最近呑んだ吟醸酒について |
2007年4−6月分
これからの話は消費者(飲み手)という立場で書いていきます。評論家や蔵元、酒屋の立場では見ていません。また、音楽とか味覚とかいう物は大変抽象的で表現が難しいのですが、平易に書きたいと思います。 よく、食べ物店の紹介記事で絶賛している物を食べると、首を傾げたくなる時が多々ありますし、テレビでリポーターが口に入れたとたん「うまい」と発言しているウソ等はここでは、しないように心がけています。
◆月に一度の例会とイレギラーで飲んだ吟醸酒について、ズバリ、どういう酒か皆様への判断基準を書きます。
A;味、B;香り、C;コストパフォーマンス、D;総合評価を、各5点評価(5;最上 4;良 3;まあまあ 2;まだまだ 1;評価外)で表します。 総合評価3−(マイナス)以下ではもう一度買うかと言えば、考えてしまうレベル。2ではタダで贈られても困ってしまうレベル。
私の独断と偏見なしで評価し、E;寸評も入れます。なお、会での評価も、判断基準の参考にしています。また、評価はこの日に飲んだ吟醸酒の味で、次回も酒の性格上、ロットや時間が変れば同じとは言切れませんが、傾向としては、間違ってはいないと思います。
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次月例会 2007年7月28日(土)です
2007年6月30日(土)
1.来福酒造(茨城県筑西市) 純米 「来福」
生酒 原料米;愛山、 精米歩合;70% 【アルコール分】16度 【日本酒度】+7 【酸度】 2.0 【酵母】協会9号系 1.8L ¥2,625 (税込) A;味4、B;香り3+、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4 E寸評; 渋味とえぐ味が若干残るが、この単価なら十分でしょう。他の吟醸酒と比べてはいけません。濃い味付けの肴にはピタリとはまるのが嬉しい。燗をしてみました。人肌でゆったりした味になりました。
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2.三浦酒造(青森県弘前市) 純米吟醸 「豊盃 山田錦仕込」 生酒 原料米;山田錦、 精米歩合;55% 【アルコール分】15〜16度 【日本酒度】+2〜3 【酸度】1.9〜2.0 【酵母】協会1501号 1.8L ¥3,000(税込) A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5 E寸評; 華やかな香りと五味がバランスした品の良い旨味が押し寄せてきるベッピンさん、いえ絶品さんです。呑んで幸せになれる安心感は最高。 |
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3.下村酒造店(兵庫県姫路市) 生もと純米吟醸 「奥播磨
誠保(じょうほ)」 生原酒 原料米;夢錦、 精米歩合;55% 【アルコール分】17〜18度 【日本酒度】+4 【酸度】2.3 1.8L ¥3,100 (税込) A;味4、B ;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4 E寸評;もたつくが深い旨味が隠れている。 燗をしました。渋味が残りますが、円く柔らかくドッシリした味わいになりました。
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4.八百新酒造(山口県岩国市) 純米吟醸 「雁木
槽出あらばしり」 無濾過生原酒 原料米;山田錦、 精米歩合;50% 【アルコール分】16〜17度 【日本酒度】+3.5 【酸度】1.8 【酵母】山口酵母9H 1.8L ¥3,410 (税込) A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5 E寸評;旨い。煌びやかな弾け飛ぶような味わいと香り。フルーティーで、深い旨味、はまる怖さを克服するのが大変。 会友の女性が持ち帰って再度挑戦したのですが「会で飲んでいた時よりまろやかさが薄れ、つんけんしたカンジになってます。」と。ヤキモチ焼きの娘吟醸です。 |
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5.九重雑賀(和歌山県岩出市) 純米大吟醸 「雑賀」
生詰 原料米;山田錦、 精米歩合;麹米45%、掛米50% 【アルコール分】16〜17度 【日本酒度】+2.5 【酸度】1.7 1.8L ¥3,885(税込) A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+ E寸評;味わい香り高く旨い。オーケストラで各パートの音が競って立っているような、華やかさが有る。夏を越すともっと円やかにバランスが良くなるでしょう。
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6.九重雑賀(和歌山県岩出市) 純米大吟醸 「雑賀
原酒2003」 生詰 原料米;山田錦、 精米歩合;麹米45%、掛米50% 【アルコール分】17〜18度 1.8L \4,410 (税込) A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4+ E寸評;約4年の熟成を経て味が乗り、味にふくらみがありながらも純米大吟醸のきめこまやかな味わいが楽しめます(酒販店談)。 旨味充分で、老香も感じられず、上記雑賀と比べても色も味わいも古さを感じさせない。上手に歳が加わり、オーケストラが相手の音を聞けるような余裕が出てきて、上品な大人になった。 |
2007年5月26日(土)
1.
喜多酒造(滋賀県東近江市) 特別純米酒 「喜楽長」
生囲い 原料米;山田錦、 精米歩合;60% 【アルコール分】15〜16度 【日本酒度】+3.0 【酸度】1.9 1.8L ¥2,415 (税込) A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4 E寸評; 柔らかい青い風が吹き抜けていく。さらりと自己主張せずどんな肴にも合わせられる広さを持っている。料理屋さんで出たら最高の日本酒になるでしょう。味わいバランスし、さわやかな香りを持ち、杯が進む。 |
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2.
吉久保酒造(茨城県水戸市) 純米酒 「百歳」
無濾過生原酒 原料米;玉栄、 精米歩合;60% 【アルコール分】18〜19度 1.8L ¥2,573 (税込) A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4 E寸評;酒色、色付いて味わい厚い。奥行き深く旨味を凝縮している。味が濃いので、濃い味の煮魚などがピタリと合う。 |
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3.
旭菊酒造(福岡県久留米市) 純米酒 「綾花」
瓶囲い 原料米;山田錦、 精米歩合;60% 【アルコール分】15〜16度 【日本酒度】+3 【酸度】1.4 1.8L ¥2,678 (税込) A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+ E寸評; 淡く優しく飲み手を包む。酒色色付いて、味香りとも過不足無くバランスして飲み応えがある。飲み後に鼻から抜ける戻り香が魅力的な美酒。 |
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4.
黒龍酒造(福井県永平寺町) 純米吟醸 「黒龍 純吟三十八号」
生貯蔵 原料米;山田錦、 精米歩合;50% 【アルコール分】17度 1.8L ¥3,990 (税込) A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4−、D;総合評価4+ E寸評;旨いが上記3品と肩を並べられているのが悲しい。鉄人28号のような力強さも無いし、38歳の脂盛りの魅力もない。 |
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5.瀧自慢酒造(三重県名張市) 純米大吟醸 「瀧自慢」
斗瓶取 原料米;山田錦、 精米歩合;45% 【アルコール分】16〜17度 【日本酒度】+2 【酸度】1.4 【酵母】藏内自家培養酵母 1.8L ¥4,410 (税込) A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価5 E寸評; 純米でこれだけの香り、純米でこれだけのキレ。味わい深く、上品な香りが飲み手を安心の境地に誘う。オーバーでない、まとまり有る味わいが、旨さを十分引き出している。並みの肴では酒に合わないでしょう。 |
■お酒の肩書きと、値段に酒質は比例しないとはいつも言っている事ですが、今回もそのことが、大きくクローズアップされました。
2千五百円前後のお酒が健闘しています。晩酌酒にしてはモッタイナイ程のレベルを持っています。毎晩付き合うのには最適な値段のクラスで、このクラスの酒がこなれてきたら飲み手には嬉しい事です。酒販店でも出る(売れる)クラスはこの辺りで、競争の激しい地帯になっているようです。
蔵元さんは大変でしょうが、日本酒の再起を掛ける起爆剤には最良の傾向です。
2007年4月28日(土)
1.
北川本家(京都市伏見区) 純米吟醸 「乾風 (あなぜ)」
無濾過生原酒 原料米;備前雄町、 精米歩合;49% 【アルコール分】17度 1.8L ¥3,045 (税込) A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4 E寸評; 新酒独特の炭酸が口中を刺し酒の旨さがフィルタリングされて、飲み手に伝わらない。開栓後時間が経つと炭酸が落ち着いて(抜けて)柔らかい旨さが伝わってきた。 |
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2.
亀の井酒造(山形県鶴岡市) 純米吟醸 「くどき上手」
原料米;美山錦、 精米歩合;50% 【アルコール分】16〜17度 【日本酒度】+1.0 【酸度】1.2 【酵母】小川10号 1.8L ¥3,059 (税込) A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4 E寸評;新酒独特の柔らかい炭酸味が程良く口中で絡まり、淡い旨味がただよう。 |
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3.
今里酒造(長崎県波佐見町) 純米吟醸 「六十餘洲(よしゅう)」
原料米;山田錦、 精米歩合;55% 【アルコール分】15〜16度 【日本酒度】±0 【酸度】1.3 1.8L ¥3,255 (税込) A;味4、B;香り3+、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4 E寸評; 春霞の如くホンワカと優しさが伝わる。 |
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4.
萬乗醸造(名古屋市緑区) 純米吟醸 「醸し人九平次」
生原酒 原料米;雄町、 精米歩合;50% 【アルコール分】16〜17度 1.8L ¥3,150 (税込) A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4 E寸評; 乾風と非常によく似た味わいで、強い炭酸と柔らかい旨味が程良い味わいを出している。炭酸味という服を脱がすと、素肌の柔らかさが出てきた。 |
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5.磯自慢酒造(静岡県焼津市) 純米吟醸 「磯自慢」
原料米;山田錦、 精米歩合;麹50%、掛55% 【アルコール分】15〜16度 【日本酒度】+4〜6 【酸度】1.3 【酵母】自社保存 1.8L ¥4,200 (税込) A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5 E寸評; なんて旨いのだろう。何処がどうと言う事ではなく、品性良く、酒の神と杜氏さんに只ただ感謝するのみ。美酒に乾杯! |
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6.北島酒造(滋賀県湖南市) 純米 「酒は男を磨く水」
原料米;−、 精米歩合;90% 【アルコール分】13〜14度 【日本酒度】−5 【酸度】2 500mL ¥1,050(?) 差入れ A;味2、B;香り1、C;コストパフォーマンス1、D;総合評価2 E寸評; 復元仕込。精米技術の発達していなかった昔の造りを再現、お米の栄養分をそのまま残した健康志向酒です。(蔵元説明) ま、健康の為にお酒は飲まないでしょう。 江戸から昭和の中頃まではこの様な酒が一般的で標準的であった。今は我々が飲んでいる吟醸酒クラスの酒がウマイのまずいのと言っているのが贅沢であるのがよく分かる。 |
■新酒が市場に出回わって、多数派になりました。新酒独特の発酵段階で生まれた炭酸ガスが酒の中に溶け込んでいます。それが舌を刺すような刺激を与え、新酒独特の旨味とも個性とも言える味わいを醸しています。
年に一度の新酒のこの炭酸味を楽しむのですが、しかし、あまりにも強い炭酸味があると、その刺激にマスキングされて味わいを充分に、味わう事が出来ません。コーラやサイダーでも分かるように、放置されたビンからは炭酸が抜
けていきます。すると今までマスキングされていた炭酸の下から素肌の味わいが覗いてきます。落ち着いた味、柔らかい味、素直な味などが見えてきます。
炭酸が抜けるのが待てない人は、ビンを大きく振って泡立てましょう。そうすると早く炭酸が抜けて飲みやすくなります。これはまずい酒やバランスの悪い酒を生き返らせるときに使う一つの方法で、その味の変化を楽しむグループもいるくらいですし、超音波を掛けると旨くなるとの話もあって、それを採用している蔵元もあるくらいです。ま、そのときは試してみたら。
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