久慈川の鮎


松の木淵

松ノ木淵

 久慈川について

城県・福島県・栃木県の三県を分ける八溝山より、日立市久慈町まで124キロメートルの河川で、かつては天然遡上の多い川として名を馳せましたが、20年ほど前から遡上が少なくなってきて、近年は放流に頼らざるをえなくなって来ています。
年間5トン強の放流を誇って、鮎の川の名を保っています。
かつては鮎の味のよい川として有名でしたが、現在では水質の悪化や水量の減少で、質が低下して来ましたが、それでもまだまだ他の川から比べれば、「おらが鮎」です。
友釣りでは急瀬あり、瀞場ありと、急緩の変化に富んだ釣りが楽しめる河川ですが、最近は小砂利が多くなってきて残念です。
久慈川は那珂川と共に、全国でも少ないリールの使用できる河川です。独特の胴調子の竿に小型の両軸リールで鮎を泳がせたり吊り上げたりしています。

 鮎釣りのポイント

鮎は石を釣れと言われるように、良質のコケの生える石があるところに鮎は付きます。
真っ黒に光り輝く石があるところがポイントです。(遊び鮎でだめな場合もありますが・・・)
一番のポイントは瀬です。水当たりのよいところに鮎はいます。久慈川の釣り師は瀬が大好きです。
瀞場にも鮎は付きます。ただし、石があって止水でないことが条件です。
その他、水位や濁りの具合によって、鮎が多く付くところが変わります。
季節、時間、天候、釣り人の数等によってポイントを選ぶことです

最近はチャラやトロを攻める人も多くなりなりましたが、まだまだ瀬にこだわる人も久慈川では多いです(私も)

 鮎の捕り方

友 釣 り

鮎の縄張りを死守する性質を利用して、オトリ鮎を近づけて、オトリ鮎に仕掛けてある針にかけて釣る釣り方です。
仕掛けに各自工夫が見られ、
  竿-----振り出し竿(7〜10m位)、中通し+リールorひっこき等、竹竿を使う人もいます。
  針-----3本イカリ、4本イカリ、チラシ、ヤナギ等
  鼻カン--ワンタッチ、フック付き、目通し背カン、棒鼻カン等
  沈め方--オモリ、背針、胴締め、ひっくくり、背カン、極細糸を使う等
等々いろいろあって、それぞれ長短がありますが、自分で考えた仕掛けで釣れたら最高です。

コロガシ

たくさんの針のついた糸をオモリで沈めて、川を横切らせるようにして鮎を引っかけます。
最初にオトリを捕るのに用いられます。また川が濁ったときには大釣り出来る場合もあります。
この釣り方にもいろいろあるようです。
  針------一本針、蝶針、千本針等
  釣法----横引き、立て引き、シャクリ、沈め釣り等
会津の野尻川では小さなトウガラシ浮きを針の尻に付けて、ぶるぶる震わせて釣る方法をやっていました(流し釣りと云うそうです--鮎キチさんより)(大北川ではガラビキと云います)
灯台下暗しで久慈川の支流里川でもやっていました。(マチガリと云います)

ドブ釣り

オモリと片天秤に、毛針を2本付けて、毛ばりを動かし、鮎の食い気を誘って釣り上げます。
流れの緩い深みのある瀞で、あたかもカゲロウが孵化するように竿を操作します。
毛針には、お染め二の字、青ライオン、など粋な名前が付いた毛針が沢山あります。
川や時間や水量、水温、濁り、深さ等によって当たり針があるようです。

投 網

友釣り専用区以外は8月1日に解禁になります。
友釣り専用区は9月15日に解禁(期間延長区は10月1日)
文字通り一網打尽にします。
出水の時に大漁が期待できます。(ただし命と引き替えにならないように注意)

縄張り

落ち鮎を捕る方法で、音や光を怖がる性質を利用して網で捕まえます。
川に縄を緩めに張って、縄が水をたたく音によって鮎を止めて捕まえます。
現在は川を竹でせき止めて、ささの葉の光で鮎を止めて捕まえる方法が一般的です。
秋、雨後に大漁になります。一晩で背負いかご一杯もざらです。
あまりに捕りすぎて翌年の鮎が少なくなるというので、現在では中央を10分の1は開けなければならなくなりました。

や な

川をせき止めて、落ち鮎を竹のすのこに打ち上げて捕ります。
大子には観光やながあります。
個人で設置することはできないので、個人ではやなを小型にした下りウツボをかけます。
出水のときよく入りますが、水量によっては水没したり仕掛けそのものを流されてしまいます。

その他

餌釣り------下流域でシラス・イカ・アミなどで釣る。束釣りもざら。
鵜飼い------長良川が有名。鵜に鮎を捕らせて人間が横取りする。
刺し網------川に網を仕掛けて鮎を捕る。伊南川で盛ん。
ヤス突き----鮎が同じところでヒラを打つときにヤスで突く。現在は禁止。
引っ掛け----水中眼鏡をつけて流れに乗りながら鮎を引っ掛ける。ベテランはいともたやすく引っ掛けます。
手掴み-----夜、体を冷やして水温と同じにして、体に触れた鮎を捕まえる。技術を要する。

 鮎の食べ方

塩焼き

鮎の食べ方ではまず一番はこれ。
炭を起こして強火の遠火でこんがり焼き上げる。
アツアツの焼き立てに蓼酢をジュッとかけて頭から頬張る。
新鮮な鮎なら化粧塩は要らない。ひれもピンと立って、しかもなぜか焦げないから不思議です。

背越し

鱗をひいた鮎を薄く背からスライスし、氷水で締めて軽く絞って、酢味噌でいただく。
川魚には虫がいる場合があるので勧められないが、コリコリしてうまい!
御造りも同じ理由で勧められない。が、これもうまい!
新鮮な、しかも安心できる鮎が手に入ったらお勧めです。

姿寿司

腹開きにして、ヒレ・鱗・中骨を取り、塩と酢で締めて、酢飯を姿よく包んで食べやすく切る。 
若鮎でないと皮がかたくなるので7月ごろまでが食べ頃。

ウルカ

左党が泣いて喜ぶ幻の酒肴。釣り人だけの特権。
鮎の内臓の塩辛、一匹から僅かしか取れないので一瓶作るのは大変。
普通は卵を混ぜたり身を混ぜたりして増量している。でも本物は内臓だけで作ります。

天ぷら

小ぶりの鮎に衣をつけてカラリと揚げる。
大きいものは口に骨があたります。天然のほろ苦さがなんとも美味。

鮎雑炊

なぜか時々無性に食べたくなる。臟・鱗を取った鮎を切って、出し汁で炊いてご飯を入れる
小さな粒の油がキラキラ浮いて美味。

鮎 飯

素焼きの鮎を出し汁と醤油で味付けをした米で、ふっくらと炊き上げる。
鮎の骨をはずして身を崩してご飯に混ぜ込んで頂きます。

甘露煮

素焼きにした鮎を煮こぼしてから、水と酒で煮る。ひたひたになったら酒と醤油・砂糖で味をつけて煮詰め、最後に味醂か水あめで仕上げる。

鮎田楽

鮎を素焼きにして調味した味噌を付けてあぶる。
塩焼きとはまた違った美味しさがあります。

鮎の開き

腹掛りの鮎はその場で開いて、塩水にくぐらせて石の上に干しておく。
軽く炙っていただくと美味。

吸い物

素焼きにして中骨を取った小型の鮎を、椀に入れて味を整えた出し汁をはり、針切りしたウドを乗せる。

唐揚・フライ

家庭で塩焼きを作るには準備が大変です。こんな時は唐揚にしましょう。
子持ち鮎で作ると特に美味です。小ぶりの鮎のほうが骨が当らなくて良い。フライも同じ。
煮びたし 白焼きの鮎を番茶で煮て脂を抜く。たっぷりの出汁でコトコト煮て味付けは醤油と砂糖で。
煮汁が少なくなったらみりん・水飴を加え煮詰めて出来上がり。
真子の煮こごり 鮎の卵を出汁・醤油・みりん・ショウガ汁で煮て、寒天とゼラチンを混ぜて型に入れて冷蔵庫へ。
煮こごりの命は透明感。絶対に沸騰させないように。
砧巻き 三枚に下ろした鮎を酢で締める。薄焼き卵に鮎を載せキュウリ・ワカメ・菊の花付けを載せて巻く。
約2時間おいて酢味噌で戴く。落ち鮎に合う
みぞれ椀 鱗・内臓を取った鮎を白焼きにし、筒切りにして椀に入れ味を付けただし汁を注ぐ。
下ろし大根を入れて三つ葉を添える。
ステーキ 小麦粉をつけた鮎をバターで焼く。半分ほど火が通ったら、タレを入れて絡めながら焼く。
皿に盛りレモンかスダチを添える。
真子のワサビ醤油 落ち鮎のメスから卵を取り出し、血合いを丁寧に取る。これを冷やしてワサビ醤油で戴く。
傷みが早いので早く食べる。
白子の石焼き 焼いた石の上に、白子・おろした鮎を味付けしたものを載せて焼く。
ビールがあったらもう、最高。

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