最近呑んだ吟醸酒について |
2007年7−9月分
これからの話は消費者(飲み手)という立場で書いていきます。評論家や蔵元、酒屋の立場では見ていません。また、音楽とか味覚とかいう物は大変抽象的で表現が難しいのですが、平易に書きたいと思います。
よく、食べ物店の紹介記事で絶賛している物を食べると、首を傾げたくなる時が多々ありますし、テレビでリポーターが口に入れたとたん「うまい」と発言しているウソ等はここでは、しないように心がけています。
◆月に一度の例会とイレギラーで飲んだ吟醸酒について、ズバリ、どういう酒か皆様への判断基準を書きます。
A;味、B;香り、C;コストパフォーマンス、D;総合評価を、各5点評価(5;最上 4;良 3;まあまあ 2;まだまだ 1;評価外)で表します。 総合評価3−(マイナス)以下ではもう一度買うかと言えば、考えてしまうレベル。2ではタダで贈られても困ってしまうレベル。
私の独断と偏見なしで評価し、E;寸評も入れます。なお、会での評価も、判断基準の参考にしています。また、評価はこの日に飲んだ吟醸酒の味で、次回も酒の性格上、ロットや時間が変れば同じとは言切れませんが、傾向としては、間違ってはいないと思います。
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次月例会 2007年10月27日(土)です
2007年9月29日(土)
1.喜多酒造(滋賀県東近江市) 特別純米 「喜楽長 ひやおろし」 原料米;渡船6号、 精米歩合;60% 【アルコール分】17〜18度 【日本酒度】+5 【酸度】1.8 1.8L \2,415 (税込) A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4 E寸評; 酒造好適米「渡船」は山田錦の先代に当たる父親のお米です。吟醸酒を彷彿させる名酒。サラリと清楚で飲み口良くバランスしている、飲みどくな酒。 |
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2.田中酒造(新潟県上越市) 吟醸 「泰山北斗」 原料米;−、 精米歩合;50% 【アルコール分】16〜17度 1.8L \2,625 (税込) A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+ E寸評; 柔らかな香りと、さわやか清楚でサラリと飲みやすい。晩酌酒としてはモッタイナイくらいの旨さと品性の良さがある。 |
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3.神沢川酒造(静岡県由比町) 特別純米 「正雪 備前雄町」 原料米;備前雄町、 精米歩合;60% 【アルコール分】15〜16度 1.8L \2,730 (税込) A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+ E寸評; 馥郁とした旨さが伝わってくるが、さわやかと言うよりそのシャバシャバ感が悲しい。
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4.大澤酒造(長野県佐久市) 純米 「勢起(せき)」 袋吊り 原料米;山田錦、 精米歩合;麹60%・掛65% 【アルコール分】16〜17度 【日本酒度】+6 【酸度】1.5 1.8L \2,730 (税込) A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+ E寸評; この値段で良くここまで頑張っている。2〜3年前の三千円クラスでしょう。味・香りバランスしさわやか、品性良く、旨味充分。 |
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5.南部美人(岩手県二戸市) 純米吟醸 「南部美人 ひやおろし」 生詰原酒 原料米;ぎんおとめ、 精米歩合;55% 【アルコール分】17〜18度 【日本酒度】+ 5 【酸度】1.5 1.8L \3,129 (税込) A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+ E寸評; 濃厚な味わいでバランスし旨さが伝わってくる。 ラベルに必ず表示しなければならない言葉があります。蔵元名、住所、清酒と言う文字、品名、特定名称酒名、瓶詰め日、内容量、原材料名、アルコール度数等です。これらは表示義務があります。この酒にはアルコール度数が入っていません。これは如何なものでしょうか。ここに書かれている度数は酒販店に聞いたものです。 |
■今回は「ひやおろし」のラベルが踊る酒達です。ご存じでしょうが、蔵元では春先には仕込が終わり、その酒が夏を越して熟成された味わいの酒になって市場に出てきます。これをひやおろしと言いますが、保存が悪ければ、ダメ酒になりますし、良いと佳酒になって我々を楽しませます。今回はどれも素敵な日々を過ごしたのでしょうね、夏痩せせずに登場しています。ありがたいことです。
もう一つは、今回の酒が税抜き価格で二千円台だと言うことです。最近の購買価格帯がこのラインになったようです。平たく言えば単価が下がって、この価格帯が激戦区だと言います。で、何処の酒販店、蔵元もこの価格帯に力を入れています。
2007年8月25日(土)
1.太田酒造(神戸市東灘区) 純米吟醸 「太田道灌」 原料米;玉栄、 精米歩合;55% 【アルコール分】15〜16度 【日本酒度】+4 【酸度】1.5 1.8L \2,835 (税込) A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4 E寸評; 近頃顔黒美女も少なくなって、見かけなくなりましたが、話せば純真な娘達です。太田道灌も、酒の色も濃く、味わい力無く、香りも力無い。素直な味わいなんですがね〜。 |
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2.楯の川酒造(山形県平田町) 純米吟醸 「たての川」 原料米;出羽燦々、 精米歩合;55% 【アルコール分】15〜16度 【日本酒度】−2 【酸度】1.5 【酵母】山形酵母 1.8L ¥3,045 (税込) A;味4+、B ;香り4+、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+ E寸評; 甘い香りがお花畑にいるような、メルヘンの世界に引き込まれたような、気分にさせる。柔らかく上品であるが、脂ぎったイワシの生干しにも負けない力強さがある。 |
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3.小林酒造(栃木県小山市) 純米吟醸 「鳳凰美田」 生酒雫絞り斗瓶取り 原料米;雄町、 精米歩合;50% 【アルコール分】16〜17度 【日本酒度】+5 【酸度】1.3 【酵母】M-1 1.8L ¥3,150 (税込) A;味5、B ;香り5、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+ E寸評;手間のかかった酒ですが、甘み、旨味、コク、バランス十分。どっしりと雄町の旨さが全面に出ている。 香りが際立って素晴らしく、吟醸香の中で浮遊している。
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4.黒龍酒造(福井県永平寺町) 吟醸 「黒龍 吟醸」 原料米;−、 精米歩合;50% 【アルコール分】15〜16度 1.8L ¥3,364 (税込) A;味4+、B ;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4 E寸評;さわやかで、柔らかく、まろやかで呑みやすい。室温で呑んでいますが、お酒の中の旨味が全部飲み手に伝わってくる。 |
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5.磯自慢酒造(静岡県焼津市) 純米吟醸 「磯自慢 山田錦」 原料米;山田錦、 精米歩合;麹50%・掛55% 【アルコール分】15〜16度 【日本酒度】+4〜6 【酸度】1.3 【酵母】自社保存酵母 1.8L ¥4,200 (税込) A;味5、B ;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5 E寸評;旨い! バランス、キレ、品性高く、いつ呑んでも安心して呑める。また磯自慢のどのクラスの酒を飲んでも”ダメ”が無いのが嬉しい。美酒に乾杯。 |
2007年7月28日(土)
1.小野酒造店(長野県辰野町) 純米吟醸 「夜明け前」 生酒 原料米;−、 精米歩合;麹・50%、掛・60% 【アルコール分】16〜17度 1.8L \3,003 (税込) A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+ E寸評;優しくさわやか、酸味が強いが旨味も多い。 |
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2.浜福鶴銘醸(神戸市東灘区) 純米吟醸 「空蔵 雄町」 おりがらみ生詰 原料米;雄町、 精米歩合;50% 【アルコール分】17度 【日本酒度】+5 【酸度】 1.6 1.8L \4,095 (税込) A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5 E寸評; 香り高く、白濁した酒の中から雄町の旨さが伝わってくる。旨味のバランスが良く、申し分ない素顔を見せている。
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3.浜福鶴銘醸(神戸市東灘区) 大吟醸 「空蔵 山田錦」 生詰にごり 原料米;山田錦、 精米歩合;40% 【アルコール分】16〜17度 【日本酒度】+5 【酸度】 1.3 1.8L \5,250 (税込) A;味4+、B;香り3、C;コストパフォーマンス3+、D;総合評価4 E寸評; 白濁したとは言えず、グレーがかった色合いの酒の中から香りが感じられない。山田錦の味わいは伝わってくるが、バランス悪く、腰が砕け始めて力がない。純米吟醸の雄町に香りで負けて、味わいでも負けているのは情けない。
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4.豊盃醸造元(青森県弘前市) 純米吟醸 「豊盃 山田錦仕込」 生酒
17BY 原料米;山田錦、 精米歩合;55% 【アルコール分】15〜16度 【日本酒度】+2〜3 【酸度】1.9〜2.0 【酵母】協会1501号 1.8L 会友差入れ A;味5、B;香り5、D;総合評価5 E寸評; 一年寝かせた乙女がどんな熟女になったのか楽しみです。 先月呑んだ「豊盃」は18BY(今年の造り)、この「豊盃」は17BY(1年寝かせたもの)。皆さんには申し訳ありませんが、既に在庫はありません。会友の心意気で酒販店に依頼して熟成させたものです。その熟成が成功して旨味充分の純米吟醸に仕上がったものです。甘露甘露。 |
■今月の肴が絶品。千葉県は銚子、九十九里まで会友が駆けずり回って手に入れた海の幸です。
白魚の塩辛;瓶に入った白魚が塩辛になっています。イカや鮎の塩辛と違って、白魚の透明な容姿と透明感のある仕上がりになっていて、塩辛独特の臭みもなく、薄塩で酒の肴としては贅沢な一品となっています。素焼きの味無し煎餅に乗せて食べる、白魚は生以上に美味で上品。
真鰯の目刺し;20cm近い真鰯を6本目刺しにしたものですが、一夜干しで肌や目が青々と光っています。焼くのはモッタイナイくらいですが、コンロに乗せると、脂のしたたりで煙がモウモウと立ち上がり、換気扇のまっ下で焼いていますが、煙の量に圧倒されて部屋中イワシの煙と匂いだらけ。活きの良さと脂の乗りとで骨までかぶりつける逸品。ついお替わりの催促です。
岩牡蠣;本日の真打。牡蠣は夏には産卵期にはいるので食べてはいけないと言われていますが、この岩牡蠣は夏が旬。関東近辺ではここ銚子が本場ですので、遠征となってしまいました。厚い肉質の中から濃厚な味わいとジューシーな牡蠣は絶品です。
どの酒も肴に負けない力強さを持っていますし、酒をヨイショする芸も肴たちは持っています。素晴らしいパートナー達です。
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