009が関わってくる機々械々2
004はトボトボと歩いていた。ミサイルの撃ち合いで、そのダメージをモロに受けてしまったからだ った。遅まきながら、相手の性能に驚愕する。 右手のマシンガン。 左手のレーザーナイフ。 膝のマイクロミサイル。 全てが”今の自分”を形とっている性能。 (やっぱりジョーに手伝ってもらったら良かったか?) 珍しく弱気で考えてから、すぐに否定する。009は今、黒幕を探しているはずだ。なら黒幕の目を0 09から逸らす為にも、自分がなるべく長く戦闘することが得策といえた。 トボトボと歩いてから、マシンガンを椅子らしきものに乱射する。これであの偽者は、此処に来るはず だ。その裏を掻くしかない、そう思った004であったが・・・・・・・。 裏を掻かれたのは、004の方だった。突然背後から、ご丁寧にも壁を突き破って襲い掛かってきた。 動揺も手伝って、004はなす術もなく床に叩きつけられる。床が割れ、その下の床に激突すると、さ らにその床も割れて004は落ちて行った。 偽者はすぐにその穴へ走りより、飛び込もうとしたが・・・。 「は〜い、そこまで!」 えらく能天気な声がして、009が偽者と穴の間に立ち塞がった。偽者が、すぐさま戦闘態勢にうつる。 「おっと待った。僕は君を壊す気はないんだよ。」 ニコニコと笑って言う。 「だってそんなことしたら、アルに僕が君をやっつけちゃったってバレちゃうもん。意外とそういうと  こ根に持つからさ。まあでも、ちょっと邪魔はさせて貰うよ?アルが君に殺されるなんてことがあっ  たら、ヤだからね。」 そう言うと、009は偽者にタックルをかけて肩に担ぎ上げた。そのまま、明後日の方向に走り出す。 「加速装置!!!」 その決め台詞が、その部屋に一瞬だけ響き、また静寂を取り戻した。 その頃、004はギルモア博士と会っていた。正直立たせて欲しかったのだが、老人にこんな重たい自 分を支えろというのも酷かと思いなおす。ギルモア博士は、何故か自分に兵器として生きろと力説する。 それは普段の博士からは程遠い姿。--------いや、心に封じた本心なのか? 「わしは、お前が兵器としてパワーアップするなら何だってしてやるぞ?」 「じゃあ、ジョーが俺を襲わないようにして下さい。」 「そりゃ無理じゃ。」 「何でもするって、言ったじゃないですか・・・?」 「そらそーじゃがのう。むうう、困ったの。」 「俺も困ってます。」 「うむむ・・・・・・。」 ギルモア博士は本気で困ったように、考え込んでしまった。004は首だけ捻ったという、えらく首に 負担がかかる格好で博士を見つめて、一瞬目を閉じる。 だから気がつかなかった。自分の横を、猛スピードで何かが駆け抜けたのを。 「・・・・なら、俺は・・・・兵器にはならない・・。」 と言って、前を見るとギルモア博士はまるで最初からそこにいないかのように、消えていた。 「?」 首を傾げたが、いつまでも此処に伸びているわけにはいかなかった。あの偽者がいつやってくるかもわ からない。004はノロノロと立ち上がった。 「あんまりもたないぞ・・・・。早く黒幕を見つけてくれよ?ジョー。」 「もうvギルモア博士のにっせものさんvアルを困らせちゃダメだよ?」 「ひいいいいいい!」 009に目が据わっている笑顔を全開にされ、ギルモア博士は悲鳴を上げていた。肩にかかった009 の手がミシミシと段々力が込められている。 「僕はね、兵器のアルなんていらないの。恋人のアルがいれば良いの、分かる?」 そう尋ねられて、コクコクと頷くギルモア博士。009は満足したように、ニッコリと笑った。 「じゃあ、微妙にキツク縛っといたから頑張って脱出してね。バイバ〜イv」 どこぞの木に、ロープでぐるぐる巻きにされたギルモア博士に手を振る。一旦は背を向けたが、何かを 思い出したように戻ってきてギルモア博士の顔を覗き込む。・・・正確には瞳の向こうを。 「あとちょっとしたら”そこ”に行くからね。おっ楽しみにね〜vvv」 そう言って、今度こそ振り返らずに去っていった。 004は何を思ったか知らないが、階段をえっちらおっちら登っていた。というか、こういう場合は上 に逃げて(?)しまうと最終的に逃げ場がなくなってしまうのだが。まあともあれ、009があちこちで 出現しているのとも知らず、004は健気にも自分がオトリとなって時間を稼ごうと必死だった。ふと 下を見ると、偽者が凄まじい勢いで階段を駆け上ってくるのが見えた。しかも笑えるぐらいのスプリン ター走り。004は頭に血が上った。 (俺はあんな走りはしない!!) なんだかえらくナチュラルに馬鹿にされた気がした。咄嗟に叫んで、マイクロミサイルを放つ。ミサイ ルは偽者の横を抜け、後ろの階段を壊す。・・・・普通なら、その走るスピードから落ちるわけがない。 しかし、煙に紛れて009が(何故か)上から飛び出して偽者にキックをかましたのだ。004からは見 えなかったのだが。キックを見舞われた偽者は、もんどりうって下に落ちて行った。それから009は さっさと004にチョップをかまして、ひょいと担ぎ上げた。 「・・・・大分苦戦してるねアル。あと少し頑張って。」 そして004を担いだまま、下に降りて行った。 004が何やら大反撃を開始したと悟ってから、009は古城の奥の奥に確かな足取りで向かった。あ る角を曲がって、突然壁を壊す。そこには古城には似つかわない、コンピューターがみっちりと詰って いた。中にいた人物が驚いたように、飛び上がった。009はずかずかと、遠慮も会釈もなくその人物 に近づいた。その人物・・・・初老の博士っぽい奴は怯えたように退く。 「何、驚いてるの?さっき言っといたでしょ、もうちょっとしたら会いにいくってさ。」 「・・・・・・・・・・・。お、お前の仲間がやられているんじゃないか?」 「ううん、さっき確認したけど、もうアルの勝利は間違いないよ。」 「何故分かる?」 「そおんなもの。」 009は満面の笑みを浮かべた。 「愛があるからさv」 そう言って、すうと右腕を上げた・・・・・・・。 009が外に出ると、雨の中004が立っていた。木の側には偽者の正体らしい、機械仕掛けの塊がズ ドンと落っこちている。そして、ギルモア博士の偽者も004のマシンガンによってだろう、破損して 倒れていた。004が009に気がついたらしく、くるりと振り返る。009は先程見せたのとは全く 違う笑みを見せる。それにつられたように、004が苦笑した。 「お疲れ様、アル?ひょっとして、大苦戦してた?」 「お前な、俺を誰だと思ってやがる?まあちょっとは苦戦したけどな、キチンと勝ってるだろ?」 「うん!流石僕のアルだね。ああ惚れ直しちゃうなあv」 「いや、惚れんで良い。と、そうだ。ジョー?」 「うん?なあに?」 「お前、黒幕には出会えたのか?」 009はコックリと頷いた。出会ったばかりか、004を自分以外に襲ってくれたお礼と称して、さっ きタコ殴り、イカ殴りしてきたばかりだ。今頃、目をグリングリンに回してひっくり返っているはず。 「うん、一応”この状況”の黒幕は見つけたんだけどね。」 「ほう、それで?」 「なーんか冴えないタイプの博士・・・だと思うんだけど。結局そいつの背後には近づけなかったよ。  ごめんねアルが必死で頑張ってくれたのに・・・・。」 「いいや、この状況の黒幕を見つけただけでもたいしたもんだ。流石だな。」 「えへへv」 004に誉めてもらって、嬉しい009であった。 「ねえ、アル。いつまでも雨の中に立ってるのもなんだから、お城の中に入らない?」 「ああそうだな。機械の身体に、雨は良くないぜ・・・。」 「ほんとほんとv」 009はさりげなく004を支えて、古城の中に入っていった。雨は、激しく降り注いでいた。 「大分派手にやられたっぽいね、ちょうど博士が来てるから見てもらうと良いよ?」 「そんなに心配されることはない。大丈夫だ。」 きっぱりと言い切る004の顔を009はちょっと見つめたが、やおら謎のポケットからハンカチをは らりと出してきて004の顔に近づけた。009のすることである、当然004は警戒して身を引いた のだが、009はもう一方の手で004をぐいと引き寄せた。 「な・な・なにをするんだ?」 情けないことに、声が震える004である。 「何をそんなに怯えてるわけ?唯、アルの綺麗な顔に汚れが付いたんだからキレイキレイにしようと思  っただけだよ。」 ぷう、と頬を膨らませて009は異議を唱えた。あとはグイグイとハンカチを押し付けて、汚れとやら を拭いていく。顔全体にグイグイとハンカチで押さえられた004が、呼吸困難を起こして酸素ボンベ をを発動させたのは秘密だ(誰に?) 最初はシコシコと真面目に拭いていた009であったが、なにやら目つきがイタズラを思いついた子供 のような光を宿す。そして毎度の事ながら、その009の変化に気が付かない004であった。まあ、 それだけ疲れていたというのもあるのだが。009はやおら004の頬に顔を寄せて・・・・。 ぺろり 「ぎゃっ!!」 「もう、色気の無い声だなあ。まあそういうトコも好きだけどさ・・・。」 「いきなり人の顔を舐めるな!!」 「いきなりじゃなかったら良いの?」 「良くない!」 「即答か。アル、顔真っ赤だよ?」 「やっかましい!なんで舐めんだよ!?」 「手当て。」 「は!?」 「傷は舐めりゃ治るからさ、手当てだよ?」 「治りません!特に俺は機械の身体なんだから、余計治らない!」 「何だか、言ってることメチャクチャー。」 「お前の行動の方が、メチャクチャだっっ!!・・・って更に舐めようとするなああああ!!!」 「ま、遠慮しないで僕にドーンと任せて!!」 「任せられるかあああああ!!!!!こんの馬鹿ったれえええええええ!!!」 梟がなにやら不穏な空気を察したらしいが、そのまま我が子の世話に没頭してしまったらしい。 雨は、激しく降り注いでいた。 その翌日。 元気一杯の009と又しても人生の黄昏を痛感した004が、003とギルモア博士の前に現れた。0 09に出し抜かれた003は当然、怒っている。 「アルベルトv会いたかったわv」 と言って、009からは嫌味タップリにしか見えないように抱きついた。004にしても003のよう な可愛い女の子に抱きつかれれば、嬉しいことは間違いない。 「やあフランソワーズ、元気そうで安心したよ。」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。(009)」 「有難う、アルベルトも元気そうで私安心したわv」 「やあアルベルト。」 「博士、お久し振りです。お元気でしたか?」 「ああお陰様での。ところで座らんか?」 「はいv(003)」 「はい。(004)」 「・・・・・はい。(009)」 004の隣に座ろうとした003の間に、さっと009は入り込んでちゃっかり隣をキープした。00 3が睨みつけていたが、そ知らぬ顔で会話を開始する。004とギルモア博士は当然気が付かなかった。 そして会話はギルモア博士のお嫁さんの話になった。3人で大笑いした後、009が言った。 「僕のお嫁さんはアルだから、何も問題ないねv」 ・・・・・・・・会話が途絶えた。 今日も今日とて、ドイツは晴れていた。 終わり
★終りました!もう私ったら1話のパロで前後編なんて、計画の杜撰さが丸見えv・・・失礼しました。  きっかけはDVDで「機々械々」を改めて観たことでした。いや話的にはとっても面白かったのです  が、004の・・・・ガタイが・・・・。もうチョット細身を希望したかったです・・・・。おかし  いな、新009の時はこんなにガタイが良いわけじゃなかったのに?何だか、この回を観た後に第1  話とか観てしまいます。 戻る