写真歌壇

写真協力はTakaさん



擦れ違う秋の薫りの残り香に
    いつかあの日の君を思いぬ


秋寒をしみじみと知る風邪の床

君想う秋の夜長に我が居て
     若きあの日を巡り巡りて




紅葉を見たさに寒さ願う秋

霜月の声に紅葉山を下り

おばん菜目にも口にも京の秋
焼き芋の屋台の声が秋を連れ
窓を打つ大粒の雨秋深し
台風の来たりて暑気の戻る秋
京の秋雨が邪魔する紅葉狩り
街角のイルミネーション冬は直ぐ
長き島秋の地で聞く雪便り
五重塔東寺の秋に空高し
大仙院枯山水に秋日和
庭先で蟋蟀が鳴くプランター
秋雨に古を見る青葉城
夕餉時秋刀魚焼く空いわし雲
照りつける残暑の陰に秋の風
残暑の日花屋のススキで秋を知り
霜月に急なる寒さ秋の末
焼き芋の売り声に乗り秋来たり
数輪の菊に囲まる笑顔かな
仏壇の写真に秋の花集い
木犀の匂いて秋の夕早く
台風の過ぎて夏見る神無月
京の秋修学旅行の砂埃
長月と暦変わりて残暑濃く
涼しさの指先ほどが秋を言い
渋滞の最後を締める紅葉狩り
京の地で駿馬眺める菊の花
加賀からの雪吊り便り秋深し
サンマ時季それだけじゃないと鰯雲
十五夜をめざし健気な楕円月
アスファルト月に照らされ地虫鳴き
朝夕は晩秋日中は夏の甲斐
甲府路を前後左右に富士を連れ
新蕎麦にぬる燗一本口の秋
シャワーより湯舟が恋しい頃になり
ほろ苦きサンマが美味と分かる歳
頭上の音消えて足下秋の声
いつの間に蝉から鈴虫タッチをし
台風の一過に初秋の日差し降り
赤とんぼ車に纏いて秋を告げ
淡き紅僅かなる秋我が小庭
十三夜二つ欠けたる艶淡き 
朝夕を追いかけどうにか午も秋 
信号を西日が邪魔する秋の夕
夕闇の早さに秋の来るを知り
蝉時雨残暑を重ね淡くなり 
夏日でも秋を知らせる赤トンボ 
子ツバメも飛び立ち空の巣秋の色 
過ぎし夏追うように行く燕かな
狭き庭木犀の香が秋を言い
田舎より来たる茸の秋便り

残暑の日九月が去りて神無月
       急な寒さに身を震う秋
駅ビルのからくり時計の曲変わり
         小さな秋を人形が奏で
いつの間に蝉の音消えて秋近く
      残暑の隙間に涼が少しく
雷の鳴りて雨足早く濃く
   辺りを濡らし秋風を連れ
神代の晩秋の丘風流れ
   紅葉彩なす夕暮れの前
首都高を走りて見えし富士の山
       秋を追いかけ冬がそこまで
赤黄青淡き絵の具をあちこちに
        天の絵筆が山肌を染め
優駿の競いて駆ける菊花賞
   終わりて外れの紙吹雪舞い
ぬる燗の供にサンマを食しつつ
       何故かしみじみ秋寒の夜
パソコンの操作を終えて窓の外
      いつの間にやら秋が忍びぬ
パタパタと七輪扇ぐ絵は無けど
      サンマ食してしみじみと秋
小太りのサンマにおろしを山に添え
              醤油芳し秋の本番
暑さ過ぎ秋有り難き涼に居て
       夏の思いを指で折りつつ
肌寒き夜中に目覚めエアコンの
        風ではないと知る秋の端
駐車した車のドアを開け放し
      僅かの気配の秋風を入れ
初秋とは中々言えぬ暑さねど
      薄き気配を赤とんぼが連れ
肌掛けを足すかやめよか思案時
                                     
秋に深けり冬に浅かり
ニュースでは各地の紅葉盛りでも
               
我が家の小庭枯れ葉落つのみ
十五夜に二つ欠けたる月の色
         恥じらうように控え目に映え
デスクから顔上げ見やる窓の外
                          午が過ぎ去り夕闇の秋
朝夕が涼しくなりて殊更に
     
    昼の暑さがなお身の辛き
残暑とは言えど盛りの夏よりも
                 火照る九月を何と呼ぼうか
数本の木々に水やる狭き庭
                     暫しなれども残暑忘るる
暑く差す西日の中に赤トンボ
                     
飛び去る先に僅かなる秋
朝夕にほんの僅かの涼あれど
                   
処暑と言うには未だ暑き秋
秋の日のほの柔らかき陽の光 
        冬来れるをしばし忘れる
久々の墓参を叱るかのように
         長く延びたる雑草の丈
名刹の枯山水に抹茶の香
    観光バスの時間気にしつ




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