8.ちっちゃいものクラブ 2017/01/01 モバイルの伝道師の足跡 |
かつて、もう30年くらい前になりますが、私、僭越ながら「モバイルの伝道師」を名乗っていたことがあります。ちっちゃいガジェットが好きなんです。 今ではスマホが普及してしまって、いまさら私ごときが伝道しなくても、モバイルガジェットはあまねくこの地平に広まってしまいました。しかし30年前は、まだまだモバイルガジェットは制約が大きく、つまり不便で、その不便さをどう補おうかと頭を使わなければならない状況だったのです。そこに伝道師の、別の表現をすればヲタの存在意義があったのでした。 当然ながらWindowsやMacOSのようなリソースがぶ飲みするようなOSは使えません。 しかし世の中にはモバイルヲタの同志が数多いました。そのモバイルの同志たちが、Blackberry、ZAURUS、クリエ、Newtonというようなモバイルガジェットが生み出して」いきました。 正直、私もこれらのガジェットが欲しかった。しかし、手を出しませんでした。 もちろん、高くて買えなかったというのが正直なところですが、それはともかくとして、私が求めるものが、これらの機種では出来なかった、という事情もあります。 私がガジェットに求める機能、それは長文が書けること、でした。モノ書きである私はいつでもどこでもテキストを書ける環境が欲しかった。したがって、しっかりした両手タッチ可能なキーボード、テキストエディッタ、効率的な日本語変換が必須機能だったのでした。 残念ながらPDA(Personal Digital Assistant)もしくは電子手帳と呼ばれる機器ではメモ程度は書けても、長文を書くことは不可能(もしくは苦行)でした。 それをかなえてくれた最初の機種がNECのモバイルギア MC-MK32でした。 これは買いました。1997年発売で、1998年の年末に買いました。 OSはMS-DOS。これに独自シェルをかぶせて日本語FEPをを搭載したものでした。表計算ソフトなども入っていましたが、使い物になるようなものでもなく、まさに物書き専用マシンでした。 MS-DOS、しかもディスプレイはモノクロなので、いわゆるマルチメディア系ソフトはまるで無し。写真表示すらできません。有線でインターネットには接続可能でしたが、ブラウザは無いのでもっぱらメールの読み書き用でした。モバイル廃人どもは、これでISDN公衆電話から果敢にメールの送受信をしたものです。 私はこれでひたすら文書を書いていました。 ただ問題もありました。日本語の変換効率が悪かった。 電池の持ち時間も、機器の構成の割には短かったような記憶があります。NECが専用のニッカド電池(単三を4本くらい直列させたような専用電池)を発売しており、これを使っていました。一日くらいは電池が持ってほしいものです。そしてモバイルギア上ではシェルが文書名(ロングネーム)をつけられるようにしてくれていましたが、MS-DOSであるが故に、本来のファイルネームがANK8.3に制約されており、メモをパソコンに移設して再編集するとき、なんの文書かファイル名だけでは判別できないという問題もありました。何しろファイルネームは自動生成なので、それだけではなんの意味も無いからです。 本機はモバイル廃人どもによって「DOS降下」が編み出されていました。 シェルを無効化して単なるMS-DOS機に戻してしまうものです。そしてMS-DOS時代のATOKとVZエディターを移植することも流行っていました。実は私も末期にDOS降下をやってみました。しかしATOKを移植するためには旧バージョンのATOKを入手しなければならず、秋葉原をうろついて探してはみましたが、入手できず、あきらめました。MS-Basicは移植して、ちょっと動かしたような記憶があります。 が、単にDOS化しただけでは日本語変換が出来なくなってしまい、本来の意味が無くなってしまうという問題がありました。で、DOS化はやってみたという程度で、元に戻してしまいました。 DOSモバの限界が見えてきた頃に出てきたのがWindowsCEというWindows系のOSを使ったSigmarionでした。これもNECの製品でしたが、NTTから通信端末Sigmarionとして発売されたものでした。同系の製品をNECからもモバイルギアの後継機として販売されてはいたようです。しかしNTTから発売されたSigmarionは、NTTと回線契約を結んだ上で本製品を購入するという縛りがあったので、本体価格は安く抑えられているというメリットがありました。いわゆる撒き餌というヤツです。この頃、10円メール端末ポケットボードというメール専用端末が出ており、これの機能拡張版といった位置づけだったのでしょうか。 従って回線契約を結ぶ必要があるのですが、結んですぐに解約するようなことをすればブラックリストに載せるぞというNTTの脅しもありました。ちなみに私はこれでNTTが大嫌いになりました。国家権力の犬は嫌いです。ついでに白い犬も嫌いですが。 しかしそこは蛇のヘビは道というか、餅は餅屋というか、秋葉原の雑居ビルでは国家権力などクソくらえとばかりにSigmarionが単体で普通に売られていたのでした。秋葉原バンザイであります。 しかし私はSigmarion1、2は見送りました。モバイルギアに比べて全体に小さく、タッチタイプできないかもと思ったからです。これでは私のニーズに合わない。しかし、カラー液晶化されて、マルチメディア化されたSigmarion3には心惹かれてしまったのでありました。カラーでしかも動画も再生可能(いろいろ制約はあるが)なら、あんな写真やこんな動画を持ち歩いて、好きな時にゆっくり鑑賞できる、と、ええ、軟派になってしまったのです。 2003年の年末に秋葉原の雑居ビルでSigmarion3を買いました。ハリーバートンとコラボしたとかいうモデルでした。しかしSigmarion3は1,2よりさらに小型化されて、いよいよタッチタイプできる限界になっていたのでした。 私のモバイルの伝道師の原点は長文を書くことだったのですが、軟弱になってしまい、その原点を忘れてしまったのでした。それでも一応、ポケットエディターPE for SigmarionIIIなるテキストエディターは買ったのは、モノ書きの業だったのかもしれません。(フリーソフトだったかもしれない) で、これをしばらく使って、DVDレコーダーで録画したTV番組をDVDに焼いて、一部切り出して動画フォーマットを変換してSigmarion3で再生する、ということまでは実験しました。(題材にしたのは「おじゃる丸」だったw)が、やはり小さすぎて、肝心のキーボードを打つのが辛い。しかもこの頃になると、いささか小さいものが見づらくなってしまって、これを使うのが限界になってしまいました。 こんなことならモバイルギアの方がマシだったと思ったのですが、後の祭り、売り払った後でした。中古なら入手できたかもしれませんが、劣化程度が心配で手が出せなかった。 Sigmarion3と平行して2008年に手に入れたのがネットブックと呼ばれた安価なWindowsノートパソコンでした。各社からいろいろな製品が販売になっていましたが、私はSONYのvaio Type-wを買いました。これはモバイル用というよりも、母艦として使っていた中古のThinkpad X31が壊れたのでその代替機として買ったものでした。レノボになる前のIBM時代のThinkpadです。 vaio Type-wを選んだのは、他社のネットブックは解像度が1024x600しかないですが、Type-wは1366x768なのでまあなんとか使い物になるのではないかと思ったということです。 モノ書きの本性で同時にATOKを買っています。なので、今でもJUSTシステムからDMが来ますが、現在ATOKは使っていません。MS-IMEが使いモノになるようになってきたのであえてATOKを入れる必要を感じていません。 テキストエディタはこの頃からフリーウエアのTeraPadというものを使っています。機能はそれほどありませんが、軽くて使いやすい。 vaio Type-wのOSはWindows XPでした。すでに8.1が出ていましたが、あえてサポート切れがアナウンスされていたXPを選んだのは(ネットブックの規格がXP限定ということもありますが)、アクティベーションを行わない最後のWindowsだったという理由です。別に不正インストールをするつもりはありませんが、マイクロソフトの監視下に入ってたまるか、という思いがありました。このあたりはNTTが嫌いということと同根ですかね。 しかし、これも画面が小さすぎて文字が読めなくなってしまい、2015年末頃にフルサイズのノートパソコン(Dynabook)に買い換えました。テンキーまで付いた、まったくモバイルでは無い代物です。 モバイル機器の方はしばらくSigmarion3を使っていましたが、世の中は急速にスマホに流れていきました。 私としてはキーボードが無いスマホにもタブレットにもあまり興味はなかったのですが、子供が大学に入るというころになって、しゃあないからスマホにするか、ということになり、iPhone5sを買いました。(Androidを選ばなかったのはSamsung嫌いという理由です)MacBook(Double USB)以来久しぶりのApple製品でした。 私の場合、電話もゲームもあまりやらないので、専らWeb端末として使っています。ほぼWebとメールとLINEくらいですかね。バイク乗りの記録(日々の走行距離とオイル交換等の記録)もiPhoneでやってます。 iPadが出たときは、Bluetoothキーボードと組み合わせてなんとか使えないかと真剣に考えましたが、本体のホールドに難がありそうで断念しました。カバーに本体とキーボードをセットするのも、電車の中の様な不安定な場所では使えないので、やっぱりクラムシェルじゃないとと思っています。 そんな中で2011年頃、NECが再びやってくれました。AndroidOSにキーボード付きのクラムシェル機種、LifeTouch Note(通称アンドロモバギ)が発売になったのです。しかも標準でATOK搭載。 同じころ、事務機器メーカーのキング事務からDOSベースのテキスト入力に特化したポメラという機種が発売になっていました。初代モバイルギアの再来というべき機種で心揺さぶられるものがあったのですが、以下の3点で見送りました。 @当時は3点開きの機種しかなく、ヒンジの部分が不安定で、パッと開いてメモを取るというコンセプトからすればどうかなと思った点。小さくすることに集中してしまった結果かと思いますが、携帯性という点では実は底面積よりも薄さの方が重要だったりします。のちにシンプルな蓋を開くだけのタイプが出ましたが、時すでに遅し。 Aテキストエディタに文字数制限がある。制限文字数まで書くかどうかは不明ですが、制限がある、ということが嫌だった。またファイルネームはDOSであるからにはANK8.3の制約があるんだろうという予感。このあたりはDOSモバ時代の経験によります。 BATOKが組み込みバージョンであるため、案外変換効率が悪いと思われること。 単純なメモ書き用途であれば、ポメラで十分だろうと思います。 ポメラを見送って、手を出したのがモバイルギアの後継者であるLifeTouch Noteでした。OSはAndroid2.3。ATOK標準装備。テキストエディッタもAndroid用の文字数無制限のものがあるものと思われる、ということでこっちを選択したのでした。 正直に言えばSigmarion3の時と同様に、マルチメディアにも対応できるという部分に惹かれたのも確かです。軟弱です。すいません。 で、LifeTouch Noteことアンドロモバギですが、これはこれで弱点がありました。 @バッテリーの減りが早い。テキストしか入力してないのに、実用は3時間程度というところでしょうか。日常使用では問題ないものの、旅に出るには不安が付きまとう。完全に電源を落とすと再起動にそれなりの時間がかかってしまうので、レジュームで使うのですが、スマホ同様使っていなくてもバッテリーが減るので毎日充電しなければならない。 またACケーブルがモバイル用とは思えないほどデカい。 Aアプリ間のデータ連携が難しい。Webページのコピーも難しいし、出先でiPhoneで入力したテキストをコピーするのも難しい。ただし母艦のPCとのやりとりはSDカードを抜き差しすれば良いので簡単になりましたが、今度は漢字コードの問題で文字化けが発生することがあるという別の問題が発生しました。 本体だけではファイルの管理(ディレクトリを切ったり、ファイルの移動をしたり)が出来ないのもメンドクサイところでした。 B最初は問題ではなかったのですが、AndroidOSのバージョンが上がっていっても本機のOSはバージョンアップに対応していないので(おそらくキーボード系のドライバー類の問題だろうと思いますが)、インストールするアプリが壊滅した、ということもありますが、インストールしたアプリのバージョンアップすらできなくなり、下手にバージョンアップされると使えなくなる可能性があるので、インターネット接続が出来なくなってしまった。これではAndroid端末として減点です。 C本体のバランスが悪い。もともとの設計がタブレットだったらしく(LifeTouchシリーズにはタブレット型もある)、画面側にほとんどすべての機能を詰め込んでいるため、かなりトップヘビーになっています。すぐ後ろに転んでしまうほどバランスが悪い。しかもキーボードに傾斜がほとんどないので、打ちやすくするためにはヒンジの部分にコミックを一冊噛ましてやるとちょうど良くなります。これも、出先ではできない。 DATOKが案外バカ。Simeji(フリーウエアの日本語入力環境)よりはマシなのかもしれませんが比較したことはありません。 ということでほとんどオフラインでテキスト入力用マシンとして使っていました。 文字入力という点だけとれば、キーボードは広く、使いやすいものでした。これでバッテリーの持ちが良ければ使えたのですが。 発売当初は別売の大容量バッテリーがあったのですが、あれを買っておけばよかったと、ちょっと後悔しました。これを装着するとお尻が少し上がるので、バランスが多少良くなるように思います。 2016年ころになると、アンドロモバギにも少し飽きてきたので、買い換えを考えていたのですが、Android OSのキーボード付きタブレットはほとんどなくなってしまい、あってもタブレットにカバーを付けてキーボードを押し込んだような代物でした。あれはあまり好きになれない。 という状況の2016年の年末ごろ、あるニュースを目にしたのでした。 安さの殿堂ドン・キホーテで激安Windowsタブレットが出たと。驚きの2万円を切る価格でした(消費税含まず)。しかもこれがキーボード着脱式の、2in1という形式だった。そうか、Windows10は元々タブレット用も視野に入れたOSだからこんなことができるのかと妙に納得。この際ドンキタブレットでも良いかと思っていたのですが、ちょっと調べてみると、ASUSとかLenovoからも似たような機種が出てはいるのだが、これが軒並み評判が悪い。壊れる、壊れたらメーカの態度が悪い、等々。。 壊れるのはメンドクサイから困るなあ、と思って他を探していた時に見つけたのがHPダイレクトショップの2in1Windowsタブレッでした。HP x2 210 G2。 10.1インチのタブレットに磁石で脱着するキーボードがついて、約1kgほどの様です。バッテリーも数時間は問題ないようです。Windows OSはリソースバカ食いとばかり思っていたのですが、省電力化の技術力は大きく進歩していたようです。また再起動に時間がかかるという点も、ストレージがeMMCだし、シャットダウンせずにレジュームで使えば問題なかろうと判断しました。 ただし、お値段はそれなりで、ドンキはともかく、中華タブレットが3万円程度に対し、5万円。保険だと思えばやむなしかと。それでクリスマスプレゼントに三太さんにお願いしたのでした。 三太さんも、まあしゃあないなと言ってくれました。三太さんのややこしい命令を忠実に実行したということもあり、古の伝承通り「良い子の所には三太さんがプレゼントを持ってきてくれる」ということかと思います。 ストレージ容量は128GBです(64MBモデルと値段が同じだった)。データ類はmicroSDに逃がして、本体ストレージはアプリ用と割り切るべきのようです。 いわゆるメインメモリーは4MBなので、余裕はないにしろ、テキスト変種とWeb程度なら問題ないでしょう。 キーボードの脱着とアンドロモバギで問題になったバランスの悪さは懸念事項でしたが、ほぼ同じ仕様の量販品店バージョンがビックカメラ(もしくはヨドハシカメラ)にあるので一応、見に行きました。バランスは問題なさそうだし、脱着も磁石で吸着しているので、asusのようなメカニカル式に比べて劣化は少ないように思いました。量販品店バージョンを買ってもよいかと思ったのですが、仕様はダイレクトショップ仕様に比べて低い(メインメモリーが2MBだった)上に値段が高かったのでお持ち帰りはあきらめました。 2016年12/20に発注して到着したのが12/28でした。5営業日で届くようです。 到着する前に画面保護シート、microSDカード(32MB)、Bluetoothマウスを買っておきました。ケースも必要になると思ってたのですが、専用品があるわけでもないので本体が届いてみないと大きさがわからない。画面保護シートも同様ですが、これは汎用品の13インチまで対応できるものを買いました。額縁に段差がないフラッシュサーフェスデザインなので、汎用品でも貼りやすいと思います。 会社の納会が終わって帰宅したら到着していたので、さっそく箱を開けて、セットアップ開始。 セットアップそのものは案外楽にできました。Windowsアカウント(.outlook.jp)を母艦を購入したときに取得していたので、それを流用したので、この点でも楽でした。 必要なアプリとプリンタードライバーをインストールした。 データ類も母艦にアンドロモバギのデータをいったんバックアップを取って、それをmicroSDにコピーしてばっさり転送しました。これも割と簡単。アンドロモバギが作った管理用のファイルも一緒にコピーしてしまいました。 ただしmicroSDは取り外しすると無くしそうで怖いので、基本入れっぱなしとすると、パソコンからのデータ移植が難しくなります。SDカードが使えればリムーバブルメディアとして使えるのですが。やむなくUSBメモリーを買いました。ついでにケースも。新しいおもちゃを買うと結構物入りです。 ある程度アプリをインストールした状態で、30GB消費していて、残りは90GBとなっています。案外容量があるもんだと思っていますが、ストレージとしての利用は難しそうなので、iTunesは入れませんでした。テキストエディタ、Chrome、FTP、Star Office、プリンタードライバーとバンドルソフト、Blurayドライブに付属してきたバンドルソフト類(動画再生ソフト)をインストールしました。 これで一通りの環境はできたと思います。 使い始めての感想。 @バッテリーの持ちは問題なさそうです。バッテリー消費と残り時間から推測する限り10時間程度は使えそうです。結構動画を見ていても大丈夫そうです。 Aレスポンスは若干もたつく感じもありますが、よほどのことをさせなければ大丈夫そうです。 Bキーボードも基本的には良いのですが、一部問題もあります。ファンクションキーがあるにはあるのですが、単独では画面の明るさ、音量などを変更するためのもので、ファンクションの方がfnキーと同時に押す仕様になっています。カナ変換にF7キーをよく使うのでこの点はちょっと困りものです。またカーソルキーもちょっと小さすぎで使いにくい。この点はアンドロモバギの方が使いやすかった。 CBlueyootマウスを見失うことがあります。これは昔、ネットブック(vaio type-w)を使っていた頃にもあったのですが、やっぱりまだ出ます。再度ペアリングすればよいのですが、ちょっとメンドクサイ。本当ならマウスなしで運用したいのですが、Windowsではやはりマウスがある方が便利です。 DACDCコンバーター自体はコンパクトでアンドロモバギより小さいくらいですが、さすがHPというべきか、ケーブルが太い。コネクターがUSB-Cなんですが、ケーブルが重くて自重で壊れそうで怖い。 スマホ編へ続く。 |
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