最近呑んだ吟醸酒について
   
      

 

2009年4-6月分                     

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  これからの話は消費者(飲み手)という立場で書いていきます。評論家や蔵元、酒屋の立場では見ていません。また、音楽とか味覚とかいう物は大変抽象的で表現が難しいのですが、平易に書きたいと思います。
 よく、食べ物店の紹介記事で絶賛している物を食べると、首を傾げたくなる時が多々ありますし、テレビでリポーターが口に入れたとたん「うまい」と発言しているウソ等はここでは、しないように心がけています。

 

   ◆月に一度の例会とイレギラーで飲んだ吟醸酒について、ズバリ、どういう酒か皆様への判断基準を書きます。 
 A;味、B;香り、C;コストパフォーマンス、D;総合評価を、各5点評価(5;最上 4;良 3;まあまあ 2;まだまだ 1;評価外)で表します。 総合評価3-(マイナス)以下ではもう一度買うかと言えば、考えてしまうレベル。2ではタダで贈られても困ってしまうレベル。 
 私の独断と偏見なしで評価し、E;寸評も入れます。なお、会での評価も、判断基準の参考にしています。また、評価はこの日に飲んだ吟醸酒の味で、次回も酒の性格上、ロットや時間が変れば同じとは言切れませんが、傾向としては、間違ってはいないと思います。

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◇イイお酒を、イイ友と、イイ肴と、イイ会話で月1回楽しむ会です。◇


2009年次回例会は 7月25日(土)です。


2009年6月27日(土)

1.富士高砂酒造静岡県富士宮市)   純米  「高砂『タンク番号178』」   生原酒
原料米;五百万石・他、 精米歩合;60%   【アルコール分】 17.9度 【日本酒度】+5 【酸度】1.7 【使用酵母】静岡酵母NEW-5 1.8L  \
2,415
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評;フワッと柔らかく、甘く懐に飛び込んでくる。なんの手練手管も厚化粧もなく、スッピンでこれだけの味わいを楽しませてくれる。2,415円との価格が嘘のように嬉しい。

2.英君酒造(静岡県由比町)   特別純米  「英君 袋吊り雫酒」   
原料米;福井五百万石、 精米歩合;55%(自家精米)  【アルコール分】 16.5度 【日本酒度】+4 【酸度】1.6 【酵母】静岡酵母HD-101(泡なし) 1.8L  \2,993
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評;ツンとおすまし娘で、ツンツンと舌にさわるが、若さの現れでしょうか。時間が経つと落ち着きを取り戻してくるが、渋みが残る。

3.府中誉(茨城県石岡市)   純米大吟醸 「太平海『40日もろみ』」  無濾過生詰
原料米;五百万石、 精米歩合;50%  【アルコール分】 17度 【日本酒度】+2 【酸度】1.4       
【酵母】協会9号系  1.8L  \3,465
A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4+
E寸評;酸味のしっかりした味わいで、重さを感じる。片口に入れると、安心したのか安定した味わいになった。

4.田端酒造(和歌山県和歌山市)   純米吟醸  「羅生門」   
原料米;山田錦、 精米歩合;59%  【アルコール分】 15~16度 【日本酒度】+4 【酸度】1.4  1.8L  \3,605(化粧箱無)
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4-、D;総合評価4
E寸評; 田端酒造は寝かせた酒を得意とし、その味わいはモンドセレクションで賞を取り続けた事でも分かります。その酒と同列の「羅生門」ラベルですから期待をしますが、これは別物。飲み疲れしないがごく普通の山田錦で、なんの個性も特徴も無い清酒。

 

5.神沢川酒造場(静岡県由比町)   純米大吟醸  「正雪 備前雄町」   生酒
原料米;備前雄町、 精米歩合;45%  【アルコール分】 15~16度 【日本酒度】+2 【酸度】1.2 1.8L  \4,200
A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4+
E寸評;五味は十分だが、渋み、酸味が舌を刺す。夏過ぎに見違えるような美酒に変身しているような予感を感じさせる。片口に入れて空気と結婚させると、やな味が消えて清楚な味が現れてくる。さすが正雪を醸す神沢川酒造場の酒造りの上手さでしょう。


6.旭酒造山口県周東町)   純米大吟醸  「獺祭 磨き三割九分」   おりがらみ
原料米;山田錦、 精米歩合;39%  【アルコール分】 16~17度 【日本酒度】+1  【酸度】1.6 1.8L  \5,985
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価5
E寸評;開栓と同時にコルク栓が天井にぶち当たり部屋の隅まで飛んでいった元気者。オリがらみの白濁した風合いから甘味のある柔らかさが伝わってくる。旨味充分。精米歩合三割九分(39%)と40%とはどの位の差があるのでしょうか。商売の上手さにも感服。

 


2009年5月30日(土)

1.花泉酒造福島県南会津町)   純米  「ロ万(ロマン)」    無濾過
原料米;-、 精米歩合;-%   【アルコール分】 16度 【酵母】福島産うつくしま夢酵母 1.8L  \
2,850
A;味4、B;香り3+、C;コストパフォーマンス3、D;総合評価4
E寸評;濃い色と隠された甘酸っぱい味わいの中に、古き良き時代のロマンを思い起こさせる。過去の味わいはこうであっただろうと言う味で、現代の軽快な味わいとは一線を画す。

2.今田酒造本店(広島県東広島市)   特別純米  「富久長 八反草」   本生
原料米;八反草、 精米歩合;60%  【アルコール分】 16~17度  1.8L  \3,045
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス3+、D;総合評価4
E寸評;原料米の八反草は八反錦の源流になるもので、それを復活栽培した酒造好適米。
濃厚な味わいで五味がザワザワと押し寄せる。洗練された味わいではないが、古き良き時代を感じさせる。吟醸酒の味を期待するとひじ鉄を食らう。

3.天寶一(広島県福山市)   純米大吟醸  「天寶一 せめ」   
原料米;兵庫特A地区山田錦、 精米歩合;40%  【アルコール分】 17度  1.8L  \3,150
A;味4、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+
E寸評;酸味がいい味になっているか、なっていないか、それは飲み手の判断次第。どちらにしてもバランスが崩れているのは確かだが、雑味もなく透明感があって飲みやすい。

4.吉村秀雄商店(和歌山県岩出市)   純米大吟醸  「車坂 せめ」   生原酒
原料米;兵庫特A地区山田錦、 精米歩合;40%  【アルコール分】 16~17度 【酵母】和歌山産明利酵母ブレンド 1.8L  \3,150
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評;洗練され上品で爽やかな味わい。吟醸香が程良い余韻を残す。どこに雑味?何処にも感じられません。この値段では最高のコストパフォーマンスです。

5.加茂福酒造(島根県邑南町)   純米大吟醸  「死神 せめ」   
原料米;山田錦、 精米歩合;40%  【アルコール分】 16~17度 【日本酒度】+3  1.8L  \3,150
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評;いつも酒販店のご主人と見解が、かみ合わない「死神」。この裏ラベルで死神が福の神に変身したのでしょうか、旨味十分でバランスし酒の旨さが踊っている。なにせ、山田錦の40%純米大吟醸ですから。

6.秋田木村酒造工場(秋田県湯沢市)   純米大吟醸  「福小町 せめ」   生酒
原料米;秋田酒こまち、 精米歩合;40%  【アルコール分】 17~18度 【日本酒度】+3  1.8L  \3,360
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評;絶品。(会では買えなくなるので評価しないでくれと言われた酒)能書き無しで、心から堪能出来る、旨味十分で心躍る。日本酒ってどうしてこんなに旨いんだろう。酒の神、杜氏に感謝。今年度、
平成20酒造年度・全国新酒鑑評会で山田錦を使い金賞酒を出していますが、この酒でも十分その力有り。

3~6の4本はラベルを裏返して「裏ラベル」としています。これは酒を絞って出てきた清酒は、最初のしたたり落ちる弱々しく思うほど繊細な味わいと、中間で出てくる酒は「中取り」と言われるバランスし落ち着いた品の良いものと、味に変化が現れます。最後の「せめ」でギュウギュウと絞り込んで出た酒は、雑味が多く飲むに値しないと言われ、普通酒などに混ぜ込まれてしまいます。吟醸酒の旨い蔵元の普通酒が旨いのはこの辺の事情もあります。
 話戻って、この不味いだろうと言われる「せめ」の酒が以外と旨いのです。魚屋で捨てられる頭やアラが意外と旨いのに似ています。酒販店では表向きの酒に敬意を表して、これらの酒を裏ラベルにしています。


2009年4月25日(土)



1.松浦酒造石川県加賀市)   純米吟醸  「獅子の里」   中取り生酒 
原料米;-、 精米歩合;55%   【アルコール分】 15度  1.8L  \
2,800
A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+
E寸評;さらりと軽やかに喉を通過する。おぼこで優しく抱きしめたくなるような爽やかさを持っている。雑味が無くバランスして、アルコール度数が低いので、お酒だという強い主張がない。その優しさが飲み手に安らぎを与える。




2.石鎚酒造(愛媛県西条市)   純米  「石鎚」   無濾過
原料米;松山三井、 精米歩合;60%  【アルコール分】 16~17度 【日本酒度】+2.0 【酸度】1.7 【酵母】蔵内自家培養酵母  1.8L  \2,835
A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+
E寸評;ゆっくり飲むなら「獅子の里」、味わいを楽しむならこれで決まりです。開栓したてのツンツンした娘が30分もすると場になじんで、丸く柔らかく厚みが出てきた。生まれた赤ちゃんが一気に大人の娘にうれしい大変身。ポッチャリ美人で温かい。




3.菊の里酒造(栃木県大田原市)   純米吟醸  「大那(だいな)」   無濾過生原酒
原料米;那須玉苗、 精米歩合;55%  【アルコール分】 17.5度 【日本酒度】+3  1.8L  \3,150
A;味4、B;香り3、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評;普通酒にある日本酒独特の香りと味わい。雑味なく奥行き感があるが、吟醸酒とは残念ながら一線を画す。





4.久保田酒造(神奈川県相模原市)   純米吟醸  「相模灘 雄町」 生酒
原料米;備前雄町、 精米歩合;50%  【アルコール分】 17度  【日本酒度】+5 【酸度】2.0 【酵母】協会7号  1.8L  \3,465
A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+
E寸評;ポンと派手な音と共に開栓。発泡ワインを開けた時のように酒席から「おめでとう」と拍手が起こる。さらりと炭酸味が伝わる。その奥から濃厚な味わいと雄町の深さが伝わる。口中でトロリと喉を過ぎ、ボディーの厚みを感じる。




5.青木酒造(新潟県南魚沼市)   特別純米  「鶴齢(かくれい)」   無濾過生原酒
原料米;越淡麗、 精米歩合;55%  【アルコール分】 17~18度   【日本酒度】-1.0 【酸度】1.6  1.8L  \3,360
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評;甘く柔らかく、洗練された味わいで、綺麗。下記の大吟醸と同じ蔵元なので、当然ですが同じ味わいを持っています。飲むならこの特別純米酒。



6.青木酒造(新潟県南魚沼市)   大吟醸  「鶴齢(かくれい)」   生原酒
原料米;山田錦、 精米歩合;48%  【アルコール分】 17~18度   【日本酒度】+3.5 【酸度】1.3 【酵母】協会14号 1.8L  \4,200
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価5
E寸評;味、香り抜群で旨すぎて肴がついてこない。美人過ぎて周りに壁を作っている。



 

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