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継続的な経済社会の発展と成長に向けて、「あるべき税制」体系の一環として相続税・贈与税をはじめ、金融・証券税制の軽減・簡素化、所得税における配偶者特別控除の上乗せ部分の廃止など広範かつ大幅な改正案が平成15年1月17日に閣議決定された。その中でも注目すべきなのが消費税に関する6年ぶりの大幅な改正だ。消費税法については、平成9年の改正以来大きな変更はなかったが、平成15年度の改正で免税点の大幅な引下げ、簡易課税制度の適用上限の見直し、消費税総額表示の義務付が実施されることとなった。
消費税法改正の概要
免税制度
免税事業者適用上限を現行の3千万円から1千万円に引き下げる。
簡易課税制度
簡易課税制度の適用上限を現行の2億円から5千万円に引き下げる。
中間納付制度
直前の課税期間の年税額が6千万円(地方消費税を含む)を超える事業者については、現行では3月ごとに中間納付することとされていたが、今回の改正で原則として、毎月ごとに前年確定年税額の12分の1を申告納付する。
課税期間の短縮
現行では課税期間を3月とする特例が認められているが、今回の改正で新たに課税期間を1月とする特例が設けられた。
*上記の改正は、平成16年4月1日以後に開始する課税期間から適用される
総額表示の義務付け
事業者が消費者に対して、予め取引価格を表示する場合には、消費税(地方消費税を含む)を含めた価格を表示することが義務付けられた。なお、総額表示の例としては以下の表示が考えられる。
【総額表示の例】
@10,500円(本体価格10,000円、消費税等500円)
A10,500円(うち消費税等500円)
B10,500円(本体価格10,000円)
C10,500円(税込み)
*上記の改正は、平成16年4月1日から適用される
消費税本来の姿から言えば、今回の改正は「あるべき税制」体系の趣旨に沿う妥当なものだと言える。消費税法に規定する事業者免税制度や有利不利の判断に基づく簡易課税制度の選択などこれらの規定が消費税を不透明なものにし、信頼性を損なうこととなっていたのは事実だ。免税事業者制度及び簡易課税制度が完全廃止となる日も決して遠くはないと予想される。また、消費税総額表示の導入に伴い、小売店をはじめとした多くの事業者が表示方法の大幅な変更やレジスターなどシステム変更を余儀なくされる。昨今の経済情勢の折、そちらのコスト負担の方が大きな痛手となると言える。