最近呑んだ吟醸酒について
   
      

2001年1−3月分                     

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   ◆月に一度の例会とイレギラーで飲んだ吟醸酒について、ズバリ、どういう酒か皆様への判断基準を書きます。 
 A;味、B;香り、C;コストパフォーマンス、D;総合評価を、各5点評価(5;最上 4;良 3;まあまあ 2;まだまだ 1;評価外)で表します。 総合評価3−(マイナス)以下ではもう一度買うかと言えば、考えてしまうレベル。2ではタダで贈られても困ってしまうレベル。 
 私の独断と偏見なしで評価し、E;寸評も入れます。なお、会での評価も、判断基準の参考にしています。また、評価はこの日に飲んだ吟醸酒の味で、次回も酒の性格上、ロットや時間が変れば同じとは言切れませんが、傾向としては、間違ってはいないと思います。



 2001年3月24日(土)

 

 

1.旭酒造(山口県周東町) 本生 「獺祭(だっさい) 初心
原料米;山田錦・日本晴等 精米歩合;58% 【アルコール度数】15〜16% 【日本酒度】+6 【酸度】1.3  1.8L \2,100(税込)
 A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4
E寸評;本醸造と言えば可哀想です。黙って呑めば吟醸酒そのもので、香りも味わいも、正真正銘吟醸酒です。値段からは想像できないほど、よくできたお酒です。
澱が混ざって淡く白く濁っています。新酒独特の炭酸味が口の中で暴れますが、酸味が薄くなると、旨みが表面に出てきます。こんなに安くて旨い酒が有ったノダ。開栓した時に、派手にシャンパンまがいの音と栓が天井まで飛んで、跳ね返ってきたのには驚いた。

 

 

 

 

2.旭酒造(山口県周東町) 純米大吟醸  「獺祭(だっさい) 」 寒造早槽(はやふね)
原料米;山田錦 ・日本晴等 精米歩合;48% 【アルコール度数】16〜17%  1.8L  \3,150(税込)
 A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評;本当によく似た姉妹である。上記「初心」と双子かと思わせる程、よく似ている。澱もなければ、その酸味も無いが、ベースの味合いは全く同じ、気を許すと、どっちが姐でどっちが妹か分からなくなる。呑む(買う)なら「初心」で充分。
 獺祭の”獺”は”カワウソ=川獺”のことで地名の1字から来ているが、ここでは俳句の春の季語にもなっている言葉。カワウソが獲物を川岸に並べて、さも神の祭壇に供物を列べている様子をいう、こりにこったネーミング。

 

 

 

 

3.竹鶴酒造(広島県竹原市)  純米生原酒「無濾過 竹鶴」”タンク番号二十二”
原料米;八反錦 精米歩合;65% 【アルコール分】18.9 【日本酒度】+10 【酸度】1.8 【酵母】6号酵母  1.8L \2,480(税込) 
 A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4
寸評;何の花の香りであろうか、薄学の私にはこの香りが何の花か思い浮かばないが、まさしく清涼感のある香りと味わいは独特の味付けになっている。酸味が何時までも口中に残り、バター飴のようなとろりとした口当たりは非常に個性的である。アルコール分が高いので、純米独特の切れのなさが、この酒には見あたらない。油っぽい料理にも負けずに付いて来る。


 

 

4.府中酒造(茨城県石岡市) 純米吟醸ふなしぼり 「渡舟」 ”無濾過原酒”生詰 
原料米;茨城県産「渡舟」 精米歩合;50% 【アルコール度】16〜17 【日本酒度】+2前後 【酸度】1.7  【使用酵母】協会9号系酵母  1.8L \4,830(税込)
 A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4+
E寸評;佳くできた吟醸酒。欠点のない生意気な奴だが、当たり前のように吟醸酒の味わいと質感をもっている。今更何を言えばいいのだろう。そうそう、遮光を考えて、新聞紙でパッケージされて居るが、あまりにもわざとらしい。買う身になればイヤミである、特に贈り物には使えない。真っ赤なハトロン紙や黒の包装紙でパックして有れば、最高なのにナ〜。この値段ならできるはず。

 

 

5.銀盤酒造(富山県黒部市) 純米大吟醸 「銀盤50」 山田錦
原料米;山田錦 精米歩合;50%  【アルコール度数】15〜16% 【日本酒度】+5 【酸度】1.2  1.8L \2,420(税込)
 A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+
E寸評;銀盤酒造の酒はどの酒を取ってもコストパフォーマンスは高い。山田錦を50%磨いて、この値段で出してくるセンスには圧倒される。高くて旨い吟醸酒は沢山あるし、当たり前だが、この値段でこれだけの味わいを提供する蔵元に何時も敬意を表してしまう。味香りは山田の50%で分かって貰えると思う。

 

6.武内酒造店(石川県金沢市) 純米酒 大吟醸酒「古都のいずみ
原料米、精米歩合;− 【アルコール度数】15〜16% (1.8L \6000)
 A;味5、B;香り4、C;コストパフォーマンス賞品、D;総合評価4+
E寸評;甘く優しく迎え入れてくれる。何ら闘争心もなく、穏和で爽やかに春の清涼感がある、暖かい春風のごとく吹き抜けていく。決して濃厚芳醇な吟醸酒ではなく、その対極にある吟醸酒である。

 


2001年2月24日(土)

 

 

 

1.浜福鶴銘醸(神戸市東灘区) 純米吟醸 「空蔵(くぞう)雄町
原料米;雄町 精米歩合;50%   【アルコール分】17度  【日本酒度】+5 【酸度】1.6   1.8L  @3,900(税別)
 A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価5
E寸評;空蔵の旨さは前に呑んで判っているので、今回は「雄町」と「山田錦」の差について、呑み比べてみました。
 雄町は新しいロットになり、これが前回の最後の数本の内の1本です。しっかりした飲み口と旨みには品性と品格が有る。何者にも媚びず、しっかりしたコンセプトと技術力が相乗して素晴らしい佳酒に仕上がっています。安心して呑めるというのは最大の美点で味も香りも貴方の言うがまま。貴方任せの旨さは素晴らしい。
 この蔵元は熟成した酒に特徴があるので、新しい雄町はどうであろうか?

 

 

 

 

 

2.浜福鶴銘醸(神戸市東灘区) 純米吟醸 「空蔵(くぞう) 山田錦
原料米;山田錦 精米歩合;60%   【アルコール分】17度  【日本酒度】+3 【酸度】1.3   1.8L @2,800(税別)
 A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+
E寸評;「雄町」と比べると精米歩合が50%と60%で同じレベルでの比較にならないのであるが、同じ蔵元でどの様に遊んでいるのかをみると。
 比べてはいけません。山田錦の60%の出来である。精米歩合も仕上がり具合も。決してマズイとか名前倒れとかではなく、余裕で造られたこの酒は雄町の「俺を見て見ろ」と言う強い意志がない。反面呑みやすく、肴を選ばないし、呑み疲れしない。今回、美女が多かったので損はしている。
 山田錦を50%精米で仕上げたら、素晴らしいものに成るであろう。その時に、もう一度チャレンジ。

 

 

 

 

3.横沢大造(岩手県紫波町) 月の輪 活性生酒 「滓酒(おりざけ)」
原料米、精米歩合;−   【アルコール分】18〜18.9度  900ml  
 A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス・持ち込み酒、D;総合評価4
E寸評;滓(おり、かす)が含まれ、酵母がまだ生きている活性酒。王冠に穴が開いており、横にすると吹きこぼれるというもの。底にはおりが沈んでいて、軽く混ぜてから、杯に注ぐ。白濁した酒で、ミルクの様な、甘酒のような風合いを持つ。
 滓の旨さと、新酒の炭酸味がフレッシュ感を倍加させています。今しか呑めない、新酒。滓が口の中でざらついているのが気に掛かります。

 

 

 

 

4.酒田酒造(山形県酒田市) 生酒 かおり吟醸 「上喜元(じょうきげん)」 五百萬石
原料米;五百萬石 精米歩合;−%   【アルコール分】17〜18度   1.8L @2,600(税別)
 A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評;米の甘みが乗って、濃度が高いと感じるぐらいに旨みがギュッと詰まった、素晴らしさは絶品である。雑味とか品性とか言うレベルを超越して、日本酒の頂点にいる佳酒。造りとか酒の規格とか能書きは一切要らない。値段からすると、誉めすぎのようだが、値段を隠して呑み比べると、これが1番になる。 コストパフォーマンスは最高でこれ以上はない。蔵元に感謝。(だからといって、次回値上げしないで下さい) 例会の終わりに価格を公表すると、どよめきと感嘆の声が挙がる。
個々に買いに行くことだろう。

 

 

 

5.廣木酒造本店(福島県会津坂下町) 特別純米 無ろ過生原酒 「飛露喜(ひろき)」
原料米、精米歩合;−   【アルコール分】17〜18度    1.8L @2,430(税別)
 A;味5、B;香り4+、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評;ひやおろしとは表示されていないが、1年もの以上の熟成感と旨さの濃度感は最高。柔らかく米の甘さが口中を覆い、酒を呑む事に何ら抵抗が無く飲み干してしまう。後に旨かったという感動だけが残り、次の1杯を催促する。香りも出しゃばらず、酒質を引き立てる。これも コストパフォーマンスは最高でこれ以上はない。蔵元の熱意と誠意を感じる。

 


2001年1月27日(土)

    

 

 

  

1.今田酒造本店(広島県安芸津町) 純米吟醸 ”おりからみ” 「富久長」 中汲み槽しぼり 
原料米、精米歩合;不明  【アルコール分】15〜15.9度 
A;味5、B;香り4+、C;コストパフォーマンス・お勧め物、D;総合評価5
E寸評;ラベルのデザインがまことにイイ。色、書体、センスが秀逸。 中身の酒は・・、グラスに注がれた液体はわずかに白濁している。”おりからみ”で、おりを残した新酒で、新酒独特の清涼感のある酸味と、ふくいくたる濃厚な旨みが乗った味わいに、品のイイ香りがその上に乗っている。あか抜けしたお澄まし美人でしょうか。
 「この富久長は蔵元の娘さんが酒造りをしております。通常は取り除く、”おり”をあえて残して、旨みを残しております。」(酒販店記) そのとおりだと思います。

 

 

 

2.河野合名(会津若松市) 吟醸・熟成酒「春高楼」   
原料米;八反錦 精米歩合;50%   【アルコール分】15〜16度  【日本酒度】+2 【酸度】1.5    1.8L @3,000(税別)
 A;味5、B;香り4+、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評;日本で一番小さな蔵元(また出てきた)と自称。ラベルも大奥様が手作り、一枚一枚墨痕鮮やかに和紙に手書で作られている。3年物と聞いているが、私の大嫌いな”ひね香”もなく、芳醇で、奥深い味わいと、造り手の品性がうかがえ、含み香の素晴しさはこれぞ吟醸酒と言うとこであろう。この値段で出荷される蔵元の良心がひかる。いいとこの”熟女”此処に有り。
前回評ですが、全く品質に変わりはなく安心して飲める佳酒である。


 

 

3.黒龍酒造(福井県松岡町) 吟醸垂れ口 「黒龍」 
原料米;五百万石  精米歩合;55%  【アルコール分】18.5度  【日本酒度】+5.0 【酸度】1.4  【使用酵母】蔵内保存酵母使用  1.8L \2,800(税別)
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評; 濃厚なお酒の好きな方はお見のがし無く! これは旨い!(酒販店談)
 酒販店の話は片面だけを伝えることが多いのですが、これは本物。
おり絡みの酒で、わずかに白濁している。図太くと言うより、小股の切れ上がった均整の取れたお嬢さんとでも言いましょうか。山田錦?との声も出て来るくらい、安定感のある味わい。爽やかで上品な香り。この値段の倍するある吟醸酒と大変似通った味わいと品性が伺える。C; コストパフォーマンス5+を付けたいくらいの佳酒。あまりの良さに会員に誘拐略奪された。

 

 

4.菊姫(石川県鶴来町) 無濾過山廃純米 k-7 「菊姫」 
原料米;山田錦 精米歩合;−  【アルコール分】 19〜20度   1.8L \3,429 (税別)
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価5
E寸評;山廃の独特の味わいを伴い、独特の旨みと、酸味、甘み、コクが別々に一度に押し寄せてくる。これも酒販店一押しの吟醸酒ではある。なるほど。個性豊かとはこの事かと思われるほど、他ではまねの出来ない酒質を持ている。好き嫌いは分かれるであろうが、万人に好かれる八方美人より、貴方だけよと膝を詰めてくる、美女も可愛い。アルコール度数の高さが気にならないほど、自然な味わいに仕上がっている。
これも、あまりの良さに会員に誘拐略奪された。

 

 

 

5.本江酒造(富山県魚津市) 吟醸生酒 「かげろうの花
原料米;山田錦60%+五百万石40%  精米歩合;50%  【アルコール分】15〜16度  【日本酒度】+3 【酸度】1.2  【使用酵母】協会9号  1.8L  \2,720(税別)
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評; 前回のこの吟醸酒は今までのロットと歴然と違っていた。数年前の元気な頃の姿に戻って、なお、余りある。晴れ着の振り袖を着飾った娘さんのように、華麗で煌びやかで華があった。
しかし今、この振り袖美人を逃したら、飲む酒が無いとの思いは、ロット(樽)の変更で今はない。元の標準酒に戻っていた。あの振り袖美人は何処に行ってしまったのか。うたかたの華であったのか。

 

 

 

6.酒六酒造(愛媛県内子町) 特別本醸造 「伊予の燗酒」  
原料米 精米歩合;不明  【アルコール分】15.0〜16.0度   1.8L \1,990(税別)
A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+(燗酒時)
E寸評;勉強は出来なくても、運動会には俄然輝き出す子供がいるように、燗酒との命名からも判るとおり、燗をすると俄然と輝きを増して、別物のように旨みを増す。 今回の会は雪の中で開かれたせいか、この燗をした酒が一番の人気者になった。吟醸酒ではないが、酒本来の旨さを出して、燗酒という特化した造りがイイ。安心して飲める日本酒がここにもあった。冬、燗をして飲むのはごく普通のことで、それに適した酒はなかなか見つからない物だが、本道をゆくコンセプトに脱帽。1升瓶が空になったのは、これだけである。

 

 

7.新日の丸工場(秋田県増田町) 東北清酒鑑評会 仙台国税局長賞受賞酒 「まんさくの花」 袋吊り  
原料米;山田錦 精米歩合;40%  【アルコール分】 16.8度 【日本酒度】+3.5 【酸度】1.1 【使用酵母】協会9号  
A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス贈答品、D;総合評価4+
E寸評; 淡麗爽やか、美味しいだろうと言う押しつけが無く、ごく自然に口の中で旨みが解けていく。酸味が口の中に残りますが、優しい味わいで飲みやすい。

      


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