ヒ ト リ ゴ ト

第11話 写真判定
第12話 競輪場の大声自慢
第13話 信号機故障
第14話 あやしい奴
第15話 獲得賞金

第11話 写真判定

競馬で言えば首の差、鼻の差
こんなきわどいレースが時々ある

余程のことが無ければ、同着の判定はない
かなり、時間をかけて判定をしているケースも多い

そのような場合は
モニターで、繰り返しゴール前のシーンをスローモーションで放映したりもする

驚くことに
なかにはゴールした寸前、モニターを見る前に
きわどい着差を言い当てる方もいる

2-3で入ったかな?などの声が聞こえたりすると
その方たちは、ついつい黙っていられなくなるのであろう

4番がさしてる
2-4だよ、2-4と言いきるのである

そして、写真判定よりも早く、正しい判定をしているのである
頭の中のモニターにゴール寸前の絵が焼き付いているのだろうか

ちなみに
その方が、レースのあたり券を買ったという話をしているわけではない

レース確定後はその集団の中では英雄である
その英雄が二人いて
そして
意見が合わないとき、周りもこまる

2-4だよ2-4
3は残ってるよ、2-3に決まっているだろう、どこに目を付けてんだ

まさに、言葉の暴力を交わしているのだ

もちろん、正式に結果が発表されたあとは
結果、正しかった英雄だけがその場に残り

その戦っていた相手は、いつのまにか

姿が消えている

そんな争いをしなくても済むように写真判定をすることを解かって欲しい



第12話 競輪場の大声自慢

大声自慢の人が多いのは競輪場が一番であろう

何処の競輪場にも2〜3人はいる、また、声をかけるタイミングも絶妙である

330mバンク、400mバンク、500mバンク
コース自体が狭いからか
その声は
競馬、競艇、オートレースと比べ
場内中に響き渡る

きっと、ヒマラヤかマッターホルンの山中
声だけが通信手段の世界では仲間も多い事であろう
(いつものごとく、ヒマラヤが何処かも知らない者が余計な事を書いてしまった)

しかし

競輪場だけに大声自慢が集まっているわけでもなく
また
コースの大きさだけの理由でも無いと思う

競馬場で大声を出したところで、馬に気持ちが伝わるわけないし
競艇場、オートレース場のエンジン音をかき消すほどの大声でもまだない
しかし
競輪場では
「後ろ来たぞ!!」と言うと

選手が後ろを振り向く

レースが終わったあとも
○○ ヨウ頑張った
△△のバカ野郎、金返せ
色々な声援、罵声が飛び交う

なかには読みづらい名前の選手もいる

そんな時は「B番おめでとう」なんて番号での声援もあったりする
なかには名前を間違った声援もあったりする
選手も嬉しい事であろう、あたたかい言葉は
でも

声援よりも、まず、名前を覚えてもらいたいのが本音であろう



第13話 信号機故障

だれしも、絶対に遅れるわけにはいかない朝があろう

私にもそんな日が月に何度かある
まさに、私にとって、この日の仕事がそうであった

前日、いつもより早く床に着き
予定通り、いや、それよりも早く目覚めた

駅までは徒歩で5分かからない、恵まれた環境である
早めの出発、充分にゆとりをもったスタートを切った

しかし、何かがいつもと違う

異様な数の人の集団が駅の改札口からあふれているではないか

電車が動いてないのだ
電車の信号機故障で、1時間くらい動いてなく、そして、見通しもたっていない
そんな情報が否応無しに伝わってきた

いつもなら、少し待てば何とかなることが多い
しかし

まさに、この駅で発生した信号機故障で、まだ原因わからず
しばらく動かないとの情報も、かなり正確なようだ

バスで別の乗換駅までの振替輸送アナウンス
余計に30分から40分は、ゆうにかかろうコースである

今は、躊躇の時間は無い
遅れるわけにはいかない重要な仕事が今朝は待っている
タクシーも長蛇の列

ゆとりという文字が一瞬で不安という二文字にすりかわった

間に合うかどうかの大勝負、バスに全てを賭けた

バスはすぐに来たが既に長蛇の列、やっとの思いで、すし詰めバスに無理やり乗り込めた

周りの人の不機嫌そうな顔、イライラが隠せないのであろう
もうコレ以上乗車できない状態なのに、なぜか丁寧に停留所毎に留まるではないか
ま、それが当然のことではあるが
心の時計が非常に早いスピードで時を刻んでいる

そんな、バスの中
なぜか私の顔面は緩んでいた

新聞を開いている人もいなければ
初対面など関係無く、気安く話しかけてくる人もいない


まさに、レース場に向かう送迎バスの中にいる錯覚におちいってた
普段、レース場に行くとき以外は、あまりバスに乗ることもないからであろう

仕事、まに合ったかって?

大事なビジネスの第一レースは既にスタートしていた




第14話 あやしい奴

以前は一人、車で旅打ちに出かける事も多かった

まず、どのエリアに向かうかを決める
そして、その地域にある未踏破のレース場のスケジュールを全て控える
地図はコピーしマークをつける
10ヶ所位、夢の印を

何処に行くかは決めずに車を走らせ、着いた所で打つ
綿密なようで、無計画な計画である
何処で打つかを決めると、到着時間を気にしての運転になる
それが私は嫌いである

寝袋と入浴のセット、それと地図を持てば準備完了である
風呂だけ借りて、ねぐらは車内
実に旅慣れている

多めにとった休み、車での生活の始まりである

急ぎ旅でもないので、ほとんど高速道路は使わない
運転に疲れたら近くのコンビニでアルコールを仕入れ、食事を済ませた後
車中の一人宴会の始まりである
そうでもしないとなかなか車での熟睡は出来ない
熟睡しようという考え方が間違っているかもしれないが

そんな旅行、数々のドラマがある

その日の場所は園田競馬場まで30分位
広めの裏街道、車の通りも少ない、最高の場所を見つけた
側道に車を止め宴会のスタートである

まさに宴たけなわ
その時、なんと
ルームミラーに赤くネオンの点滅が映った
私の宴会場のすぐ後ろ50mくらいの場所でパトカー数台が、、、

なんと
検問の準備をしているではないか
酒気帯びとか無免許など違反者の検問であろう、場所的にもGOODな場所をよく選んだものだ
わたしの選んだ場所とまさに一致している

宴会は中断して、3時間ほど車の中で固まっていた

検問を最初から最後まで眺めていたのは私だけかも知れない



とある日、ここは静岡県内を流れるあべ川の河川の駐車場
宴会後、心地よく熟睡していた

まだ、明け方4時、まさかこんな時間に起こされるとは想像もしていなかった
なんと外は雨が降っているではないか
もちろん雨音で起きるような繊細さは今は無い

窓を叩く警察官、その後ろでもう一人の警察官が無線で本部と連絡をとっている
盗難車か、家出人か、はたまた

最低の目覚めである
免許証を見せ、長距離ドライブの仮眠しているゆえを伝えた

たしか、伊東温泉競輪場に向かう時にも、港の船着場で同じような起こされかたと
同じような質問を受けた

これからどちらに向かうのですか
その時は伊東温泉競輪場と

今回は静岡競輪場と答えた

あやしくないと思っているのは私だけかもしれない




第15話 獲得賞金

2000年12月24日、有馬記念の日をもって中央競馬は今世紀のスケジュールの幕を閉じた

それにしても
第45回有馬記念を制したテイエムオペラオーはたいしたものだ

1着、本賞金1億8000万円
重賞8連勝でG1は6勝目、天皇賞(秋)、ジャパンカップに続くG1 3連勝で
特別褒賞金2億円も獲得した

なんと当日、3億8000万円をも獲得
これまでに手に入れた獲得金は約18億円に達したそうだ

牡5歳馬、人間に例えると○○歳という表現もあるが
生まれて5〜6年で18億円も稼いだのは事実である

他にいるだろうか、生まれて5〜6年の歳月でこれだけ稼いだのは
ディズニーのキャラクターかタレパンダ位であろう
(キャラクターグッズもろくに知らないものが、また余計なことを、、、)

12月24日(同日)、国内の他場でも、ドラマはあった

帯広(ばんえい)   85→4.2
水沢競馬場     200→29
金沢競馬場     300→24
益田競馬場       55→0
佐賀競馬場    350→17.5
荒尾競馬場     200→10
そして
JRA有馬記念   18000→1800

データー分析苦手なものがデーターに表そうとすると解かり難くて仕方ないものだ

競馬場の右に記載した数字(単位:万円)は
その日、それぞれの競馬場でのビッグレースの1着→5着の賞金である
例をあげれば
荒尾競馬場の第9レース、サラブレッド系3歳優駿(D重賞)で
1着エスパーアラオの賞金は200万円、5着タヤスライナーの賞金は10万円であった

JRA有馬記念の5着アドマイヤボス(武 豊騎乗)も 1、800万円も稼いでいる

同じ競走馬に生まれてながら

こんな事を考えながら急に我に帰った

当日、有馬記念を外した私の人生
まさに
益田競馬場の5着馬、当日獲得賞金0円のローゼンラブリーのような1日であった
いや
重賞にも参加できてない

そんな人生かも