6月10日(火) 晴れ 岩内→弁慶岬→瀬棚(三本松地区) 112.88q(741.34q) 7:07 15.8q/h
4:30  起床
      パン朝食を済ませて撤収作業をしていると、昨日の老人が声をかけてくれた。老人はどこも早起きの
      ようだ。家に寄ってお茶でも飲んでいけと誘われたのだが、今日は「走ろう」と思っていたので
      ありがたく辞退して

5:30  出発

6:00  「雷電トンネル」(3570m) 10.38q
     
これは私の経験した過去最長のトンネルだ。立派な側道があり全く安全なのだが走っていて飽きて
      くる。
      
6:35  「刀掛トンネル」(2754m) 16.16q
      これも長い。やはり飽きてくる。この辺りでは雷電国道(R229)はソーランラインの通称がついている。

7:50  「北作開」 33.35q セイコーマートにておにぎり、パン、お菓子を買い込む

9:20  「弁慶岬」 49.03q
      北海道には「義経伝説」が数多くあり、ここもそのひとつで、それなりの観光スポットなのだが、
      例によって車も少なく、広い駐車場は閑散としている。写真を2枚ほど撮り出発。

12:00 道の駅「よってけ!島牧」 74.18q
      弁慶岬を過ぎた辺りから向かい風が強くなり、前半でも8〜10m/sec,後半では12m/secにはなり
      平地でも押し歩く程で相当喘いだ。

      道の駅のレストランが休みで、近くのレストラン「かりんぱ」に移動。豚丼+ラーメンセットの昼食。
      食後、風が和らぐのを待ちつつ、地図をみながら今後の方針を検討する。そして、今日の目標を
      30数q先の「北檜山」に決め、風が収まれば「キャンプ」、さもなければ「民宿泊まり」とした。
13:00 出発

14:00 85.77q地点
      この間、風は衰えず、フロンギヤはいつもローで、リアは下から1、2段で終始する。それでもこいで
      進めるだけ良いとする。

      「白糸トンネル」、「兜岩トンネル」、「狩場トンネル」、「茂津田トンネル」と2000m級のトンネルが続く。
      全て側道がなく、車道を全速で走るのだが、車が少なく結果としては1回も危険な目には遇わなくて
      幸いだった。反って涼しく走れるだけ良かったとさえ言える。
      ただ「茂津田トンネル」は本当に一直線で、出口が丁度天国の入り口のように遠く、小さく、点のよう
      に見えているのに、漕げども漕げどもそこに近付かないというのも辛いものがある。

16:00 110q地点
      風は依然として強い向かい風。北檜山まであと9qくらいだ。あとひと頑張り!しかし疲労困憊。

      「三本杉岩」が見えてくると、瀬棚の町(三本杉地区)に着く。だが最初に眼に入った民宿、「長栄」
     
の看板を見たとたん、気力が一気になくなり、その玄関先に自転車を停めていた。あと数qが走れ
      なかった。

16:15 民宿「長栄」着 112.88q
      「主観は客観に先行する」、「負けたと思った時が負けた時」。
      「今日は十分頑張ったよ」「空模様も怪しくなってきたし…」とか自分への言い訳を考えながらも
      何に対してか分らないが、やはり負けました

      出てきてくれた主人が、奥さんが山菜取りに出かけていて、夕飯は何が出せるか分らないが、まあ
      どうぞと言ってくれた時は本当にほっとした。断られたらどうしようと本気で心配だった。

      自転車の始末をし、シャワーを浴び、洗濯が終った頃奥さんが帰ってきて、ご主人と今夜はカレーを
      と話しているのを聞き、急な宿泊なのだからカレーで文句がないどころかそれで十分だと思っていた
      ところ、出された夕飯は「カレイのから揚げ」をはじめとする盛りだくさんで豪華なものだった。思わず
      「凄い夕飯で恐縮です」と言ってしまった程だ。(アルバムの写真を見てください)

      その晩の事です。

      実は作戦を考えたり、走ったコースを記入するために、前回の北海道でも使った北海道全体の大きな
      地図を持参しており、北海道も3日目だしこの辺で通ったコースを書き入れようと広げて見ていると、
      この瀬棚から「奥尻島」へフェリーが出ており、しかもそこからは今後のコース上の「江差」へ行く便が
      ある事が分った。常時使っているものは部分地図で、そこには奥尻島が範囲外で一覧できないのだ。
      「奥尻島」といえば最近大地震があり再建が大変だった島で、ちょっと見たところ大きさも手頃
      (この感じの説明は難しいが)で、予定コースではないが明日は奥尻島と即決した。

      これは神様のお導きに違いない。もし予定通り少し内陸に入った「北檜山」まで行っていたら恐らく
      フェリーで奥尻へという発想はできなかったろうし、天候が普通だったら当然北檜山まで行っていた
      のだから…。さらに今晩この地図を広げなかったらどうなっていた事か。
      ここ瀬棚で前進を諦めたのは敗北ではなかったのだ、と都合のよい事を考えながら満足して就寝。
 
本日のトピックス 今日は風とトンネルの日だった。通ったトンネルは20を越えているだろうし、1000m
を超えるものだけでも6〜7もあったのだから全行程113qのうち10q以上はトンネ
ルを走った事になる。やはり北海道開発には金がかかるはずだと納得してしまう。
風には負けたが、そのおかげで「奥尻島」へ行けることになったのだからそんなに恨ん
ではいけない。苦しみの後には喜びがある。
                                 本日の写真集
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