ヒ ト リ ゴ ト

 旅先で見たことや思いつきで感じたことを自由気ままに書き込んでます
常時メンテ出来ないと思いますが
時々遊びに来てね

第94話 ツバメの巣

無料バスも出ているようだが
駅前の福屋デパート周辺が工事中のため
無料送迎バスの発着所がいまいち判らず
路面電車に乗った
市内なら一律150円圏内である

5番乗場の広島港行きにて海岸通で降りればわずかな距離
その競輪場の早朝売場には
すでに、夢を求めた人達が集まっていた
そのなか
気になる張り紙を眼にした

『8月6日は平和記念日の為、払い戻しは行いません』

一発の兵器により当時の広島市の人口35万人(推定)のうち
約14万人が死亡したとされるヒロシマへの原子爆弾の投下
第二次世界大戦(太平洋戦争)末期の昭和20年8月6日午前8時15分


その過去の過ちを
思い出さずにはいられなかった



瞬時に壊滅し廃墟の街となった復興資金の確保
また、民衆の娯楽施設作りのひとつとして
当時、小倉からブームが広まった競輪場施設が広島市により建設された
まさに、その場所に立っている



もう既に気温30℃を超える猛暑の中
早朝販売場で時間を潰し10時の開門を待った
まだ時間は充分にある
しかし
終わりの時間は気になった
広島空港15:50分発の羽田行きに乗らなくてはならない
せいぜい5〜6レースまでであろう

念のため警備員にタクシーは拾えるか確認したところ
「タクシーはいつも2〜3台は止まっているが、競輪を買ってるので走ってくれないかと・・・」

その気持ちも
判る!


ふと目にした張り紙に
『広島駅行き無料バス出発予定時刻』
9時55分から13:25分の間に8本の時間が書かれていた
どうやら
無料送迎バスは最終レースが終ってからの一便だけだが
広島駅から観客を運んできたバスにも乗れるようだ

12時42分発走の第5レースを着地として
猛暑の中、駐車場脇の公園で出走表に赤ペンで夢を描き始めた



入場券を購入し開門を待つ4〜5分の時間を
いつもなら長く感ずるが
入り口近くの屋根に巣を作ったツバメが
今にも飛び立とうとしているヒナにエサを運ぶ光景を見ているうち
あっという間に時間が過ぎていった


周辺に高層マンションが立ち並び、学校も隣接している
やけに丸く感じるたまご型の400mバンクにも
容赦なく灼熱の太陽が降り注いでいた



5レースの戦いを見終え
無料送迎バスにて広島駅に向かい
空港行きのリムジンバスに乗り換え帰路に着いた

レースの戦績はどうだった?かって
競輪場内の売店『リンリンハウス』で200円のたこ焼きを食べた事しか
記憶に無い






広島競輪場ご関連者様、お世話になり有難うございました

この旅、まだまだ続く


第93話 休肝日

今日は参院選の投票日である
もちろん、期日前投票を済ませてきたので
競艇の投票に没頭できる


昨夜は飲み放題の店で時間をつぶし、小倉駅周辺の宿に止まり
始発の電車にて”青春18キップ”の旅
8時38分にJR山陽本線の徳山駅に降り立っていた


新幹線口より競艇場への無料タクシーがある事は事前に調べていたが
それにしても
まだ早いだろう!
駅向こうに”大分行きヘフェリー乗場”の看板が見えた
時間も充分あるので
海沿いを目的地に向かって
散歩がてら歩こうかと思った矢先


タクシー乗場で
競艇場に向かおうとしている男性の姿が観えた

ひとそれぞれ行き先は違うが
ギャンブル場に向かう人の姿はひと目でわかる

経験で養われた勘である



そのタクシーに近寄り
「競艇場行きの無料タクシーですか?」と聞くと
「そうっちゃ」
「時間があるから競艇場まで歩こうかと考えていた・・・」
と伝えると
「なにやっちょる、競艇場まで遠いから乗って行きっちゃ」

その言葉に甘え
タクシーに便乗した

この時点で、まだ
その後におきる悲劇のドラマの想像すら出来てなかった


タクシー乗場でもらった本日の出走表に目を通す前に
ビールを買ってない事に気付き
走行中、コンビニや酒屋の看板に注視した
競艇場で降りたら
少し歩いて戻れる範囲での一番近い店を目で追っていた



10分以上走っただろうか
競艇場に着いたとき、歩いて10分位戻れば買える酒屋はマーク出来たが
なんと
競艇場入り口付近で聞こえた場内放送で
既に終ったレースの結果が伝えられていた
出走表を見て
その時、初めて知った

今日はモーニングレース
第一レースの発走は8:56分
そして
それは、すでに終っていた



ビールも買えず第一レースにも間に合わず
重い足取りで入場した
そして、すぐ
警備員に聞いた
「場内でビールを販売している場所ってありますか?」

「場内ではアルコールは販売してません!」





瀬戸内海が堤防で仕切られ
外は自然との闘い、内は人との戦い
モーター音とセミの鳴き声が止むことは無い


周囲の雑音が聞こえない位、勝負に集中した
でも
当らない




気分転換に場内を回り、売店で販売されてたあやしげな缶をみつけた
「それって何ですか?」
「ノンアルコールビールです!」
まず一缶買った
ま、なんとかごまかせる

それでも、レースは当らない

そして
ノンアルコール3缶目にして
これはビールで無い事をさとった
既に私の肝臓も悲鳴を上げていた

たまには休肝日
肝臓を休める事も必要だろう


最終レース終了後に出発する駅までの送迎バスを待ち
未練を残した競艇場を後にした


青春18キップを使い今宵の寝床を探してる際
ふと、広島風お好み焼き&ビール飲み放題(980円)の店看板を見つけ
疲れを癒すこととした

2日続けて負けることは数多く体験しているが
2日続けて飲み放題の店に入るのは
久しぶりである


とにかく
今日あった出来事は




全て、忘れたい






徳山競艇場ご関連者様、お世話になり有難うございました

この旅、まだまだ続く


第92話 えと

干潟のうえを滑るように下降し
青空がまぶしい有明佐賀空港に着いた

9時25分発の連絡バスに乗り佐賀駅
そこからJR長崎本線の肥前山口駅経由でJR佐世保線の武雄温泉駅
時計は既に12時を過ぎていた
がばい!
いや、”やばい!”急がねば!


駅前で客待ちしていたタクシーにかけ乗り
競輪場に一番近いコンビニに行って欲しいと伝えた
念のため運転手に確認した
『そのコンビニでビールは売ってますか?』



店で燃料を確保し
約200m先の競輪場に着いた頃
もう既に終了した第2レースの結果放送が場内にこだましていた

周辺、山に囲まれ
こじんまりとすら感ずる400mバンク
これからの戦いがこのバンクで繰り広げられる

先ほどコンビニで仕入れたビールはいつ飲むの?
”今でしょ”
ビール片手に出走表に目を通した


通常、9人で戦うレースが多い中
選手を集められなかったのか
次のレースは7人で戦う”7車立”であった
配当は安いかも知れないが
これなら取れる!
確信をもって投票券を買った

しかし
はずした・・・

そして、次のレースも
はずした


流れを変えるため、食堂で650円の皿うどんを食べ
次のレースに挑み
また、はずした




多くの偉人たちに愛された歴史ある名湯、武雄温泉
最近、佐賀の唐津市出身の辰野金吾氏が手がけた建築物である東京駅
その修復工事の際
JR東京駅丸の内駅舎のドームにある八つのレリーフ
丑(うし)・寅(とら)・辰(たつ)・巳(み)・未(ひつじ)・申(さる)・戌(いぬ)・亥(い)
しかし残りの4つのえとが無いのが謎であった

その東西南北を示す卯(う)・酉(とり)・午(うま)・子(ね)が
武雄温泉の名所の1つ「楼門(ろうもん)」の天井の隅で発見されたという
その「楼門」を見ることが
今回の旅のもうひとつの目的でもあった


競輪場内で取れたのはファンサービスのひとつ
3、000円の購入券を見せるとガラガラが回せ
その、はずれで貰った”扇子”と
第6レースの勝者
地元佐賀の原司選手が勝利者インタビューをした際に
観客席に投げてくれたTシャツ
車券は一度も取れず
収穫はその2つだけだった


今日は
武雄温泉の「楼門」を見れれば、それで良しとするか・・・
競輪場に未練を残し
温泉街にタクシーで向かった




その「楼門」は20年ぶりの修復工事のため
深いシートで覆われていた

温泉の元湯に涙を残し
武雄を後にした






たけお競輪場ご関連者様、お世話になり有難うございました

この旅、まだまだ続く



第91話 セシボ〜ン

”セボ〜ン!セシボ〜ン!”
フランス語で”良い!とても良い!”
という意味である

そんな異国のことを考えているとき
電車内のアナウンスに気付き、ふと我に返った
「次は終点、”サセボ〜、サセボ〜ン”」

はたして今日は良い日で終えられるか・・・?


佐世保駅前の目前に海がある
”後悔の旅打ち”ばかり続けないで、いつかは”航海の旅”にでも行きたいものだ
ふと目にした”新みなと暫定広場”で”させぼ春の花市”が開催され
多くの花屋さんが軒を連ねていた


実は最近、ガーデニングにも興味がある

クレマチスという花の苗を2つ買い
地図では調べていたが、念の為「競輪場はあちらの方ですか?」と確認をしたところ
「選手の方ですか?」と聞かれた

自転車には乗れるが、ブレーキの無い自転車は乗らない
しかし「選手の方ですか?」という質問になぜか心うかれ
クレマチスの苗をもう一本追加した


駅から海沿いに歩いて10分ぐらいだろうか
今日の戦場に着いた



一ヶ所に集約された食堂店舗、こじんまりと設けられたステージ
一周400mのバンクは綺麗に整備され
周りの景色と調和し、ゴミひとつ無い場内

春の訪れも膚で感じ、しばし時の経過も忘れた


入場口近くで興味がもてる催しを発見した
発走前の購入券2000円分をみせると
スロットマシンに一回チャレンジ出来
当れば景品が頂けるというファンサービスである

さっそく1レースの購入車券を見せチャレンジした結果
な、な、なんと一回目で3等のクオカードをゲットした

その後、5回挑戦した
しかし
結局
場内で当ったのは一回目のクオカード一枚だけだった

車券は当らなかったのか?って



その事には触れたくない!



佐世保駅まで来た道を歩いて戻り
大村駅へと移動し、長崎空港までバスで向かい
自宅に逃げ帰った

暫く、競輪の事は忘れたい・・・





佐世保競輪場ご関連者様、お世話になり有難うございました

この旅、まだまだ続く



前作(1〜5話)はこちら

第1話 競馬場の有効活用?
第2話 予言者と予想屋
第3話 日本は広い
第4話 最終レース
第5話 江戸川区総合区民ホール
前作(6〜10話)はこちら

第6話 不慣れなマークシート

第7話 続)不慣れなマークシート
第8話 ドバイの旅
第9話 興奮持続

第10話 忙しすぎた新潟県競馬場
前作(11〜15話)はこちら

第11話 写真判定
第12話 競輪場の大声自慢
第13話 信号機故障
第14話 あやしい奴
第15話 獲得賞金
前作(16〜20話)はこちら

第16話 中京競馬場にて参拝
第17話 うなぎ
第18話 自転車操業
第19話 ダンジリ祭り
第20話 博多明太子
前作(21〜25話)はこちら

第21話 関門トンネル
第22話 最南端踏破
第23話 ムツゴロウ
第24話 てぬねのむめゆん
第25話 ガード下の納税者
前作(26〜30話)はこちら

第26話 雅子さまご出産
第27話 道しるべ
第28話 東武特急
第29話 台風10号
第30話 大当り
前作(31〜35話)はこちら

第31話 無口なカーナビ
第32話 前日予想
第33話 くるった軌道
第34話 観音様
第35話 8羽の水鳥
前作(36〜40話)はこちら

第36話 カラスの勝手
第37話 たまねぎ
第38話 みずくさ
第39話 かけうどん
第40話 雨のち雷雨
前作(41〜45話)はこちら

第41話 二日に1回二日酔い
第42話 よもぎ入りたいやき
第43話 入り口ゲート
第44話 赤とんぼ
第45話 ビニール傘
前作(46〜50話)はこちら

第46話 天守閣
第47話 大きな地震
第48話 天皇賞まんじゅう
第49話 座右の銘
第50話 豪華グルメ
前作(51〜55話)はこちら

第51話 たこやき
第52話 一人一本
第53話 ドコデモドア
第54話 回転寿司
第55話 うるさい!
前作(56〜60話)はこちら

第56話 汚職事件
第57話 花火大会
第58話 精霊流し
第59話 天使の微笑み
第60話 クラーク博士
前作(61〜65話)はこちら

第61話 キタキツネ
第62話 森の妖精
第63話 ポケット
第64話 小走り
第65話 格闘技
前作(66〜70話)はこちら

第66話 ゆで卵
第67話 草むしり
第68話 番外地
第69話 白紙撤回
第70話 青春18キップ
前作(71〜75話)はこちら

第71話 特急リレーつばめ
第72話 思い込み
第73話 帰り打ち
第74話 船酔い
第75話 ピスタチオ
前作(76〜80話)はこちら

第76話 地獄めぐり
第77話 日本の夜明け
第78話 冷たい財布
第79話 坂本龍馬
第80話 霧が無い
前作(81〜85話)はこちら

第81話 リニューアル
第82話 高知から高地へ
第83話 中部電力
第84話 京都の恋
第85話 ツクツクボウシ
前作(86〜90話)はこちら

第86話 ウォシュレット
第87話 男の花道
第88話 不思議な鳥
第89話 得した気分
第90話 玄界灘