5.LCA:プロローグ2001.2.11
ライフサイクルアセスメント、略してLCA。環境問題を科学的に捉える時の必須の技術。私はそのように考えます。私がこのHPを開いた大きな動機のひとつが、「LCAについて皆さんと一緒に考えたいから」です。今回はその手始めに以下の4人に議論してもらいます。
  
登場人物は、 eggちゃん :環境問題にとっても関心のある主婦
豆腐くん :中堅メーカの社員。ちょっとかたい。
人参くん :現在国立研究所に出向中のサラリーマン。皮肉屋。
エコちゃん :?

egg   えるしーえー・・・?なんですか。聞いたことないですけど。
豆腐 産業環境管理協会から出ている「LCA実務入門」によれば、「原材料調達から設計・製造、使用、リサイクル、そして最終的な廃棄処分(製品のライフサイクル)にわたって、製品の使用する資源やエネルギーと、製品が排出する環境負荷を定量的に推定・把握し、さらに製品の潜在的な環境負荷を評価する手法である」となってます。
egg よくわからないけど、要するに環境に与える影響がばっちりわかるわけね。それってすごいんじゃない?簡単にできるんなら私も使ってみたいな。だって、環境にやさしい商品が最近多くなってきたけど、どれがほんとにいいのかよくわからないもの。
人参 ちょっと待って。別の本に「・・・LCAは有用な手法である。しかしながら、現時点では、対象とするデータの収集方法や分析・評価方法が未確立であり、LCAは実用化レベルにいたるまでにはもう少し時間がかかりそうである。」って書いてあるよ。僕の会社でも一時期導入を検討したんだけれど、技術的に未確立だから完成するまで待つことになったんだ。
豆腐 わが社では、環境の国際規格、ISO14001の認証を取得したので、次にLCAをやることになったんです。上司に言われてセミナーにいったりLCAの勉強を始めているのですが・・・難しいんです。LCAの国際規格ができていて、ISO14040、14041、14042、14043なんですが、読んでみてもさっぱりわからないんです。
egg へー。豆腐君の会社でもISOをとるんだ。でもISOをとったからって、だからなにって言いたいわよね。
人参 ISOは法律みたいなものらしくって、詳細な解説は入れることができないらしい。やり方を書くとその通りにやらないといけなくなってしまうからなんだ。某教授が「ISOは『べからず集』で役に立たん!」と言ってましたね。ISOの審議段階の資料を見たけれど、最初はLCAのやり方なんかがたくさん入ってたんだ。でもそれらはほとんど削除されて骨の部分だけ残ったみたい。欧米のコンサルタント会社がLCAを商売にしようとしてISOの審議にかなり入り込んでたみたいだけど。
豆腐 LCAのコンサルタント会社があるなら利用してみようかなと思って、ある有名なコンサルに聞いてみたところ、LCAをひとつやるのに300万円程度必要だそうです。大企業ならいざ知らず、わが社ではそんな金はどこからもでないと上司に怒られました。
LCAを計算してくれるソフトが数万円から100万円ちょっとまで数本出ているんですが、よくよく調べてみると、計算に必要なデータが全部入っていないらしいんです。
・・・
旧通産省がLCAに関する国家プロジェクトを1998年に立ち上げていますが、そのプロジェクトの目玉がLCAを計算するのに必要なデータをそろえることだそうです。5年計画ですからそろそろ結果が出てくるかもと期待していますが・・・。
人参 それは、日本版「LCAパブリックデータベース」でしょ。でも、活動している人から聞いたことあるけれど、なかなか大変らしいよ。データは集めることができてもそれがどれだけ正しいかを検証する方法が完璧に決まっていないらしい。それに、LCAに限ったことではなく、データベースはどの会社もいろんな用途で作ろうとするけれど、うまくいったためしがないよね。たいてい数年でメンテナンスが滞ってだめになってしまう。データベースが成功するためには「いかにメンテナンスシステムをうまく設計するか」にかかっているといって過言ではないと思うんだが、彼らはそのことにあまり関心がないらしい。
豆腐 でも、いくつかの会社がLCAを実際に使ってますよね。「LCA実務入門」にもいくつか事例が載っていて、こういった事例がのっているかぎり、わが社としてはやらないとはいえないのですが。
人参 でもよくよく見ると変だよ。例えば電力1kWhあたりの二酸化炭素排出量をみてみると、いくつかの事例で全部違った値になってるよね。彼らは電力会社に聞いたとすると、どうして値が一致しないのか。
・・・
それに、二酸化炭素排出量だけしか計算していない事例もあるし、ほかの環境負荷も計算している事例もある。どこまでやれば言いという指針はあるのだろうか。
・・・
環境負荷をたくさん計算した場合、それをまとめて結論を出す「インパクト」段階もよくわからない。「最初にやり方を決めておけばどんな計算をしてもいいんだ」なんて書いてあるけれどそんなことやったら好き勝手に結論を変えることもできるよね。
egg ニンジン君ちょっとまってよ。どこに「どんな計算をしてもいいんだ」なんて書いてあるのよ。
人参 ・・・確かに。
この本はうまくできてるね。そう取れるようには書いていない。だけれど、ISO14040〜43をよく読めばそういっているように聞こえてくるんだよ。
egg いずれにしても、あなたの話を聞いていると、「意気消沈」だわね。
せっかくトウフ君の会社がLCAを導入しようとしているんだから邪魔しないでよ。

私の直感なんだけれども、LCAはとっても役に立つような気がする。べつにLCAじゃなくてもいいと思うけれども、環境問題を解決するためには白黒はっきりさせてくれる「ものさし」が絶対必要よね。ちょっと私も勉強してくるからあなた達も「ポジティブ」な話ができるようにもうちょっと準備してきてちょうだい!。

エコちゃんもぜんぜんしゃべらなかったけれど、次回はちゃんとしゃべれるようにしてきてね。
じゃ、今日はこれでおしまいにしましょう。
エコ ・・・

ということで次回に続く・・・
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