【ダイハード2】
製作年 1990年、米
監督  レニー・ハーレン → カットスロート・アイランド
出演  ブルース・ウィリス フランコ・ネロ
【あらすじ】
 ナカトミ・ビルの人質事件で活躍したジョン・マクレーン刑事(ブルース・ウィリス)は、妻を迎えるためワシントンのダレス国際空港に赴いたところ不審な行動の男たちを発見する。彼らが立入禁止の荷物室に入っていったので後を追うといきなり発砲してきたので応戦した。マクレーンは南米から麻薬王のエスペランサ将軍(フランコ・ネロ)が護送されるて来るのと関連があるのではと空港警備主任に訴えたが取り合ってくれない。しかたなくマクレーンはロス市警のパウエルに身元の調査を依頼すると、男は米軍の軍事顧問で、すでに死亡していることが判明した。
 空港の責任者トルドーにその件を伝えていると、突然滑走路の誘導灯が消え管制塔の機能も停止した。実はエスペランサ将軍の奪還を図るスチュアート大佐が空港の回線を切断しコントロール機能を全て掌握していたのだ。吹雪の中上空を飛んでいる飛行機に連絡するため係員が警備に守られて予備送信室に向かうが、待ち伏せされて銃撃戦となりマクレーンからかろうじて救われる。しかし、スチュアート大佐は報復として燃料切れ寸前だった旅客機にニセの着陸許可を出し墜落させた。
 怒りに燃えるマクレーンはエスペランサ将軍が到着する滑走路に単身で乗り込むが、逆襲されかろうじて脱出する。テロリスト集団の居場所を探り当て陸軍の特殊部隊が攻撃するがまんまと逃げられた。マクレーンは特殊部隊がスチュアート大佐の一味なのを知るが、すでに逃走用に用意されたB747で脱出しようとしていた。マクレーンはヘリで翼に飛び降り、燃料タンクの栓を抜いて引火させ木っ端微塵に吹き飛ばした。
【解説】
 「ダイ・ハード」(88年)で文字通り”絶対死なない奴=ダイ・ハード・マン”を演じ一躍スターの座を手に入れたブルース・ウィリスもデビュー当時は端役ばかりでクレジットもされなかったが、TVシリーズ「こちらブルームーン探偵社」に3000人のオーディションの中から選ばれ好機を得た。年間2、3作品とハイペースで出演しているが、「フィフス・エレメント」(97年)「アルマゲドン」(98年)などの超大作に出演するかたわら、「パルプ・フィクション」(94年)「シックス・センス」(99年)など新人監督の作品にも意欲的に出演している。
 滑走路のシーンの撮影はワシントン州のモーゼス・レイクにある飛行場で行われたが、ここは日本航空が訓練センターとして使用しているところでもある。ラストシーンで流れる曲はシベリウスの「♪フィンランディア」だが、シベリウスはハーレン監督と同じフィンランド出身の大作曲家である。
 「ジャンボ・ジェット」の愛称で親しまれているボーイング747は、1969年に初飛行し21世紀となった今も大型旅客機の市場を独占している。もともとは米空軍の次期戦略輸送機として計画されものだが、ロッキード社のC−5ギャラクシーに競争入札で敗れたため、ボーイング社は大型旅客機へ転用することとした。もっとも、この当時は次の旅客機の主流はSST(超音速旅客機)だと言われていたので、貨物機への流用も考慮されコンテナの搭載に支障をきたさないようコックピットは2階に設けるなどの工夫がなされた。旅客機としては初のワイドボディ機(客室に通路が2つ設置されている機体)となり、軍用機では以前から使われていたINS(慣性航法装置)を標準装備したためナビゲーター(航法士)を必要としなくなり3人乗務となった。ちなみに、初期の頃の旅客機には最低5人の乗務員(正・副パイロット、航空機関士、航法士、無線通信士)が必要とされたが、無線機の機能が向上しモールス信号から無線電話に変わったため無線通信士がまず最初に姿を消した。
 SSTが国際航空路の主役にならなかったため、海外旅行の大衆化の波に乗り大量の受注を受けアメリカ最大の輸出製品となった。エンジンも異例となるプラット&ホイットニー、ジェネラル・エレクトリック、ロールス・ロイスの3大エンジンメーカーから供給されており、どのメーカーのエンジンを採用するかはメンテナンスの都合で航空会社が決定している。1980年代に登場した747−400は、航続距離をさらに伸ばしハイテク化されたため航空機関士も不要となり2人乗務制となり、コックピットの計器もアナログからデジタルに変更されている。
 短距離路線でジャンボ機を運用している日本向けに降着装置を強化して座席数を増やした747SRや747−400Dといったタイプも特別に作られており、ボーイング社にとって日本はおろそかに出来ない大口顧客になっている。長らく大型旅客機の市場にライバルはいなかったが、エアバス社がオール2階建てのA380を開発することを決定したため今後のボーイング社の成り行きが注目されている。