ヒ ト リ ゴ ト

第41話 二日に1回二日酔い
第42話 よもぎ入りたいやき
第43話 入り口ゲート
第44話 赤とんぼ
第45話 ビニール傘

第41話 二日に1回二日酔い

連日の猛暑、なかなか寝付かれない
エアコンに頼ると翌朝なんとなく体がだるい
そのため窓を開けて寝ることが多いが
風吹かぬ夜はつらい

競馬場のパドックでは馬の頭数を追うことがあるが
睡眠の際に羊の数を追うほどの興味は無い
そんな夜はアルコールにたよる
2、3杯の焼酎をがぶ飲みして床につく
そのためか
最近
二日に1回二日酔いである

競走場まわりという
こんな趣味さえなければ
”焼酎”ではなく”ドンペリ”の空き瓶が床に転がっていたに違いない


都営新宿線の船堀駅に着いた頃
完全な体調に復帰していた

迎えのバスに乗り、ものの数分で江戸川競艇場に着いた

1レースのスタートまで充分な時間はある

正門左側の前売り売り場は既に賑わっていたが
まだ場内ひとかずはまばらである

レースプログラムを手にし
単・複購入用のマークカードを探した
はじめのレースは単複券から購入することが多い
もちろん全通りの購入であり、配当の大小は別にしても必ず当る
”まず当てる”
それが、これから始まる過酷な勝負のスタートである

その投票カード探しに手間取った

ここ江戸川も単複の人気はうすく
コーナーも隅に追いやられていた

時代は”高配当”、”一発勝負”、”三連単”、”逆転”、”穴狙い”・・・
なんとも世知辛い世の中だ


と言いたいが

・・・・・取れるものならそうしたい


風強く少し川面は荒れていた

投票所棟と競走場との土手を何往復上り下りしたものか
その間、「一杯500円の生ビール:おつまみ付き」の店に何度も立ち寄りながら

”ツキ”を望んだ
しかし
”ついて来る”のはハトだけであった


帰りは”船堀”行きのバスではなく
少し時間はかかるが
JR平井行きのバスを選んだ

同じコースを選んでは
明日の勝負に差しつかえる


また今宵も焼酎か・・・


江戸川競艇場ご関連者様、お世話になり有難うございました

この旅、まだまだ続く






第42話 よもぎ入りたいやき

JR武蔵野線の新秋津駅
改札を出ると既に迎えのバスが着いていた

日ごろの行いを神さまも見ているのか
たった一つ空いていた席に座ることが出来た
西武園競輪場まではゆうに2,30分かかる
たちっぱなしの乗客をふびんにおもったが
席を譲ろうにも
大半がシルバー世代の乗客だ


西武園駅の北口側の駐車場にあっという間に着いた
何故かと言うと
乗車時
親切にもレースプログラムを警備員が配ってくれた
それと赤ペンがあれば
時間などすぐさま通り過ぎる

周辺の景色を堪能しようとも考えたが
ま、帰りでもいい


入場ゲートに100円玉を入れ
いざ場内に突入した
それにしても早い時間からの混雑である
第47回オールスター競輪初日
さすがの集客力だ

祭りモードの人込みをかきわけ
場内、居心地の良さそうな場所探しをした


以前に訪問したときはそこらじゅう工事のイメージで残っていたが
今はすっかり様変わりしていた
近く遊園地の観覧車が見えるぐらいで
それ以外はまるで自然の中

多くの木々で囲まれていた


イベントのひとつ"秩父屋台囃子”の太鼓ばやしが場内鳴り響く

緊張の坩堝に突入だ

1レースとビールを購入し場内探索を始めた

500mで始めた村山競輪場時代のバンクも平成4年に400バンクへと改装されたが
中央の芝の面積はかなりな広さに観えた
その芝に
選手達応援用の横断幕が張り巡らされていた
その数、ゆうに100は超えようか


”よもぎ入りたいやき”を販売していた
珍しいものにはどうしても手が出る

100円で購入した
”たいやき”そのものは美味しいが
ビールとはあわなかった
やはり何事も
組み合わせというものが大事である


その組み合わせが
最後まで狂っていた
1、2着のどちらかがおさえられない


途中
アテネ五輪自転車:男子チームスプリントでの初の銀メダリスト
長塚智広、伏見俊昭、井上昌己の
感謝の意を込めた報告会などのイベントもあったが

それどころではない窮地に追い込まれていた


帰り、新秋津行きのバスでは座ることが出来ず
長く感じる時間
ずっと
まわりの景色を観ていた

自然の中
高級な街並み
また
貯水池のような場所には”サギ”であろうか真っ白い鳥
大きな”鯉”も泳いでたりしていた


涙でよく観えなかった


西武園競輪場ご関連者様、お世話になり有難うございました

この旅、まだまだ続く






第43話 入り口ゲート

JR京葉線南船橋駅から船橋競馬場入り口ゲートに向った
早足でも5分、10分かかろう
いつも思うに
なぜ駅側に入り口をつくらないのか
さすればもっと便利な立地条件となり
客足も増えそうに思えるが・・・


東京湾沿岸の埋立地にて1950年に産声をあげた船橋競馬場
1986年、貨物線を利用し旅客線として開業した南船橋駅
圧倒的に競馬場の歴史の方が古い
そんな因果関係で
駅と入り口ゲートは背向かいしているのか

今日は中央競馬との交流競走もある
その為か
若いギャル達を多く見かけた

浜町2丁目の歩道橋で

その大半がララポート方面に消え去った


2階売り場がバーコードタイプの新券発売に変わっていた位で
場内
大きな変化は感じられなかった

最近、どの場所でもこの方式の新券が増えてきたが
味がない
むかしの裏が磁気の券の方がそれぞれカラフルで私は好きだ

一階の対面販売の場所でその券を発見し
本日の定位置とした

今日は休日、秋分の日
徐々に観客も増え
数多くの券を購入する私にとっては
券を購入するだけでも大変な作業

ろくに馬をも見ることが出来なかった


久々、最終まで打ち
駅まで向う帰り路
駅側に出入り口が無い理由が判りかけた

このまま
直ぐに電車に乗ると
また同じ失敗を繰り返しそうである

5分10分歩いて
頭をさませ



そんな
競馬場関係者の温かい配慮かもしれない

船橋競馬場ご関連者様、お世話になり有難うございました

この旅、まだまだ続く





第44話 赤とんぼ

JR宇都宮駅西口のバス乗り場12番でバスの到着を待った
この乗り場は競輪場と競馬場の開催日に共に使われている

競輪場行きは9:50分を皮切りに11:00までは10分おき
その後11:20分、40分、12:00、40分、13:20分

競馬場行きは9:30分、10:00、10:30、11:00、11:30、12:20分

圧倒的に競輪場行きの方が本数が多い
そのバスで15分ほど市内観光し
競輪場駐車場に着いた

入り口ゲートまではエスカレーターも完備され
まさに近代的な競輪場である

言い過ぎた

以前来たのが十数年前
その時との感じた変化は
競輪場の”亀”のマスコット「みやかめ」君が飾られていた位である

これまた、言い過ぎた


思い荷物を持っての来場である
右手の袋には500mlの発泡酒が3缶も入っている
準備万端
駅のコンビニで仕入れてきた
今日こそ失敗はないだろう
買い目も決っている
実はバスの中にそのヒントとなるポスターが貼られていた

『おもてなし日本一のまち・宇都宮』をめざして
・・・宇都宮観光コンベンション協会・・・

まさにこの文面である

”おもてなし”なので裏から買う
単純な発想かも知れないが勝負の世界には重要なヒントである



さっそく場内をまわり
ビールのおつまみとなる物を物色した

店数も少なく
そして定食系が大半

私が望んだ”宇都宮餃子”や”揚げ物”系をも見つけられなかった

”おでん”と”鳥の唐揚げ”の2車選択
”鳥の唐揚”げを選んだ

ひと串150円であったが
なんとその一切れ一切れの大きいこと
これって本当に”にわとり”

場内周辺の森林に目を留めながら疑った
なにかそこで育てられている得体の知れない生き物では

それほど大きく感じた

それを二串も買ってしまった


レース始まる頃に気付いたが
上空に多数の”トンボ”が泳いでる
”赤とんぼ”にしては赤くないが
宇都宮という人口45万人以上の大都市の環境で”アカ”が取れたのかと考え
今日の買い目を確定した

それは
3→2→1
その理由は
”赤”と”おもてなし”の二つのキーワード



しかし
3→2→1は
最後までこなかった

そして中盤
その”ばかトンボ”の姿も消えていた

緻密な私の作戦も
この地
”風のワンダーランド”に消え去った


宇都宮競輪場ご関連者様、お世話になり有難うございました

この旅、まだまだ続く





第45話 ビニール傘

朝からあいにくの雨

JR武蔵野線の船橋法典駅までたどり着けば
後は地下道
濡れる心配は無い

右手にビニール傘
左手に新聞紙を握りしめ
いざ雨の中
出陣を決意した

今日はJRAの重賞
” 第38回スプリンターズステークス ”が開催される
芝1200m
まさに一瞬の戦いであろう
雨による走路への影響が気になるところである

それ以外でも
G1レースで初めて3連単が発売されるという
中央競馬の歴史を刻む上でも重要な一日である


久々の中山競馬場
駅から場内へと向う”動く歩道”がある地下道には数多く
” ゴールドラッシュ3連単!!! ”
と書かれた垂れ幕が彩られていた

その昔
カリフォルニアで金鉱が発見された
その時に人々がむらがっら
そんな時代があったそうな
それを意味する言葉なのか

いや

” みんな金もって集まれ ”
という事を意図する言葉に私は観えた


3連単の高額配当などそう簡単に取れるものでは無い
競輪、競艇、オートレースで嫌になるほど体験している


まずはコースが見える位置までたどり着いた
最近、バンク・プールなど眺めることが多かった

やはり大きい
そして” ゴールドラッシュ ”を求めて賭けつけた人の多さ
さすがJRAである

流し、ボックスの発売
ワイドの発売と変化してきたマークカードも
すっかり3連単用として様変わりしていた


可も無く不可も無く時間ばかりが過ぎ去り
いよいよ
天候:雨、芝:不良にて
待望のメインレースがスタートした
そして
あっというまに結果が出た

右手にハズレ馬券
左手に新聞紙を握りしめ
足早に地下道をぬけ
地元の駅まで帰り着いた

まだ雨足は強いが
右手のビニール傘が無く
ハズレ馬券に変わっていることに
今、やっと気付いた

駅前
新聞紙を被り走り出したのは
私だけであった


中山競馬場ご関連者様、お世話になり有難うございました

この旅、まだまだ続く