法人税の主な経費

役員報酬、役員賞与及び役員退職給与をまとめて役員給与と整理した上で、その損金算入される範囲について次のような見直しが行われました。
(1) 一定の役員給与の損金算入⇒詳しくは国税庁のHPをご覧ください。
イ 定期同額給与
ロ 事前確定届出給与
ハ 損金の額に算入することができる利益連動給与
(2) 過大な役員給与の損金不算入
法人がその役員に対して支給する給与の額のうち不相当に高額な部分の金額は、損金の額に算入しないこととされました(法34②、法令70)。
(3) 隠ぺい仮装により支給する役員給与の損金不算入
法人が、事実を隠ペいし、又は仮装して経理をすることによりその役員に対して支給する給与の額は損金の額に算入しないこととされました(法34③)。
(4) 使用人兼務役員とされない役員の範囲
使用人兼務役員とされない役員に、会計参与が追加される等、所要の整備が行われました(法34⑤、
法令71)。
〔適用時期〕 平成18年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用され、同日前に開始した事業年度分の法人税については、改正前の規定が適用されます(改正法附則23、改正法令附則2)。
給与等の取扱いの基本的な考え方
法人税法上、給与は、報酬又は給料、賞与、退職給与の3つに分類され、役員か使用人かにより税務上の取扱いが異なります。
役員の範囲
取締役、監査役、理事、監事、清算人、相談役、顧問、使用人のうち特定株主等は、法人税法上の役員となります。なお、特定株主とは、使用人とその配偶者の持ち株割合が一定以上を占める者をいいます。
使用人兼務役員の範囲
使用人兼務役員とは、部長、課長、その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ常時使用人として職務に従事している者をいいます。なお、代表取締役や専務取締役、常務取締役及び監査役若しくは監事等の役職を有する一定の者は、使用人兼務役員とはなれません。
報酬と給与
報酬とは、役員に定期的に支給される給与のうち、賞与及び退職給与以外のものをいいます。これに対して、使用人に支給されるものを給与といいます。報酬及び給与とも原則的に損金の額に算入されますが、特殊関係使用人に対する給与のうち、不相当に高額な部分の金額については、損金の額には算入されません。
【特殊関係使用人】
特殊関係使用人とは、役員と婚姻関係にある者、役員から生活支援を受けている者及びこれらの者と生計を一にする親族をいいます。
賞与
賞与とは、臨時的に支給される給与のうち退職給与以外のものいい、賞与の税務上の取扱いは以下のとおりです。
【損金算入】
使用人に支給される金額及び特殊関係使用人に対する支給額のうち、不相当に高額な部分以外の金額
【使用人兼務役員の使用人分賞与の損金算入のための要件】
①他の使用人と支給時期を同じくすること
②支給時に損金経理をすること
③他の使用人の賞与と比べ適正額であること
【利益処分による賞与】
使用人に支給した賞与につき、法人が利益処分による経理をしたときは、その経理をした賞与については、損金の額に参入されません。
退職給与
退職給与とは、退職を基因として役員又は使用人に支給される一切の給与をいいます。役員及び使用人に支給される退職給与については、損金経理した部分の金額のうち退職給与として相当な金額が、原則として損金の額に算入されます。
経済的利益
法人が役員や使用人に対して経済的利益の供与を行った場合には、原則として給与と扱われますが、一定のものについては、福利厚生等とされ給与課税はされません。(⇒現物支給などの経済的利益
【渡切交際費】
役員に対する渡切交際費のうち毎月低額で支給されるものは、報酬として損金の額に算入されますが、臨時的に支給されるものは、賞与とされ損金の額に算入されません。
過大役員報酬等の損金不算入
法人がその役員に対して支払う報酬等の額のうち、不相当に高額な部分の金額は、損金の額に算入されません。
【不相当に高額な部分の金額】
不相当に高額な部分の金額とは、以下の金額のうちいずれか多い金額となります。
その役員の職務内容に照らして、その役員の職務の対価として相当額を超える場合におけるその超える部分の金額。
株主総会等の決議による支給限度額を超える場合におけるその超える部分の金額。
役員に対する低額譲渡
法人が役員に対して資産を低額で譲渡した場合には、原則として、時価で譲渡があったものとされ、時価と譲渡対価の額との差額は、益金の額に算入されます。また、その差額相当額は、低額で資産を譲り受けた役員の賞与とされ、損金の額に算入されません。