最近呑んだ吟醸酒について
   
      

 

2009年10−12月分

   

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  これからの話は消費者(飲み手)という立場で書いていきます。評論家や蔵元、酒屋の立場では見ていません。また、音楽とか味覚とかいう物は大変抽象的で表現が難しいのですが、平易に書きたいと思います。
 よく、食べ物店の紹介記事で絶賛している物を食べると、首を傾げたくなる時が多々ありますし、テレビでリポーターが口に入れたとたん「うまい」と発言しているウソ等はここでは、しないように心がけています。

 

   ◆月に一度の例会とイレギラーで飲んだ吟醸酒について、ズバリ、どういう酒か皆様への判断基準を書きます。 
 A;味、B;香り、C;コストパフォーマンス、D;総合評価を、各5点評価(5;最上 4;良 3;まあまあ 2;まだまだ 1;評価外)で表します。 総合評価3−(マイナス)以下ではもう一度買うかと言えば、考えてしまうレベル。2ではタダで贈られても困ってしまうレベル。 
 私の独断と偏見なしで評価し、E;寸評も入れます。なお、会での評価も、判断基準の参考にしています。また、評価はこの日に飲んだ吟醸酒の味で、次回も酒の性格上、ロットや時間が変れば同じとは言切れませんが、傾向としては、間違ってはいないと思います。

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◇イイお酒を、イイ友と、イイ肴と、イイ会話で月1回楽しむ会です。◇


2010年次回例会は 1月30日(土)です。例会会場は変更になっています。ご注意下さい。


2009年12月26日(土)

.飯沼本家(千葉県酒々井町)   純米吟醸  「一喜(いっき)」  吊し生酒
原料米;山田錦20/五百万石80、 精米歩合;55%   【アルコール分】 17度  【日本酒度】+1.0 【酸度】1.4  1.8L \2,625
 A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+
E寸評;この価格帯は最近の吟醸酒の競争激化地帯です。その中でこれだけの味わいを出せるのは秀逸です。爽やかで雑味無く一年物と思えない新鮮な風味を持っています。

2.小林酒造(栃木県小山市)  純米吟醸  「鳳凰美田」    無濾過生酒しぼりたて
原料米;五百万石、 精米歩合;55%   【アルコール分】 16〜17度  1.8L \2,800
 A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+
E寸評;新酒。薄く白濁した中から、吟醸香と共に雑味が無く爽やかで呑みやすい。淡麗な旨さが湧き出る。炭酸を抜いてから瓶詰めしたのでしょう、新酒でありながら、舌を刺すような炭酸味が無く、バランスした味わいに好感が持てる。

3.中川酒造(鳥取市立川町)  大吟醸  「強力(ごうりき)スペシャル」   BY18 原酒
原料米;強力、 精米歩合;40%   【アルコール分】 18〜19度   1.8L \3,150
 A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評;古酒で味に角が取れて丸くなった。可愛らしく歳を取ったが、若い時の君に会いたかった。

4.泉酒造(神戸市東灘区)  純米吟醸  「仙介」   
原料米;山田錦、 精米歩合;50%   【アルコール分】 15〜16度   1.8L \3,600
 A;味5、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+
E寸評;柔らかく五味バランスして呑み心地が良い。淡麗で雑味無く透明感があり、味に過不足無い。

5.浜福鶴銘醸(神戸市東灘区)  純米吟醸  「空蔵 山田錦」   
原料米;山田錦、 精米歩合;60%   【アルコール分】 17〜18度 【日本酒度】+3 【酸度】1.6 【酵母】HK-1  1.8L \2,940
 A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評;山田錦の旨さが全て酒という液体の中に抽出され、ふくいくと旨味の中に身をゆだね遊ぶ事が出来る。三千円以下でこれだけの酒質を持つ酒は滅多になく絶品。

6.浜福鶴銘醸(神戸市東灘区)  純米吟醸  「空蔵 赤磐雄町」   
原料米;赤磐雄町、 精米歩合;50%   【アルコール分】 17〜18度 【日本酒度】+5 【酸度】1.8 【酵母】HK-1  1.8L \4,095
 A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評;雄町バンザイ。雄町の旨さここにあり。旨さが弾け、呑み手が雄町に押されながら、受け身で味わうのみ。味わい濃厚で奥深さと巾と厚みがあり、杜氏さんと酒の神に感謝。

付録.寒紅梅酒造(三重県津市)  純米吟醸  「弓形穂(ゆみなりほ)」 生原酒にごり酒
原料米;弓形穂、 精米歩合;55%   【アルコール分】 16〜17度 【日本酒度】+4  1.8L 会友持ち込み酒
寸評;瓶詰めされたばかりの、甘酒のように真っ白に濁った今だけのお酒。ビン内発酵が続いており栓中央に穴が空いていて、中の炭酸ガスを抜いている。横にするとその穴から酒がにじみ出してきます。炭酸味のキツい味わいは新酒の到来を思わせる。

 


2009年11月28日(土)

あぶくま
.玄葉本店(福島県田村市)   純米吟醸  「あぶくま」  無濾過生詰
原料米;五百万石、 精米歩合;55%   【アルコール分】 16〜17度   1.8L \2,625
 A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+
E寸評;鼻に抜ける酸味が口中に残る。雑味もなく清楚。肴の旨味を引き出し、助け合いながら両者が酔いの世界に誘ってくれる。


越前岬
2.田邊酒造(福井県永平寺町)  特別純米  「越前岬」   
原料米;山田錦、 精米歩合;60%   【アルコール分】 15〜16度 【日本酒度】+3 【酸度】1.8 【酵母】協会1401  1.8L \2,730
 A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評;当地の減農薬・合鴨農法栽培米使用。酸味が勝っているが、その不快感はない。雑味も無く、酸味の突っ張ったところを除くと柔らかく優しい。


1178 3.稲花酒造(千葉県一宮町)  純米  「1787 2ed」    無濾過原酒
原料米;−、 精米歩合;60%   【アルコール分】 18〜19度  1.8L \2,940  
A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+
E寸評;現代的な、味わい豊かでバランスしている。千葉の酒のイメージを払拭させるパイロットになるでしょう。また、なって欲しい。表ラベルにいっさいの文字が無く、その写真も日の出なのか意味不明なところがイイ。酒のネーミングからなにまで斬新でこれから楽しみな蔵元です。


大正の鶴 4.落酒造場(岡山県永真庭市)  特別純米  「大正の鶴」    無濾過生原酒
原料米;備前朝日、 精米歩合;60%   【アルコール分】 18度 【日本酒度】+6 【酸度】1.8  1.8L \3,150  
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評;強い酸が口中を差す。旨味を消すほどの強さで主張する。燗をしてみたが、呑みやすくなったが酸味は取れなかった。


遊穂 5.御祖(みおや)酒造(石川県永中能登町)  純米吟醸  「遊穂」   18BY
原料米;山田錦、 精米歩合;50%   【アルコール分】 16.5度 【日本酒度】+3   1.8L \3,599 
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス3、D;総合評価4
E寸評;使用山田錦は兵庫県西脇市で牛の堆肥から有機土を作り減農薬で耕作されたもの。
肩書きの多い酒に美酒がない典型。酒質も香りも今回の2000円台の酒に並ぶ。3年物の古酒ですが、いまだ新酒の力強さと味わいが伝わる。燗をしたら旨味が増した。


龍神 6.龍神酒造(群馬県館林市)  純米大吟醸  「龍神」   斗瓶取り生詰
原料米;愛山、 精米歩合;47%   【アルコール分】 16〜17度  1.8L \4,935  
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評;丸く柔らかく心の中まで染み渡る味わいに酒の神に感謝。五味バランスして奥行きと広がりに、只タダ感服しひれ伏すのみです。

 


2009年10月31日(土)




.八戸酒造(青森県八戸市)   特別純米  「陸奥八仙」  ひやおろし無濾過原酒
原料米;華吹雪・むつほまれ、 精米歩合;麹米55%・掛米60%   【アルコール分】 17〜18度 【日本酒度】+1 【酸度】1.8  1.8L \2,800
 A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+
E寸評;夏を越えて濃厚になって、益々美肌になってきた。五味バランスして味わい深く、食中酒にしたら勿体なく、肴が負けてしまうだろう。





2.来福酒造(茨城県筑西市)  純米吟醸  「来福」  ひやおろし 
原料米;愛山、 精米歩合;50%   【アルコール分】 15度 【日本酒度】+9 【酸度】1.8 【酵母】ひまわり花酵母  1.8L \2,940
 A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評;濃厚で夏の過ごし方が上手かったのだろう。ヒマワリ酵母であったが香り判別できず、酸味が残り口中で暴れる。




3.九重雑賀(和歌山県岩出市)   純米吟醸  「雑賀 雄町」  ひやおろし 生
原料米;雄町、 精米歩合;55%   【アルコール分】 16度  1.8L  \3,150
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価 5
E寸評;雄町の男らしさが消えて、山田錦に近づき中性化され、洗練された味わいに仕上がった。しかし、片口に移して楽しむと、雄町の味わいが出てきて旨さがより上がった。




4.三浦酒造(青森県弘前市)  純米吟醸  「豊盃 山田錦」  ひやおろし 
原料米;山田錦、 精米歩合;55%   【アルコール分】 15〜16度   1.8L \3,000
 A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評;山田錦のベストタイプ。濃厚で馥郁とした味わいに、五味バランスし奥行きのある美酒。安心して懐に抱きしめられる。




5.八百新酒造(山口県岩国市)  純米大吟醸  「雁木 ゆうなぎ」  秋塾  生原酒
原料米;山田錦、 精米歩合;45%   【アルコール分】 16〜17度  【日本酒度】±0 【酸度】2.0 【酵母】山口酵母9H  1.8L \5,040
 A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価5
E寸評;おりがらみ、で薄く白濁した酒の中から吟醸香がただよい、味わい豊かで濃厚。五味の中に奥行きの深さと、巾の広がりがある。吟醸酒の宇宙に遊ぶがごとく酔いの中に遊泳する。

 

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