

3、廃塩ビ電線や塩ビ系廃プラを引き取ってもらえないことについて
これは、塩ビ業界がだらしないのだと思います。そういう意味では、私は皆さん謝りたいと思います。何とかしたいと、ここ約10年の間頑張り続けていますが、思うように行きません。追加の意見で述べた様に、塩ビが最もリサイクルに適したプラスチックなのです。
リサイクルだエコだとさわがれていない、数十年前から、塩ビはリサイクルされていて、屑鉄やガラス、銅と並んで回収すればお金になる廃品として廃品回収業者が集めていたものなのです。そうやって集まった塩ビを使って塩ビ製品を作っている加工メーカー、零細企業ですが、が東京と大阪に集中してあったのです。
それが、壊滅してしまいました。何故かわかるでしょう。皆して塩ビを魔女にしたからです。
リサイクルの方法は山程あるのに、リサイクルしても塩ビ製品自体を買わなくなったからなのです。変わった物を紹介しておきましょう。モルタルの下や屋根瓦の下に引く防水用の黒いシートをご存知でしょう。あれはクラフト紙に回収再生塩ビを染込ませたものでメーカーは日本でただ一社、関西にあります。子供の頃、版画をやりませんでしたか。私達は本物の木でした。皆さんは茶色のゴムシートを使いませんでしたか。あれも回収再生塩ビです。同じようにメーカーは日本でただ一社で関西にあります。靴底、子供用も大人用も、高級品は別にして、昔は、廃電線から回収した塩ビを使っていました。これも壊滅状態です。せめて、グリーン物品に登録できれば生き返るかもしれないと努力してみましたが、なんせ相手は環境省ですから、塩ビと言うだけで、一品も認定されませんでした。硬質塩ビのリサイクルパイプですら認められなかったのですよ。こんな不当差別がこの日本で、いまだにまかり通るのですよ。世論操作に長けたアジテェイターに操られ世論に弱い政治家、無責任な官僚、それに追随する企業、なんともはや嘆かわしい。
塩ビと名のつくものをまな板にすら載せるのが怖いのですよ。だからエコ電線と言ったら飛びつく訳ですね。いや、言い過ぎました済みません。
ともあれ、塩ビを魔女に仕立て、リサイクルできるものを捨て、リサイクルできないものを無理にリサイクルしようとしているのですよ。私は、私が関与できる人達を説得して少しでも引き取る様にしようとしています。家電リサイクル法、建築廃材リサイクル法、自動車リサイクル法等で、今後はいやでも廃塩ビが集まりますから、以前よりはやり良いでしょう。塩ビリサイクル技術を持っていた人達を立ち上がらせる様に努力したいです。廃塩ビのマテリアルリサイクルに必要な再生プラントは1〜2億で建設できます。再生塩ビはバージンと同じに扱えます。
後は塩ビ製品メーカーの奮起を促したい。塩ビ製品メーカーは皆、売れないから非塩ビに注力しているのです。無駄な努力である事が解っているのに。産廃業者は、ダイオキシンの恐怖にとらわれた地域住民と行政の反対に遭って、燃やせるのに引き取らないのです。それでも勇気のある業者はあるのですが2〜3社しかありません。自信をもって言うのは、自社の廃棄物を処理している経験があるからです。塩ビのレジンメーカーはどの会社も相当高濃度の塩ビがあっても燃やせる事を知っています。でなきゃ、そもそも塩酸工業は発展しなかったはずです。でも、産廃処理事業に乗り出せないのは、地域住民と行政の反対があるからです。他人のせいにするのは卑怯かもしれませんが。
私達が如何に困難な戦いをしているかお分かり頂けたでしょうか。如何に理不尽なことが起ころうと、いずれ正しいところに戻ることは歴史が教えてくれます。アメリカは最初から非塩ビ化はしていません。塩ビ環境問題を議論はしました。しかし、行動を起こしたのは極一部です。EUでは、(中略)塩素が無ければ環境に配慮したもの、と言うのは通らなくなるでしょう。
sustainableであるかが問われるでしょう。環境負荷低減、省資源、省エネルギーが問われるでしょう。塩ビを使った物は買わないと言う法律を作った市町村もいずれ改正しますよ。それがどれほと不合理かわかり始めたからです。10年位前から塩ビを他の素材に替えるとかえって環境負荷が増えると主張しつづけている環境保護団体があるのをご存知ですか。ノルエーの「ベロナ」です。ノルエーは捕鯨国で化学工業国でもあります。当然、グリーンピースは入り込めませんでした。欧米は国益最優先ですから。私は彼らが正しいと思います。
有害化学物質については、考え方、見方、判断基準が大幅に見直されると思います。水銀、鉛、カドミウム、クロム、いずれも私達にとって、将来の人類にとって必要な元素です。それらを取り扱うのを止めたら、これまで蓄積した技術の全てが失われます。必要だと気が付いたとき、またゼロからやり直すことになってしまいます。企業経営は2〜3年のタイムスパンでしか見ることをしませんが、技術の世界は10〜50年のスパンでみる必要がありますね。
A氏の疑問に全て答えてませんが、長くなりますので、とりあえず、ここまで。いずれまた。
(伊藤コメント)下線部は伊藤がつけました。また一部文書を削除しています。
2.B氏(反対派):塩ビフリー電線を導入する理由(仮題)
「塩ビフリーについては、当社の思いというよりも、世の中の流れであり、その市場(お客様)の流れに対応した結果です。ダイオキシンなどの技術的な課題は存じてますが、その結果として判断したものではありません。同様な例として、鉛フリーに関してもそうです。」
(伊藤コメント)知り合いのB氏にお願いして関係部署から回答していただいたものです。この見解はしごくごもっともだと思います。つまり塩ビフリー電線を使うことの責任の一端は市場(お客様)にあるということです。
2−1.TM氏(擁護派):B氏の意見への反論
塩ビフリーは世の中の流れとのご指摘ですが、私はそうは思いません。お調べになれば分かりますが、欧米は塩ビフリー化はしていません。EU委員会はPVCに関するグリーンペーパーを出しました。だからこそPVCは社会にとって必要なものだと分かったのです。EUの塩ビ業界はPVCグリーンペーパーに対して環境宣言を出しました。EU委員会は、これが守られるか見守るだけでしょう。
長年、DOWが塩ビ代替プラスチックの研究を進め、それがほぼ完成していました。殆ど、事業化の段階まで進んでおりました。世界中がこの新しいプラスチックに期待しました。しかし、事業化を断念しました。止めたのです。理由は、塩ビ代替需要は少ない、あっても日本だけだ、それでは黒字化の見通しが無い、というものです。
鉛の問題は塩ビだから非鉛化できないのではなくて、塩ビでも非鉛化は完成しているのですが、コストアップを飲む理由が理解されないのです。非塩ビ化すると、非鉛化の分も含んでコストアップを飲んでくれるからです。非塩ビ材料でも、非鉛化のためのコストアップは同じようにあるのです。非鉛は安定剤の問題ではなく、顔料の問題なのです。カドミウムフリーも顔料の問題です。
(伊藤コメント)環境過激派(?!)の欧州各国でさえも、塩ビ廃絶に二の足を踏んでいるということですね。オピニオンリーダーは、たとえ最初は反対されようとも、世界を正しい方向へ導く勇気を持ってもらいたいものです。その勇気の積み重ねによって社会は変わってくのだと思います。
3.C電線メーカ(同反対派?):TM氏の意見に対して(伊藤代筆)
  • 「力を加えつづけると変形」(クリープ変形)して「漏電事故のリスクが相当高くなっている」ことについて
    • 非塩ビ電線に用いるポリマーはポリエチレン(以下PEと略す)である。 PEはそのままだと温度特性が悪いため、電子線などをあてて架橋させている。他のメーカも同様に処理している。したがって、クリープ変形や結果としての漏電の可能性は小さいと思われる。
  • 「耐候性が悪い」ことについて
    • 実績としては塩ビのほうが優れているが、試験的にはPEの場合もそれほど劣らないと考える。塩ビ電線もPE電線も紫外線を受けてぼろぼろになる。また塩ビは可塑剤が抜けてぼろぼろになることがあるがPEの場合はそういったことはない。
  • 「製造コストは約2倍」することについて
    • 現在は生産ロットが少ないため、場合によっては2〜3倍になることもあるが、塩ビと同様に量産すればコストはもっと下がる。
  • Mg(OH)2は強アルカリであるため、空気中のCO2と反応して、本来の機能を喪失する」ことについて
    • Mg(OH)2はPEに難燃性を持たせるために使用しているが、空気中で安定していると思われる。
(伊藤コメント)ある大手電線メーカC社の方に話を聞き、TMさんの疑問に対していくつか回答を頂きました。C社さんは、塩ビの方が非塩ビ電線よりも優れている点が多々あることは認識しており、またそれほど非塩ビ電線を売りたいとは思っていないようでした。
需要家の動向を見守っているというのが現状のようです。
3−1.某大学専門家(中立):Mg(OH)2が反応することについて(伊藤代筆)
Mg(OH)2は、空気中の二酸化炭素と反応する。(水酸化カルシウムの水溶液に息を吹き込むと呼気中の二酸化炭素と反応して炭酸カルシウムになるが)水酸化カルシウムよりも水酸化マグネシウムの方が反応性が低く、またポリマー中に練りこまれているため、実際どの程度反応が進むかはわからない。ただし、炭酸マグネシウムになると体積が膨張するため、何らかの障害をひきおこす可能性がある。
(伊藤コメント)このあたりは、実際に試験してみないと影響がどの程度かわからないようです。ただ、もし本当に電線の寸法が変化するのであれば設計上問題があるかもしれません(環境と関係ないですが)。
3−2.TM氏(擁護派):C電線メーカーへの反論
  • PEは耐候性改良助剤を使い改善できますが、年数に限界があります。10年を超すことは無理でしょう。 相溶性が悪くて、沢山混合しても、噴出してしまうのです。電線は建物の寿命(30〜50年)と同じ期間、性能・機能を維持しなければなりません。10年程度じゃ不足です。PEが工業生産されて、まだ50年は経ってませんよ。世界の建築基準は耐用年数100年ですよ。電線も100年保証が目標であるべきです。
  • エコ電線用のPEは量産してもコストは大幅には下がりません。特殊PEですし、日本の電線被服材の総需要が10万トンのオーダーでしょう。これ全部エコ用PEに替えたって量産効果は大したことありませんし、そんなことあり得ません。石油化学で生産されるマスケミカルズは、そもそも量産効果は小さいものなのです。電線にしても生産技術の進歩は行き着くところまできてますから、量産効果は小さいでしょう。
  • 新幹線のトンネルや高速道路の橋脚のコンクリートの劣化が問題になってます。コンクリートの主成分は珪酸カルシュウムです。それが空気中の炭酸ガスと反応して劣化するのです。新幹線のトンネルや高速道路の橋脚は建設して何年だと思いますか。珪酸カルシュウムは中和された塩で、水酸化マグネシュウムより炭酸ガスに対しては安定側です。それでも、ご存知のとおりの始末です。PE特にエコ用PEはガスバリヤー性がありません。ガスに対してはスカスカの分子構造です。ですから、炭酸ガスでも内部へ拡散します。何しろ、時間はたっぷりあるのですから。
  • 最初にコメントしていないのですが、長期物性の視点からもう一つ重要な要素があります。PEは結晶性の高分子です。クリープ変形の他に結晶成長(長期間の変化)による物性変化(劣化)があります。応力も結晶成長速度に影響します。長期間使う物の材料選択は慎重でなければなりません。他の工業資材も同じですが、電線も開発当初の長期物性保証には苦心されたはずです。両者共通の事例をあげれば、動力ケーブルの地下埋設保護管(耐熱塩ビパイプ)の開発にどれほどの期間頑張ったか、調べてみてください。国道の下に埋める場合は極めて厳しい実用試験の壁を突破しなければならなかったはずです。家電製品や自動車にしても平均耐用年数で保証するのはPLから見ても不十分です。
(伊藤コメント)C社のエコ電線は電子線架橋しているため、クリープや結晶成長はある程度防げると思います。ただし、TM氏がご指摘のようにエコ電線中の水酸化マグネシウムが炭酸マグネシウムになるのはおそらく避けられないでしょう。炭酸マグネシウムになっても銅線を保持する能力がそれほど変わらなければよいのですが、こればかりは実験してみないと分からないですね。誰か、試験してもらえないでしょうか?
4.電線のリサイクルに関する報道記事
日付 題名 出展 内容抜粋
2002/
/5
/31
環境の世紀へ エコ最前線U

日立電線 廃電線回収・リサイクルシステム

99%以上の精度で分別
日本工業新聞
  • 2000/6に廃電線の全国的な回収網運用開始
  • 架橋PE、耐燃性PE、PVCを比重選別後、「静電分離装置」で分別する
  • 99%以上分別できる
  • 分別材料利用先:電線ケーブル材料、くいなど;困難なものはRDFなど
  • 質の高いリサイクルは、PVCだけなのかPEだけなのかを見分ける現場作業員の経験に支えられている
(伊藤コメント)TM氏がエコ電線はリサイクルの障害になる可能性があると指摘していましたが、技術的には対応できそうです。家電製品に使われるような細かな電線について触れられていませんが、将来的には期待できるかもしれません。また、見分けるのがポイントだということから、エコ電線は材質がPEであることを明記したほうがよいと思われます。
5.まとめにかえて
まとめに代えて下記の記事を紹介します。
日付 題名 出展 内容抜粋
2002/
8/
29
ダイオキシン一次生成
不完全燃焼が支配要因

経産省・環境問題連絡会分科会報告
RDF流動床 小型炉で実験 塩素量に依存せず
化学工業日報
  • 一次生成は炉内の不完全燃焼が支配要因で塩素量に依存せず
  • 二次生成は未燃炭素が関与し、条件がそろうと塩化水素濃度に比例してダイオキシン類を生成するほか、銅量が増加すると200度前後でも生成促進
  • 「塩ビがダイオキシンの生成源」とする社会的誤解からプラスチックが埋め立てにまわされているが、これによりサーマルリサイクルの促進が重要と指摘した』

 塩ビを使うことで確かに何らかの環境悪化を引き起こすかもしれません。ただ、当初考えられていたほどの劇的な悪影響があるわけではないようです。私の主張は、
  1. 「塩ビをなくせばエコ製品」とは断定できない。そして、製品によっては、むしろ環境に悪影響を与える可能性がある。
  2. 「塩ビの廃絶運動」は「環境問題を考える題材提供」に役立ち、たとえそれが間違っていたとしても無駄だったとは言えない。ただし、間違えていることが分かったときにすぐに方針を変えることができないのであれば、それは非難されてもしかたがない。
ということです。環境問題は我々人類の存続にかかわる重大な問題です。誤りを恐れず進み、そしてもし誤っていたらもう一度やり直し、とにかく前進するよりほかに道はありません。「一歩進んで二歩下がる」のはある意味で仕方のないことです。「行動すること」、そして「真実を見極めること」が求められています。

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