贈与税

概要
負担付贈与とは、債務の弁済を条件とした財産の贈与をいいます。負担付贈与により財産の贈与を受けた場合には、その贈与を受けた者は、財産の価額から債務の額を控除した価額に対して贈与税が課税されます。
贈与税の課税価額
【贈与財産が土地や借地権あるいは家屋や構築物の場合】
贈与財産の通常の取引価額(時価)からその負担の額を控除した価額
【贈与財産が土地や借地権などの財産以外あるいは家屋や構築物などの財産以外の場合】
贈与財産の相続税評価額からその負担の額を控除した価額
贈与したとされる日
不動産の場合には、所有権移転登記の日が贈与した日となります。
親族間の約束による負担付贈与の留意点
負担付贈与は、借入金などの債務と併せて財産を贈与することが前提となりますが、親子間や兄弟間などで、債務の弁済を一部肩代わりするなどの約束で、贈与する場合にも、負担付贈与として認められます。ただし、この場合、口座から振り込まれているなど間違いなく負担付贈与であることが客観的に証明されなければなりません。親族間では、その点が曖昧になりがちなので、適用にあったては、充分注意する必要があります。
申告義務
財産の価額から債務の金額を控除した価額に対して贈与税が課税されますので、税金が出なければ申告する必要はありません。しかし、申告の有無にかかわらず、必ず税務署からのお尋ねがありますので、その贈与に伴う借入金があるなど客観的な事実を説明できるようにしておく必要があります。
負担付贈与をした方の者の取扱い
債務の弁済を条件に財産を贈与した者については、その負担の価額により譲渡があったものとみなして、所得税法において譲渡所得が課税されます。


贈与課税されない場合
親子など親族間の金銭の貸し借りについては、借入金の弁済能力や弁済状況などから判断して、借入の事実が間違いなくあると客観的に確認できる場合には、その借入金については、贈与税が課税されません。
贈与課税される場合
@ 無利息などの場合には、利息相当額の経済的利益に対して贈与税が課税されます。
A 形式的に金銭の貸借としている場合やある時払いなどで借り入れた借入金については、その借入は贈与とされ、贈与税が課税されます。
金銭の貸借か贈与かの判断
その借入が金銭の貸借となるか贈与となるかは、その借り入れた個人の主観的な意思からは、容易に判断することが困難であるため、課税の公平上の見地から、弁済能力や弁済状況などの客観的な事実を総合して判断することが必要です。


慰謝料などの支払い
離婚にともなう財産分与は、結婚生活中に夫婦二人で蓄えたものを分けているだけなので、財産の分与を受けても贈与税はかかりません。
しかし、財産分与として家や土地の名義変更をした場合には、それは財産分与義務、つまり財産を分与しなければならないという負債の消滅を対価とした有償譲渡であるため、分与した人は譲渡所得として所得税がかかります。
養育費などの金品の給付
子供の養育費については、日常的な生活費や教育費としてのものなら贈与税や所得税はかかりません。
しかし、一時にまとめて受け取り、それを貯金したりすると贈与税がかかる場合があります。必要なだけその都度受け取るようにするか、ただ単に一時的に預かっているだけという契約を結んでおきます。
不相当に多額な財産の分与
分与した財産の価額が不相当に多額である場合や租税回避のための離婚による財産分与が行われたと認められる場合には、その多すぎる部分や離婚により分与を受けた財産すべてについて贈与税が課税されます。
生活費や教育費
生活費や教育費の名目で取得した財産で、通常必要と認められるものについては、課税されません。しかし、通常必要と認められないものについては、贈与税が課税されます。このような規定は、生活費や教育費の名目で多額の財産を妻子に移してしまうことを防止するために設けられたものです。なお、通常必要と認められないものの具体例としては以下のものなどがあります。
@ 預貯金した場合 A 株式の購入代金に充当した場合 B 家屋の購入代金に充当した場合