ヒ ト リ ゴ ト

第26話 雅子さまご出産
第27話 道しるべ
第28話 東武特急
第29話 台風10号
第30話 大当り

第26話 雅子さまご出産

やばい!!

目が覚めたのは、いつもの仕事に出かける時間ではないか
前日、調子に乗りすぎて飲みすぎたのが原因である事はあきらかである

身支度の内、3つを省略することとした
歯磨き
髭剃り
そして、一杯のコーヒー

省略出来ないトイレの中で
大切な事実にやっと気付いた

そうか
今日は仕事が休みの土曜日ではないか。。

重苦しい気分が一瞬で払拭された


気持ち改め、目覚めのコーヒーを口にしながら
立川競輪に行く事を決意するまでには、そう時間はかからなかった

昨日は2001年11月30日
立川競輪場と前橋競輪場で全国に先駆けて記念すべき3連単車券の発売がスタートした日である

目新しい事には参加せずにはいられない


昨日の立川競輪場の初日3Rでは
(7−1−5) 70、610円
前橋競輪場では、初日8Rで
(4−7−5) 110,430円という
夢の様な配当が出ているではないか
2車あてるのもなかなか難しいが
しかし
宝くじと同じく
「買わなきゃ当らない」

と・・・・・だれかのささやき声が聞こえてきたような気がした

おそらく、私の勝負の神様が囁いたのであろう

先ほどまでは”仕事に遅れるかも知れない”と重苦しい気分であった

いつの間にか、スキップ状態で駅まで向っていた


JR武蔵野線にて西国分寺、そして中央線に乗り換え立川駅で降りた
電車の中では 【今日にも雅子さまご出産】 の新聞トップ記事が目についた
マサコサマ・・・??産後・・・???
9車立ての3連単の組み合わせは、なんと504通りもあるそうな
考えてもなかなか取れるものでもないであろう

今日は3と5を軸にして購入しようと決断した


久しぶりの立川である
以前は駅のすぐ前から出ていた競輪場行きの送迎バスであったが
50mほど離れた先に移されていた
もちろん誰に聞くまでもなく
異様な集団の動きが導いてくれた

バスで10分位であろうか、立川競輪の正門に着いた

第一レースまで20分位はあろう
マークシートに
2枠複 3−5
2枠単 3−5
2車複 3−5
2車単 3−5
そして初の3連複、3連単、ワイドにそれぞれ
3−5から総ながしに印をつけ終えても
まだ時間のゆとりがあった

400mバンクではあるが、なぜかバンクが小さく感じた
最近、競馬観戦が多かったからそう感じたのかも知れない

場内見学中に発見したティーサービスコーナーでは通常のお茶、水以外に
コーラ、コーヒー、メロン、オレンジと無料である
実に丁寧なサービスだ
ま、そんなに飲めるものではないと思いながら
3杯ご馳走になった




あっというまに3Rが終えた

戦績はどうだったかって?



早く忘れたい


今日が仮に休みではなく、いつも通り仕事に出かけていれば
こんな無駄遣いもしなくて済んだのに

そんな事を考えながら
早い時間ではあったが家路についた

「皇太子妃雅子さまは1日午後2時43分、皇居内の宮内庁病院で女のお子さまを出産された」
ニュースが耳に入ったのは自宅に着いてからの事である
よくよく考えてみると
これからが産後(3−5)の始まりではないか!!

立川競輪場ご関連者の皆様お世話になりありがとうございました

皇太子妃 雅子さま
内親王ご出産おめでとうございます
この場をかりてお祝い申し上げます





第27話 道しるべ

2001年12月9日(日曜日)
久しぶりにJRAの中山競馬場に訪問した

私の住いから電車で15分位の場所であるが
来場するのは昨年の第45回有馬記念以来の約1年ぶりである

今日は、昨年の第52回 朝日杯3歳ステークス(GI)を最後に今年新たに2歳馬の祭典として改正された
第53回朝日杯フューチュリティS(GI)が開催される日である

巷では
アカ抜けた馬体が2歳馬離れしているアドマイヤドンとか
スターエルドラードが坂路の併せ馬で豪快な動きを見せて絶好の仕上がりだとか
新潟2歳Sの勝ち馬、バランスオブゲーム(宗像)陣営がG1優勝に向け自信を深めているだとか
ゲイリーファントムが運を味方につけて不気味なムードだとか

はたまた
ビッグスマッシュが、イチロースワンが、ホーマンウイナーが
藤田 伸二騎手が、横山 典弘騎手が、柴田 善臣騎手が、M.デムーロ騎手が、、などなどと騒いでいる


所詮賭け事

私には、まったく興味が無い



今回の目的は
第46回有馬記念の前売記念入場券の購入と
今年、4月21日(土)から中山競馬場にATM(自動預払機)が設置されたというが
実際にどのような運用をしているかに興味があった

実は、私の体験の範疇でレース場での銀行のATM機を見かけたのは
児島競艇場(岡山県)内に設置されてた中国銀行くらいである


ATM機があらゆるギャンブル場にあれば
帰りに大金を持ち運ぶのが心配で入金する人より
圧倒的に
明日からの生活費に手を出す人が多かろう



有馬記念の前売記念入場券とATM機の確認は直ぐに終え、あっという間に、今日の私の訪問目的は終了した

ちなみに、ATMでは、すべての銀行キャッシュカードが利用可能で
設置台数は4台。設置場所はスタンド地下1階競馬ギャラリー前(42番柱付近)で運用
時間は9時〜17時(開催日のみ)
利用可能銀行はMICS(全国キャッシュサービス)加盟銀行で、1000円単位で出金できる




まだ1Rスタート前
目的を終えたが、帰るには早すぎる時間である
天気もいいし、少し観戦して帰ることとした



あっというまに9Rも終わった、その時点で
再び、地下1階競馬ギャラリー前のATMに行ってみた
え、再調査かって?

いや
入金でもない

11Rの朝日杯フューチュリティSを買うお金が無くなった





中山競馬場には、JR武蔵野線の船橋法典駅が便利である
競馬場口から降りるとすぐ入り口ゲート
地下道(ナッキーモール)の4つの動く歩道が場内へと軽やかに運んでくれる
もちろん
帰りに足取りが重く感じても
けっして動く歩道の速度が落ちている訳ではないことは明らかである


船橋法典駅まで東京駅からは武蔵野線で一本、40分位であろうか
本数が少ないので注意してほしい
秋葉原からは総武線の西船橋駅で武蔵野線に乗り換え一駅である
車での来場は、開催、非開催(場外発売日)問わず長蛇の渋滞
有料駐車場も離れた場所しか確保し辛く
なるべくなら電車での来場を勧めたい


え、
何故、交通手段を詳しく書いたかって?

中山競馬場に始めて訪問される方に対し、迷わないように “道しるべ” のつもりである


ま、
仮に、この情報だけをたよりに
初めて訪問する人がいるとすれば・・



既に
歩む道が違っているかと・・・



中山競馬場ご関連者の皆様お世話になりありがとうございました

明日はいずこへ





第28話 東武特急

あと数日で新年を迎えようとする12月29日
意を決して宇都宮競馬場に向かうことにした

自宅からは東武特急きぬ号を利用すれば1時間とすこしで栃木に着くであろう
しかし
今回は特別急行を使わず、料金的にも安い準急を使っての片道2時間30分のコースを選んだ
その理由は二つある

一つは
まさに通り過ぎつつある過去、そして目の前にある未来
このあわただしい現在社会、とかく考える為の時間をおろそかにしがちである
そんな人生の無駄とも思える時間が欲しかった

そして
もう一つの理由は


金が無い



飽きるほどの時間、電車内で考えた
そして、なんども何度も追い越していく特急車両の鮮やかなオレンジ色の車両のラインを眺めながら
一つの人生の結論にたどり着いた

”今日は7枠で勝負する!”


栃木駅にて乗り換え
昼過ぎには東武宇都宮線の西川田駅に着いた

以前は車で行った為、駅からの道順は知らなかったが
事前情報によると競馬場は駅から歩いて5分位の距離である
しかし、その迷いは改札を出た瞬間に払拭された



馬の匂いに導かれ最短距離で競馬場に無事着いた
以前と変わらぬ場内を一回りして
早速、勝負に出た

目標は既に決まっている
それは
”有馬記念で負けた分を取り返し、帰りは特急で帰る”






今日は7枠がこないと気が付くまで、そうとうな時間とお金がかかった
そしてこの冬一番の寒さを体験し

最終10Rの北関東リーディングジョッキーズカップの結果を後ろに聞きながら
帰りも2時間30分のコースにて
うつのみや競馬場を後にした


来るときよりも金がない
電車の中で気付いたが、既に遅かった
ま、過去の出来事
来年こそは良い年にしたいと願いながら
無事帰宅、そしてこのレポートを記す


明日は換気扇の掃除でもしようかな?!!

宇都宮競馬場ご関連者の皆様お世話になりありがとうございました

明日はいずこへ





第29話 台風10号

2003年8月9日(土曜日)
今日から待望の夏休み
なんと9連休もある

既に無謀ともいえる壮大な計画は仕上がっている

それは
休み前半、近場で軍資金を稼ぎ
その大金を手に
後半、旅に出る


前日のニュースは台風の話題でもちきりである
久々の大型台風が日本を縦断しそうである
沖縄、四国と暴風雨圏内にはいり多数の猛威を振るっている

交通機関にも影響が出
旅行客も色々な場所で足止めされているようである


風の音で目が覚めたのは朝の6時ごろ
窓から眺める限り
風は強いが雨は降ってないようだ

これは行ける
野性の勘がはたらいた
すこし荒れた方がレースは面白い


目覚めのコーヒーを手に
本日の作戦を練った
近場の松戸競輪の出走票を見ながら
今回はデーターで勝負する事にした

色々な角度からの分析に入った




気が付いたらあっという間に10時前
そろそろ出かけなければ1レースに間に合わない
いざ出陣
そんな矢先
家族から声がかかった

「台風来てるみたいだからやめたら・・・」

出鼻をくじかれる言葉である

べつに航空機や船を使うわけでもない
電車で15分もあればいける場所である
そして
今日を外したら
今まで練り上げた夏休みの計画全てが白紙になる


駅に着くと風の影響か電車も遅れている
土日運行でもあり、すこしいらだちながら電車が来るのを待った

まだまだ時間はある
「今日は外せない」

自分に言い聞かせながら


松戸競輪場のある北松戸駅に付いたは10時40分
ギリギリであったが
なんとか1レースに間に合う時間である
これも普段の行いが良いから・・・であろう


すこし小走りで駅の階段をかけ上がった時
私の耳に、とあるアナウンスが飛び込んできた


「台風のため本日の松戸競輪は中止いたします」



第30話 大当り

早朝から松戸競輪場にいた

入り口付近ではいつものように”ラッキーカード”が配られていた
場内ファンサービスの一環で
朝早くみえるお客様に先着でサービスされるものである
早出賞などとも呼ばれ、景品を配ったりする事もある

賭け事さえしなければ何百個でも買えそうな単なる粗品である


今朝は”ラッキーカード”
第7レースの3連単の払戻金の下2ケタと配られた紙切れに刻印されているナンバーとが一致すれば
1000円分のクオカードが頂けるというものであった

今までこのようなものに当った経験は少ないので
単に
「早く帰らないで7レースまで居ろ!」
と書かれている指示書にしか私にはみえない


「ま、こんな些細なことで”ツキ”を使いたくない」
くじ運の悪い私自身には、いつもそう言い聞かせている


近くで
「名前と住所を書けば抽選で・・・」との呼び込みを耳にした

2005年日本国際博覧会協賛で
☆ 愛・地球博協賛競輪 決勝 ☆

メインレースにくまれているようだ


当る気はしないが”抽選”という言葉にはなぜか弱い

とりあえず配られた紙に必要事項を記載し
目の前にあった抽選箱に手を入れようとした矢先
係員から
「この箱は選手が引くものです」って注意を受けた

どうやら観客から集めた”申し込み用紙”を抽選箱に入れ
本日11レースの決勝出場選手にひかせるというアトラクションのようである

ルールも確認しないで
”当る”という言葉だけで
なんでもかんでも申し込んでしまう自分の弱さを再認識させられた



今年の4月から選手のユニホームの色が変わったとは聞いていた
今までは
1番:白
2番:黒
3番:赤
4番:青
5番:青
6番:黄
7番:黄
8番:緑
9番:緑
であったが
競馬のような並びのカラー白、黒、赤、青、黄、緑、橙、桃となり
9番車は紫というユニホームである

実際に場内で観るのは初めて
それ位に久々の競輪である
だからとは言わないが


取れない、取れないが続きあっというまに7レース
結果は4→1→8
3連単配当は47,650円

買った車券では無く、早出賞でもらった”ラッキーカード”を眺めてた自分に情けなく思ったが
これも外した



場内放送で
☆ 愛・地球博協賛競輪 決勝 ☆の出場選手の紹介のアナウンス
そして

11レース出場選手
1番 會田 正一 (千葉)
2番 市田 佳寿浩 (福井)
3番 小山 琢磨 (熊本)
4番 神開 将暢 (福岡)
5番 北野 武史 (石川)
6番 品田 浩二 (群馬)
7番 水書 義弘 (千葉)
8番 郡司 盛夫 (神奈川)
9番 安福 洋一 (奈良)

選手紹介
決勝に望む力強いコメント
また
抽選箱から一人一人が抽選用紙を引く
そんなアトラクションであった

しかし
選手の決勝に望む力強い言葉とはうらはら
最終11レースまで持ちこたえられる自分の姿はそこには無かった


9レースを過ぎ「今日はこれ位で許してやろう」

いつもの捨て台詞を吐きかけた頃
なんとなんと

場内放送で私の名前が呼ばれるではないか


神も見捨てたものではない

アトラクションの中、選手の一人が私の抽選用紙をつかんでくれていたのだ

早速、サービスカウンターに行き
バックとぬいぐるみを手にした
永かった苦痛の人生、やっと光が差し込んできたのか

最終11レースまでなんとかつなぎ
持ち金全て、私に希望をもたらしてくれた”その選手”に賭ける事にした

11レース〜
1着5番〜、2着1番〜、3着4番〜
場内放送を後ろに聞きながら家路に着いた

帰りの電車の中では抽選で当ったバッグの裏に書かれていた
品田 浩二選手のサインの部分を隠しながら・・・


松戸競輪場ご関連者の皆様お世話になりありがとうございました

明日はいずこへ