最近呑んだ吟醸酒について
   
      

 

2010年7−9月分

   

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  これからの話は消費者(飲み手)という立場で書いていきます。評論家や蔵元、酒屋の立場では見ていません。また、音楽とか味覚とかいう物は大変抽象的で表現が難しいのですが、平易に書きたいと思います。
 よく、食べ物店の紹介記事で絶賛している物を食べると、首を傾げたくなる時が多々ありますし、テレビでリポーターが口に入れたとたん「うまい」と発言しているウソ等はここでは、しないように心がけています。

 

   ◆月に一度の例会とイレギラーで飲んだ吟醸酒について、ズバリ、どういう酒か皆様への判断基準を書きます。 
 A;味、B;香り、C;コストパフォーマンス、D;総合評価を、各5点評価(5;最上 4;良 3;まあまあ 2;まだまだ 1;評価外)で表します。 総合評価3−(マイナス)以下ではもう一度買うかと言えば、考えてしまうレベル。2ではタダで贈られても困ってしまうレベル。 
 私の独断と偏見なしで評価し、E;寸評も入れます。なお、会での評価も、判断基準の参考にしています。また、評価はこの日に飲んだ吟醸酒の味で、次回も酒の性格上、ロットや時間が変れば同じとは言切れませんが、傾向としては、間違ってはいないと思います。

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◇イイお酒を、イイ友と、イイ肴と、イイ会話で月1回楽しむ会です。◇


2010年次回例会は 10月30日(土)です。


2010年9月25日(土)

.飯沼銘醸(栃木県西方町)   純米吟醸  「姿」 生原酒
原料米;麹米雄町・掛米雄町+五百万石、 精米歩合;55%   【アルコール分】 17.2度 
【日本酒度】+1 【酸度】1.8     1.8L \2,993
 A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評;香り高く期待を持たせる。期待通り味わい深く、熟成感一杯で”ひやおろし”が完結し、その上もたつかず、切れよく、若さを感じられる佳酒。

2.白藤酒造店(石川県輪島市)   純米  「奥能登の白菊」 原酒
原料米;八反錦、 精米歩合;55%   【アルコール分】 17〜18度   1.8L \2,993
 A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+
E寸評;熟成感満点。バランスもあり深味があって、角が取れて丸くなった。魅力は少なくても、ポッチャリ美人で安心できる朋友。

3.高沢酒造(長野県小布施町)   特別純米  「豊賀(とよか)」 ひやおろし
原料米;しらかば錦、 精米歩合;59%   【アルコール分】 17〜18度 【日本酒度】−1 【酸度】2.0  【使用酵母】長野C酵母  1.8L \2,940
 A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス3、D;総合評価4
E寸評;”ひやおろしが”が二度来たような腰砕けになっている。燗をすると旨味が上がって、おでんに合う味わいになった。熱燗にしても味わい変わらず。

4.宮泉(福島県会津若松市)   純米吟醸  「写楽」 秋あがり
原料米;夢の香、 精米歩合;50%   【アルコール分】 17度   1.8L \3,150
 A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4+
E寸評;ひやおろし=秋上がりで熟成はしたが厚み薄い。旨味サラリと呑みやすい。


5.君盃酒造(静岡県静岡市)   純米大吟醸  「君盃」 秋上がり
原料米;山田錦15%+美山錦84%、 精米歩合;50%   【アルコール分】 17度 【日本酒度】+1  1.8L \3,800
 A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4+
E寸評;”ひやおろし”の熟成香を感じ、その味わいを感じる。丸くはなったが活力もなくなったのが悲しい。

6.永山本家酒造場(山口県宇部市)   純米吟醸  「」 山田穂
原料米;山田穂90%以上、 精米歩合;50%   【アルコール分】 16〜17度   1.8L \3,800
 A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価5
E寸評;香りも良く立ち若さと、力と熟成感が味わえて、酒の深さも味わえる。


* 中小の蔵元さんでは冬場しかお酒を仕込みません。その為、春先に出荷されるお酒は、炭酸味がする新酒で若者のように弾けています。夏を越えたお酒を秋上がり、またはひやおろしと言います。この時期のお酒は大人の女性のように魅力が倍加しますが、中には崩れてしまう人も居ます。お酒も人も同じ。
 今回のお酒達は、ひやおろしと言う事で甘い評価を付けています。老香はまだ出ていませんが、一歩手前の酒もあり、熟成香(味)という美句に隠れてしまいますが、崩れかかった美女が多く含まれています。肉でも崩れかかったのが一番旨いという人も居ますが、お酒はねぇ〜〜。ホントの熟成とは香りも味わいも変わらず、味が厚く、深く、広がりを見せるもので、新酒の時の暴れが消えて、落ち着きと深遠な味が味わえます。その様なお酒は今回有りません。



2010年8月28日(土)

.三浦酒造(青森県弘前市)     「豊盃90 ten」 
原料米;山田錦、 精米歩合;90%   【アルコール分】 17〜18度   1.8L \2,010
 A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4
E寸評;食米と同じ90%精米で普通酒(70%)より精米が低いお酒の味は。
 雑味なくさわやかで酸味が勝っているが悪いところはない。街の料理屋さんや寿司屋さんで出されても、90%精米酒だとは分からないでしょう。この味が確保されたら、70%、50%精米は何なのでしょう。

2.秋田木村酒造工場(秋田県湯沢市)   純米酒  「福小町 角右衛門80」 
原料米;秋田酒こまち、 精米歩合;80%   【アルコール分】 15.5度 【日本酒度】+5 【酸度】1.3  【使用酵母】協会901号  1.8L \2,100
 A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+
E寸評;秋田の酒米・秋田酒こまちを80%精米しています。
 雑味が無く旨味がただよい、味がバランスした美酒。他酒と比較しなければ、味わい深く、ベスト。下記の酒に負けない良さがある。この価格でこの質が備わればコストパフォーマンス最高。

3.廣田酒造店(岩手県紫波町)   純米  「廣喜 南部初雪」 にごり活性生原酒
原料米;−、 精米歩合;60%   【アルコール分】 16〜17度   1.8L \2,800
 A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評;キャップに小穴が空いた活性にごり酒。
酸味が強く味わいバランスが崩れている。安心してゆったりと飲む酒ではない。時間が経ちすぎたようだ。

4.九重雑賀(和歌山県岩出市)   純米吟醸  「雑賀」 生無濾過原酒
原料米;−、 精米歩合;麹米55%・掛米60%   【アルコール分】 18度   1.8L \3,150
 A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス3、D;総合評価4
E寸評;渋みが感じられて、味にザラツキがあり、素直に対話できない。銘酒雑賀の片鱗すら感じられない、その寂しさが悲しい。


5.八戸酒造(青森県八戸市)   純米大吟醸  「陸奥八仙」 生無濾過原酒
原料米;華想い、 精米歩合;50%   【アルコール分】 17〜18度   1.8L \3,465
 A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評;味わいバランスし、奥行き深く濃厚で、香り高く、吟醸酒の代表のような旨味が口中で破裂する。


6.三浦酒造(青森県弘前市)   純米大吟醸  「豊盃雄町」  無濾過本生二百十日熟成
原料米;雄町、 精米歩合;50%   【アルコール分】 15〜16度 【日本酒度】+1 【酸度】1.8  【使用酵母】協会1501号   1.8L \4,000
 A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評;今年3月に呑んだお酒が210日経って再会です。
 旨い! 吟醸酒とはこんなものだ! 熟成した吟醸酒の旨味はこれだ!



2010年7月31日(土)

.笑四季酒造(滋賀県甲賀市)   特別醸造  「monsoon2」 生酒
原料米;山田錦、 精米歩合;70%   【アルコール分】 18度 【使用酵母】笑四季19号  1.8L \2,552
 A;味3、B;香り3、C;コストパフォーマンス3、D;総合評価3
E寸評;瓶詰めは今年の6月ですが古酒です。酒色は黄色く色づいています。古酒のいやらしさは上手くカバーされていますが、極甘です。ラベルにもその事がうたわれていますが、甘すぎて味醂を舐めているようです。


2.旭酒造(山口県岩国市)   純米大吟醸  「獺祭50」 
原料米;−、 精米歩合;50%   【アルコール分】 16度   1.8L \2,700
 A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評;旨いな〜。何も足さず、何も引かず、ではありませんが、なんの過不足もありません。獺祭の一番リーズナブルなお酒です。


3.新澤醸造店(宮城県大崎市)   純米吟醸  「ひと夏の恋」 
原料米;ひとめぼれ、 精米歩合;55%   【アルコール分】 16度   1.8L \2,720
 A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評;柔らかく爽やか。気遣いなく素直にお付き合いできる。肴を選ばず、優しさいっぱいで飲みやすさ抜群の佳酒。


4.九重雑賀(和歌山県岩出市)   大吟醸  「雑賀」 生酒
原料米;−、 精米歩合;麹米45%・掛米50%   【アルコール分】 16度   1.8L \3,500
 A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評;旨いが、味にザラツキがある。どうした事でしょう、雑賀が。足が三本のヤタガラスをデザインしたラベルの素晴らしさがはえるのに。


5.磯自慢酒造(静岡県焼津市)   吟醸  「磯自慢」 生詰め
原料米;山田錦、 精米歩合;麹米50%・掛米55%   【アルコール分】 15〜16度 【日本酒度】+6〜+7 【酸度】1.1  【使用酵母】自社酵母  1.8L \3,550
 A;味4、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4+
E寸評;旨いが酒の中に感動が味わえない。決してマズい訳ではありませんが、磯自慢らしくない進化です。渋みが感じられて、口中で違和感となって満足度が失せる。


6.いそのさわ(福岡県うきは市)   大吟醸  「駿・袋吊り」 
原料米;−、 精米歩合;35%   【アルコール分】 16〜17度   1.8L \5,257
 A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評;これぞ吟醸酒。味、香り、旨さ、風格どれをとっても満足できる。この吟醸酒に限った事ではないのですが、酒質が高い為に肴が負けます。



 

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