はじめに

 茶核一味とは

茶道を志しておられる方なら、茶禅一味という言葉はお馴染みの事と思います。
茶核一味とは、読んで字のごとく、茶道と原子力の一体化というような意味でしょうか。

これは、私が五十の手習いで初めてお茶に出会った時に、茶室の待合いにかかげてあった色紙の 言葉です。
色紙は、高速増殖炉および新型転換炉に、「もんじゅ」と「ふげん」という、古典的な、かつ深い意味を持つ名前をつけられた、清成廸氏が書かれたものです。

茶核一味という言葉は、単なる語呂合わせであったのでしょうか。それとも、原子力に携わる人 間は、単なる技術だけではなく、精神的な面でも、茶道の精神を取り込んで行わなければならないという、戒めの言葉でしょうか。

その頃の私は、四半世紀にわたって原子力の研究に従事し、脂の乗り切ったところでしたので、 茶道は、単なる単身赴任の時間潰しでしかく、深くも考えませんでした。

それから十年、茶道の点前だけではなく、先人のいろいろな茶道について勉強すして自分がやり たい茶道とは何かと考えるようになるにつれて、この言葉がいつも念頭から離れず、最近では茶核一味を実践して行くのが、自分の茶道ではないかと考えるよう になって来ました。

それが何であるか言葉で書くのは困難ですが、ここに私の茶道と原子力研究の両方の一端を紹介 することにより、それがなんであるか、皆様と一緒に考えて行きたいと思っています。

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