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映「2001年宇宙の旅」&キューブリックの世界

映「2001:a space odyssey」

映「2001年宇宙の旅」:関連資料

スタンリー・キューブリック関連


映「2001年宇宙の旅」

ビデオ

「2001年宇宙の旅:2001:a space odyssey」 T−約140min
−製・脚・監:S・キューブリック−
 圧倒的な映像と音響の極致を楽しむ140分間です。この映画の映像は後の作品に多くの影響を与えました。この映画が宇宙空間を移動するカメラスピードを決定したようです。
 しかし、無限に広がる宇宙の静けさを表現した音響効果と映像技術はコピーさえ許さない驚異の映画表現です。
 宇宙の無限に広がる静けさを体験する為にも是非一人で静かにご覧下さい。

DVD

「2001:a space odyssey」 T-148min
−監:S・キューブリック−
 デジタル映像の限界を感じる地表々面(地球と月面で)の映像に不満がありますが(濡れたような光沢でキューブリックが生きていたら絶対にDVD化は無理だったでしょう)、何と言ってもビデオと違い劣化しませんから、それも「2001年宇宙の旅」です。お酒を2晩我慢してでも是非とも手元に置いておきたい一本です。
 これ以上の説明は要りませんね!

レコード

2001:a space odyssey」:サウンドトラック(アナログ・レコード)
 映像と既存サウンドの圧倒的な融合に驚いてしまいました。収録されている現代音楽を聞いた時は自分が一段上の高尚な知性を獲得し知能指数が自動的に+40の気分でした。
 しかし、現在はプレイヤーを持っていない為、再生も出来ない音源であることが残念です。
 以前から気になっていたのですが、このジャケットの装丁だけが宇宙ステーションから発進するシャトル旅客機の方向が違っています。
 いずれにしてもジャケットはCDよりこちらが好きです。

CD

「2001:a space odyssey」ーAN ORIGINAL MGM SOUNDTRACK RECORDINGー
 宇宙映像のBGMと言えば「ツゥラトゥスートラはかく語りき」が定番となってしまったほどの影響力を持った映画音楽の傑作です。
 「ニーチェ」の”哲学”を知ってから映画の主題とニーチェの思想がとても興味深い関係だと知りました。

原作

【文庫新版・初版】

決定版2001年宇宙の旅文庫初版(93年度版)
ーアーサー・C・クラーク・著(¥544・税別):ハヤカワ文庫ー
 映画と原作(小説)の違いやクラーク・ワールドの楽しさはご自分で読んでいただくとして、やはり圧巻は訳者(伊藤典夫氏)あとがきに綴られた著者、訳者&映画(キューブリック)の関係です。
 この圧倒的なSF映画が公開後、原作、著者そして図らずもキューブリック自身にも想像を越えた強烈な残像を残したことが綴られています。
 この本も気長に探せば古本屋で安く手に入れられると思います。

【文庫新版・2001年度 14刷】

決定版2001年宇宙の旅文庫:2001年度版・14刷
ーアーサー・C・クラーク・著(¥640・税別):ハヤカワ文庫ー
 文庫初版と2001年度版の違いは値段だけです。しかし、何と言ってもこれは2001年に出版された個人的には何としても欲しかった出版年度の本でした(馬鹿だと分っています)。
 実際は定価もカバーに印刷されている為、本当に個人的無意味な拘りです。次は「2010年宇宙の旅」の2010度版を狙っています。

パンフレット

2001 a space odyssey:2001年宇宙の旅:映画パンフレット
 今はホテルになってしまった『テアトル東京』で68年にロードショウ公開された時のパンフレットです。
 映画の乾いて無機質なシーンと監督の創造力と表現に追いつかない宇宙、科学技術の各専門家のコメントが付く構成です。
 始めて知ったのですが、キューブリック監督は当時、カブリックという粋な名前だったのです。

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「2001年宇宙の旅」:関連資料

関連映画

「2010年」 T-116min
ー製・脚・監:P・ハイムズー
 才能はともかく、この映画を作る監督さんは勇気があります。どう作っても99パーセント経歴のキズになり評価は公開前から目に見えているのですから。
 映画の評価:2時間暇ができたらご覧下さい。
一流オーケストラ(2001)を聞いた後に上手な町内合唱団(2010)を聞くつもりならOKです。
「silent running:サイレントランニング T-89min
 「2001年」の最終目的地は当初、土星でした。しかし完成した土星の特撮映像にキューブリックが満足せず木星に変更されました。
 しかし、土星特撮チームは大胆にも土星を舞台としたこのSF映画を完成させたわけです。
 映画の評価:お薦めです。
「2001年」がオーケストラなら、”ヒッピーライフの自然に帰ろう”を強く意識した「サイレント〜」は良質なフォークソングです。

SF小説:「2010年」から「3001年」へ

2010年宇宙の旅
ーアーサー・C・クラーク・著(¥1.600・税別):早川書房ー
 人間と意思の関わりを描いた哲学的な前作から、ソ連(ロシア)や中国の対抗意識と人間の無知な傍若無人さが前面に出た生臭いSFとなっています。
 映「2001年宇宙の旅」にモヤモヤが残り是が非でも解答が欲しい人は是非小説の「2001年」と「2010年」をお読みください。少こしはスッキリするはずです。
2061年宇宙の旅
ーアーサー・C・クラーク・著(¥1.600・税別):早川書房ー
 映画や小説でも一作目から登場しるフロイド博士最期の活躍を描いています。この「2061」は「2010」が興行的に成功すれば、映画化ることを念頭に書いた感じがします。
 従って、ハリウッド・テイスト満載のあえて分類すれば『ハリウッド目・SF科・宇宙属・スペクタクル種』の親しみやすい普通のSFに仕上がっています。
 前作から映画に従い小説も舞台が土星から木星(衛星のエウロパ)に変更されています。
アーサー・C・クラーク3001年終局への旅
ーアーサー・C・クラーク・著(¥1.800・税別):早川書房ー
 太陽系(一歩手前の海王星)を離れる寸前に捕獲されたプール副長が主役です。そして”人間”vs”意思”の最期の対決を迎えます。
 現在、これがシリーズ最終章となっています。個人的意見ですがこの本が本当の「2001年」の続編だと思います。SFが苦手なわたしが読みきったのですから、極端な本嫌い、SF嫌いな方以外は完読できると思います。是非あなたも「宇宙の旅」を堪能して下さい。

関連書籍

stanley kubrickキューブリックの世界と2001年宇宙の旅
−ダイヤン・マスターズ=ワトソン・編(¥890・税別):東宝事業部−
 全体の1/3ほどを割いて「バリー・リンドン」までのキューブリックの足跡が写真と共に語られます。”2001”に関しては興味を惹くような箇所はありませんが、前半の彼の映像の軌跡は大変面白かったです。
 ”2001”とキューブリック・フリークスとしては彼に関する写真とテキストだけで大満足です。
HAL伝説:2001年コンピュータの夢と現実」
ーD・ストーク・著(¥4.800・税別):早川書房ー
 「2001年」のもう一人(台?)の主役である”コンプュータHAL”の学術的研究書です。全編で視覚、聴覚そして思考における「HAL」の可能性と現状を考察しています。
 もちろん、ただコンピュータを解説した本ではなく映画とHALについて専門家がマニアックに語った論理機械の可能性を解説した書です。
 映画のシーンや専門家の寛いだ楽しい発言や意見を満載。
学入門
ー岡田斗司夫・著(¥1.359・税別):太田出版ー
 映「2001年」を始め多くのアニメ・SF映画を取り上げています。そしてキューブリックこだわりの特撮を10ページにわったて解説しています。
 この解説を読んで再度映画を観るとそのその膨大な労力と費やされた時間の有難さで何気なく観ていたシーンに思わず手を合わせてしまいます(心の中で)。
 岡田氏のオタク系書籍でもこの本がSF映画ファンには一番です。

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「スタンリー・キューブリック」

書籍

「PREMIERE」(’99/9)
 この「プレミア」には「アイズ ワイド シャット」の公開に合わせてキューブリックのインタビューが載っています。
 しかし、内容は「アイズ ワイド シャット」ではなく「フルメタル・ジャケット」に関するものですが、一読をお薦めします。
 そんな彼のインタビューはもちろん、7枚(数え方によっては8枚)の写真にも感激!
スーパートイズ
ーB・オールディス・著(¥1.800・税別):竹書房ー
 キューブリックが映画化を構想しスピルバーグが撮った映:「AI」の原作小説です。もちろん一番面白いのは著者とキューブリックの関係を記した巻末エッセイ(題名「スタンリーの異常な愛情」)です。
 キューブリックは映画に歴史上初めて本物のロボットを役者として使う予定で日本企業と接触していたそうです(もしかしてASIMO君)。彼の「AI」を観たかった。

お薦めキューブリック作品:TOP・3(もちろん映「2001年宇宙の旅」を含めて)ー

Dr.StrangeloveOr:How I Learned To Stop Worrrying And Love The Bomb 
 −コロンビア・ピクチャー(ソニー・ピクチャー):T−94min
 計算された演出により醸しだされた異様な雰囲気の会議と自国の基地を攻撃する戦闘シーンの見事なドキュメンタリー映像は他の追随を許さない表現です。
 また、B−52の空飛ぶ重戦車の描写は見事です、まるで後の「2001年」のディスカバリー号を彷彿とさせるものがあります。
 キューブリックが絶頂期の坂を登り始めたことを実感させる傑作です。
時計仕掛けのオレンジCLOCKWORK ORANGE
ーワーナー・ブロス:T−137min
 これも主題と映像が見事に融合した傑作です。自己の存在が確立できない”世紀の不良青年”の揺らぎを全編に渡り緊張感の有る色彩とアングルで映像化しています。
 監督の非凡さを知りたければ是非、冒頭の抗争シーンをハリウッド映画と比べてご覧下さい。カット数と映像が彼の非凡さを証明しています。
 又、登場人物に決して感情移入しない彼の無機質な人物表現が成功しています。

わたしとキューブリックの「映画の旅」
 昔から映画は好きでしたが、映画の鑑賞基準は「使っている爆薬の量」と「アクション時間の長さ」そして出来れば「女優さんが着てる服は少ない物」というとても人前で口に出す事は出来ないものでした。
 しかし、キューブリックの「2001年宇宙の旅」との出会いが全てを変えました。
 こんな凄い映画が出来るのは、「会社が素晴らしい」からでも「単にお金をかけたから」ではない。どんな映画も監督が作り完成させるのだと気が付きました。これ以降映画の見方が155度(正反対まで変わっていません)くらい変わりました。
 この映画「2001年」については間口が広いので100人100通りの理解で楽しめます。しかし、意味が分らないと不評なシーンである「ボーマンが最期に至るロココ調の影が存在しない白い部屋」の謎は小説「2001年宇宙の旅」で説き明かされていますので興味のある方はお読み下さい。
 小説の「宇宙の旅」は全四巻で完結ですが、一作目のイメージが巧くつながる四作目「3001年終局への旅」がお薦めです。四冊も読めないという人は中二冊を飛ばしてもOKだと思います。是非お読み下さい。
 映画は「サイレントランニング」がお薦めです。当時のヒッピーライフのバックボーンであった自然回帰思考を強く滲ませた映像とストーリーがSFの姿を借りて珠玉の仕上がりです。主演はこのサイトでも紹介した(映:「帰郷:COMINNG HOME」データ【ポルシェ・スポーツ】関連参照)のB・ダーンです。
 キューブリック・ファンの不興をかうでしょうが、彼の映画については「2001年」を含む上記の3本を押さえれば入門としてはOKだと思います。彼は「時計仕掛けのオレンジ」以降、次第に俳優を無機質な生命感の無い演出で表現する映像表現を強め、まるで人形劇のような映画になっていきます。その証拠に映「アイズ・ワイド・シャット」で幾ら女性が一糸纏わぬ姿で出てきてもマネキンのようでエロチシズムを感じません。
 生きた俳優を必要としなくなっていたキューブリック監督が「アイズ・ワイド・シャット」の次回作で本物のロボットを使った映画を構想していたのは当然の帰結であり彼の芸術的感性の結晶が見られたのではと思い、未完に終わったのが大変残念です。

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