利尻島(フェリー)→稚内→納寒布岬→天塩 | 101.95㎞(1192.27㎞) | 8:41 | 11.7㎞/h |
コース | 距離 (累計) | 稼働時間 | 平均速度 |
第17日目 6月09日(火) 霧・曇り・強風
今日は心底疲れました
日本海を望む穏やかな稚咲内海岸は、悠々とした秀峰・利尻富士を一望できるのが魅力。さわやかな潮風に揺れるハマナスや橙色をしたエゾスカシユリが咲き誇ります。ここから北へ向う稚内までは約60kmもの砂浜が続く、勇壮とした景観。海岸とサロベツ原野の間には原始砂丘林が生い茂ります。
04:30 起床
夜半、かなり温度は下がったが一度トイレに起きただけで熟睡できた。インスタントラーメンの朝食とお茶を飲んで早速出発。
今日は前泊のユースで同宿だったライダーから聞いた「姫沼」に寄ってから、フェリーで稚内に戻り、出来るだけ日本海沿いに南下する積りだ。
05:50 出発
( 06:35 早朝の利尻富士 )
( 07:03 野塚崎からベシ岬を。ここから自転車道 )
昨日の内に「沼浦」まで来ていて本当によかった。いくら狭い島とはいえ、沼浦からでも姫沼までは20㎞あり、しかも登りになるので2時間はみなければならない。フェリーは08:40出航なので、やはり8時には港に着いておきたい。姫沼での滞在時間を考えると、5:50沼浦出発でギリギリという事になる。
多少アップダウンのある周回道路を野塚崎まで進むと、そこからは「自転車道」が内陸部を走り、姫沼近くまで通じている。
例によって事前の観光地情報をもたずに利尻へ来てしまったのだが、ここ「姫沼」は登山者以外の来島者にとっては最大の目玉であるらしい。それも写真のような「逆さ富士」を見るのが眼目であるようだ。
朝一番のフェリーが島に到着前なので、元気なオバサン観光客に煩わされることなくそんな景観を独り占めしてしまった。朝早くここに着いたおかげだ。
確かに静かな水面に写った利尻富士の姿は美しい。天気にも恵まれ清清しいひと時を過ごす事ができた。「観光名所」もたまには良いもんだ。
本当はもっとゆっくりお茶でも楽しんでいたかったのだが、20分程滞在しただけで辞した。
この姫沼で標高130mあり、ここから港までの5㎞はアッという間だ。
( フェリーから臨む「利尻富士」 )
08:40 出航
楽しい滞在だった。思えばずーっと「利尻富士」を見て過ごしたようなものだった。360度、24時間だ。
しかし、もう、気持ちは稚内からの走りに移ってきている。納寒布岬を回って何処まで行けるか、地図を見ながら検討するのだが、海面に立つ白波から7~8mの南風が読み取れるので、少しイヤな予感がする。
10:20 稚内到着
( 納寒布岬にて : ライダーさんに撮ってもらう )
早速に納寒布岬に向けて走り始めて
10:45 納寒布岬到着
記念写真を撮ろうと岬の先端にある公園に入って行くと係員風の男が「ここは自転車乗り入れ禁止だ」と言ってきた。これにはカチンときたね。その時は押し歩いていたのに、とんでもない言いがかりだ。もちろん「押していって写真を撮るだけですから」と言って無視しましたよ。
それを見ていた通りすがりのライダーさんが、左の写真を撮ってくれた。その時、「ボクはチャリダーさんをいつもすごいと感心しているんですよ」と嬉しい事を言ってくれた。
( 14:20 風が強い 右も同地点 )
( 天塩 42㎞ 稚咲内 17㎞標識 )
とにかくきつい。結局、本日は100㎞以上走るのだが、ノートの記録も写真もいつもの半分以下だ。つまりほとんど余裕がなかったということなのだ。道は単調な上に、小さなうねりのアップダウンの繰り返し。沿道には何もない。つまり町がない。たまにある集落も数軒が軒を連ねるだけで商店など何もない。
右上の写真で「天塩 42㎞ 稚咲内(ワカサカナイ) 17㎞」とあるので、今日は稚咲内泊りにする、と決め込んで、あと17㎞だとの思いで何とかこぎ続けた。
誰だって、あんな標識をみれば、そこがそこそこの町だと思うではありませんか。途中で本当に最後の食料・キットカット2切れを食べ終わってしまい、やっと
16:30頃 稚咲内 着
ところが、何もない! とても「町」と言える規模ではなく、旅館はもちろんコンビニ・食料品店も目につかない。
( ひたすらにこんな単調な道 )
( 17:32 北緯45度の標識 )
ふうふう言いながら登り歩いていた時、あのクッチャロ湖で一緒になったジムニーのKさんが追い抜きざまに停車して話し掛けてくれた。一体全体この人はどこをどう走っているんだろう。
「こんな風では原付でも20㎞/hがやっとだよ。今日はどこまで行くんですか」
「とにかく行けるところまで」
などと言葉を交わして別れたのだが、本音で言えば、不可能とは知りながらも「自転車ごと大きな町へ連れてって」と言いたいところだった。別れてから、「しまった、何か食料を分けてもらえばよかった」と思ったが、あとの祭り。
このあたり一帯の東側は「サロベツ原野」と言ってウェブサイトでは以下のような説明がある素晴らしいところなのだ。しかし今はそれを味わう体力と心の余裕がない。
途中に2ヶ所ほど道路脇に休憩小屋があり、その都度中に入って休んだのだが、毎回、今晩はここに泊ろうかと迷った。風をしのげて雨の心配がないのはありがたく、装備も十分なのだが、唯一、今夜の食料がないという一点で思い止まった。「米を炊く気力」もその時はなかった。
もうそうなると「天塩」まで行くしかない。ツーリングマップルによれば、そこにはコンビニもキャンプ場もある。とにかく何かを食べたい。
暗くなり始めてきたので、前後のライトを点けて、さらに反射テープ付きの安全ベストまで着用する。久し振りの夜の走りだ。疲労が溜まってきたせいか、道が単調なせいか、やたらと眠くなってくる。しかも風が強いので頭は下げているので、うっかりすると道端の電柱にぶつかりそうにもなる。何度かハッとした瞬間があった。
最後の14~15㎞に1時間半もかかって、やっと天塩のセイコマートの明かりを見た時には心底生き返った思いがした。きっと「砂漠でオアシス」も同じようなものなのだろう。
19:15 天塩 コンビニ 着
何はともあれ弁当と熱いコーヒーだけを買って、直ぐ近くの公園で風陰の東屋に入り、貪るように食べた。一応おなかが満たされると心理的にも落ち着きを取り戻し、何もこんな条件の時にキャンプしなくてもよい事に思い当たり(それまでは時間が時間だけに旅館は受け入れてくれまいと思い込んでいたのだ)、セイコマートに戻りビジネスホテルの在りかを訪ねると、親切にも町内地図に印しをつけてくれて2軒ほど紹介してくれた。
20:00 ホテル いち花 チェックイン
チェックインしてからもしばらくロビーで休憩してからでなくては、荷物を解き、それを持って上に上がる気力・体力が回復しなかった。
( 自転車道から利尻富士 )