4:30 起床
パン朝食を済ませて撤収作業をしていると、昨日の老人が声をかけてくれた。老人はどこも早起きの
ようだ。家に寄ってお茶でも飲んでいけと誘われたのだが、今日は「走ろう」と思っていたので
ありがたく辞退して
5:30 出発
6:00 「雷電トンネル」(3570m) 10.38q
これは私の経験した過去最長のトンネルだ。立派な側道があり全く安全なのだが走っていて飽きて
くる。
6:35 「刀掛トンネル」(2754m) 16.16q
これも長い。やはり飽きてくる。この辺りでは雷電国道(R229)はソーランラインの通称がついている。
7:50 「北作開」 33.35q セイコーマートにておにぎり、パン、お菓子を買い込む
9:20 「弁慶岬」 49.03q
北海道には「義経伝説」が数多くあり、ここもそのひとつで、それなりの観光スポットなのだが、
例によって車も少なく、広い駐車場は閑散としている。写真を2枚ほど撮り出発。
12:00 道の駅「よってけ!島牧」 74.18q
弁慶岬を過ぎた辺りから向かい風が強くなり、前半でも8〜10m/sec,後半では12m/secにはなり
平地でも押し歩く程で相当喘いだ。
道の駅のレストランが休みで、近くのレストラン「かりんぱ」に移動。豚丼+ラーメンセットの昼食。
食後、風が和らぐのを待ちつつ、地図をみながら今後の方針を検討する。そして、今日の目標を
30数q先の「北檜山」に決め、風が収まれば「キャンプ」、さもなければ「民宿泊まり」とした。
13:00 出発
14:00 85.77q地点
この間、風は衰えず、フロンギヤはいつもローで、リアは下から1、2段で終始する。それでもこいで
進めるだけ良いとする。
「白糸トンネル」、「兜岩トンネル」、「狩場トンネル」、「茂津田トンネル」と2000m級のトンネルが続く。
全て側道がなく、車道を全速で走るのだが、車が少なく結果としては1回も危険な目には遇わなくて
幸いだった。反って涼しく走れるだけ良かったとさえ言える。
ただ「茂津田トンネル」は本当に一直線で、出口が丁度天国の入り口のように遠く、小さく、点のよう
に見えているのに、漕げども漕げどもそこに近付かないというのも辛いものがある。
16:00 110q地点
風は依然として強い向かい風。北檜山まであと9qくらいだ。あとひと頑張り!しかし疲労困憊。
「三本杉岩」が見えてくると、瀬棚の町(三本杉地区)に着く。だが最初に眼に入った民宿、「長栄」
の看板を見たとたん、気力が一気になくなり、その玄関先に自転車を停めていた。あと数qが走れ
なかった。
16:15 民宿「長栄」着 112.88q
「主観は客観に先行する」、「負けたと思った時が負けた時」。
「今日は十分頑張ったよ」「空模様も怪しくなってきたし…」とか自分への言い訳を考えながらも
何に対してか分らないが、やはり負けました。
出てきてくれた主人が、奥さんが山菜取りに出かけていて、夕飯は何が出せるか分らないが、まあ
どうぞと言ってくれた時は本当にほっとした。断られたらどうしようと本気で心配だった。
自転車の始末をし、シャワーを浴び、洗濯が終った頃奥さんが帰ってきて、ご主人と今夜はカレーを
と話しているのを聞き、急な宿泊なのだからカレーで文句がないどころかそれで十分だと思っていた
ところ、出された夕飯は「カレイのから揚げ」をはじめとする盛りだくさんで豪華なものだった。思わず
「凄い夕飯で恐縮です」と言ってしまった程だ。(アルバムの写真を見てください)
その晩の事です。
実は作戦を考えたり、走ったコースを記入するために、前回の北海道でも使った北海道全体の大きな
地図を持参しており、北海道も3日目だしこの辺で通ったコースを書き入れようと広げて見ていると、
この瀬棚から「奥尻島」へフェリーが出ており、しかもそこからは今後のコース上の「江差」へ行く便が
ある事が分った。常時使っているものは部分地図で、そこには奥尻島が範囲外で一覧できないのだ。
「奥尻島」といえば最近大地震があり再建が大変だった島で、ちょっと見たところ大きさも手頃
(この感じの説明は難しいが)で、予定コースではないが「明日は奥尻島」と即決した。
これは神様のお導きに違いない。もし予定通り少し内陸に入った「北檜山」まで行っていたら恐らく
フェリーで奥尻へという発想はできなかったろうし、天候が普通だったら当然北檜山まで行っていた
のだから…。さらに今晩この地図を広げなかったらどうなっていた事か。
ここ瀬棚で前進を諦めたのは敗北ではなかったのだ、と都合のよい事を考えながら満足して就寝。
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