夏祭りに行こう!〜着てくれるわけない、と諦める〜
(アルに浴衣かあ・・・・・v)
009はちょっとだけ、浴衣姿の004を想像してみた。003がどういう柄の浴衣をレンタルしてき
ているのかは不明だが、意外と似合っている気がした。
(でもなあ・・・・・・)
004は自分の身体のことを気にしていて、いつも身体全体がきっちりと隠れる服を愛用している。昔
はロボットのようだった身体も、ギルモア博士の健気なまでの努力によりそうそう肌をさらけだしても
違和感は生まれない。そう常々言うのだが、かの御仁は
「それはお前らが、前の俺のロボットみたいな身体を知っているからさ。」
と釣れないのである。
浴衣はキチンと着れば結構肌の露出は少ないのだが、腕を上げたり大股で歩いたり(笑)すればはだけて
しまう面もある。暑い夏でもポロシャツのボタンを上までとめている004に浴衣、とは無理な気がし
ている009であった。
「あら!?どーなってるのジョー?」
結局出発の時間までモンモンと悩んだのに、言い出せず落ち込む009の耳に003が囁いてくる。0
09も004も、TシャツとGパンという季節感のない格好でいたのだから。ちなみに003は白地に
華やかな花が散りばめてある浴衣を着ていた。普段着の2人に挟まれた彼女はひどく浮いていた。
「ごめん、フランソワーズ。」
004に聞こえないように009は囁いた。
「・・・・・・楽しみにしてたのに。どうしちゃったの?」
003も004に聞こえないように、声を潜めた。
「ん・・・・・やっぱりアルは浴衣って着てくれないような気がして、言いだせなかったよ・・・。」
「なんで?」
「ほら浴衣ってさ、腕を上げたら肌が見えたりするじゃんか。」
「確かにそれはあるわねえ・・・・・・。そっか、アルベルトは未だに私達の他にはそういうの見せた
がらないものね。」
「うん、だから・・・・・。」
009が申し訳無さそうに言うと、003は溜息をついた。
「その気持ち、分かるわ。アルベルトって変なトコ強情だから、あんまり無理は言えないわね。」
「ごめんね、アルをおいて自分だけ浴衣ってもの・・・ねえ?」
「分かったわ、その代り・・・・・。」
「え、何?」
「私も一緒に連れて行って、お祭りに。」
「ええ!?」
2人で行くつもりだった009は、思わず大声を上げた。その声で004は、ん?と首を傾げて009
を見る。そして009の口を、003が思いっきり両手で塞いだ(鼻含む)。
「むごごごごご・・・・・。」
「どーしたジョー?」
鼻まで塞がれて息が出来ず苦しむ009に、004がのんびりと尋ねてくる。009は手を振り回して
自らの危機をアピールしたのだが、通じなかった。その代りに003が振り返って、笑みを作る。
「・・・どーしたフランソワーズ?なんでジョーの口を塞いでるんだ?」
「ううん、ジョーったらいきなり大声だすんだもの。ご近所迷惑にならないように、思わず塞いじゃっ
たv」
「・・・・・・・じゃあそろそろ離してやってくれないか?ジョーの奴、酸素ボンベを発動させてるみ
たいだし。」
「あ、本当?じゃ、離すわ。」
ぱっと手を離されて、思わず009はよろけた。それを004が支えてくれる。
「大丈夫か、ジョー?」
「う、うん・・・・・何とか。有難うアル、九死に一生を得たよ。」
「そーか、そりゃ良かった。んで?」
「え、なにが?」
「なにをそんなに驚いたんだ?」
「えーっと・・・・。」
003には自分以上に甘い004のことだ、自分が003と一緒にお祭りに行きたくないが故に大声を
だしたことが知れれば、怒られるのは自分である。咄嗟に、009は怒られないように知恵を絞った。
「いやフランソワーズがね、僕らの分にも浴衣を用意してあるのを言うの忘れたって言ったものだから。」
自分としては良い言い訳だと思ったが、003の額に青筋がたつのが分かった。しかしすぐに何事か思
うことがあったらしく、実は・・・・と切り出した。
「ジョーの言う通りだわ。私ったら自分が着るのに必死で、ジョー達に声を掛けるの忘れていたの。」
003が、話を合わせてくれたことに驚いた009ではあったが、浴衣を着ることに004がどう思っ
ているのかを知る良い機会だと悟った。003は彼女なりに009の踏み出せなかった1歩を、フォロ
ーするつもりなのだろう。004が色好い返事をくれれば次の機会には着てもらえば良いし、渋るよう
なら2度とその話はしなければ良いし。003も009も緊張感をもって004を見つめた。対する0
04は目を丸くしている。
「ユカタって、フランソワーズの着ている服か?」
「ええ、そうよ・・・・・・・。ゴメンネ着てみたかった?」
003が、仕掛けてくる。が、004はそうだなあ・・・と呟く。
「別に絶対着てみたいわけじゃないが・・・・。また機会があったら、着てみたいかな?」
その答えに009と003は004に見えないように、ぐっと親指を立てた。
「ん、じゃあこの次は絶対声かけるわね。」
「ああ。」
「じゃ、出かけましょうよジョー、アルベルト。」
「おや、フランソワーズと一緒なのか?」
「あらアルベルト、私がいたら迷惑?」
「いいや、ジョーからそういう話を全然聞いてなかったからさあ。」
「ごめん、僕も今初めて聞いたんだよ。」
「・・・・・・・・ダメ?」
003は途端にションボリとして、俯いてしまう。ほかに見ている人がいるわけでもないのに慌てたの
は009と004である。
「そんなことないぞ?良いじゃないか、一緒に行こうフランソワーズ。なあジョー?」
004にそう言われてしまえば、009に拒否する手立てはない。
「うん、そうだね・・・・・。じゃあ行こうか、一緒に。」
流石に003も気まずそうな表情をしたが、こっくりと頷いた。
行きと帰りに003と009で004と腕を組む権利争奪戦をやらかし、散々004に怒られた挙句に
004の両腕にへばりついて004をウンザリとさせた。
★はい、普通のエンディングです。・・・・これ普通か?という質問はご遠慮下さい(小心者)。今回は
009がいやに白く、003がやけに黒くなったような気がするんですが気のせいですか?そうです
か、気のせいなら良いです。気にしません。お返事有難うございました(誰と話してるんだか)。
肝心のお祭りの描写が出ていないんですが、違うパターンでちゃんと描写しておりますので宜しくお
願いいたしますね。多分普通にやっていればそのパターンになるハズですので。
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