ヒ ト リ ゴ ト

第36話 カラスの勝手
第37話 たまねぎ
第38話 みずくさ
第39話 かけうどん
第40話 雨のち雷雨

第36話 カラスの勝手

大津プリンスホテルのスイートルーム
この窓から観る琵琶湖
これが”みずうみ”
信じがたい光景である

そんなホテルが一望できる近くの駐車場の車の中で目が覚めた

鶯までは期待してないが
せめて
小鳥のさえずりで目覚めたかった

私を起こしたのは
”ギャー・カー”とうるさいカラスどもであった

「まだ4時だぜ」

びわこ競輪場の開催時間までなにをやれば良いのか

それを探すために車を走らせた

マラソン、釣り人
色々なライフスタイルを楽しまれている人々を発見した
湖面も穏やかである
今日こそはと願いつつ
競輪場ちかくのマックが開くのを待ちわびとび込んだ
この辺りではマクドかもしれない


ここびわこ競輪場のバンクは500m
中央部分は芝生で覆っていた
今日は特別な開催でもない
その為か
横断幕も一旗しか掲げられてなかった
広さゆえか
なんら飾り付けのないコースに映った


北補助スタンド側からも
南補助スタンド側からも
バックストレッチ側に移動できない

「関係者以外通行禁止」
その看板が気になる

おそらくその奥にある3つのビルは
中央が”宮さま”などが観覧される貴賓席、その両側は選手宿舎と関連者施設であろう
500mバンクという広さだからできる配置である


窓口のひとつに”ボート専用払戻”と記されていた
琵琶湖競艇場の舟券払戻機のようだ
競艇の場外発売はやってないらしいが
それにしても珍しいコーナーである

”大口払戻”の窓口には60万円からと記されている
今日の目標は決った
昼は”レストハウス銀輪”で一番高いメニューから選ぼう


スタンドの一番高い場所に上り
周囲をみわたした
裏には琵琶湖が観れる
そのなか
いくつもの波しぶきを発見した
お、競艇かと一瞬思ったが周り方が逆である
どうやら
ジェットスキーを楽しんでいる人たちのようだ
ギャンブルのことしか考えてない自分が怖い

東の風、風速0.5m
レースが始まった頃、奥の”貴賓席?”に予想紙のようなものを広げている5、6人の人影が見えた
関係者なら投票はしないであろうが
もし私なら我慢できない最高の場所だ


あっというまに5レースも終了し
”レストハウス銀輪”はあきらめ
”大穴亭”の昆布うどん500円を食した
”大穴でよろ昆布”

しかし
勝負の世界、洒落は通用しなかった

どうやら直線の長いコース、私は苦手のようだ
もっと早く気付けば良かった



びわこ競輪場ご関連者様、お世話になり有難うございました

この旅、まだまだ続く






第37話 たまねぎ

ゴールデンウィークも大詰めの5月4日
ここ豊橋競輪場北口の駐車場は
早朝販売を買い求めるファン達の車の往来でその朝をむかえた

明け方から降り出した雨足も強まり
正門前はいまや遅しと開門を待ちわびる多くのお客でごったがえしていた
その数なんと27人
ヒマに任せて数えてしまった


左手には傘
右手に50円玉をにぎりしめ
10:15分の開門を待っていたが
関係者のご配慮か
5分ほど前に開門された
なんと
早出賞のタオルを手にしたのは3番目という快挙である
ここで全ての運を使い果たしたとは
まだ気付かなかった


雨足が一段と強まった
こんな日は
荒れるか堅いかどちらかであろう

そう言っておけば
どちらか当る

コースは33バンク
バンク内には芝あり池あり花壇あり
綺麗に手入れされていた
さぞ選手達も気持ちよく競走出きる事であろう

場内の一角で
競輪用品とは関係のない商品を並べたバザーが開かれていた
珍しい光景である
周辺は住宅地、地元に密着した雰囲気を肌で感じた

しばらく探索をしていると
不思議な場内アナウンスが鳴り響いた
「♪♪ メインスタンド一階にて予想屋によるレース解説がはじまります ♪♪♪」
興味を持ちその場に向った

7、80の席に観客があつまり
マイクを持った予想屋さんが
全レースの予想を紹介し始めた
ひとくせもふたくせもありそうなおやじ達が懸命にペンをとる姿は異様な光景であったが
なんとも心温まるファンサービスではないか

ここ豊橋の投票カードは少し変わっていた
左上に豊橋、他場との2つのチェック項目があり、本来、他場購入の場合以外はチェックしないという場所が多いが
本場開催にも関わらず豊橋にチェックを入れないと受け付けない
すこし慣れるまで戸惑った


1レーススタート時点でうそのように雨もあがり
そして、満足のいく車券が取れた
一本150円の串カツも大きく見えた
その後、掛け金も次第にあがり
こころも大きくなっていた

串カツが大きいのはコロモに包まれた中身のたまねぎが大きかっただけ
食べるまで気付かなかった
レースが進むにつれ
私のコロモも徐々に剥がれてきた

そして
6レースの打鐘を後ろで聞きながら
再入場券をにぎりしめその場を去った

これからUターンラッシュというブラックホールへの突入である
気分が重い


豊橋競輪場ご関連者様、お世話になり有難うございました

あすはいずこへ・・・





第38話 みずくさ

水草の異常発生で7月レースの一部の開催を休止した桐生競艇場に向った

ナイター開催
今回は車での旅
さほど急がなくとも十分な時間がある

いつもどおりの朝を迎へ
7時過ぎ松戸競輪場を横目で見ながら
国道6号線

国道16号線
岩槻
国道122号線
太田
国道50号線

そんなコース取りを選んだ

気まま旅
カーナビは使わない
地図は持たない

と言えば聞こえが良いかも知れないが



カーナビは買えてない
地図は忘れた
単にそれだけの事である

我が家を出るとき
なんと
家族がいつになくいやな顔をしている


そういえば
風呂の水あか取りとカビ掃除の約束をしていた
それを
すっかり忘れていた

地球温暖化?桐生競艇場”藻”の異常発生
そちらの方が
数十倍
重要な問題であろう

そう自分に言い聞かせながら車を走らせた


10年にもなろうか
前回は電車、タクシーと乗り継ぎ正門側から入った
今回は北門に車をつけた

14:00開門まで、まだ2時間もある
その時間を場外前売りでつぶすことにした
いくら使っただろうか
まだレースも始まらないのに
なぜか熱くなっていた


群馬の”からっ風”とは言われるが
出走表を開けないほど、とにかく風が強い

夏休みもあわさり、子連れの客も多く見かけた

あと30分くらいで開門である

すこし小腹が空いたので北門場外でたこ焼きを食べる事にした

『”築地銀たこ” ”一舟” ”大玉8個入り500円”』

”一舟”という表現がなんとも粋ではないか


その矢先
なんと
私の前で
たこやきの皿を持った子供の
その”たこ”が
突風に飛ばされたではないか

”たこ”を飛ばすのは正月だけでよい

そう思い
今は我慢し場内で食する事にした


レース大半の勝負が左右される
第一ターンマーク側は新スタンドの建設中
ナイター用のライトの鉄柱もあわさり
期待する展望は望めなかった

以前訪問時
”阿左美水園”という公園の中で遠慮がちに運営している競艇場というイメージに残っていたが
観る限り競艇場の方が幅をきかせていた

相変わらず風強し
湖面大荒れである

競艇ナイターは始めての観戦
湖面に出来た照明の路
そこで戯れあう波たち
まさに幻想の世界である

心を奪われる

久々に最終12レースまで観戦した
そして
全てを奪われた

桐生競艇場ご関連者様、お世話になり有難うございました

あすはいずこへ・・・





第39話 かけうどん

前橋グリーンドームの2階外を一周した

”ゴジラ生誕50周年記念” 『夏休みゴジラフェスティバル』が開催されているが
それを観に来た訳ではない

前橋競輪場の10:00開門まで
まだ時間はある

完備された道路、直ぐちかくは広瀬川が流れている

ドーム近くの旧競輪場では
朝早いというのに選手の練習している姿がみえた
それ以外では
高校生の自転車競技にも利用されているようだ

まさか賭けてはないと思うが


正面入り口から
早朝前売所と外向き投票所を兼ねている西口入場口
そして
正面入り口へと戻ったとき
ふと気付いた
競輪とは違う右回りであることに
もう一度まわり直そうかと思ったが

やめた

途中で面白いタテ看板を見かけた
『 ちょっと待て! 次の物は持ち込みできません 』

【常時】
ペット・危険物・風船

【競輪開催中】
アルコール類・カメラ

・・・グリーンドーム前橋・・・

普段は持込できるアルコール類を競輪開催中に限って禁止しているとは
何故かおかしくなった


100円玉を握りしめ正面開門を待っている間
面白い会話を耳にした

「前橋ドームは綺麗過ぎて競輪場では無いみたい」


喫煙者には辛いかもしれないが
汚すぎて二度と行きたくないよりはいいだろう


入場後
2階から探索を開始した
今度は
ルール通り左回りである

2階では”うな重”1050円
これはマークした
それ以外に”上州御用・鳥めし”などもおさえておきたい

3階には軽食” いづ ”の一軒しか店は無いようだ
メニューはどこの競輪場でも見かける品々
ここはマークの必要もないだろう

この階には
”競輪情報コーナー”もあった
選手のサイン、ユニホームなど展示していたが
特に目新しい発見は出来なかった

4階は全国で唯一の前橋競輪だけの335mバンクが一望できる
ここを定位置と決め
喫煙室と売店を兼ねている”ファイブピット”と”ふれんど”の二店で朝食をとる事とした
ホットコーヒー100円
サンドウイッチ150円
これで完璧だ

4階の上はロイヤル席
その上6階はゴンドラ席
ともに500円
私には未知の世界である

4階にも面白い掲示があった
5階:和風レストラン”どりい夢”
”夢定食”が売りなのか?写真は貼ってあったが価格は書かれてない

「お食事のお客様 一声かけて5階までお上がり下さい」
そんな注釈もあった
ロイヤル席には入らないが食事だけをするお客様を招いているようだ

2階の”うな重”も気になるが”夢定食”も気になるところである

外回り、2階、3階、4階と都合4周もした
選手と同じ距離
いや
それ以上の距離を動いたことだろう
その疲れが災いしたのか
思いどうりのレース展開にはならなかった


昼は
3階に降り、軽食” いづ ”で350円の”かけうどん”を食べ
後半レースに賭けた

ネクタイを締めた無口な予想屋さんを観ながら
早々レース場を後にした

帰りの国道17号線
混んでいた


前橋競輪場ご関連者様、お世話になり有難うございました

あすはいずこへ・・・





第40話 雨のち雷雨

伊勢崎オートレース場にいた

駐車場で車のキーを抜いたのは開門まじか
そのころ
小降りだった雨も大降りとなり
傘もささずに場内へと飛び込んだ私は
まるで”どぶネズミ”のようになっていた

本日はナイター開催
初のオートレースでのナイター観戦に胸躍らせての来場であるが
レースが豪雨のために中止にならない事だけを祈った
それほどの雨足である


何年ぶりかであるこの地
当時の意識の残像とはすっかり様変わりしていた

近年出来たのであろうか
西観覧席
”ゆったりした空間の中に、グループ・カップル等思い思いのご観戦を堪能してください”

うたわれているようだ

観戦には最高の席にみえた
そして
なんと
その最前列があいているではないか
普段の行いの良いものには
こういうチャンスも訪れる

いちもくさんにその席に着き
そして
すぐさま退散した

「この場所は雨に濡れる」


1レースが始まる頃には
まるでバケツを反したような豪雨
なんとかレースだけは行ってほしい
4時間もかけてここまで来た

その願いが通じてか1レース予定時間には
なんとかレースが施行できる雨量に変化していた

レース場は綺麗に整備されているように観えたが
ところどころに水溜りが出来ていた
そこではバイクの水しぶき
コーナーではまるで競艇のモンキーターンのような追い越し戦がみられ
また
かわいた走路では選手の靴底と路面とが争う火花をも観る事ができた
ナイターならではの光景である


濡れた路面でのハンドル操作も不安定であろう
ぐらつきながらバイクを操作する選手
その商売道具は
選手が個人で管理購入する
一式約170万円
エンジン本体は約75万円のAR600型バイクである
この内容は
場内”ガイダンスコーナー”に展示紹介されていた

私が”こけて”も2〜3千円のハズレ
選手は”こける”と245万円の損害
賭ける者以上に選手の方が真剣であろう

途中”雷”も鳴り響き
波乱な結末でナイターの灯も消えた

帰りは近道と選んだコースで来るときよりも時間をかけての帰宅
どうも
間違った道を歩んでいるようだ


伊勢崎オートレース場ご関連者様、お世話になり有難うございました

あすはいずこへ・・・