STAX ELS-F81 のレストア  その一
  
 ある方から、このスピーカーを託されました。 託された ? ? ?  レストアの依頼を受けた訳でもなさそうな表現だし・・・なんだろう ? ?
と思われたでしょう。 お譲りいただいたと言えばそうなのですが、私の感覚としては、縁あって託された・・・としか言いようがないのです。
 
 
まずは これがどんなスピーカーなのか。 STAX社の製品年表によれは、発売されたのは1981年で
左の写真のものです。 H=102cm D=29cm W=45cm と小型で、開発意図が推測できます。 バッフルだけ動くようになっていて、仰角を変えられます。 小型ですので指向性が強く、使ってみると確かに便利な機構だと感じます。
その後、1983年にはほぼ倍の背丈の、トールボーイ・ダブルスタックと称する F83が発売になっています。
そして、1986年には F81X が、1989年には F83X が発売になっています。

STAXの静電型スピーカーの構造は、ユニットに着目すると、大きく三種類あると思います。 ( 省いたモデルもありますし、正確かどうか自信はありません。 また、人によって分類方法が異なるとも思いますので、あまりアテにしないで読んでください。)
ESS-3A・ESS-6A・ELS-4A・ELS-6A・ELS-4X・ELS-8X ・ ・ ・ 全てのユニットのフレームがベークライトであり、二種類のユニット・三つの帯域でユニットを使い分けている。 ( 信号電極の素材と構造には違いがありますが、それに触れると話が複雑になって・・)
ESS-4・ESS-4A ・ ・ ・ 一つの塩化ビニールのフレームに二つのウーファーが入っており、他のユニットのフレームはベークライト。 三種類のユニット・三つの帯域でユニットを使い分けている。
ELS-F81・ELS-F81X・ELS-F83・ELS-F83X  ・ ・ ・ 一つのユニット ( 一枚の振動フィルム ) 内部の信号電極で二つの帯域に分けている。  ある意味、QUAD と同じ発想ですね。
ESS-4 と ESS-4A の名称だけを見ると、 A というのは ADVANCE なのかなーーとも思いますが、実物を調べて比べたことはありませんので、差異は判りません。

閑話休題
私の手元に来た F81 ですが、上の写真のものそのものです。 画像を検索しますと、グリルネットの最下部に STAX のバッヂが付いていて、木部の色がライトオークと思しきものがあります。 ひょっとすると、それは、製品年表の 1984年にある「ELS-F81 New」というものなのかもしれません。
なお、F81X は、グリルネットの下に木部がありますので、これは簡単に判別できます。 なお、モデル名の X の有無による違いですが、過大入力警告回路( LEDの警告灯 )の有無ではないかと思います。



さて、本題のレストアです。

ユニットを二枚に分離してみると、下左の写真のようになっていました。
 フレームは塩ビ・・・・ウーム ??? STAXの意図が読めない・・・・・ どういうことかと言いますと・・・塩ビフレームは、ESS-4 と ESS-4A の WO に使われて以来、その後は全く使われていません。 素人目でも、ペニャペニャの塩ビフレームは頼りなく、STAX としても何らかの理由で短期使用しかしなかったものと思っていました。 しかし、F81 という、結果としてSTAX のほぼ最後のモデルになって再登場したのです。 塩ビが余っていた・・・一枚の大きなユニットの方が作り易い・・・安価に作れる・・・理由は色々と勘ぐれます。

前後それぞれ12枚の信号電極で構成されており、帯域は二つに分けられています。 写真の向きで、左右の四枚づつが接続されており、中央四枚がフルレンジ、上下四枚づつ二列がウーファーです。 電極は右のように結線されています。 電極は真鍮製で、エポキシと思しき接着剤で塩ビフレームに貼り付けられています。



ユニットは、左ch右ch、それぞれ前後で計四枚に分かれます。 その内のフロント側一枚の電極の一部が塩ビフレームから剥がれていました。 前から何かで突いて剥がれた・・・という形跡はありません。 接着剤はエポキシのようで、塩ビにエポキシは効かない(効きにくい ? )とはいうものの、これは一寸ショックでした。 ひょっとすると、反ったパンチングメタルを貼ったのかな、とも思いましたが、それなら最初から貼りづらいので、そんなはずはありません。 兎に角修復ということで、エポキシ接着剤を塗った上からキッチンラップを被せ、平らな重しを乗せて貼り付けました。 その後、電極間を繋いでいる細線を半田付けで戻して完了です。


残っているフィルムの四周端を見ると結構汚れています。 断定はできませんが、恐らく、高圧の配電に使われている導電塗料の劣化 ?  化学変化 ? で何か滲出している感じです。 STAX ではよくある現象です。

この黒い汚れの下がフレームの枠で、フィルムが貼られている部分です
STAX  のベークライトのユニットほぼ倍、QUAD のフレームの1.5倍の幅はあるでしょうか。 そのお陰で、次にフィルムを貼るためのクリーニングの手間が大変でした。
フィルムを貼らない方のユニットには、高圧配電のためのアルミ箔をめぐらせました。 STAXの高圧給電の方法は、銅箔を導電塗料に触れるようにして端子を出しておく、というものですが、これは如何にも華奢です。 それでも、修理などで触れることがなければ問題ない・・・緑青の問題はありますが・・・のですが、そのまま修理するには無理があります。 もっとも、ユニットを貼り付けてしまっていることから考えて、STAX は、修理 ・ メインテナンスを前提に作ってはいないのだとは思います。

高圧の給電方法については後ほど、もう少し判り易く書きます。









その二に続く・・・・

トップページに戻る