上記地図は「Super Mapple Digital Ver.7 for Sony にアルバムの写真3枚を落し込んだものです
7:30 起床
部屋でおにぎり2ケを食べて、久し振りにNHKの連ドラを観る
8:45 ホテルチェックアウト
今日の予定は、ただ一点、「ハンバーグ」 結局昨晩は新しい情報が何も得られなかったが、今日は
時間はたくさんある。昼までにそのレストランが見付かれば良いのだと思うと、大丈夫だという確信が湧
いてくる。
大通公園をひたすら西に向かう。そうすれば円山公園に行き当たるはずだ。
この時期の札幌はポプラの白い綿毛がフワフワと漂い、風情があるというよりは、自転車にとっては
邪魔で、走りにくい。また、この時間は通勤時間でもあるので歩道に自転車が多く、それもかなりの
スピードで走ってくる。危険極まりない。これは困りモンです。歩道を走る時には歩行者優先、速度は
当然控えめ、ましてくわえ煙草で運転など厳禁です。
ようやく円山公園付近に着き、とにかく成り行きで坂を登り始める。確かに長い坂だ。事前の情報では
「登りつめた辺り」という事なので、公園に沿って更に登る。左手に競技場があり一応そこで坂は終わ
るのだが、まだそれらしき店はない。左に曲がると更に右手に坂が続いている。とにかく登る。
一帯は東京で言えば田園調布などに当たるのではなかろうかという高級住宅地だ。犬を連れて散歩
する婦人も品が良い。それにしてもかなりの登りだ。汗まみれで荷物を積んで喘ぎ登っている自分が
場違いに思えてくる。

(一発で行き着けた証拠の軌跡)
「お店から少し先まで行っているのは「モイワ山」のロ−プウェイに行こうとしたが、
戻りの登りを考えて中止して戻ってきたところ」
10:00 ほぼ坂を登りつめたかなという頃、左手にコンクリート造りの住宅風建物が見えてきた。近寄ると、
それはレストランで、名前は「グリュス ゴット」。(プレートにはアルファベットで書かれているが、
多分ドイツ語らしいので発音はこうなるはずだ)
ここまでの苦労が報われた瞬間だ。遂にやった。(それ程の事はないのだが)
良くもまあグルグル回らずに一直線で来られたものだ。冴えているのか運が良いのか…。
S君からは店名を「グリス ゴッド」と聞いていたので、どうりで「104」でもわからなかった筈だと納得
した。と同時にS君の適当さを恨めしく思ったりもした。オペレーターだって「グリル ゴッド」じゃないか
とか「グリム コット」ではないかとか色々やってくれたのだ。おかげでこんなに不安な思いをしたでは
ないか、と文句が次々に浮かんでくるのは安堵したせいだが、我ながら勝手なものだ。
しかし入り口には「11時半開店」の札が掛かっている。そして、本当にここが目指すお店かまだ一抹の
不安があったので、同じ敷地内にある住まいを訪ねた。出てこられたのは少年で「お母さんは在宅か」
と尋ねると不在だという。そこで、「お母さんの東京のお姉さんのお名前は○○○さんか」(何故かS君
の奥さんの名前を知っているのだ)と尋ねると「そうだ」という事で、初めて100%安堵した。しかし、
今考えてみると、朝方から得体の知れない初老の男が自分の母を尋ねてきて所在を聞いたり、伯母
さんの名前を確かめられたりしたのだから、その少年はどう思ったかと想像すると冷や汗モノだ。
とにかく1時間半ほど時間をつぶさなくてはならない。そこで少し先まで坂を登り切ってみると「モイワ山」
のロ−プウェイへの矢印があったので行ってみることにした。どんどん下って行くうちに、ふと、またこの
坂を登ってこなくてはならないと思い当たり、引き返した。そして、お店の近くのバス停で持参の文庫本
を読んで開店を待った。
11時半過ぎになって「グリュス ゴット」に再度伺った。エントランスにはその日毎の和牛の産地が
メニューのように書いてある。「本格的な」感じがする。ひょっとすると、とんでもなく高級なお店なのか。
髭こそきちんと剃ってあるが、7分パンツにTシャツはいかにもまずいかもしれない。でも仕方ない。
中にはもう先客が一組いた。
落ち着いた、良い雰囲気の(これは美味しいものをだしてくれそうなという意味)店内だ。そこに居られた
ご婦人に「奥様ですか」と尋ねると「そうではない」という事でご主人にご挨拶をしたのだが、何しろ、
最近余り人と込み入った話をしていないので、きちんと順序立てて話ができたか自信がない。しかし、
実直そうなそのご主人は根気よく私の話を聞いてくれてから「お義兄さんから聞いております」と言って
くれるではないか。
嬉しかった。さすがS君だ。札幌に行くとは連絡していないのに素晴らしい配慮だ。する事にそつがな
い。全てにきちんとしている。これだから仕事も人生も順調なのか。前から優秀なヤツだと思っていた。
104ではここの番号が分らなかったが、何の事はない、NTTに登録はしていないとの事で、店名が
正確に伝わっていたとしても結果は変わらなかったのだ。
椅子に座ると急に空腹を覚え、ハンバーグランチを注文する。まず出されたスープをあっという間に
いただく。ハンバーグの焼き具合を聞かれたので「ミディアム」。私はいつでも中庸を好む温和な性格
なのだ。
出されたハンバーグは今までのその概念を大きく崩す代物だ。大きい。おもちゃのラグビーボールを縦
に二つに割ったとでも言おうか、それがプレートの上でジュウジュウいっている。汁が飛ぶ。それで予め
エプロンをさせられるのだった。やわらかい。ふんわりしている。つなぎを使っていない。お肉の味がす
る。
十分堪能し終わった頃、奥さんが外出から戻られた。見た瞬間に○○○さんの妹さんだと分った。話し
ていても初対面の感じがしない。美人姉妹だ。常々思っていたが、S君は幸せ者だ。
ありがたいことに、ご主人が東京のS君に電話を繋いでくれた。説明も2回目なので、連絡もせずにここ
に来てしまった顛末を我ながら上手に、手短に話すと、「先輩、うれしいすっよ、本当に行ってくれたんで
すね」と喜んでくれた。なんてイイヤツなんだ。(私がS君の大学の先輩に当たる事は事実だが、私自身
先輩だなどと思った事は一度もない。いつも「ある席」で顔を合わせるのだが、その度に和ませていただ
く年下の友人だと思っているだけだ。)
しかも私がメールを見られなかっただけで、お店の住所・電話番号や詳細な道順などを連絡してくれて
いるという事だった。そうなのだ。S君は万事行き届いた男なのだ。
しばらくはご夫妻と談笑し、(途中でコーヒーのお変わりまでして)さて支払いをという段になると頑として
受け取ってくれないのだ。私としては一応「義兄さんの先輩」と思われているのだから、厚かましい振る
舞いをしてはS君の面子が潰れてしまう。しかし奥さんは「そんな事をしたら叱られます」の一点張りで、
遂に私は諦め、感謝をしてお店を辞したのだった。 ありがとうございました。 本当に札幌に来て
良かった。
13:30 お店を辞す
さて、お店を出たのはいいのだが、今晩の宿を見つけなければならない。昨日の様子からは難航が
予想される。
ススキノに戻り、飛び込んだホテルはダブルの部屋しかないし泊りは7時からだと言われた。もしや
と思い「ここはラブホテルか」と聞くと「そうだ」という返事。どうりでロービーの様子がおかしいと思った。
14:00 雨が降り出し、多少焦りつつ、次にすぐ近くの「ホテル ハイランド」に当たるとOKだと言う。しかも
一泊3675円。多少古ぼけてはいるがフロントもしっかりしていて、即決。
今夜は映画を見ることにして、フロントのおねえさんに近くの映画館の場所を聞く。幸いな事にススキノ
に一館あるというのでほっとして、雨も降っている事だし夕方まで部屋でシャワーを浴びたりして寛ぐ。
16:00 傘を持って出かける。(持参の折り畳み傘だが使ったのはこの時だけ)その映画館はススキノ交差点
から程近いところにある東宝系で単館。「隠し砦の三悪人」18:10上映開始。それ程意欲が湧く作品
でもないので迷ったが「阿部ちゃん」が出ているから見ようかと1000円のシニア料金で切符を買い、
街に戻って「ミスタードーナッツ」で文庫本を読みながら時間をつぶした。
見終わってから「吉野家」ですき焼き定食とサラダの夕食を食べホテルに戻る。昼食と比べてなんと
落差の大きい夕食か。雨は止んでいた。
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