最近呑んだ吟醸酒について
   
      

 

2009年1−3月分                     

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  これからの話は消費者(飲み手)という立場で書いていきます。評論家や蔵元、酒屋の立場では見ていません。また、音楽とか味覚とかいう物は大変抽象的で表現が難しいのですが、平易に書きたいと思います。
 よく、食べ物店の紹介記事で絶賛している物を食べると、首を傾げたくなる時が多々ありますし、テレビでリポーターが口に入れたとたん「うまい」と発言しているウソ等はここでは、しないように心がけています。

 

   ◆月に一度の例会とイレギラーで飲んだ吟醸酒について、ズバリ、どういう酒か皆様への判断基準を書きます。 
 A;味、B;香り、C;コストパフォーマンス、D;総合評価を、各5点評価(5;最上 4;良 3;まあまあ 2;まだまだ 1;評価外)で表します。 総合評価3−(マイナス)以下ではもう一度買うかと言えば、考えてしまうレベル。2ではタダで贈られても困ってしまうレベル。 
 私の独断と偏見なしで評価し、E;寸評も入れます。なお、会での評価も、判断基準の参考にしています。また、評価はこの日に飲んだ吟醸酒の味で、次回も酒の性格上、ロットや時間が変れば同じとは言切れませんが、傾向としては、間違ってはいないと思います。

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 吟醸酒の会へのお誘い 

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◇イイお酒を、イイ友と、イイ肴と、イイ会話で月1回楽しむ会です。◇


2009年次回例会は 4月25日(土)です。


 

2009年3月28日(土)

1.清水酒造埼玉県騎西町)   純米  「亀甲 花菱」   無濾過中取り生原酒 
原料米;美山錦、 精米歩合;60%   【アルコール分】 17〜18度  1.8L  \
2,645
A;味5、B;香り4、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+
E寸評;ふくよかなふくらみと、暖かさが飲み手を安心させ、陶酔の世界へ誘ってくれる。五味バランスし、優しさいっぱいのポッチャリ美人。

2. 平孝酒造(宮城県石巻市)   純米  「日高見」   本生
原料米;山田錦、 精米歩合;60%  【アルコール分】 16〜17度  1.8L  \2,940
A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+
E寸評;さわやかに喉を通りすぎる。雑味なく五味バランスし素直でキリリとしまった、現代的な娘さんです。

3.八百新酒造(山口県岩国市)   純米吟醸  「雁木」   無濾過生原酒
原料米;山田錦、 精米歩合;50%  【アルコール分】 16〜17度  1.8L  \3,150
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評;1年もので、熟成感があり、甘く柔らかく、よき時を過ごし、人生を知り尽くした心優しき女性のごとく美しい。

 

4.川村酒造店(岩手県石鳥谷町)   純米吟醸  「酉与右衛門(よえもん)17BY」 無濾過   
原料米;備前雄町、 精米歩合;50%  【アルコール分】 16〜17度  【日本酒度】+5 【酸度】2.0 【酵母】協会7号  1.8L  \3,750
A;味5、B;香り4+、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+
E寸評;3年ものの古酒ですが、まったくそれを感じさせず、酸味も十分で、新酒の味わい。雄町の重厚さはないが、古酒の下卑た品性さらさら無くいまだ現役の力強さを持つ。


5.九重雑賀(和歌山県岩出市)   純米大吟醸  「雑賀(さいか)」   生詰
原料米;山田錦、 精米歩合;麹米45%・掛米50%  【アルコール分】 16〜17度  【酵母】協会9号 1.8L  \3,885
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価5
E寸評;山田錦の旨味が十分に詰まっているので、旨いのは当たり前ですが、これだけの味わいはなかなか味わえない。しかし、渋みがわずかに残り、飲み過ぎにブレーキを掛けてくれる良き友人。


6.八戸酒造(青森県八戸市)   純米大吟醸  「陸奥八仙」   
原料米;華想い、 精米歩合;40%  【アルコール分】 15〜16度  【日本酒度】+0 【酸度】1.6 【酵母】青森県酵母イ号  1.8L  \5,250
A;味3、B;香り2、C;コストパフォーマンス2、D;総合評価3
E寸評;老香して、完全に死に体。



 2009年2月28日(土)

1.玉泉堂酒造岐阜県養老町)   純米吟醸  「醴泉 ささ濁り」   
原料米;ひだほまれ、 精米歩合;58%   【アルコール分】 15〜16度  【日本酒度】−1 【酸度】1.3 【酵母】熊本酵母  1.8L  \
2,519
A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4
E寸評;柔らかく、おしとやかに、そして心の奥まで攻め込んでくる。しかし、米の味わい、酒の旨味が伝わってこない。食中酒とすれば肴のジャマはせず、料理を引き立て、旨味充分。

2. 相原酒造(広島県呉市)   純米吟醸  「うごのつき」   
原料米;−、 精米歩合;麹米50%・掛米60%   【アルコール分】 15〜16度  【酵母】協会9号 1.8L  \2,650
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評;新酒なので酸味は当たり前ですが、こなれた部分が無く、山出しの感がある。渋みがいつまでも口中に残る。協会9号の華やいだ香りは期待出来ない。

3.旭酒造山口県岩国市)   純米大吟醸  「獺祭(だっさい)」   
原料米;−、 精米歩合;50%   【アルコール分】 16〜17度   1.8L  \
2,700
A;味4+、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+
E寸評;雑味なく旨さも十分にある。香り十分で吟醸香が立ち、優等生らしくそつなくバランスしている。

4.三宅彦右衛門酒造福井県美浜町)   純米  「早瀬浦 浦底」   滓酒
原料米;−、 精米歩合;55%   【アルコール分】 17〜18度  【日本酒度】+5.5  1.8L  \
3,200
A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4+
E寸評;早瀬浦で造られた大吟醸および吟醸の滓酒を集め、純米上澄み酒にブレンドしたもの。
 新酒独特の清楚な酸味が新酒の旨さを彷彿とさせる。滓酒のイメージを払拭させ、黙って飲めばその違和感がない。逆に言うと白濁した滓酒の旨さが伝わってこない。

5.土井酒造場(静岡県掛川市)   純米吟醸  「開運 赤磐雄町」  無濾過生原酒 
原料米;赤磐雄町93%/山田錦7%、 精米歩合;50%   【アルコール分】 17〜18度   【酵母】静岡酵母  1.8L  \3,600
A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評;味がこなれきれていず、バランスが悪い。しかし開栓して時間が経つと落ち着きを取り戻し、安定感が出て飲みやすくなった。酸味と渋みが同居していて、新酒で飲むより夏を越えて、熟成させた時、本物になるでしょう。

6.須藤本家吟醸(茨城県笠間市)   純米吟醸  「郷の誉」  無濾過火入れ酒  
原料米;−、 精米歩合;60%   【アルコール分】 17〜18度   1.8L  \4,200
A;味4、B;香り3、C;コストパフォーマンス3、D;総合評価3+
E寸評;2007.08.01瓶詰め。2年越しの古酒です。濃い酒色と老香(ひねか)が出て、力を失った状態は二千円台の酒に負けています。精米歩合60%で吟醸を名乗れますが、味、香りからしてちょっと、背伸びのし過ぎではないでしょうか。肩のラベルに「限定酒」はいかがなものか。

 


 2009年1月31日(土)

1.南陽醸造埼玉県羽生市)   純米吟醸  「花陽浴(はなあび)」   あらばしり
原料米;
八反錦、 精米歩合;55%   【アルコール分】 16〜17度     1.8L  \2,940
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評; アルコールと他の成分がばらばらで、旨味が渾然一体となっていない。それぞれが個性を主張しあってまとまりがない。味は淡泊。

 

2.田辺酒造福井県永平寺町)   純米吟醸  「越前岬19BY」   
原料米;
五百万石、 精米歩合;55%   【アルコール分】 15〜16度   【酵母】協会1801  1.8L  \2,940
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評; 色淡く色付き1年間の良き熟成期間を過ごし、佳き美女に変身している。濃厚でとろっと口中で転がり旨味を主張。下手な肴は尻尾を巻いて逃げていく。ベストコストパフォーマンス。

 

3.君盃酒造静岡県静岡市)   特別純米  「君盃(くんぱい)」   あらばしり
原料米;
美山錦、 精米歩合;55%   【アルコール分】 17度   【日本酒度】0  1.8L  \3,150
A;味4、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4+
E寸評;優しく柔らかく迎えてくれる。旨く香り高いが渋みが口中に残る。

 

4.永山本家酒造場(山口県宇部市)   純米吟醸  「」   あらばしり
原料米;
備前雄町、 精米歩合;50%   【アルコール分】 16〜17度    1.8L  \3,150
A;味4、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評; サラリと口中を抜けていく。若さのせいでつんつん鼻高く、辛口で飲みやすいが、渋みが残る。雄町の力強さと重量感がない。夏を越すと化けるかも知れない。

 

5.玄葉本店福島県田村市)   純米吟醸  「あぶくま」   あらばしり無濾過生原酒
原料米;
山田錦/麹米・五百万石/掛米、 精米歩合;麹米50%・掛米55%   【アルコール分】 17度  1.8L  \3,150
A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+
E寸評; 白濁して柔らかく、旨味十分な佳酒。肴にも合い、過不足無く安心して飲める。今が飲み頃。

 

6.飯沼名醸栃木県西方町)   純米吟醸  「姿」   中取り無濾過生原酒
原料米;
雄町、 精米歩合;50%   【アルコール分】 17度  【日本酒度】+1 【酸度】1.9   1.8L  \3,360
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評; 香り高く吟醸香がふんわりと立ち、味わい濃厚で深い。品性豊かで、華やかで口中でしっかりと旨味を主張する。雄町の旨味十分で新酒にしてはおませ過ぎます。


 新年最初の会ですから、日にちが経ちすぎていますが「新年おめでとうございます」と挨拶を申し上げます。
 東京は朝からの台風並みの北風が吹き、強い雨が叩き付けるように降っていました。会の始まる頃には陽も出てきて一安心。遠路から来る会友もいますので、やはり雨はイヤですよね。
 新酒が出そろい、今年の酒が楽しみです。開栓すると、シャンパンのように”ポン”と派手な音を立てるものや新酒のうちから濃厚で煌びやかな味わいを楽しめるものまでいろいろ、それが楽しみで一献が二献にも三献にもなってしまいます。でも素敵な美女(吟醸酒)に囲まれて桃源郷に遊ぶのも最高の贅沢。
 


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