最近呑んだ吟醸酒について |
2007年10−12月分
これからの話は消費者(飲み手)という立場で書いていきます。評論家や蔵元、酒屋の立場では見ていません。また、音楽とか味覚とかいう物は大変抽象的で表現が難しいのですが、平易に書きたいと思います。
よく、食べ物店の紹介記事で絶賛している物を食べると、首を傾げたくなる時が多々ありますし、テレビでリポーターが口に入れたとたん「うまい」と発言しているウソ等はここでは、しないように心がけています。
◆月に一度の例会とイレギラーで飲んだ吟醸酒について、ズバリ、どういう酒か皆様への判断基準を書きます。
A;味、B;香り、C;コストパフォーマンス、D;総合評価を、各5点評価(5;最上 4;良 3;まあまあ 2;まだまだ 1;評価外)で表します。 総合評価3−(マイナス)以下ではもう一度買うかと言えば、考えてしまうレベル。2ではタダで贈られても困ってしまうレベル。
私の独断と偏見なしで評価し、E;寸評も入れます。なお、会での評価も、判断基準の参考にしています。また、評価はこの日に飲んだ吟醸酒の味で、次回も酒の性格上、ロットや時間が変れば同じとは言切れませんが、傾向としては、間違ってはいないと思います。
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◇イイお酒を、イイ友と、イイ肴と、イイ会話で月1回楽しむ会です。◇
2007年12月22日(土)
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1.八戸酒造(青森県八戸市) 純米 「陸奥八仙 旬のにごり酒」 原料米;むつほまれ、 精米歩合;70% 【アルコール分】16〜17度 【日本酒度】−1 【酸度】2.0 1.8L \2,310 (税込) A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4 E寸評;濁り酒の新酒です。白濁した中から新酒独特の酸味が口中を刺す。 新春前に飲む新酒に一年の早さを実感する。
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2.下村酒造店(兵庫県姫路市) 純米 「奥播磨
山田錦八割磨き」 原料米;山田錦、 精米歩合;80% 【アルコール分】15〜16度 【日本酒度】+5 【酸度】1.6 1.8L \2,392 (税込) A;味4、B;香り3、C;コストパフォーマンス3+、D;総合評価3+ E寸評;山田錦八割磨き(2割をヌカとして捨てている)で熟成した火入酒。 新酒の時に飲んだ君とは別物になっていた。夏が越せなかったのだろう。あの新酒時の旨さが、老香が始まって、香りも力無く、旨さの勢いも無く沈んでいた。 お燗しました。老香は消えて、昔ながらの日本酒に戻りました。赤提灯で熱燗にしたらどんな肴にも合うでしょう。
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3.九重雑賀(和歌山県岩出市) 純米吟醸 「雑賀 雄町」 原料米;雄町、 精米歩合;麹米55%・掛米60% 【アルコール分】16〜17度 【日本酒度】+4.5 【酸度】1.8 1.8L \3,150 (税込) A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4 E寸評;きつめの酸味が若さを主張するが、酸味の中に渋味と苦味が混ざって、舌を麻痺させる。旨いが雄町の良さが何処にもない。
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4.九重雑賀(和歌山県岩出市) 純米大吟醸 「雑賀」 原料米;山田錦、 精米歩合;麹米45%・掛米50% 【アルコール分】16〜17度 【日本酒度】+2.5 【酸度】1.7 1.8L \3,885 (税込) A;味5、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価5 E寸評;味わいバランスして落ち着きが出て、心易くお付き合いが出来る。柔らかく丸く優しく、年を経て心広くなった美女。
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5.三浦酒造(青森県弘前市) 純米吟醸 「豊盃 山田錦」 ひやおろし 原料米;山田錦、 精米歩合;55% 【アルコール分】15〜16度 1.8L 差入れ A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス・−、D;総合評価4+ E寸評;柔らかく優しい微笑みの絶えない美女。なんて優しく笑顔の美しい美女なのであろう。
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6.三浦酒造(青森県弘前市) 純米大吟醸 「豊盃 山田錦」 大寒仕込 原料米;山田錦、 精米歩合;40% 【アルコール分】15.3度 【日本酒度】+3 【酸度】1.4 【酵母】協会1501号 1.8L \5,250 (税込) A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5 E寸評;吟醸酒ここに極まれり。めまいする程安心できて旨い。味の五味がバランスし濃厚で力強く品性豊。杜氏の若き二兄弟と酒の神に感謝。
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7.来福酒造(茨城県筑西市) 純米吟醸 「来福 花酵母」 原料米;山田錦、 精米歩合;55% 【アルコール分】17度 【酵母】12種 180mLx12本セット \5,250 (税込) A;味4、B;香り3、C;コストパフォーマンス3、D;総合評価4 E寸評;飲み比べ花酵母12種セット。花酵母は、さくら、牡丹、ベゴニア、なでしこ、コスモス、ひまわり、日々草、しゃくなげ、つるばら、月下美人、アベリア、おしろい花の 12種類。 味わいと言うより香りの違いを楽しむ。しかし、夏を越して香り沈んで、香り立ち弱し、その差が分からず。楽しむまではいかなかった。残念m(_ _)m |
2007年11月24日(土)
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1.酒田酒造(山形県酒田市) 本醸造 「上喜元 翁」 生詰 原料米;−、 精米歩合;57% 【アルコール分】16度 1.8L \2,100 (税込) A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+ E寸評; 甘く柔らかく、吟醸酒のおもむき十分。それもそのはず、大吟醸が20%ブレンドされている。いい蔵元の酒が旨いのは、そのせいかもしれません。ぐるりと飲み比べてきて、振り出しにもどると、清楚で、純真な乙女に心ほだされる。コストパホォーマンス最高。
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2.今田酒造本店(広島県東広島市) 吟醸 「富久長 秋桜」 ひやおろし 原料米;−、 精米歩合;60% 【アルコール分】15.3度 1.8L \2,310 (税込) A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4 E寸評; 旨味充分だが渋味が夏を越えてもまだ消えず、口中に残る。来春でも十分に元気な素顔を見せるでしょう。いえいえ、来年のひやおろしでも旨さが乗ってくる気配を感じます。
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3.鍋店(千葉県成田市) 大吟醸 「裏 不動」 吊し無濾過生原酒 原料米;山田錦、 精米歩合;50% 【アルコール分】17〜18度 1.8L \3,150 (税込) A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4 E寸評; 仁勇の蔵元でもこれだけの酒が出来るようになったのかと、感慨深い心持ちです。濃い味わいだが重くキレ悪く、飲み終わった後に雑味が残る。現代的な軽快感がない。
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4.富久千代酒造(佐賀県鹿島市) 純米吟醸 「鍋島 三十六萬石」 原料米;山田錦、 精米歩合;50% 【アルコール分】16〜17度 1.8L \3,360 (税込) A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4+ E寸評; 濃厚で甘く酸味が立ち、各々の五味が自己を主張し交わることを知らない。強い個性が、油っぽい料理に負けず、際立っている。
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5.佐久の花酒造(長野県佐久市) 大吟醸 「佐久の花」 原料米;ひとごこち(新美山錦)、 精米歩合;39% 【アルコール分】16〜17度 1.8L \3,470 (税込) A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4+ E寸評; 香りがキツイ銘柄の酒ですが、今回の君は香り控えめで、酒の旨さが伝わってくる。鈍重ではない落ち着きのある味わいで、旨さを感じさせる。 アル添臭さがあったが、空気に触れて時間が経ったらバランスしてきた。
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6.福美菊酒造(富山県富山市) 大吟醸 「羽根屋」 原料米;山田錦、 精米歩合;40% 【アルコール分】16〜17度 【日本酒度】+5 【酸度】1.2 1.8L \3,500 (税込) A;味5、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+ E寸評; 味わいバランスして雑味無く旨い。日向臭の香ばしい味わいと、五味がザワザワと押し寄せてくる。渋味とアク味が、弱いが口中に残り、”ウラを返す”のが危ぶまれる。 |
2007年10月27日(土)
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1.酒造長生社(長野県駒ヶ根市) 純米 「信濃鶴」 原料米;−、 精米歩合;60% 【アルコール分】15〜16度 1.8L \1,920 (税込) A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4 E寸評; バランスされた味わいの中、サラリと口中に入ってくる。晩酌酒には最高で、肴がどんなものであろうと、幇間のようにヨイショしてくれる。下段の酒達を一通り飲んで戻ってくると、その飾り気のない生娘にハッとする。
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2.若林酒造(島根県大田市) 純米 「開春竜馬 備前雄町」 原料米;備前雄町、 精米歩合;65% 【アルコール分】15.3度 【日本酒度】+ 8 【酸度】1.6 【酵母】協会7号 1.8L \2,580 (税込) A;味4、B;香り3、C;コストパフォーマンス3、D;総合評価3+ E寸評; 既に老香が出始めているドッコイショのオバンです。この夏が越せなかったようです。雄町が泣いています。 人肌に燗をしてみました。変化がありませんので、熱燗にしてみましたが同じく変化が認められません。
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3.丸本酒造(岡山県鴨方町) 純米 「竹林 ふかまり瀞」 無濾過生原酒 原料米;山田錦、 精米歩合;60% 【アルコール分】17.7度 【日本酒度】+4 1.8L \2,940 (税込) A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5 E寸評; 旨い! 味わい濃厚で五味バランスし品性良く、女盛りの売れっ子女将です。この女将から離れられずに、平身低頭する私です。去年製造の酒ですから1年半経過していますが、それが旨さになって魅力が増した女将です。酒店の話では空気に触れると、または開栓後時間が経った方が旨いと言われ、片口で飲んでいるのが、魅力を引き出しているのでしょう。
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4.河野(福島県会津若松市) 純米吟醸 「春高楼」 無濾過生原酒 原料米;五百万石、 精米歩合;50% 【アルコール分】17〜18度 【日本酒度】+3 【酸度】1.8 1.8L \2,940 (税込) A;味4+、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+ E寸評; 強い香りと濃い色の酒の中から、酸味の強い味わいが口中を刺す。ザワザワした酸味の中から旨味が渦巻いてくる。
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5.加茂福酒造(島根県邑南町) 純米大吟醸 「死神 せめ 裏ラベル」 原料米;山田錦、 精米歩合;40% 【アルコール分】17〜18度 【日本酒度】+ 5 1.8L \3,150 (税込) A;味5、B;香り4+、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5 E寸評; 前に飲んだ「死神」とは全くの別物。死神の味わいとは裏腹だというので裏焼きラベルです。ラベル通り素直な吟醸酒で、山田錦40%の味わいがこの価格であればGOODです。 残念ながら、この名前では贈答に使えないのです。死神の反対なら「女神」とか「ハッピー」、「天女」、「生き神」とかのネーミングだったら買えるのに無念。
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6.中島醸造(岐阜県瑞浪市) 純米大吟醸 「二十号 小左衛門」 直汲 原料米;−、 精米歩合;50% 【アルコール分】16.5度 1.8L \4,700 (税込) A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価5 E寸評; この秋が深まったのに、まだ新酒の味わいです。開栓すると炭酸が泡立ち新酒の時の炭酸味が口中を刺す。夏を越したのにいまだ新酒(?)の風情でカマトトかと疑いたくなるような不思議な熟成新酒です。炭酸味が消えると濃厚な熟れた旨味が現れ、飲み手を興奮させる。
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■吟醸酒も人間と同じように年を経るのは大変です。吟醸酒では夏の過ごし方で成長に大きな変化が付いてしまいます。これは時間の経過だけではなく、その前のその人(酒)の資質が大きくものを言って、品性良く元気に育てられたものは夏を越すと、ますます磨きがかかって艶やかになります。その反対にダメ人間(酒)は夏が越せないで、ドロップアウトしてしまうのです。生まれも大事ですが、育ちもまた大事なのです。子供(新酒)は皆可愛いのですが、大人(ひやおろし)になると、素敵な人と、付き合いたく無い人に別れてしまいます。奥行きのある魅力的な人(酒)には文句なしに引きつけられます。
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