戦国末期の慶長(又は元和)年間に、袋田の滝で有名な現在の茨城県久慈郡大子町の小生瀬村で一揆が発生しました。しかし、時の為政者(徳川)に鎮圧されて一村皆殺しとなり、三百数十名が全滅したとの伝承があります。

 この一村皆伐という事件は、一般には秋田に移封された旧佐竹に心を寄せる地域住民に対して、為政者が権力の在処を示すための手段として行なったとされていますが、当時としてもあまりに惨く外聞が悪かったのか、およそ記録に止められることはなく、激動する時代の一こまとして歴史の暗闇に沈んでいきました。

 そのためこの事件については、伝承以外に残されたものがないため謎が多く、人々の想像力を働かせる余地を多分に残しています。

地獄沢付近から小生瀬遠望