ヒ ト リ ゴ ト

第46話 天守閣
第47話 大きな地震
第48話 天皇賞まんじゅう
第49話 座右の銘
第50話 豪華グルメ

第46話 天守閣

JR東海道線で小田原駅に着いた
随分な時間電車に乗った

西口を出
まずコンビニを探し発泡酒3缶を買った
何事にも前準備というのが重要である

ここ小田原に来たのも久しぶり
駅周辺
すっかり街並みが綺麗に様変わりしていた

秋の休日とも重なり
登山バスが
多くの観光客をのみこんでいる


まだ9時前である
競輪場の開門までにはあまり過ぎる時間がある

それぐらい早い時間に自宅を出た

休日も朝早くから出かける” 働き者 ”と近所ではもっぱら評判の事であろう


小田原城に向った

たまには相模湾や房総半島などを眺め
自分を見直す事も必要であろう
料金400円を払い天守閣に昇った

最初に目に入った景色といえば、眼下に映る競輪場
なんと
既に多くの人が集まっているではないか
そうか
早朝発売か

一目散に階段を駆け下り
小田原城を後にした

はやる気持ちを20分程持続し
正門前で投票カードにマークを入れた

まず1レースの前売りを買い
やっと落ち着きを取り戻し
周辺を観察した
そして、先ほどまで居た小田原城の雄姿をここからゆっくり眺めることが出来た

前売専用駐車場の” P  国鉄駐車場 ”の看板には
歴史の重みを感じた

小田原駅西口行きのファン無料バスの運行時間には
午前9時30分〜午後3時45分
と記載されていた
その間
マイクロバスでピストン輸送しているのだろう

なかなか開かぬ正門のシャッター前には
競輪場関係者であろう7、8人が
こちらに向って並んでいた
おそらく
開門までは誰一人として中には入れないぞ

ガードしている模様である

一人一人の顔から厳しさが伺えた

もっと笑顔で迎えて欲しい

こんなことなら
もう少し天守閣で景色を眺めていた方が良かったと
いまさら反省した


33バンク中央は綺麗に整備されている

周りは森林で囲まれている

その高台に学校がみえた
” 相洋中学校高等学校 ”の学び舎
競輪を観るには最高の場所である

きっと授業中はカーテンを下ろしている事であろう
そうしないと
生徒は競走結果が気になり授業どころでは無い

いや
学生・生徒・未成年者は車券の購入は出来ないので
落ち着いて授業が出来ないのは教師の方かも知れない


ビール片手に150円のアジフライを食した
さすが小田原
ネタも新鮮で”味”がいい




幾多のドラマを終え
大半の来場客と同様
肩をぐったり落とし、競輪場を振り返りながら
山を降りた

帰りは駅東口から
特急券購入の必要ない特別快速・湘南新宿ラインで家路についた
高崎行きに乗ったが流石に早かった

今日一日の反省をする間もなく
我が家に着いた


小田原競輪場ご関連者様、お世話になり有難うございました

この旅、まだまだ続く





連日の猛暑、なかなか寝付かれない


第47話 大きな地震

4レースの発売締切り間際、売り場にたどり着いた

今日は本来休日であったが
急遽仕事が入った
誤解されている方がいるかも知れないが
ギャンブルで飯を食っている訳ではない
真っ当な仕事をしながら
あくまで
趣味の一環での賭け事である

本業を無事終え
この時間やっと
松戸競輪のナイター観戦に間に合った

日中、さほど感じなかったがやはりこの時期のナイターは少し肌寒い

ここ松戸33バンクの”ファンタジーナイトレース”に
数多くのファンが集まっていた

場内、狭いので

単にそう感じただけかも知れない


第4コーナー側のコース内植え込みに
5匹の得体の知れない動物がいる
もちろん置物であるが
以前から不思議に感じている

犬にしては太りすぎ
ブタにしては痩せ過ぎている
これが伝説の夢を食う動物”バグ”なのか
ならば
私の夢だけは食わないで欲しい

いったい何”もんじゃ”
また
何が目的で飾られているのか、まったく検討がつかない

理解できないことに関し、徹底的に究明する人もいれば
まったく関心を持たない人もいる
私はその中間かも知れない

その”ブタ犬”をなるべく見ないように
レース観戦をしていた


6レースのスタート前であったか
いつもとは違うざわめきが起こった

『まだ揺れている・・・』

その視線に目をやるとゴールライン上に渡された照明ライトが
大きくぐらついているではないか
どうやら地震があったようだ

敏感な人がいるもんだ
私にはまったく揺れは感じなかった

多くの人がざわめいているということは

単に私が鈍感

そうとも言える


今日は、いや、今日も
私のシナリオ通りに選手が走ってくれない

地震はあったが
すっかり自信をなくし
早々に競輪場を後にし
北松戸駅より電車に乗り帰路に着いた

そして
自宅のパソコンを起動させ
インターネット投票で2レースほど買った

財布に金は無いが
電話投票資金はまだ”底”をついてない


何気につけたテレビから
大きなニュースが飛び込んできた

『JR東日本に入った連絡によると、新潟県の地震で上越新幹線浦佐−長岡間を走行中の東京発新潟行き「とき325号」が23日夕、脱線した』

まさか
あの時の揺れが


信じがたい出来事である




松戸競輪場ご関連者様、お世話になり有難うございました
また
地震被害にあわれた方たちの早期回復を謹んでお祈り申上げます


この旅、まだまだ続く





第48話 天皇賞まんじゅう

ダンボール仕上げの寝床で熟睡しているひと
しゃがんで毛布をかぶり
タバコ片手
寒さに絶えているひと
その数100人、いやもっといようか?

公園内の浮浪者の話では無い

JR府中本町駅からJRA府中競馬場西門までの歩道橋ゲート内にて
競馬場の開門を待つ集団たちである

このひと達は
前日の土曜日?
いや
それ以前から並んでいる方もいるのだろう
大半がカメラケースを持っている

”日本中央競馬会”創立50周年を迎えた今年の大きな重賞レースの一つ
第130回天皇賞の開催である
その歴史の目撃者となる為
カメラ持参で集まった集団であろう


”東京競馬倶楽部”時代
目黒の競馬場にて開催されていた東京競馬
1933年11月、この地に移され
その後
”日本競馬会”時代を経て
”JRA日本中央競馬会”が1954年9月発足された
またその時期
この地も
町村合併で府中町・多磨村、西府村の1町2村が合併し府中市となった

競馬場にとっても
街にとっても
一大イベントであろう

50年前の
1954年11月21日
第30回天皇賞(秋)のレースはオパールオーキツト(牝5)が制した
今年は17頭
はたしてどの馬が制すであろう

歴史の目撃者よりも馬券的中だけが目的の私は
早い電車で到着し
その列の後方で開門を待っていた

競輪、競艇ではこのような状況下
見知らぬものにむやみ話しかけたり
周り聞こえるよう、昨日のレース結果や本日の展望を講釈する者をも見かけるが
競馬場ではその光景少なく
仲間うちでの会話で賑わっていた
ジャンル違いで集まる層が違うのか

これが普通であろう

競輪、競艇ファンが異状という意味では決して無い


相当な時間を費やし何かを考えていたが
何を考えていたか思い出せぬまま
開門口へと集団の流れるまま移動した


いざ入場
周りのファン達も蜘蛛の子を散らすような勢いで広い場内へと飛び散った
それぞれに
居心地の良い場所があるのだろう

場内入り口付近では幾多の記念グッズが販売されていた
1レーススタートまで十分時間もある
なにげに商品を眺めていると
”天皇賞まんじゅう”なるものを発見した
6個入り600円
まんじゅうの上部に馬の絵が描かれているようだ
パッケージを変えれば
”有馬記念まんじゅう”でも通用する代物だ

今から持ち歩くのもつらい
ま、話題作り
帰りに5個ほど買って帰ろうか


今日は福島、京都の場外も併売している
あまり夢中になりすぎ本来の目的である券が買えなくなる
という
最悪のシナリオも想定し
取り急ぎメインの”天皇賞”の券を購入することにした
もちろん
昨夜、寝ながら考えた組み合わせ
万全である




メインの11レース”天皇賞”まで寒かった
「気温か?」って
それもある

そして歓声の中
すべてが散った



もちろん”まんじゅう”は買ってない
「金が無いんだろう?」って
いや、単に
それだけの理由でもない


「負け犬に土産は似合わない」


東京競馬場ご関連者様、お世話になり有難うございました

この旅、まだまだ続く






第49話 座右の銘

JR総武線:西千葉駅に着いた
千葉大学側の改札を出て
競輪場行きのバス停を探した

しかし
それらしきものは見つからなかった
また
それらしき列もなかった

ここ千葉競輪場には何度か足を運んでいる
その際
この駅から送迎用のバスを利用した記憶があった
いろんな場所に行っているがゆえの思い違いかも知れない

インターネットで施設案内、交通アクセス等を調べれば
事前に判る事であろうが
自分がたてた計画であっても
それに縛られるのは好きではない

”なるがまま”
これが私の”座右の銘”である

もちろん明日になれば”座右の銘”も変わる・・・


体内ナビを起動し
その目的地へと裏道を進んだ
2、3、曲がる方向を間違ったかもしれない
20分ほど歩いただろうか
みなれた墓地を横切り
バックスタンド側の裏口?入場門にたどり着いた

入場料100円を投入し
場内メインスタンド側へと移動した

「さわやかな風の中、コスモスが風に揺れてます」


1レースの発売開始前
マイクテストを兼ねてであろう
ウグイス譲の声が場内に響きわたった

まるで”鉄火場”であることを忘れさせるようなささやきである

”油断大敵”
これが私の”座右の銘”である・・・


秋晴れとはまさにこのことを指すのであろう
快適な気温の中
レースが進んだ

もちろん快適なのは気温だけであった

小腹が空いた頃
駅で購入した発泡酒片手に
場内、つまみ探しの旅に出た

食べ物系にはあまり力を注いでないのか
どこを眺めても私の興味をそそる”つまみ”見当たらず
1個50円の”ゆで卵”を選んだ
そして
9レースのジャンが鳴り響く頃には
結局
8個もの”ゆで卵”を食していた

JR千葉駅行きの送迎バスをみつけ飛び乗った

今日一日
まるく収まったのは”たまご”だけであった


千葉競輪場ご関連者様、お世話になり有難うございました

この旅、まだまだ続く





第50話 豪華グルメ

福岡空港から高速バスに乗り西鉄久留米に向った
料金1000円、所要時間45分
西鉄久留米バスターミナルで降り
7番乗り場に移動し競輪場行きの送迎バスを待った

時間はもう既に11時をまわっている
1レースのスタート時間10:55分には到底間に合わない

自宅を始発の電車でスタートし
羽田フライト8:00
福岡に若干遅れの10:00ごろ到着し、やっとのおもいでたどり着いた

ま、これがベストと選んだ最短距離
はやる気持ちを抑え
そのバスの到着を待つことにした

この乗り場から久留米競輪行きのバスは
10時10分、45分
11時15分
12時15分と
運行されているようだ
それ以外
佐賀競馬行き
11時35分
たけお競輪行き
9時30分
熊本競輪行き
9時40分
一日一便のようだが、そんな行き先案内も掲げられていた

今日は平日の金曜日
駅周辺、多くの人たちがあわただしく往来していた

もし博多の母親に見つかれば
「仕事ばせんとこげんとこでなんばしよっと!」

言われるだろう



”博多に親はいない”


入場料50円を払い場内に駆け込み
既に4レース試走中の中
取り急ぎマークシートに夢を描いた
まず買うものを買ってからではないと
ゆっくり400mバンクを観察することが出来ない


特観席、発売所、選手宿舎、審判棟と建物で囲まれ
周りの景色は遮断されていた
綺麗に整備された競輪場

人影もまばらである

4レーススタート直後
慌ただしく駆けつけた為か
途中コンビニで”泡”を買ってなかった事に気付く


場内には数多くの食堂が軒を連ねていた
その店先ではなぜか”揚げ物”を多く見かけた
もちろん”泡”、”コメ”の表示なし

とある警備員に「酒類の販売は?」と聞いてみた

あたりまえのごとく次の言葉が返ってきた
「どの店にもあるようだよ、書いてないけど・・・」

たてまえ上
それを注意する立場の人に聞いたようだ

「あたりや」という店で”揚げ物”数本と350円のビールを2杯飲み
今日のスタートとした

その後、何軒もの店をはしごした
どこのメニューにも興味をそそられた
何故か体が”揚げ物”を欲しているようだ

ボリュームのある”いも天”120円を見つけ
醤油を探した

「”いも天”はソースだよ!」

「安兵衛」のおばちゃんに言われ

「”醤油”でも”塩”でも個人の好みではないか」

言い返そうとも思ったが

この地のルールに従うこととした




雲ひとつ無い秋晴れ
あっというまに最終レースをも終え
送迎バスにて西鉄久留米駅まで戻った


今宵は”久留米”で豪華な”グルメ”を楽しもうとも計画していた

駅前の”松屋”で夕食をとることとした

明日の軍資金にまで手を出すわけにはいかない


久留米競輪場ご関連者様、お世話になり有難うございました

この旅、まだまだ続く