写真歌壇

写真協力はTakaさん





雨を待つ紫陽花哀れ梅雨が明け

いつ降らす人の身窺う梅雨晴れ間

雨用意捨てたくもなる梅雨晴れ間

小庭にて紫陽花の色競い咲き

雨上がり紫陽花の陰カタツムリ

庭先の放ったままのプランター
            雨に忘れず紫陽花の青

明けたよと天気予報が言うけれど
        変わらぬ暑さ梅雨の後先




浴衣着て縁日歩くスニーカー

夏祭山車引く綱の逞しさ

夏祭り母子と思しき下駄の音

久々に浴衣纏いて縁日の
               
屋台冷やかす暑き夕暮れ

夏祭り金魚すくいの池囲み
        親子共々子に戻る夜





雷鳴と花火が競う夏半ば

打ち上げの花火に消えし宵の月

土砂降りに夏と秋とが匂う午後

梅雨空の明けたる空に花火の輪
         暑さと熱さが共に競いて

人混みの暑さの中に身を置きて

                           花火眺めて暑さ忘れる

梅雨空を縫って墓参の車行き

紫陽花のライトアップの妖しくて

梅雨晴れ間洗濯物が背伸びをし

梅雨上がり濡れた舗道を夕陽染め

涼風が風鈴市に並び居り

鯉のぼり仕舞い忘れか振替休
田舎から秋便り聞く夏の夜
残る夏惜しみて蝉が大声で
箪笥開け夏風を入れ更衣
夏祭り御輿に冷たき雨の午後
参院選終わりて夏の猛暑かな
いつもとは違う寝覚めの里の盆
暑き夏今年も古里我を呼び
立秋を嘲笑うよに熱帯夜
真夏日が先の先まで水逃がし
犬猫も日陰を探す酷暑の日
部屋の外染み入る暑さがとぐろ巻き
降る雨に短冊の願い滲みおり
人の波七夕飾りが雨に濡れ
夏花に遺影ほほえむ梅雨晴れ間
梅雨寒の一日在りて人偲び
夏物で寒さに震える梅雨の空
梅雨の空雨の音聞き急ぎ足
列島の長さが分かる梅雨の入り
青空を見上げて夏言う茄子の花
仏壇に初物の枇杷皿に載せ
茶髪ママ稚児の付き添い夏祭り
かけ声の女御輿の黄色くて
山車を引く子供に汗の豆絞り
遠きにて御輿のかけ声風に乗り
黄金休終わりて戻る街の音
目が覚めて少し戸惑う盆の朝
渋滞もラッシュも消える街の盆
長崎忌先逝く人の涙雨
立秋を猛暑がまだまだ夏と言い
立秋の声聞き僅かな涼感じ
夏祭りたまの浴衣の親子連れ
少しずつ渋滞ラッシュの減るお盆
子供らの朝のさざめき無き休み
空梅雨が明けてなお欲し雨の涼
玄関の七夕飾り雨に濡れ
紫陽花を映して流れる天の川
水無月の豪雨の中でワンゴール
雨無けど傘五分五分の梅雨の朝
部屋中に洗濯物咲く梅雨の日々
降り止みて紫陽花の色際立ちぬ
まだ固き蕾の紫陽花雨を待ち
連休の狭間で新緑一人愛で
未だ未だがもうもうになる夏休み
暦だけ秋だと言いし熱帯夜
首都高に渋滞無きし盆休み
新盆の墓前に喪服の背の暑き
盆休み厚底サンダル鄙の地も
盆休み渋滞の先我が縁
一陣も倍増すだけの暑さかな
夏空に我だけ濡れし通り雨
燃え残る送り火の先親父の背
降らずともまだ終わらじと梅雨曇り
紫陽花が頭を垂れる空っ梅雨
台風が逢瀬を邪魔する天の川
梅雨空の上から台風瀧を撒き
夏至過ぎて暗くて長い暑さかな
紫陽花を横目に雨の投票所
低く飛ぶ燕に明日の雨思い
雨風が猛り狂いて梅雨の入り

夏祭り熱気に水差すお湿りに
         雷神ひとり太鼓を叩く

ベランダの隣同士のご挨拶
  洗濯物持ち梅雨の晴れ間に

渋滞に居て花火見る湘南道
       も少し見たし車進むな


小庭にて花火楽しむ一時に
                昔の家の縁側を思う


ガングロのメイクそのまま浴衣着て
              花火に騒ぐはやはり撫子

蝉の声聞いた憶えも幾日か
    冷たき夏に稲も実入らず

梅雨の日々雨音無きし朝なれど
         降水確率傘を迷わす
エビアンの水清くしてサミットの
     持ち寄る首脳の水は何色
日が昇る暫しの合間のウォーキング
       いつの間にやら半袖に焼け
水撒きの如雨露に幼子手を浸し
         暫しの涼に戯れる夏
新盆の経読む若き僧が居て
         霊と同じく衣新し
梅雨空に傘を差しつつ不慣れなる
         霊に供える花を買い行く
雷と雨の隙間を縫いながら
       辿る家路の門灯煙る
南国の梅雨入り横目に麦の秋
        氷雨に震える列島の央

氷雨降り花も木立も濡れそぼり
        俯きながら夏の陽を待つ
渋滞とラッシュの波をかきわけて
         帰りたる家四月の匂い
渋滞の車の窓から鯉のぼり
       右に左に風の気儘に
昨日見た同じテレビを今日も見る
         帰省の里の長閑なる時
後々へ語り継げよと原爆忌
       キノコ雲無き暑き空より
目に痛き日の降り注ぐ善光寺
         戒壇めぐりも暑き暗闇

炎天下老若男女の善光寺
      
お堂の日陰慈しみの涼
夏休みドライブ行の渋滞に
       思うは待つ人古里の町
粘り着く暑さを何とかせんものと
        風無き軒の風鈴を扇ぎ
中休み余りの暑さに耐えかねて
        そろそろ雨を願う梅雨空
一雨の涼しさたちまち消え去りて
         暑さ倍増す梅雨の夕前
目が覚めて朝に眩しき光あり
      傘を思案す梅雨の合間に
朝の晴れ午の曇りを目の端に
   気が付き見れば土砂降りの夕
とりどりの色を競いし紫陽花に
       傘を差しつつ虹を思わん
紫陽花の蕾を叩く強き雨
 咲けと言うのか待てと言うのか
涼やかに頬に流れる風一つ
     背中を炙る陽射しと裏腹
空調の効かぬ会社に籠もるより
         昼のひととき夏風の涼
夏風邪の床にてページ繰る本の
        薬の効き目か活字遠のき
そこここに低く咲きたる躑躅の木
        淡き深きに色を競いて
あんなにも苦労して行く古里を
         持つ人羨む黄金週間
連休の中央高速渋滞の
      
左右に見える新緑に憩う
渋滞のニュース横目の夏休み
                   
我一人してビール飲む午
雷鳴の徐々に近付く夏空に
               
火照り静める雨を待つ夜
年毎に新しき名を加えつつ
        風化止めし原爆の夏
帰省する里無き我が身の夏休み
                   
    テレビで探す祭りの夕べ
平日に居て久々の読書漬け
         
ギックリ腰にて臥せる夏の日
歳時には疎きなりにし今の世も
    土用のニュースに鰻増し売れ
大売りの鰻を買いて今更に
          土用を知りし若人の夕

夏休み来たりて隣家の庭先に
            子供水やる朝顔の鉢
盂蘭盆のじっくり眺める仏壇に
        僧侶の読経線香の揺れ
炎天に子らのはしゃぎしキックボード
           まるで逃げ水追うように行き 
梅雨明けと聞いても気温は変わらねど
                思う暑さに汗はいや増し

梅雨空を走りし電車降りて後
            歩み止めしメガネの曇り


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