最近呑んだ吟醸酒について
2000年10−12月分
これからの話は消費者(飲み手)という立場で書いていきます。評論家や蔵元、酒屋の立場では見ていません。お金を払って買い求めた物について書きます。また、音楽とか味覚とかいう物は大変抽象的で表現が難しいのですが、平易に書きたいと思います。 よく、食べ物店の紹介記事で絶賛している物を食べると、首を傾げたくなる時が多々ありますし、テレビでリポーターが口に入れたとたん「うまい」と発言しているウソ等はここでは、しないように心がけています。
◆月に一度の例会とイレギラーで飲んだ吟醸酒について、ズバリ、どういう酒か皆様への判断基準を書きます。
A;味、B;香り、C;コストパフォーマンス、D;総合評価を、各5点評価(5;最上 4;良 3;まあまあ 2;まだまだ 1;評価外)で表します。 総合評価3−(マイナス)以下ではもう一度買うかと言えば、考えてしまうレベル。2ではタダで贈られても困ってしまうレベル。
私の独断と偏見なしで評価し、E;寸評も入れます。なお、会での評価も、判断基準の参考にしています。また、評価はこの日に飲んだ吟醸酒の味で、次回も酒の性格上、ロットや時間が変れば同じとは言切れませんが、傾向としては、間違ってはいないと思います。
2000年12月23日(土)
1.本江酒造(魚津市) 大吟醸「平成十一年 酒造年度」
原料米;山田錦 精米歩合;40% 【アルコール分】17〜18度 1.8L 10,000(税込)
A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4+
E寸評;関矢ブランドでは価格・品質最高の吟醸酒とされ、毎年この時期にお目見えする逸品。
この蔵で田中平作 杜氏が醸した初めての「年度の酒」。前回の引退試合の惨状から立ち上がり、今回、初登板ながら無難に完投している。
サラリとした飲み口で、すっ〜と喉元を通り越す。雑味が無く上品で、飲み手に媚びない。淡麗爽やかであるが、重厚さや横綱の貫禄がない。
2.河野合名(会津若松市) 吟醸・熟成酒「春高楼」
原料米;八反錦 精米歩合;50% 【アルコール分】15〜16度 【日本酒度】+2 【酸度】1.5 1.8L @3,000(税別)
A;味、B;香り、C;コストパフォーマンス、D;総合評価
E寸評;日本で一番小さな蔵元(また出てきた)と自称。ラベルも大奥様が手作り、一枚一枚墨痕鮮やかに和紙に手書で作られている。3年物と聞いているが、私の大嫌いな”ひね香”もなく、芳醇で、奥深い味わいと、造り手の品性がうかがえ、含み香の素晴しさはこれぞ吟醸酒と言うとこであろう。この値段で出荷される蔵元の良心がひかる。いいとこの”熟女”此処に有り。(前回評)
今回真打のこの吟醸酒はトリ(寄席で最後に出る噺家)で出す予定が、みんなの意見で、次月登場となった。乞うご期待。
3.高橋酒造店(山形県游佐町) 山田錦吟醸「東北泉」
原料米;山田錦 精米歩合;50% 【アルコール分】15.8度 【日本酒度】+3.0 【酸度】1.5 1.8L \3,200(税別)
A;味3+、B;香り3、C;コストパフォーマンス3、D;総合評価3
E寸評;これ山田錦?と言う声が聞こえる。ごく普通の吟醸酒で、可もなく不可も無し。感動がないのは残念。
4.本江酒造(富山県魚津市) 吟醸生酒 「かげろうの花」
原料米;山田錦60%+五百万石40% 精米歩合;50% 【アルコール分】15〜16度 【日本酒度】+3 【酸度】1.2 【使用酵母】協会9号 1.8L \2,720(税別)
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評;当会の標準酒で、毎回安心して飲める。
今回のこの吟醸酒は今までのロットと歴然と違う。数年前の元気な頃の姿に戻って、なお、余りある。晴れ着の振り袖を着飾った娘さんのように、華麗で煌びやかで華がある。今回の2000円台の吟醸酒なのに、他の吟醸酒を完全に食ってしまった。
今、この振り袖美人を逃したら、飲む酒が無い。
5.千曲錦酒造(長野県佐久市) 2000年鑑評会出品酒 大吟醸「千曲錦」 無ろ過・無加水
原料米;山田錦 精米歩合;39% 【アルコール分】17〜18度 【日本酒度】+4.0 【酸度】1.3 1.8L \5,000(税別)
A;味5、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4+
E寸評;上記の「かげろうの花」と大変良く似ている。対比させると、香りが押さえ気味で、良いとこの娘であり、洒落た紬を着込んだ、おしとやかで地味な落ち着いた良さであろう。「かげろうの花」は華があり、これは実がある。
2000年鑑評会出品酒とあるが、入賞酒とは違う、念の為。
■「かげろうの花」という標準酒と比べると、寸評にも書いたが、あまりにも上出来なので、他の吟醸酒が割を食ってしまった。
■11月に飲んだ、満寿泉のオーク樽仕込の酒について、後日談を書いています。
2000年12月18日
1.朝日酒造(新潟県越路町) 純米吟醸 「悟乃 越洲(ごの えっしゅう)」
原料米;千秋楽 精米歩合;?% 【アルコール分】14〜15度 720ml \2,100(税別)
A;味4、B;香り3+、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評;純米特有の香りは控えめ、でもこれが吟醸酒にまだ馴染んでいない人は抵抗無く溶け込めるのではないか。サラリとした雑味の無い味わい、辛さが何時までも口中に残る。この善し悪しは別として、濃い味の肴にズバリ合うだろう。すき焼き、ステーキ、焼き肉、バーベキュー、考えると唾が出てきます。
2.朝日酒造(新潟県越路町) 純米大吟醸 「禄乃 越洲(ろくの えっしゅう)」
原料米;千秋楽 精米歩合;?% 【アルコール分】14〜15度 720ml \3,500(税別)
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス3+、D;総合評価4
E寸評;上記の吟醸酒とは姉妹関係に有るが、血筋は争えないもので、大変よく似ている。辛口で乙にすましているのが上記の「悟」ちゃん。辛口ではあるが、少し角が取れて大人になったのがこの「禄」ちゃん。どちらも大人の姉妹だから、好き嫌いで選べばいいが、値段で見れば、上記の「悟」ちゃんに軍配が上がる。■今回のこの蔵元の酒造米「千秋楽」は、朝日酒造の系列会社(農家)が生産しているもので、当然新潟で全量収穫されている。資本力とは大変なものである。酒米としては分かるが、山田錦や五百万石から比べたらこの品種はどんなメリットが有るのか。平たく言えば、消費者から見ると、千秋楽にこだわる理由がよくつかめない。
友人から進められた吟醸酒なのであまり過激な発言は消しゴムで消しながら・・・。新しい美女にお付き合いできたことに感謝。
2000年12月5日
1.妙高酒造(新潟県上越市) 大吟醸「越乃雪月花」
原料米;− 精米歩合;40% 【酸度】1.3 720ml 持ち込み酒
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス・友人持ち込み酒、D;総合評価4
E寸評;香りは控えめ、味は雑味が無く、素直。精米歩合40%が貢献している。柔らかく甘口で優しく迎えてくれる。もう一度逢いたーい、と言う魅力が出てくれば本物。
2000年11月25日(土)
1.青島酒造(静岡県藤枝市) 喜久酔「純米吟醸 松下米50」 原料米;無農薬有機肥料栽培山田錦 精米歩合;50% 【アルコール分】15.5度 【日本酒度】+5 【酸度】1.2 【仕込水】大井川水系南アルプス伏流水 【酵母】静岡酵母 【収穫年月日】1999年(平成11年)10月 【飲み頃温度】12度前後 【作者】松下明弘 【圃場】静岡県藤枝市松下圃場 720ml \3,570 (税込・送料別)
A;味5、B;香り4+、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評;まず旨い。品がイイ。素直で極自然。爽やかで媚びもせず自己をぎらぎら表に出さず、何の気負いも無く、ただ自然にそこにある。五味が絶妙にバランスして旨いという一点で集約されていて、飲み後のなんとすがすがしいことか。香りも出しゃばらず、口中には旨かったという感動しか残らない。
私は何時も蔵元の能書きに”眉にツバ付け”て読んでいるし、相反する結果にガッカリする事が多い。しかし、この酒のメッセージを読むと、「ふるさとの米で本物の地酒を造りたい」との蔵元と農家の熱意をそのまま酒の中に見ることができる。
2.青島酒造(静岡県藤枝市) 喜久酔 「純米大吟醸 松下米40」 原料米;無農薬有機肥料栽培山田錦 精米歩合;40% 【アルコール分】15.5度 【日本酒度】+3 【酸度】1.2 【仕込水】大井川水系南アルプス伏流水 【酵母】静岡酵母 【収穫年月日】1999年(平成11年)10月 【飲み頃温度】12度前後 【作者】松下明弘 【圃場】静岡県藤枝市松下圃場 720ML \4,500(税込)
A;味5、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価5
E寸評;上記「純米吟醸 松下米50」に同じ。会でも好みが、真半分に割れた。ここまで来ると、質の優劣ではなく、好みの問題になってくる。どちらもイイ。買うなら「純米吟醸 松下米50」で充分。
強いてその差は、50は甘く柔らかく、40は研ぎ澄まされて気高い。
3.麒麟山酒造 (新潟県津川町) 鑑評会出品酒 「KIRINZAN kagayaki」麒麟山かがやき原酒生
原料米;山田錦 精米歩合;38% 【アルコール分】17〜18度 【日本酒度】+4 【酸度】1.2 720mL \4,100 (税込)
A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4+
E寸評;清酒の鑑評会は国税局の主催で、全国11ブロックで毎年春と秋の2回行われます。この地区は関東信越国税局管内となり、埼玉、茨城、栃木、群馬、長野、新潟の6県 の蔵元から出品されます。
麒麟山酒造では鑑評会出品酒と同じお酒を皆様にお届けできないかと考えました。「KIRINNZAN kagayaki」は鑑評会の雰囲気、出品に向けての蔵人の緊張感を皆様に 少しでもお伝えできたらと思って製品化しました。(蔵元の説明より)
まわるい筒状のパッケージに入った吟醸酒。まるで表彰状を取り出すようで、幕開けの期待感を盛り上げる。香りはペパーミント系で控えめ、日本酒の旨みが口中で広がり、爽やかに広がり消えていく。呑みやすく、肴を引き立てじゃましない。雑味が無く喉ごし爽やか。
4.小玉醸造(秋田県飯田川町) 本醸造大平山「秋田生酉元(きもと)」
原料米;美山錦 精米歩合;65% 【アルコール分】15.2度 【日本酒度】+2.0【酸度】1.5 1.8L \1,890(税別)
A;味3、B;香り3−、C;コストパフォーマンス3、D;総合評価3
E寸評;山藤章二 描く落語家の古今亭志ん生がラベルに印刷された酒。それにつられて購入。
吟醸酒と比較するのは大変可哀想。ごく普通の本醸造酒であるが、これだけの素材を使っているので有ればもう少し、何とかなったと思われるのに。普通酒なみで残念。燗をしても変化なし。
蔵元からの配送が、日時を指定したにもかかわらず、守れないのはいただけない。到着指定日に発送しているとは。
5.桝田酒造店(富山市) 満寿泉 純米大吟醸 「SUPECIAL」
原料米;山田錦 精米歩合;50%以上 【アルコール分】16〜16.9度 720mL 会員持ち込み酒
A;味3、B;香り3、C;コストパフォーマンス 会員持ち込み酒、D;総合評価3
E寸評;吟醸酒を3ヶ月間オークの樽で寝かせた物。白ワインを貯蔵してあったオーク空き樽と無垢のオーク樽14:1でブレンドしてある。ワインと同じように、樽1本に対して1升瓶3本分が貯蔵中に減量している。
グラスの中の酒は年数物の白ワインの様に色づいている。オークの香りが呑み終わった後にも主張し続けている。手を加えすぎで、味も日本酒の旨みコク、風情をことごとく壊している。お変わりはしたくない。チャレンジ精神は買うが、もっと素肌美人を造って欲しい。追加コメント(クリックしてください)
6.お福酒造(新潟県長岡市) 奥越後純米大吟醸 「お福正宗」 袋絞り原酒 低温貯蔵熟成
原料米;五百万石 精米歩合;50% 【アルコール分】15.8度 【日本酒度】+5 【酸度】1.4 720mL 会員持ち込み酒 \2,000(税別)
A;味4、B;香り3+、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評;低温貯蔵熟成とは難しいもので、過熟成のためひね香が出始めている。出荷の時期が遅すぎた。もう少し早い時期に呑みたかった。香りは控えめ、味は図太く力がある。
会員持ち込み酒ではあるが、あえて価格を出した。この値段で、この品質は大変買いやすい。ピークを過ぎたから安いとは思いたくない。
7.松瀬酒造(滋賀県竜王町) 純米吟醸 松の司「花伊吹」
原料米;山田錦 精米歩合;50% 【アルコール分】15.8度 【日本酒度】+3.0 【使用酵母】K−14(金沢) 1.8L \3,690(税別)
A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+
E寸評;生酒特有の開栓をするたびに、ポンと景気の良い音を響かせる。純米酒でありながら、吟醸香の良さは強すぎず、弱すぎず品良く秀逸。味も吟醸酒らしく堂々と、そして凛としている。そう!山田の旨さが100%出ている。濃厚な旨みの中に適度な酸味が重なり、下手な肴は合わない。強い主張を持った肴だけがペアーに成ることを許される。
番外.ワイン。 ジョルジュ デュブッフ社(フランス ブルゴーニュ) 「ジョルジュ デュブッフ マコン・ヴィラージュ ヌーヴォー2000」
A;味3+、B;香り3+、C;コストパフォーマンス 会員持ち込み酒、D;総合評価3+
E寸評;ボジョレー・ヌーボーが世間を騒がせているが、そのボジョレーの北に隣接する所の産。新酒独特の爽やかさ、適度の酸味とフルーティー感。雑味が無く熟成されたシャルドネ種の旨さが伝わる。しかし、飲み疲れする。
ボジョレー・ヌーボーで旨いものに当たった試しがないが、これは違う。しかし、750mlで3000円近くする価格は日本酒に置き換えると高すぎる。これはワイン全体に言えることで、吟醸酒ではもっとレベルの高い感動ものが飲める。ヌーボーだから「ま、いいか」では将来が気がかり。
■青島酒造 喜久酔「純米吟醸 松下米50and40」 の酒造米について、
(蔵元のメッセージから)「ふるさとの米で本物の地酒を造りたい」・・・これは酒造家にとってかけがいのない夢です。
このお酒は一人の熱い心を持つ農業青年との出会いから誕生しました。藤枝市の松下明弘さん(38才)が「自分の田んぼで酒造米を作らせてほしい」と蔵を訪ねて来たのは平成8年春。
彼の米作りは田おこしをせず、化学肥料を使わず、自家製の有機発酵肥料で土を肥やし、大地に稲をしっかり根付かせるというものです。
化学肥料のかわりにセリ・ヨモギ・ドクダミ等の野草の抽出液も使用します。彼はこの農法で栽培が難しいといわれている酒造好適米・山田錦を見事に作り上げました。
田んぼには、この地で数十年来お目にかかれなかった「豊年エビ」も回帰し、これを餌にする蛙や水性昆虫が集まり、さらに、これらを餌にする様々な鳥が飛来しました。自然本来の生態系が蘇ったのです。
私たちも一緒に田んぼに入り、苗を植え、毎日雑草取りをし、収穫の喜びを分かち合いました。
山田錦という米の特性も、無農薬有機栽培の難しさも、その価値も田んぼでじっくり学びました。
この体験を通じ、私たちは「酒造りとは仕込みの冬だけではなく、種籾を選ぶ春から、稲刈りの秋までを含め、ふるさとの四季とともに醸していくものだ」と実感しました。
松下米を託された杜氏の富山初雄さんは格別な思いで酒造りに取り組みました。彼は37年間、喜久酔ひとすじに酒を醸し続ける熟練杜氏。
酒米・松下米の真価を仕込みの現場で最初に見出したのも彼でした。
松下米は高精白をしてもヒビ割れせず、洗米しても胴割れせず、良い蒸し米になり、理想的なツキハゼ麹が出来たのです。
秋上がりするといわれている山田錦の実力を確かめようと、熟成には低温でじっくり時間をかけました。 そして充分に手応えのある純米大吟醸酒に仕上がりました。この結果を通じ、私たちは「酒造りは米作りから」という思いを改めて胸に刻みました。
飲む人を感動させる酒とは、感動を知っている者が造った酒だと思います。若い稲作農家の真摯な姿勢に感動し、彼が育てた稲に宿った米の力を受け継ぎ、「感動を伝えることのできる酒」を目指して造りました。■今月から外気も下がってきたので、冷蔵庫での保管及び飲む温度を、常温で楽しんでいます。
■酒だけではなく、人に感動を伝えるのは、素肌にいろいろ化粧を施して美人に仕上げるのでは無く、もって生まれた物が美人ではなくては成らないと思う。基本の所がしっかりと造られていなければ、何にも成らない。
女性でも化粧でごまかしているのではなく、スッピンで綺麗な人が本当の美人だと思う。この美人に薄化粧を施せば、”鬼に金棒”。 また、”鬼も十八、番茶もでばな”と言うように、蔵出しのベスト時期と言う物があるはず、それをはずしてしまえば、ただの鬼であり、番茶でしかない。
2000年10月28日(土)
1.小島酒造店(栃木県塩谷町) 本醸造生 「雪がすみ」
原料米;山田錦 精米歩合;50% 【アルコール分】16〜16.9度 【日本酒度】+5 【酸度】1.3 1.8L \2,330(税別)
A;味4、B;香り3+、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4
E寸評;柔らかな味わいの中に、しっかりした骨組みが感じられ、食中酒にしてはもったいないくらい、透明感と爽やかさがある。呑んでも呑んでも、飽きのこない肌触りと、肴を選ばない酒質と、この価格では抜群の買い得感がある。
2.本江酒造(富山県魚津市) 吟醸生酒 「かげろうの花」
原料米;山田錦60%+五百万石40% 精米歩合;50% 【アルコール分】15〜16度 【日本酒度】+3 【酸度】1.2 【使用酵母】協会9号 1.8L \2,720(税別)
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4
E寸評;当会の標準酒で、毎回安心して飲める。今更何を言えばいいのか。
3.秋鹿酒造(大阪府能勢町) 純米吟醸酒 「純情可憐」 生酒
原料米;山田錦 精米歩合;57% 【アルコール分】15〜16度 【日本酒度】+3 【酸度】1.6 1.8L \3,000(税別)
A;味4、B;香り3、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評;雑味が無く一見物足りなさを感じるが、それは最初だけで、いつまでも爽やかさを持続させて、飲み手を離さない。この酒も肴を選ばず、食事を楽しませてくれる。
4.廣木酒造本店(福島県会津坂下町) 山廃仕込特別純米 「飛露喜」 無ろ過生原酒
原料米;亀の尾 精米歩合;不明 【アルコール分】17〜18度 1.8L \3,780(税込)
A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評;グラスの中でうっすらと色づく様は日本酒そのもの。山廃とか、純米とか、亀の尾とかは関係なく、戻り香の素晴らしさに、味わい豊かな酒質がバランス良く形ち作られている。どっしりした味わいは食後の幸福感を倍増させる。シーズンの松茸と素晴らしくバランスされて、旨みを倍加してくれる。
◆ 今回は全くの初物が無く、今までお世話になったものや、その蔵の姉妹とのお付き合いを願った。安心して飲めたことと相反して、感動してビックリするようなものや、ガッカリするようなものが無かった。嬉しいような、悲しいような。
2000年10月5日
1.酔鯨酒造(高知市) 純米吟醸 酔鯨 「高育54号」
原料米;高知県酒造好適米推奨品種”吟の夢” 精米歩合;50% 【アルコール分】16〜17度 【日本酒度】+8 【酸度】1.6 【使用酵母】KA−1 1.8L
A;味4、B;香り3+、C;コストパフォーマンス・頂き物、D;総合評価4
E寸評;純米酒にありがちな弱い香りながら、味は+8の日本酒度から考えられないような、落ち着いた甘さを感じるくらいにバランスのとれた様相を呈している。酒造好適米”吟の夢” の味かKA−1の味か判別できないが、今まで呑んできた一連の味わいの系列からはみ出た新しい系列の吟醸酒が誕生したと思われる。これに華やかさが加われば、最高。今後の動向が楽しみである。
蔵元に問い合わせると、ラベルの”高育54号”とは高知県酒造好適米”吟の夢”の、まだ愛称の決まる前の、県の品種番号だそうです。このラベルで4年目になりますが、まだこの酒造好適米”吟の夢”(全量高知県産)の収穫量が少ない為に、造られる量も1000本(1升瓶換算)程との事です。都市部での売れ行きは良いそうです。
番外. 月山トラヤワイナリー(山形県西川町) トラヤワイン2000新酒 「月山山麓」 白
原料;山形県産ぶどう100%使用 【アルコール分】11度未満 1.8L \1,700 (税込)
A;味4、B;香り4+、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4
E寸評;夏の暑さもウソのように秋めいてきました。今年も出ました、トラヤワイン2000新酒 「月山山麓」。これで本格的秋になりました。
下戸の友人夫婦にこのワインを送ったところ、寝るとき飲んでいた養命酒を止めて、このワインを飲むようになってしまった。ここ数年来のフアンになって、この時期を待ちわびている。普段アルコールと縁の無い人でも飲みやすく、今年も香り高く、軽快、素直、ジューシーで品性の良さを感じる。本格的なワイン、特に赤ワインを呑まれる方には酸味、渋みなどが少なく奥深さが感じられないもどかしさがあるが、これはこれ、万人向きのジューシーな味は最高。これで、ワイン好きになった人が何人いるであろか。