オーディオに対するモチベーションが下がってきていることもあると思うのですが、もっと気楽に自分が聴いている音楽を紹介しようと思い、音質やジャンルにとらわれず、文字数もグッと少なくして継続できるような仕組みにしようと決めました。

おおむね200字前後の文章で構成し、読んで苦痛にならないようなものにしていけたらと思います。

アルバムの紹介も最低でも月1回くらいのペースで更新していけたらと思います。

(最終更新日06.12.18)


U2『18 SINGLES』

8年ぶりの来日公演に職場の仲間と2日間にわたって行ってきた。数々の名曲が熱唱・熱演される中、世界人権宣言の文言やアフリカ諸国の旗が違和感なくライブを構成していた。結成以来、不動の4人で活動を続けるU2。本作はiPodのCM曲でおなじみの「Vertigo」や、母国アイルランドでの事件をうたった「Sunday Bloody Sunday」、ハリウッド映画のテーマソングや、テノール歌手パバロッティとのデュエット曲「Miss Sarajevo」など盛りだくさんの内容になっている。ちなみに僕が好きな曲「All I Want Is You」は収録されていないが、11月30日(来日公演2日目)のライブで聴くことができたときは最高に幸せだった。

(06.12.18)

映画『i am sam』オリジナルサウンドトラック

ビートルズの音楽をそのまま使うと映画予算がパンクしてしまう為、歌手とアレンジを変え、曲目も限定して映画は製作されたらしい。もと歌が有名なだけに依頼されたアーティスト達は自分の個性とアレンジの両立に苦労したのではないか。ビートルズをカヴァーできることの喜びも当然あったと思うが、きっと相当プレッシャーだったに違いない。

うちの4歳児の娘は、エイミーマンが唄う『Lucy In The Sky With Diamonds』が、僕はルーファス・ウェイラントの『Across The Universe』アクロス・ザ・ユニヴァースがお気に入りでよくリピートして聴いている。パールジャムのボーカリストエディ・ベダーが唄う5曲目『You've Got ToHide Your Love Away』なんてシーンが蘇ります。

(06.7.19)

ソニー・ロリンズ『サキソフォン・コロッサス』

テナーサックスの巨人である彼が26歳のときに発表した作品です。1952年の録音ということですが、軽快なリズムとメロディがとても心地よく、1曲目「セント・トーマス」の出だしからワクワクさせられます。不滅の名盤といわれるのも納得の作品です。
その昔、友達の「結婚を祝う会」のBGMとしておおいに利用させてもらった思い出のあるアルバムでもあります。
ジャケットデザインも今に通じるものがあってとてもいい感じです。

(06.5.25)

小島麻由美『スウィンギン・キャラバン』

とにかく個性的。歌声と奏でる音楽性に強烈なインパクトがあって、一時期やみつきになりました。やみつきになったのは98年発売の3rdアルバム「さよならセシル」以来なので、実に8年ぶりの再燃です。ブルースやジャズのエッセンスを、巧みに自身に取り込み昇華している点が毎度の事ながら素晴らしいです。いろいろな音を聴く事ができるので自宅のオーディオで聴く事をおすすめします。

※初回盤はデジパック仕様です。(06.5.24)


オーディオ的視点で聴きこむ・洋楽ロック『この1曲』

U2/THE PLAYBOY MANSION

U2の作品に『マイケル・ジャクソン』が出てくるとは思わなかった。

とても力(気)の抜けた感じの曲に聴こえるので、購入当初はかなりの頻度でSKIPして聴いていたような気がする。聴きこむ程の勇気も興味もなかったが、BGM的に聴いていくうちに、曲の良さが分かってきた。ダルい感じだけど隙がないという印象で聴きこむほどに味わい深さをましていく。

曲中にはいろいろな音が含まれていて面白い。曲調からすると『面白い』という言葉は似合わないかもしれないが、隙がないだけに音のつまり具合が面白みを醸し出している。やはりリズム隊がしっかりしているからスローな曲もボノは安心して唄えるんだなと思う。3:55くらいからの『エッジ』のハモリがいい雰囲気をだしていて聴き所のひとつと言える。

オーディオ的な面白みを感じるとすればボーカルが入るまでの前奏部分。ゆったりとして落ち着きのある演奏はしっかり聴くに値する。作品全体の雰囲気はとても素晴らしいので、出来ることならしっかりしたシステムで聴いて欲しいと思う。『エッジ』のハモリ部分は聴いていて気持ちがいいので、そこだけ聞き耳をたてて聴くのもオツなものだなあと思う。 (記05.6.16)

U2/LAST NIGHT ON EARTH

アルバム『POP』に収録されている作品でありながら、アルバムタイトルとは対照的な存在。曲の出だしから空襲警報が鳴らされているかのような不穏な状況を作り出し、終末的な雰囲気を醸し出している。ボノが発する歌声も危機的状況を世界に訴えかけているよう。

この危機意識に対して、オーディオ的アプローチをするならば、『不穏』や『終末的な雰囲気』をより強調するのがいいだろうと思う。アンプのトーンコントロールを使用して、『BASS』でより低い音を作り出す。『TREBLE』で少々高めに設定し、アンバランスな状態を意図的に作り出せば自ずと『不穏』な状況になる。低い音で不穏を体感し、高い音は耳をつんざくような恐怖にも似た感覚に陥る。

作品のオリジナリティを尊重した聴き方をしたいのであれば、普段聴いているボリュームの位置よりも音量を上げてあげれば十分に危機意識を感じ取る事ができる。※音と音に埋もれた音、普段聴き逃している音まで聴こえてくるはず。音量UPでU2の音楽性とメッセージ性をこの作品でも存分に感じてもらいたい。
(記05.06.16)

U2/PRIDE(IN THE NAME OF LOVE)

『PRIDE』というと最近は格闘技を思い浮かべる人が多いと思う。しかし僕にとっての『PRIDE』はU2以外にはあり得ない。 僕の中では『プライド』と言えば、必ず『IN THE NAME OF LOVE』が後に続く決まりになっているから。

この不思議なイントロで始まる我らがU2サウンド。始まりから終わりまでを一気に聴かせるあたりが、現在のU2に通じる音楽性の始まりだと思う。アルバムの初期3部作とは明らかに違うメロディーの存在や扱いが、ロックミュージックを気持ちよく聴かせるとう点において大きく成功していると思う。また、アルバムに収録されている他の作品とは一線を画した非常に優れた楽曲だと思う反面、この作品だけが浮いた存在になっている。

今でこそ、スタンダードな作品になったが、0:45から早々とサビに突入し、生命を高らかに歌い上げるかのような自信に満ちあふれたボーカルが、これからの4人を象徴しているようで、今にして思えば凄く誇らしい作品に成長したのだなと思う。

聴きどころは若かりしボノのボーカルにあるだろう。なんせ20年も前の作品なのだから、声に張りはあるし今とは唄い方も違う。まずは若さ溢れる4人の熱気を手持ちのオーディオで再現してみてはどうだろう。 ちょっと気恥ずかしくなる事請け合いだ。
(記05.0614)

U2/STAY(FARAWAY SO CLOSE!)

とても地味で素朴なイントロダクション。相変わらずダンディーでリッチなボノのボーカルが地味で素朴なメロディーをじわりじわりと情熱色に染めていく。アルバム『ZOOROPA』に比べ『BEST』盤はより残響感が増していて曲の雰囲気もさらに良くなっている。

テクノ3部作という言い方は好きではないが、『ACHTUNG BABY』『ZOOROPA』『POP』にあって、真ん中に位置するアルバムに収録されている作品『STAY』。テクノと呼ぶにはほど遠い、いい意味で安心感のある作品。

イントロも好きだが、2:00頃からの盛り上がりも気に入っているし、2:30頃でいったん落ち着きをとりもどし、3:20あたりから再び息を吹き返すかのような構成にはホレボレしてしまう。テクノロジーを駆使した作品であっても、作り手は人間であり、そこには生命の躍動と息吹を感じるはずである。『STAY』にはそれがあると思うし、聴きどころはやはりその静と動の躍動感だろうと思う。

この『静』と『動』の表現の幅を広げるも狭めるもオーディオシステムの表現力によるところが大きい。名曲である以上、ラジオで聴いたって、カーオーディオで聴いたって感動できるのだから、この名曲をいかに自分の色に染め上げるか、どうしたらもっと自分の『STAY』になるのかを追求したらいいと思う。他の誰かが奏でる『STAY』もある訳でオーディオシステムの数だけ存在すると行っても言い過ぎではないだろう。
 名曲『STAY』を最後に完成させるのは、他でもないリスナー自身であることを知っておくべきだろうと思う。
(記05.06.13)

U2/ALL I WANT IS YOU

やさしいギターの音色にのせて牧歌的なボノのボーカルがメロディーと少しずつ絡み始める。0:48頃から次第に高揚感は増していき切なさと力強さをあわせ持つ素晴らしいサウンドへと続いていく。前半でためこんだ思いは後半のバンドサウンドで昇華されるかのようだが・・・。最終的にはバイオリンを中心としたアンサンブルへ移行し曲は終演へと向かう。

1:55あたりが一つの山場であり、これ以降の展開で激しさは徐々に増していく。オーディオ的に言えば、決して高音質ではないけれども、作品の良さがそんなことをどうでも良くさせてくれる。どちらかと言うと地味な方の曲だと思うが、奏でる音の重なり具合とメロディーの良さが重厚感を醸し出していると思うし、ボノのボーカルも次第に力強さを増していくあたりは、やはり聴きどころでU2サウンドの醍醐味だと言える。オーディオシステムの力量が問われるとすれば、音の重なり具合でそれぞれの音色が一つの固まりにならないで上手に個性を出し合うかどうかにかかっていると思う。

※音質は『BEST』盤の方が段違いに良いので、ぜひ聴き比べをおすすめする。
(記05.06.12)